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ベストセラー「いまこそ知りたいDX戦略」著者・石角友愛氏が語る “DX推進の3つの壁”とは

記事の情報は2022-05-26時点のものです。
シリコンバレーやシアトルを拠点に、日本企業へのAI開発や導入、DXの支援を行う石角友愛さんのインタビュー後編です。日本企業がのDX推進を阻む3つの壁や著書を通じて伝えたかったこと、同社で実現したいビジョンなどについて語っていただきました。

【インタビュー】
石角友愛(いしずみ・ともえ)氏 パロアルトインサイトCEO/AIビジネスデザイナー、順天堂大学大学院データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)

ハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、グーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをリード。その後、HRテック・流通系AIベンチャーを経てシリコンバレーでパロアルトインサイトを起業。データサイエンティストネットワークを構築し、日本企業に対して最先端AIの戦略提案から開発まで一貫したDX支援を提供。AI人材育成にも意欲的で、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)や、東京大学工学部アドバイザリー・ボードを務めるなど幅広く活動している。
毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。著書に『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)など多数。

DXの真の意味を伝えたかった

―2021年に執筆された「いまこそ知りたいDX戦略 自社のコアを再定義し、デジタル化する」は今も人気です。この本を通じて読者に伝えたかったことは

色々な意味で解釈されてしまっているDXの真の意味を伝えたいと思いました。というのも、2020年~2021年頃の日本では「共通認識としてのDX」がないままデジタル庁ができたり、行政のDX推進やDXの育成が叫ばれたり、2025年の崖(「DXが進まなければ2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が生じる」という経済産業省の危機感)が提示されるなど、DXの重要性が一気に広がったと感じると同時に、DXという単語が一人歩きしている感が否めなかったからです。

皆さんの中でも、「こういう意味なのだろう」という感覚はあると思います。一般の方が、DXに興味を持つという点ではこの感覚でも良いのですが、実際に企業でDXを推進するとなると、これではいけません。

経営層が正しいDXの定義を知らずに、あやふやなまま「取りあえずうちもDXだ」と専門の部署を作り、予算を配分して「後はよろしく頼むよ」と丸投げしてしまう話をよく聞くのですが、そうしたマインドでは、真のDXを成し遂げることはできません。そこで、敢えて基本に立ち返り、DXの本質や必要なマインドセットを皆さん、特に経営層や意思決定層の方々に伝えることに大きな意味があると思い執筆しました。

DX推進には三つの壁がある

―石角さんはDXの本質をどう定義付けされていますか

私は著書において、「DXとはデジタル技術を採用した根本的なビジネスモデルの転換である」と述べています。単にオペレーションをデジタル化したり、デジタルツールを導入したりするだけではありません。会社にとってのコアを再定義し、それをデジタル化することがDXの本質なのです。

―著書では、DX推進に向けて三つの壁があると指摘されています。どんな壁なのでしょうか

一つ目は、何から手を付けて良いかわからないという「FOMO(Fear Of Missing Out)」の壁。つまり、置いていかれることを恐れる、取り残されたらどうしようという気持ちばかりが先行し、具体的な課題意識やDXが何を意味するのかというビジョンがない中で、「とりあえずDX、デジタル推進」と動き出してしまい、結局は何をすれば良いのかわからなくなることです。

実証実験から進まないパターンも

二つ目は、なかなか実現フェーズに進まない「PoC(Proof of Concept)」の壁。「PoC」とは、日本語で概念実証、実証実験を意味します。一つ目の「FOMO」の壁と比べると、より課題が明確になっていて、チーム体制もほぼ構築され、プロジェクト化するための基盤もあります。

それにもかかわらず、実証実験から先になかなか進めないケースがあるのです。なぜかというと、そもそも課題への優先順位付けができていないからです。どういう課題が自社にとって最も重要かがわかっていないために、「PoC」のための「PoC」を回してしまうのです。

「PoC」はそもそも、その先にあるプロジェクトがあるからこそ行うものであって、「PoC」だけをやっていてもあまり意味がありません。 そこで、課題への優先順位付けの方法として私が著書でご紹介しているのが、弊社が独自に開発した問題解決フレームワーク「FOME分析」です。

Fが実現可能性(Feasibility)、Oが応用性(Opportunity)、そしてMが検証性(Measurability)、それからEが倫理性(Ethics)を指します。この多角的・総合的な角度からそれぞれのプロジェクトを見ていく必要があります。

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