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債権管理とは?目的やフロー、直面しやすい課題

最終更新日:(記事の情報は現在から292日前のものです)
取引に関わる販売代金の回収管理を中心とする債権管理は、取引先の与信管理と併せ、企業にとって非常に大切な業務です。経理と営業から独立したシステムによる正しい債権管理を実現するため、その概要や仕組みを説明します。

債権管理は経理や財務の仕事だと思う方もいるかと思いますが、債権管理とは単に販売した後の債権回収だけでなく販売する前の管理も含まれるので、営業担当の人にも関わりがあります。本記事では、債権管理の具体的な業務について説明します。

さらに具体的なサービスを知りたい方は下の記事を参考にしてください。

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債権管理とは

債権管理とは、文字どおり債権を管理する経理業務のことです。企業間の取引の場合、商品やサービスの納入と引き換えにその場で現金で支払うことはほとんどなく、一定の期間を経て後払い決済となります。

したがって各販売ごとに、「いつ・いくら」回収するかの債権管理が必要です。また債権管理は代金を回収するだけではなく、債権が発生するまでのプロセスを含む、さまざまな業務の管理を含みます。

なお、債権は顧客と支払い期日の両方の側面から管理する必要があります。通常、債権が回収されるとサイクルが終結しますが、債権が回収できなかった場合や一部しか回収できなかった場合の処置も管理しなければなりません。

そもそも債権とは?
商品やサービスを販売する活動には販売代金の回収が伴います。債権とは、商品やサービスを客先である相手方に渡した時点から発生する、代金を受領・回収する権利のことで、回収する代金は会計上では売掛金と呼ばれます。

債権管理と債務管理の違い

債権管理と似た言葉に「債務管理」があります。両者の最大の違いは、主語となる人が売主か買主かという点です。

債権管理とは、商品やサービスを提供する「売主」が、期日どおりに債権を回収するための管理を指します。反対に債務管理とは、商品サービスを購入した「買主」が、みずからが支払うべき買掛金を管理することをいいます。

債権管理の必要性

そもそも事業では、商品やサービスをより多く販売し、売上をあげることが重要です。しかし、売上をあげるためには、顧客から商品代金を回収しなければなりません。債権管理を行わずに売ることだけを考えると、次のような問題が発生するでしょう。

  • 売ることを優先して代金回収のことを考えない
  • 期日までに回収ができずコストだけが膨らむ
  • 会社のキャッシュフローが悪化し、経営に悪影響を及ぼす

債権管理は、このようなリスクを軽減する役割を果たします。商品の代金を回収し、自社のキャッシュフローを健全に回すためにも、債権の管理が必要です。

債権管理の目的

債権管理の最大の目的は、債権を回収することです。もう少し解像度を上げると、次の3つの目的があげられます。

債権の入金タイミングや金額を把握するため

債権管理を行うことで、入金されるタイミングや金額を把握できます。「債権を持っている=商品サービスを売ったのに支払われていない状態」です。債権管理を行わないと、キャッシュフローの悪化にもつながりかねません。企業の経営自体が不安定になるリスクがあるため、正確な債権管理は必要不可欠といえます。

債権を期日どおりに回収するため

売掛金や貸付金といった債権には、期日が設けられています。企業規模が大きくなり取引先が増えると、債権の期日を把握するのも難しくなるでしょう。債権の状況を表にまとめる、ツールで一元管理するなど適切な債権管理によって、期日どおりに債権を回収することが大切です。

債権の時効消滅を防ぐため

債権には時効が存在します。時効は、債権者が権利を行使できるときから10年、または権利を行使できると知ったときから5年です。これの期間を超えた場合、時効とみなされ、債権を回収できなくなります。時効消滅を防ぐためにも、正確な債権管理は重要です。

債権管理の基本フロー

債権管理に含まれる業務の基本的な一連の流れは、次のようになります。

Step.1 取引先の実在性や社会的評価をチェックする

いきなり取引を始めるのでなく、まずは取引先の実在性や社会的評価をチェックしましょう。たとえば次の項目です。

  • 企業が実在しているのか
  • 反社会的勢力ではないか
  • 過去に不祥事が起こっていないか
  • 当該企業の社会的評価はどうか

これらの項目を、インターネットや新聞社のビジネスデータベースを参考に調査しましょう。可能性は低いかもしれませんが、もし反社会勢力だった場合、金融機関から融資を拒否されたり、自社の社会的評価が低下したりといったリスクがあります。安全に取引を行うためにも、慎重にチェックを行いましょう。

