IVR(電話自動音声応答システム)とは?仕組みや選び方の比較ポイント
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- IVR(電話の自動音声応答システム)とは
- VRUとの違い
- AI自動電話応答(ボイスボット)との違い
- ビジュアルIVRとの違い
- IVRの仕組み
- 音声認識とメニュー案内
- カスタマイズされた応答
- 高度なIVRと顧客の対話
- バックエンドシステムとの連携
- IVRの用途や利用シーン
- 予約受付
- 問い合わせ対応
- アンケート調査
- IVRの導入メリット
- 対応時間が拡大し顧客満足度が向上する
- オペレーターの負担が減る
- 人件費や電話番号を削減できる
- 人手不足の解消になる
- 顧客管理がしやすくなる
- IVRを導入するデメリット
- 顧客がストレスを抱える可能性もある
- 事前に正確で網羅的なシナリオを作る必要がある
- IVRを選ぶときの比較ポイント
- 利用方法に合った機能があるか
- ガイダンス(音声)の用意はあるか
- 分析機能は充実しているか
- 同時通話できる数
- 導入形態
- おすすめのIVR(自動音声応答システム)
- IVRの導入で顧客満足度と業務効率を向上
IVR(電話の自動音声応答システム)とは
IVRとは、「Interactive Voice Response」の略で、電話の自動音声応答システムのことをいいます。具体的には、電話をかけてきた顧客が音声メニューに従ってボタン操作をすることで、必要な情報を得たり、サービスを利用したりするシステムです。
VRUとの違い
VRU(Voice Response Unit:音声応答装置)とIVRの主な違いは、対話式応答の複雑さにあります。
VRUもIVRと同義として、音声による自動応答システムを指すことが多いです。しかし、厳密には意味が異なり、IVRはサービス自体を指すのに対し、VRUは入電やデータを管理・保管する装置のことを指します。
そのため、IVRはより複雑な対話式の応答が可能で、ユーザーの選択にもとづいてさまざまな情報を提供可能です。一方、VRUは比較的シンプルな応答や情報提供に限られることが多いです。
AI自動電話応答(ボイスボット)との違い
AI自動電話応答システム(ボイスボット)とIVRの主な違いは、自然言語処理による対話能力にあります。
IVRとAI自動電話応答はどちらも電話の自動応答機能ですが、IVRは顧客のキー入力や音声認識に応じて、あらかじめ用意しておいた内容で対応するシステムであるのに対し、AI自動電話応答は人工知能(AI)を用いて、発話内容や感情を理解し、自然な会話を行えます。
そのため、IVRはメニューの選択や情報の入力などの単純な業務に適しており、一方AI自動電話応答は、問い合わせや相談などの複雑な業務に適しています。
ビジュアルIVRとの違い
ビジュアルIVRと従来のIVRの主な違いは、視覚的な情報提供の可否にあります。
ビジュアルIVRは、従来の音声ガイダンスによるIVRに加えて、スマートフォンやタブレットなどの画面を通じて視覚的に情報を提供するシステムです。ユーザーは画面上のメニューから選択することで、必要なサービスを利用できます。ビジュアルIVRは、視覚的情報を提供できるため、より直感的で理解しやすい操作が可能になる特徴があります。
IVRの仕組み
IVRの仕組みは、電話システムを通じて自動で顧客との対話を行い、顧客のニーズに応じた情報提供やサービス指示を実現する技術です。具体的な仕組みとしては、次のプロセスに分けられます。
音声認識とメニュー案内
顧客がIVRシステムに電話をかけると、まずは音声案内が流れます。「商品に関する問い合わせは1を、営業時間については2を…」といったように、数字ボタンを押すことで異なるサービスを選択できるのがIVRのシステムです。
この段階では、数字ボタンに対して高音と低音など各4種類の信号を2つ組み合わせた音で表現するDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)技術が利用され、顧客が押したボタンに応じて異なる処理が行われます。
カスタマイズされた応答
