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AIモデルとは?仕組みや重要性、作成する手順

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AIモデルとは、データセットを用いた機械学習によって構築されたAIのプログラムのことです。独自のAIモデルを構築すると、画像認識や需要予測、物体検出など、さまざまなシーンで活用できます。本記事では、AIモデルの仕組みや重要性、構築方法などを解説します。

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AIモデルとは

AIモデルとは、収集したデータセットのパターンやルール、相関関係を学習して予測や判断を行うプログラムのことです。「入力→モデルによる学習→出力」の流れでデータ分析が行われ、データを入力するとモデル(学習済みのアルゴリズム)がそれを解析し、最終的に目的に沿った出力(判定や予測結果)を自律的に処理して返します。

AIモデルを開発する際は、機械学習やディープラーニングと呼ばれる学習方法が用いられます。いずれも機械がデータセットをみずから学習し、そのなかにある法則性や関連性を学び取る仕組みです。

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AIモデルの狭義と広義の意味

「AIモデル」という言葉は狭義と広義の2つの意味で使われる点に注意が必要です。

狭義のAIモデルとは、GPT-4.5やClaude、Stable Diffusionのように学習済みの人工知能そのものを指します。一方で、広義のAIモデルは、モデルを構築するためのアルゴリズムや学習プロセスも含め、AIによる入力から出力までの一連の仕組み全体を指すこともあります。

本記事では基本的に前者、すなわちデータから学習して得られた学習済みモデルの意味で「AIモデル」を解説しますが、必要に応じて後者の意味についても触れていきます。

AIモデルの活用例

AIモデルは次のような分野で活用されています。

活用例 概要 詳細
画像認識(コンピュータビジョン) カメラや画像データから物体や状態を判別するAI技術 製造業の外観検査(不良品検知)や顔認証、医療画像診断(X線やMRI)などで利用。CNNを含むディープラーニングが精度向上に寄与。
自然言語処理(NLP) 人間の言語を理解・生成するAI技術 自動応答チャットボットや機械翻訳、テキスト要約、感情分析に活用。ChatGPTのようなLLM(大規模言語モデル)が対話生成を実現。
予測分析(時系列予測) 過去データから未来を予測するAIモデル 需要予測や売上予測、株価予測、設備の故障予知などで活用。ARIMAやLSTMなどの時系列モデルが使用され、ビジネスの意思決定に貢献。
レコメンデーション(推薦システム) ユーザーの好みに応じた提案を行うAI技術 ECサイトや動画配信サービスでの「あなたへのおすすめ」に代表される。協調フィルタリングやディープラーニングを用いて個別最適化。
異常検知 通常と異なるパターンを見つけるAIモデル 製造装置のセンサーデータやネットワークのログ、クレジットカードの不正利用検知などに活用。教師なし/あり学習を組み合わせて異常を発見。
生成AI 新たなコンテンツ(文章・画像・音声など)を生成するAI 自動記事生成やチャットボット応答、画像生成(芸術作品風など)で利用。GPTやGAN、拡散モデルなどのディープラーニング技術が基盤。

AIモデルを活用すれば、人手では困難なデータ分析や判断を自動化できるため、「人工知能(AI)を実現するための核」としてAIシステムの多くで重要な役割を担っています。

AIモデルの仕組み

AIにおけるモデルとは、「学習によって得られた計算式や計算方法」を指し、入力から出力までの関係性を表すものです。つまり、AIモデルを活用することで、人間が経験を通じて学習するプロセスをコンピュータ上で再現できます。

たとえば、AIを使って音声データの文字起こしをする場合、AIモデルは入力データとして音声を受け取り、音声認識技術を用いて統計的なパターンと照らし合わせながら解析を行います。そして、解析結果を出力することで、はじめて文字起こしの自動化が実現される仕組みです。

AIモデルが重要な理由

AIモデルは、データ分析において基盤となる極めて重要な役割を担います。AIモデルがなければ、データはただの数値の集まりに過ぎず、有効なアウトプットを得られないためです。

たとえば、将来の予測を行うには過去の膨大なデータをもとに複雑なパラメータの調整が必要ですが、これを人手で行うのは非現実的です。AIモデルを使えば、多様なパラメーターの複雑な関係性を自動的に分析し、迅速かつ精度高く結果を導き出せます。

効率的かつ正確な分析を可能にする点で、AIモデルは重要な役割を果たしています。

AIモデルとアルゴリズムとの違い

AIモデルとアルゴリズムは、いずれもデータを分析し問題解決を目的として設計されていますが、それぞれの役割には違いがあります。アルゴリズムは「方法」を指し、AIモデルはアルゴリズムを活用して経験を積み重ねることで得られた「知識」という点が大きな違いです。

