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どうやってERP(基幹システム)を選べばいいの?
ERP(基幹システム)を選定するために、まず必要な要件を洗い出す必要があります。その後比較表でサービスを絞り込んで、試験的に導入する流れがおすすめです。具体的な比較方法は、こちらの記事にまとめています。
【2024年】ERP比較22選!タイプ別サービスと比較表
サービス比較
ERP(基幹システム)
ERPとは
ERPは「Enterprise Resources Planning」の略語で、日本では「統合基幹業務システム」や「業務システム」などと一般的に訳されます。
生産・人材・会計といった部門ごとに運用しているシステムを統合し、社内の情報を一元化することで、経営判断に活かすシステムです。
【ERPが登場した経緯】
もともとERPは、生産管理の手法であるMRP(Materials Requirements Planning)が元であり、生産資源を有効に活用し、効率的な生産体制を確立するための考え方として1990年代に登場しました。さらに製造業界で確立されたMRPの考え方を、一般企業にも適用できるようにしたものがERPです。
ERPは企業経営のベースとなる資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を一元的に管理し、最適な配分を目指す考え方であり、それが徐々に経営資源を有効活用するためのシステムを指すようになった経緯があります。
【ERPの普及する背景】
一昔前は、いわゆるパッケージソフトとして社内サーバーで運用するのが一般的でしたが、近年はあらゆるシステムのクラウド化が進み、サーバーを構築せずにインターネット経由で利用できるようになりました。
これによってERPを導入する敷居が低くなり、中小企業でも積極的に活用するところが増えてきています。
ERPの基本機能
ERPはさまざまな製品・サービスが提供されていますが、どの製品でも次の機能は標準搭載されています。
・会計管理:一般的な企業会計を効率化できるシステム
・購買管理:原材料の購入量や商品・サービスの入荷量の管理ができるシステム
・生産・在庫管理:棚卸資産の管理や原価計算、ワークフロー管理などができるシステム
・販売管理:売上高の計算や販売状況、出荷日時や返品の状況などを管理できるシステム
これらのシステムを統合し、一元的に管理・運用できるのがERPの特徴です。
いわゆる「基幹システム」と混同されがちですが、役割に応じて個別のデータベースを管理する基幹システムに対して、ERPはすべてのデータベースを統合管理するので、データのやり取りに時間がかかりません。
なお、導入企業の規模や業種などによって求められる機能が異なる場合もあるため、ERPは必要に応じて機能を追加する形をとるのが一般的です。上記のシステム以外の機能に関しては、新たにサービスを契約してシステムを統合するケースは珍しくありません。
ERPはなぜ必要か?
ERPが多くの企業で必要とされた背景としては、IT化の進展による情報管理の重要性が認知されるようになったことや、海外展開をする企業が増加した点などが挙げられます。
【情報管理の重要性が広く認知されるようになった】
かつては、部門・部署ごとに個別に業務情報を管理する方が、効率的と考えられていた時代がありました。しかしIT化の進んだ現代では、ビジネスシーンで取り扱う情報の量が格段に増加しています。
そのため社内の各部署で個別に情報を管理していると、必要な人員が必要なタイミングで情報を活用できない事態になるケースが出てきました。業務プロセスも煩雑になり、機会損失が発生する場面も珍しくなかったのです。
そこでERPを導入し、あらゆる業務情報を一元管理することで、必要な情報をすぐに入手・活用できる体制を目指す企業が増えてきました。
【海外展開を目指す企業が増加した】
2000年代以降、積極的に海外展開を始める日本企業が増加したことも、ERPが普及した背景のひとつです。海外の拠点と情報を共有する必要から、あらゆる業務情報を統合データベースで管理し、どの場所からでもすぐに活用できる環境が求められました。
国内の拠点だけでも業務連携に課題を抱える企業が多いなか、さらに海外展開を進めるためには、徹底した情報管理が求められます。そこで大規模なERPを導入し、社内の情報管理体制を刷新することで、海外展開に備える企業が増えてきたのです。
【DXの推進もERP普及の一因に】
近年、特に注目されている「DX(Digital Transformation)」の実現のため、新たにERPを導入する企業も多くあります。DXはデジタル技術を活用することでビジネス活動を再構築し、競争優位性を確立する試みです。
DXはたんにITツールを導入・活用するのみならず、業務プロセスの改善・再構築も含む概念であり、ERPの導入で基幹業務を刷新し、業務効率化と生産性の向上を目指す企業が目立つようになりました。あらゆる業務情報を統合管理できるERPを、DX実現の要として捉えている企業は少なくありません。
ERPを導入するメリット
【経営状態を可視化できる】