顧客がメニューから選択した内容にもとづき、IVRシステムは適切な応答や情報を提供します。たとえば、営業時間の案内、残高照会、予約手続きなど、顧客の要求に応じた多様な対応が可能です。この過程では、事前に設定されたスクリプトやデータベースにもとづいて自動的に応答が生成されます。
高度なIVRと顧客の対話
近年のIVRでは、音声認識技術やAIを統合することで、顧客からの自然言語の質問に対しても適切に応答できるようになってきました。顧客はメニュー選択のみならず、「○○について知りたい」と直接話しかけることも可能で、システムは質問内容を理解して適切な情報を提供します。
バックエンドシステムとの連携
IVRシステムは、バックエンドシステム(顧客データベース、予約システム、在庫管理システムなど)と連携することが多く、顧客の問い合わせに対してリアルタイムで正確な情報を提供できます。たとえば、顧客が自分の予約状況を問い合わせた際には、バックエンドの予約システムから直接情報を取得し、顧客に伝えられるでしょう。
IVRの用途や利用シーン
IVRは、さまざまな用途や利用シーンで活用されています。代表的な活用シーンとしては、次のような使い方が多いです。
- 予約受付
- 問い合わせ対応
- アンケート調査
予約受付
予約受付は、レストラン、ホテル、病院、美容院など、事前予約が必要なサービスにおいて広く利用されています。
IVRシステムを導入することで、24時間体制で予約受付を行えるようになります。顧客は、自分に都合の良い時間に電話をかけ、希望する日時や人数、サービスの種類などを音声またはキーパッド入力によって伝えることで、簡単に予約手続きを完了できます。
たとえば、レストランではIVRシステムを利用してテーブル予約を受け付けることで、ピーク時の電話対応負担を大幅に軽減し、スタッフの作業効率を向上させるといった活用方法が可能です。
問い合わせ対応
顧客からの多岐にわたる問い合わせに対して、IVRシステムは迅速かつ適切に対応可能です。
製品の使用方法、料金プラン、サービス内容など、一般的な質問に対しては、IVRが自動で回答を提供します。顧客は、問い合わせのカテゴリーを選択し、関連するガイダンスを聞けます。
このシステムを活用することで、企業は顧客からの問い合わせに対して、24時間365日対応できます。また、より複雑な問い合わせについては、適切な部門やスペシャリストに自動で転送し、顧客満足度の向上を図れます。
アンケート調査
顧客満足度調査や市場調査など、さまざまな目的でアンケート調査を行う際にも、IVRシステムが有効に活用されます。
顧客は質問に対して音声またはキーパッドを用いて回答でき、企業はリアルタイムで回答データを収集し、分析可能です。この方法は、紙ベースのアンケートやオンラインフォームに比べて、手軽に大量のデータを収集できるため、顧客の意見やニーズを迅速に把握するのに役立ちます。
IVRの導入メリット
IVRを導入することで、次のようなメリットがあります。
- 対応時間が拡大し顧客満足度が向上する
- オペレーターの負担が減る
- 人件費や電話番号を削減できる
- 人手不足の解消になる
- 顧客管理がしやすくなる
対応時間が拡大し顧客満足度が向上する
IVRシステムを導入することで、営業時間や休日に関係なく、顧客からの問い合わせに24時間365日自動で対応できるため、顧客満足度を向上させる効果があります。さらに、混雑時や繁忙期でも、待ち時間や電話がつながらないといったストレスの軽減にもつながります。
さらに、IVRシステムを通じて顧客の問い合わせを効率的に分類し、適切な部署やオペレーターにスムーズに案内できます。一つの問い合わせに対して複数の部署を回ることなく、顧客が一回の電話で解決できる機会が増えます。
オペレーターの負担が減る
IVRシステムにより、簡単な問い合わせや手続きを自動化できます。これにより、オペレーターが対応する必要のある電話の数が減少し、より複雑な問い合わせや重要な顧客対応に集中できます。
具体的には次のような効果があります。
適切なオペレーターへの入電配分ができる
IVRシステムの導入により、顧客からの入電を適切なオペレーターや担当部署に自動で配分できるようになります。これにより、顧客の問い合わせに対して、より専門的な知識をもったスタッフが対応でき、問い合わせの解決効率が向上します。
たとえば、顧客が電話をかけた際に、IVRシステムが「商品に関するお問い合わせは1を、アフターサービスに関するお問い合わせは2を」といった形で案内します。顧客が自身の問い合わせに最も適したオプションを選択することで、問い合わせを専門のオペレーターや部署に直接振り分けられます。
