LMS(学習管理システム)比較22選!eラーニングとの違いや導入メリット、選び方
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LMS(学習管理システム)とは
LMSとは、Learning Management Systemの略で、日本語では学習管理システムと呼ばれます。企業や教育機関における学習活動を管理するシステムです。具体的には教材の配信、学習進捗の管理、成績表示、アンケート、レポート機能などが搭載されています。
eラーニングとの違い
eラーニングとLMSの違いは、学習することを指すか、学習するためのシステムを指すかにあります。eラーニングは、インターネットによって受講する学習全体を指します。一方のLMSは、eラーニングを含む学習活動を管理するためのシステムです。つまりeラーニングは学習方法、LMSは学習を管理するツールといった関係性になります。
LMSを利用することでeラーニングコンテンツの一元管理、進捗状況の把握、成績評価の自動化、学習者同士や講師とのコミュニケーション促進などさまざまなメリットが得られます。LMSは、eラーニングを効果的に実施するための基盤となるシステムです。
LMSを導入するメリット
LMSを導入して得られるメリットとして次のものがあげられます。
- コスト削減
- 学習効果の向上
- 従業員エンゲージメント向上
- 人材育成の効率化
コスト削減
LMSを導入することで会場費、講師への謝礼、交通費、宿泊費、教材印刷費といったコストを削減可能です。また、研修のために従業員が業務から離れる時間を減らせるため、人件費の削減にも貢献します。さらに、一度作成した教材を繰り返し活用できるため、教材作成にかかるコストも抑えられます。
学習効果の向上
LMSでは動画や音声、テキストなど多様な形式の教材を配信できるため、学習者の理解度や学習スタイルに合わせて最適な学習環境を提供できます。学習進捗が見える化されることで、個々の課題や弱点に合わせたフォローアップが可能です。学習効果の向上へつなげられます。
さらにLMSによっては、ゲーミフィケーション要素やAIによるパーソナライズ学習機能を備えているものもあり、学習者のモチベーション維持や理解度向上に貢献します。
従業員エンゲージメント向上
LMSは、時間や場所にとらわれず自分のペースで学習可能です。学習目標を設定したり、進捗状況を共有したりすることで達成感や競争心が刺激され、学習意欲やエンゲージメント向上につながります。さらには、LMSを通じてほかの従業員と交流したり、意見交換したりする機会が増えれば、チームワークの向上や組織全体の活性化にもつながります。
人材育成の効率化
LMSでは学習履歴や成績データの一元管理が可能です。人材育成の進捗状況が見える化されることで、効果的な人材育成戦略を立案できます。また、研修の企画・運営にかかる時間を大幅に短縮できるため、人事担当者はより戦略的な業務に集中可能です。さらに、LMSの分析機能を活用することで、効果測定ができ継続的な改善につなげられるでしょう。
LMSの選び方
LMSを選ぶ際は、次の流れで確認しましょう。
- LMSの導入目的を確認する
- LMSの機能を確認する
- LMSを導入する際の注意点を確認する
- LMSの料金・価格相場を確認する
LMSの導入目的を確認する
LMSの導入を検討する際は、まず導入目的を明確にしましょう。主な導入目的は次のとおりです。
導入目的 | 詳細 |
---|---|
できるだけ簡単に教材を作りたい | 既存の資料や素材を組み合わせるだけで教材を作れるシステムがおすすめ |
すでに教材が用意されたLMSを使いたい | ベンダーが教材を用意している「eラーニング系」のシステムがおすすめ |
システムを定着させて従業員一人ひとりの能力向上を図りたい | 受講者(従業員)の学習進捗やテストの実施、レポート機能が充実したシステムがおすすめ |
人材育成や人材配置を最適化したい | 従業員のスキルや資格を一元管理できる「人材マネジメント系」のシステムがおすすめ |
LMSの機能を確認する
LMSでできること、利用できる機能は次のとおりです。上記の導入目的・課題をどのように解決できるか記載しているため、必要な機能を洗い出しましょう。
【基本的な機能】
機能 | 詳細 |
---|---|
受講者機能 | 受講者(従業員)がシステムをスムーズに使うための機能。ログインや受講コース一覧やテスト、学習進度の確認、レポート作成、成績表示などが可能。 |
管理・指導機能 | 管理者(企業)が、受講者の管理をスムーズに使うための機能。受講者の登録やコース割り当て、学習進捗の確認、レポート管理、質問の受付・回答、アンケート回収などが可能。 |