つまりAIモデルとは、特定のアルゴリズムを用いて訓練された知識の集まりを指します。膨大なデータを学習し、その結果をもとに未来のデータや状況を予測・判断できるのが特徴です。

AIモデルの種類と特徴

AIモデルには、教師あり学習モデル教師なし学習モデル強化学習モデルなどの種類があります。それぞれ学習方法や活用シーンに違いがあるため、種類ごとの特徴を押さえることが重要です。

教師あり学習モデル

教師あり学習モデルとは、学習データに正解を与えた状態で機械に学習させる手法です。教師あり学習では、トレーニングデータや教師データと呼ばれる正解付きのデータを用います。つまり、正解・不正解が明確な問題の解決に適した学習手法です。

教師あり学習モデルでよく使用されるアルゴリズムには、回帰と分類があります。回帰は株価予測や気象分析に用いられ、分類は植物や動物のカテゴリー分けなどに活用されるのが一般的です。教師あり学習モデルは、学習と認識・予測の2つのプロセスで構成されており、このプロセスを実現するために回帰や分類のアルゴリズムが用いられます。

教師なし学習モデル

教師なし学習モデルは、正解となるデータが与えられず、入力されたデータをもとにパターンや構造を見つけ出す手法です。教師あり学習では、あらかじめ用意された正解データをもとに学習を進めますが、教師なし学習モデルではそのようなデータを必要としません。一見すると、教師なし学習モデルのほうが難しく感じるケースもありますが、適切な手法を用いることで精度を向上できます。

教師なし学習モデルでは、大量のデータを単に学習するのではなく、データが持つ構造や特徴を分析することが主な目的です。そのため、データの分類や簡略化、頻出パターンの発見といった作業を得意としています。

強化学習モデル

強化学習モデルとは、AIが実行した処理に対して報酬(スコア)を与え、その報酬を最大化するように学習させる手法です。強化学習モデルでは、教師あり学習モデルや教師なし学習モデルのように、あらかじめ用意された学習データを使用しません。代わりに、エージェント(Agent)環境(Environment)という2つの要素を活用します。

エージェントとは、開発対象となるAIモデルのことです。エージェントは環境から状態を入力として受け取り、それをもとに行動を決定します。環境にはシミュレーターが用いられることが多く、エージェントが環境から情報を取得することを「観測」と呼ぶ場合もあります。

強化学習は、次のような分野で用いられることが一般的です。

  • ゲームの操作
  • 複雑なパズルの解決
  • ロボットの歩行
  • アームの制御
  • 自動運転 など

LLM(大規模言語モデル)

LLM(大規模言語モデル)とは、大量のテキストデータをディープラーニングという手法で学習するモデルのことです。

言語を構成する文章の単語の並びには文法があり、大量の文章を入力してその並び方を学ぶことで、自然な単語の並びが出現する確率が高くなることを理解し、逆に意味のない単語の並びは確率が低くなることを学びます。トレーニングを行ったモデルを自然言語処理モデルと呼び、トレーニング方法を変えることで、感情分析や文章要約、質問応答などさまざまなタスクに対応可能です。

LLMの特徴は、インターネットとコンピュータの処理能力を活かし、従来の自然言語モデルよりも計算量やデータ量、処理するパラメータ数が拡張されている点です。ChatGPTもLLMの一例であり、現在では人間と自然な会話ができるレベルにまで進化しています。

マルチモーダルモデル

従来のAIモデルは、画像・音声・テキストといった単一のデータタイプ(モーダル)に限定された学習が一般的でした。しかし近年では、マルチモーダルAIモデルと呼ばれる、複数のモーダルを組み合わせて学習・解析するモデルが注目されています。

たとえば、映像と音声を同時に処理することで、より高度な意思決定を可能にしたり、文章の内容に沿った画像を生成したりするなど、用途は多岐にわたります。

マルチモーダルモデルの登場によりAIの活用シーンはさらに広がり、より人間の感覚に近い形で情報を捉え、活用できるようになってきています。

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AIモデルを構築する手順

AIモデルを構築する手順は次のとおりです。

  1. 目的や活用範囲の明確化
  2. データ収集
  3. データの加工
  4. モデル構築
  5. PDCA・再学習

1.目的や活用範囲の明確化

AIモデルをどのような目的で活用するかを明確にすることが重要です。仮にビジネスシーンでAIモデルを利用する場合、主に次のような目的があります。

  • 売上予測やマーケティングの効率化
  • 生産業務の最適化

目的に応じて作成すべきAIモデルの種類や必要なデータが異なるため、活用方法を事前に策定することが大切です。

2.データ収集

AIの精度は学習データの質と量によって決まります。AIは何も知らない状態からスタートし、そこからより多くのデータを収集・蓄積して学習する必要があるため、あらかじめデータを収集しなければなりません。