また、IVRシステムによる入電配分は、ピークタイムにおける電話の混雑を緩和し、各オペレーターへの負荷を均等に分散させる効果もあります。これにより、オペレーターの過重労働を防ぎ、働きやすい環境の提供にもつながります。
営業電話や間違い電話への対応が不要になる
IVRシステムを導入することで、営業電話や間違い電話への対応が不要になるといった大きなメリットがあります。これは、IVRが自動で電話を受け、音声メニューによって呼び出しを適切な部門や担当者に振り分けるため、不必要な電話にオペレーターが対応する時間と労力を削減できるからです。
営業電話や間違い電話がかかってきた場合、従来ではオペレーターが直接電話に出て内容を聞いたうえで対応を判断していました。しかし、IVRを利用すると、特定のメニューに振り分けられるため、事前に設定した応答メッセージで対応できます。これにより、営業電話や間違い電話に対する直接的な対応が不要となり、オペレーターの負担を軽減できます。
人件費や電話番号を削減できる
IVRシステムの導入により、一部の顧客対応業務を自動化することで、必要なオペレーターの数を減らせます。これは、とくにコールセンターの運営コストに大きな影響を与える人件費の削減に直結します。
たとえば、普段はIVRの活用と少人数でカスタマーサポートを行い、繁忙期のみ追加の人員を雇用するといった運用が可能です。
また、IVRシステムを利用することで、複数のサービスや部署への対応を一つの電話番号で統合的に管理できます。これにより、顧客サービスを提供するために必要な電話番号の数を減らせ、通信費用の削減にもつながります。
人手不足の解消になる
IVRの導入は、とくに人手不足が問題となっている業界や企業にとって、大きなメリットをもたらします。
たとえば、小売業界においては、IVRを利用して商品の在庫状況や店舗情報の問い合わせ対応を自動化することで、店舗スタッフが顧客対応以外の業務に集中できるようになります。また、医療業界では、IVRを通じて予約受付や診療時間の案内を行うことで、受付スタッフの業務負担を軽減し、より質の高い患者サービスの提供に専念できるようになります。
このように、従業員にかかる負担の軽減ができるだけでなく、顧客満足度の維持や向上が期待できます。
顧客管理がしやすくなる
IVRシステムの導入により、顧客管理が格段にしやすくなります。IVRは、顧客からの電話を自動で受け付け、顧客のニーズに応じて適切な情報提供やサービスへの誘導を行うシステムです。これにより、顧客の問い合わせ履歴やニーズをデータベースに蓄積し、顧客ごとの対応履歴や傾向を管理できます。
IVRには分析機能がついているサービスもあり、顧客の傾向やニーズを把握し、サービスの改善やマーケティングの効果測定などにも活用できます。
IVRを導入するデメリット
多くのメリットをもつIVRですが、導入することによるデメリットもいくつか存在します。IVR導入によるデメリットは、主に次のとおりです。
顧客がストレスを抱える可能性もある
IVRシステムによる自動応答メニューが複雑であったり、顧客の求めるオプションが見つからなかったりする場合、顧客はフラストレーションを感じることがあるでしょう。
また、特定の問い合わせに対して繰り返しメニューを選択しなければならない場合、顧客満足度が低下する原因になります。
たとえば、ある顧客が特定のサービスに関する詳細情報を求めているにもかかわらず、適切な情報にアクセスするために複数の選択肢を経由しなければならない場合、ストレスや不満が生じてしまうかもしれません。
また、選択肢の多さは待ち時間の増加だけでなく、選択ミスの誘発にもつながります。操作ミスによって特定の情報に辿り着けず、最初からやり直しになってしまうと、顧客満足度は大きく低下してしまいます。
事前に正確で網羅的なシナリオを作る必要がある
IVRシステムの導入には、顧客が直面する可能性のあるあらゆるシナリオを予測し、それぞれに応じた適切な応答オプションを設計する必要があります。このプロセスは時間がかかり、細心の注意を払う必要があります。
シナリオが不完全であると、顧客が必要とする情報やサポートにアクセスできない場合があります。さらに上述のとおり、選択肢が多すぎても顧客満足度の低下を招く可能性があるため、適切なバランスを保つ必要があります。