教材コンテンツ作成機能 | 教材コンテンツを作成する機能。システムの作成画面に画像や動画をアップロードするといった方法で作成が可能。テストの作成や実施、クイズや◯×問題など問題を作れる機能がある場合も。 |
教材コンテンツ管理機能 | LMSで配信・作成した教材を管理する機能。コースの作成や編集、教材を各コースに割り当てる機能などが含まれる。 |
eラーニング受講機能 | 自社作成でなく、ベンダー側が「eラーニング教材」を提供し、それを受講できる機能。「月額〇〇円でコンテンツ見放題」とするシステムもある。 |
【あると便利な機能】
機能 | 詳細 |
---|---|
社内SNS機能 | 受講者(従業員)同士でコミュニケーションを取れる機能。互いに学習進捗を共有したり不明点を聞き合ったりできるため理解度が深まりやすい。 |
タレントマネジメント機能 | 受講者(従業員)のスキルを可視化できる機能。一人ひとりのキャリアや保有資格などを一元管理することで人材育成・人材配置に役立てられる。 |
外国語翻訳機能 | システム自体の言語表示や教材コンテンツ(主に動画)を翻訳できる機能。外国人スタッフを雇用している企業にとっては必要不可欠といえる。 |
LMSを導入する際の注意点を確認する
LMSを導入する際、失敗しないために次の項目も確認しておきましょう。
確認事項 | 詳細 |
---|---|
導入形態 | システムが「クラウド型」と「オンプレミス型」のどちらなのか確認する。クラウド型はインターネット経由で利用するため教材の配信や管理情報の共有がスムーズ。オンプレミス型は自社でネットワークやサーバーを構築する必要がある反面、カスタマイズ性やセキュリティ性が高い。 |
運用規模 | システムが企業規模に合っているかを確認する。自社がイメージする利用人数と、LMSのユーザー数(ID数)がミスマッチする場合があるので要注意。 |
ユーザビリティ | システムが管理者・受講者にとって使いやすいかをチェックする。少ないクリック数で目的のページにたどり着ける、ダッシュボードが見やすい、教材を簡単にアップロードできるなど。 |
同時アクセス数やファイル容量 | システムへの同時アクセス数やアップロードできるファイルの容量を確認する。これらが少ないと動作が遅れる、システム自体が使えないなどの障害が起こる。 |
サポート体制 | LMSを定着させるにはベンダー側のサポート体制が重要。ヘルプデスクの設置や初期設定ガイド、専任スタッフによるシステム導入・運用の伴走支援などサポート体制を確認する。システムが定期的にバージョンアップされているかも重要。 |
セキュリティ | 通信やデータの暗号化をはじめサーバー・プログラムの監視、アクセス制御、ISO/IEC認証などのセキュリティ対策が整備されているか確認する。オンプレミス型は自社でセキュリティを固められるが、クラウド型はベンダーに委ねられるので対策内容を必ずチェックする。 |
モバイル対応 | スマートフォンやタブレットなどの端末に対応しているか確認する。教材コンテンツを閲覧する際にモバイル対応していた方が便利であり、受講者の満足度も高くなる。 |
導入実績 | システムの導入実績も要チェック。導入企業数だけでなく自社と同じ業種の導入実績があるか、導入後どのような結果を得られたのかまで確認する。 |
LMSの料金・価格相場を確認する
LMSの料金体系は、コンテンツの配信や作成、管理に強いシステムや、eラーニング系のシステムか、などによって異なります。「年額〇〇円」と固定されているケースもあれば、「1ユーザーあたり月額◯◯円」のケースなどさまざまです。
年額ベースで考えると、数十万円程度が相場といえるでしょう。年額数万円の低コストで利用できるシステムもあります。企業規模によって料金は大きく変わるため、必要な機能と要件が搭載されていて、かつ予算に見合ったLMSを選びましょう。
各システムを比較して自社の目的や予算に合ったLMSを選ぼう
LMSを導入すれば、オンラインでの研修や学習ができるようになり、コスト削減や従業員エンゲージメントの向上、人材育成の効率化を図れます。「社内教育を効率化させたい」「従業員のスキルを底上げしたい」「人材配置を最適化させたい」と考える企業におすすめです。LMSを選定する際は次のポイントに注意して選ぶのをおすすめします。
- LMSの導入目的を確認する
- LMSの機能を確認する
- LMSを導入する際の注意点を確認する
- LMSの料金・価格相場を確認する
企業の成長を加速させるためには、継続的な学習とスキルアップが欠かせません。LMSは、効果的な人材育成を実現するための強力なツールです。LMSの比較ポイントや導入時の注意点を参考に、ニーズに適したLMSを選定し、従業員の能力を最大限に引き出しましょう。