ただし、単に大量のデータを集めれば良いわけではありません。あいまいなデータや誤ったデータを学習させてしまうと、AIの分析や予測の精度に悪影響を与える可能性があるため、収集するデータは慎重に決める必要があります。

最近では、無料で利用できるAPIやデータセットも提供されているため、それらを活用するのも効果的です。また、有料でデータセットを提供している企業も存在しているので、選択肢の一つとして検討するのも良いでしょう。

3.データの加工

データの加工作業はアノテーションとも呼ばれています。アノテーションとは、テキストや画像、音声といったさまざまな形式のデータにタグを付ける作業です。

AIの機械学習アルゴリズムは、タグ付けされたデータを取り込むことで、はじめてパターン認識を行えます。そのため、AIを開発する際には、タグが付けられたデータを大量に準備し、機械学習アルゴリズムに学習させる必要があります。

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4.モデル構築

続いてAIモデルを構築します。画像認識や音声認識、データ認識など、AIモデルをどのような用途で使うかによって構築するモデルの種類は異なります。AIモデルによって得意とする領域や作業が異なるためです。

モデルを構築する際は、システムの構築だけでなくトレーニングを行う必要もあります。トレーニングとは、機械学習アルゴリズムを用いてネットワークの重み付けを行うことです。学習と混同されがちですが、学習は機械学習アルゴリズムを使ってモデルのトレーニングを進めながらネットワークモデルを構築すること」を意味するため、トレーニングとは役割が異なります。

5.PDCA・再学習

AIモデルは使用し続けるうちに、新製品の登場や市場の変化などで内容を変更する必要が生じます。また、学習データが古くなることでAIモデルの予測精度が低下することも考えられるため、定期的に評価を行って再学習させることが重要です。

AIモデルを劣化させずに進化させていく考え方は、MLOps(機械学習基盤)と呼ばれています。AIモデルは簡単に作り直せないため、その精度を高い状態で維持するためには、定期的に評価と再学習のPDCAサイクルを回しましょう。

AIモデルを作成する際のポイント

AIモデルを効率的・効果的に構築するには、いくつか押さえておくべきポイントが存在します。それぞれのポイントを理解して最適なAIモデルを組み立てましょう。

定期的なアップデートを視野に入れて設計する

AIモデルを構築する際は、定期的に更新することを踏まえて設計することが重要です。AIモデルは学習と調整を繰り返して精度を向上させるため、定期的なアップデートが求められます。

また、システム開発にあたり属人化が発生するケースも想定されます。特定の人物がいないと作業が進まない、情報が一人に集中しているといった状態では、スムーズな開発を阻害しかねません。そのため、システム開発の情報や担当者の責任範囲を明確にすることが大切です。

トラブル時や運用中のルールを策定する

開発中にトラブルが発生した場合の対応方法や、運用時のルールを策定することも重要です。AIモデルの開発中や運用中は、なんらかの不具合が発生するリスクがあるため、トラブルが起きた際に業務に支障をきたさないようにマニュアルを作成したり、連絡先を共有したりといった準備が欠かせません。

開発会社に依頼する場合でも、あらかじめ対応範囲を確認しておく必要があります。開発会社の責任範囲が明確になることで、トラブルが発生した際でもスムーズに対応が可能です。

便利なツールを活用する

現代では、AIモデルの開発をサポートするツールやプラットフォームが多数登場しています。これらのツールは、プログラミングやコーディングの知識がなくても、直感的なUIを通じて効率的にAIモデルを構築できるよう設計されています。また、多くのツールでは、事前にトレーニングされたモデルが提供されており、それをカスタマイズすることで独自のシステム開発が可能です。

AIモデルの応用範囲は、音声認識や画像認識、レコメンデーションシステム、自動翻訳など、さまざまな分野にわたります。先進的なモデルを活用することで、自動化できる業務が増え、新しいビジネスモデルの創出へとつながります。

独自のモデルを構築してAIの利点を最大限に活かそう

AIモデルを活用することで、AI技術の仕組みをビジネスシーンへと採り入れられます。活用範囲は営業やマーケティング、カスタマーサポート、生産管理など多岐にわたり、業務効率化や生産性向上に効果を発揮します。

一からAIモデルを構築するのも一案ですが、便利なツールを活用するのも良いでしょう。専用のツールやプラットフォームを利用すると、ある程度システムが構築されたAIモデルを採用できるため、開発効率の向上やコスト削減につながります。AIモデルの作り方にはさまざまな選択肢があるため、目的や課題に合わせて最適な方法を検討しましょう。

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