ERPでは、あらゆる経営資源を一元的に管理できるため、経営状態の可視化が可能になります。
会計や人事、商品などの情報をまとめて管理できるので、自社の置かれた状況を俯瞰し、客観的な視点から経営判断ができるようになります。特にビジネスにスピードに求められる現代では、ERPによる経営状態の可視化と、それに基づいた合理的な戦略の構築は大きな強みになるでしょう。
【業務効率化と意思決定のスピードアップが可能】
統合データベースによって一元的に管理した情報を活用できるので、社員の業務効率化が実現でき、経営陣の意思決定のスピードアップも可能です。
情報が各所に散在している状況では、情報の収集が目的化してしまいがちで、必要な場面で十分な情報を活かせないケースは珍しくありません。ERPであらゆる情報を統合管理できるようになれば、部門横断的に情報を活用できるようになります。
営業とマーケティングをはじめとして、各部門の連携性が高まり、組織全体のパフォーマンスが大幅に向上するでしょう。
ERPを導入するデメリット
【初期費用の負担が大きい】
ERPはさまざまなシステムを統合する必要から、導入規模が大きくなりがちで、イニシャルコストの負担が大きくなる傾向にあります。
特に、事業規模が大きくなれば大きくなるほど導入費用が莫大になり、追加的に機能を実装したり、アドオン(追加開発)したりしなければならないケースも多いため、十分な予算を用意して計画的に導入を進めなければいけません。
【業務フローやマニュアル整備の見直しが多い】
導入にあたっては業務プロセスの見直しが必要な場合も多く、関係部署の業務フローを見直しつつ、マニュアルの整備や社員教育も必要になります。他のシステムの導入・運用と比べて、手間とコストがかかる点は理解しておきましょう。
ERPの比較ポイント
【総合的な費用】
ERPは他のツールやシステムと比べて、導入・運用にかかる費用が高い傾向にあるため、どれぐらいのコストがかかるか確認し、費用対効果を概算して導入の是非を判断する必要があります。
ただし、ERPはもともと大企業向けのシステムとして知られていましたが、近年はクラウドサービスの登場で比較的、低コストで導入できるサービスもあります。
クラウドERPシステムは、従来型のサーバーにシステムを構築するオンプレミス型に比べると、低コストで比較的手間をかけずに導入できるので、特に中小企業におすすめです。
ただし、オンプレミス型に比べるとカスタマイズ性で劣る部分はあるので、事業規模や予算、導入を検討しているERPの機能性などを比較したうえで、環境に合った製品やサービスを選択しましょう。
【システムの操作性】
ERPはさまざまな部門の社員が利用するため、できるだけ使い勝手のよいシステムを選ぶことが大事です。誰でも直感的に操作できるUIが理想であり、ITリテラシーが低めの人でも、ある程度は使いこなせるシステムでなければいけません。
コストや機能性も当然重要ですが、スペックの高さにこだわるあまり、使い勝手の悪いものを導入しないように注意が必要です。
ERPの中にも、無料体験版やトライアル版が利用できる製品も多いので、事前に操作性や機能の使いやすさを確認しておきましょう。ベンダーに依頼すれば、導入前に使い勝手をチェックできる場合もあります。
【システムのセキュリティ】
ERP上で機密情報をやり取りする場合もあるため、システムのセキュリティも確認しなければいけません。
顧客の情報や社員の個人情報などを日常的にやり取りする性質上、堅牢なセキュリティの下で運用できるかは非常に重要な選択基準です。アクセス権限の設定やユーザー認証など、具体的にどういったセキュリティ機能が実装されているかチェックしましょう。
また、クラウド型のサービスの場合、システムの運用はベンダーが担当します。ベンダー側のセキュリティポリシーやデータベースの運用環境などを確認し、安全に利用できるサービスを選ぶことが大事です。
ERPの導入に失敗しない方法は?成功するためのポイント
【導入目的を明確にする】
導入するERPの選定に入る前に、まずはERPで具体的にどういった問題・課題を解決したいのか、どういった効果を得たいのかを明らかにする必要があります。たとえ高機能でコストパフォーマンスの高いERPを導入しても、課題の解決に役立たなければ意味がありません。
まずは導入目的を明確にして、そこから必要な機能を洗い出すことが大事です。ERPを利用する部門・部署から十分なヒアリングをして、システムの導入で解決すべき問題やニーズを明らかにしておきましょう。
【導入プロジェクトを立ち上げる】
部門横断的に利用するERPは、他の管理システム以上に導入・運用に手間と時間がかかります。営業部門や経理部門、経営企画部門など、ERPを活用することになる部門を横断するチームを立ち上げ、入念な導入計画を立てる必要があるでしょう。
プロジェクトチームを立ち上げたら、各部門のニーズや要望を汲み上げ、調整を図りながら導入を進めることが大事です。ベンダーと各部門の利用者との間に入り、マニュアルの作成や利用者研修を開くといった活動も求められます。
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