また、ビジネスやサービスが進化するにつれて、IVRシステムを定期的に更新し、新しいシナリオやオプションを追加する必要も生じるでしょう。たとえば、新たな製品やサービスの導入や顧客からの新しい問い合わせタイプなどに対応するため、システムの更新が必要になる場合があります。
IVRを選ぶときの比較ポイント
IVRを選ぶときには、次のポイントを比較して選ぶとスムーズです。
利用方法に合った機能があるか
業務内容や利用方法に合わせて、必要な機能を選びましょう。たとえば、音声認識や自然言語処理などの高度な機能は、顧客との会話をスムーズにできる一方で、コストや導入の難易度も高くなります。
また、データベースや外部システムとの連携機能で、情報の取得や操作の実行を自動化する際にはセキュリティや互換性などの問題にも注意する必要があります。
自社サービスの傾向や顧客ニーズを踏まえて、必要な機能の洗い出しをしてから選ぶといいでしょう。
ガイダンス(音声)の用意はあるか
IVRを選ぶときには、ガイダンス(音声)の用意があるかどうかも重要なポイントです。ガイダンスは、顧客に対して流す音声や音楽のことで、IVRの印象や効果を大きく左右します。
ガイダンスは、事前にプロのナレーターや声優などに依頼して、録音した音声を利用する方法や、事前に用意したテキストを、音声に変換する方法があります。テキスト音声変換は、変更や追加が容易で、多言語に対応できるメリットはあるものの、音声の質や感情が劣る場合もあります。
ガイダンスの用意があらかじめされているものであれば、導入後もスムーズです。
分析機能は充実しているか
IVRを選ぶときには、分析機能が充実しているかどうかも重要なポイントです。分析機能とは、IVRの利用状況や効果を測定する機能のことです。
通話記録は顧客の傾向やニーズを把握するのに、音声録音は顧客の声や感情を分析するのに役立ちます。
さらにレポート機能では、IVRの利用状況や効果をグラフや表などで可視化できるため、IVRの改善や最適化のために役立つでしょう。
同時通話できる数
IVRを選ぶときには、同時通話できる数も重要なポイントです。同時通話できる数とは、IVRが同時に対応できる電話の数のことで、次のような要素に影響されます。
- 電話回線の数
- IVRサーバーの性能
- ガイダンスの長さ
電話回線の数が多ければ多いほど、同時通話できる数が増えます。電話回線の数は、自社で設置する場合と、クラウドサービスとして利用する場合で異なるのが特徴です。
IVRサーバーの性能は高ければ高いほど、同時通話できる数が増えます。IVRサーバーの性能は、CPUやメモリ、ネットワークなどのスペックによって決まります。
また、ガイダンスの長さが短ければ短いほど、同時通話できる数が増えるのもポイントです。ガイダンスの長さは、顧客の応答時間や電話の目的によって変わります。
導入形態
IVRを選ぶときには、導入形態も重要なポイントです。IVRシステムは主にハードウェア型とクラウド型の2種類があります。
ハードウェア型は自社でIVRサーバーを設置し、運用する方法で、カスタマイズ性やセキュリティレベルに優れている点がメリットです。一方、デメリットとしては、初期費用や運用費用が高く、メンテナンスや更新を要することが挙げられます。
クラウド型はインターネット経由でIVRサービスを利用する方法です。クラウド型のメリットは、初期費用や運用費用が低く、メンテナンスや更新が不要なことです。デメリットとしては、カスタマイズ性やセキュリティレベルはハードウェア型より劣ります。
予算や目的に合わせて自社に合うタイプはどちらかを検討しましょう。
おすすめのIVR(自動音声応答システム)
次の記事では、口コミ評判で人気のIVR(自動音声応答システム)を多く紹介しています。IVR(自動音声応答システム)を比較検討したい方は、ぜひ参考にしてください。
IVRの導入で顧客満足度と業務効率を向上
IVRとは、電話の自動音声応答システムのことで、予約受付や問い合わせ対応などの用途で活用できます。IVRを導入することで、コスト削減や24時間対応、業務効率化などのメリットが得られます。
IVRを選ぶときには、利用方法に合った機能やガイダンス、分析機能、同時通話できる数、導入形態などの比較ポイントを考慮すると良いでしょう。