Step.2 与信管理を行う

信用調査会社が提供するデータを調べたり、自社独自で調査したりして、取引先に支払い能力があるかをチェックします。いわば与信管理です。チェックの結果、正常に取引ができると判断した場合、いくらまで取引を行うかの限度額を定めましょう。

限度額の設定金額は、企業のキャッシュフローや経営状況、意向によって異なります。自社にとってのリスクヘッジの意味もあるため、慎重に設定することが大切です。売上アップを狙って限度額を大きく上げるのはリスクがあるため、多角的に考えながら、自社にとって最適な金額に設定しましょう。

Step.3 契約書を作成・交付する

与信チェックが完了したら、契約書の作成・交付に移りましょう。契約書には決済条件や責任の所在、トラブルが起こった場合の解決方法などを記載します。契約書は、万が一お金のやり取りで取引先とトラブルになり、裁判に発展した場合の法的な証拠になるため、慎重に作成しましょう。

Step.4 売上伝票や請求書により経理計上する

商品やサービスを納入した時点で発生する債権を経理計上する業務を行います。主な作成書類は売上伝票と請求書です。請求書では、月初3営業日までに届かないと月内の支払いができない企業も少なくありません。取引先にも支払いフローがあるので、余裕をもって請求書を作成し、送付することが大切です。

Step.5 債権管理表で状況を可視化する

多くの債権を抱えている場合、債権管理表の作成によって状況を可視化しましょう。債権は売掛金とも呼ぶため、「売掛回収管理表」「未払金管理表」「売掛年齢表」として管理している企業もあるでしょう。

記載項目としては次のものがあげられます。

  • 顧客名や顧客番号
  • 債権の発生日
  • 債権の金額
  • 債権の回収期日
  • 債権が実際に回収された日
  • 繰越された金額

上場企業の場合、会計監査にて債権管理表の提出を求められる場合があります。キャッシュフローの把握だけでなく、監査をクリアするためにも、日ごろから細かく経理を行うことが大切です。

Step.6 入金処理・債権の消しこみをする

債権を回収できたら入金処理と消しこみを行います。消しこみとは、債権を入金確認ができた代金として消していく作業のことです。ただし、債権が増えると「消しこみの漏れ」が起こりやすくなります。消しこみのミスは取引先との信用問題にもつながりかねないため、正確に行うことが大切です。

万が一支払いの遅延が発生した際は、取引先に支払いに応じてもらうよう話し合いをしましょう。もし話し合いでも相手が応じない場合は、書面や訪問によって督促をします。それでも応じなければ、裁判手続きを検討しましょう。

債権消しこみが可能なクラウドサービス「V-ONE クラウド」

Step.4で紹介した入金処理・債権の消しこみができるクラウドサービスを紹介します。入金処理・消込債権管理業務に特化した、国内でも数少ないサービスなのでぜひチェックしてみてください。

債権管理業務で直面しやすい課題

債権管理業務で企業が直面しやすい課題として次のものがあげられます。

フローが複雑なので漏れが発生しやすい

債権管理業務では、与信や販売契約の確認、経理処理、債権の消し込みなどさまざまな作業が発生します。フローが複雑なことから、記録や消し込みのミスとったヒューマンエラーが起こりやすいです。

債権管理が漏れることで、場合によっては取引先との関係が悪化する可能性もあります。債権管理の精度を高めるためにも、今いちど管理体制を見直す、債権管理表を作る、ツールを利用するなどの工夫が必要でしょう。

複数拠点がある場合の管理が難しい

複数の拠点がある場合、拠点ごとに債権管理を行うことが多いでしょう。しかし拠点ごとに管理しても、最終的な集計をするのは本社です。本社が再度情報を精査する必要があり、手間がかかります。

拠点によって管理ルールが異なるケースもあり、その場合さらに全体管理が難しいでしょう。複数拠点のある企業は「各拠点」と「本社」で、債権を一元管理できる仕組みを整えましょう。

与信管理とは 

与信とは、端的にいうと「取引相手に信用を与えること」です。商品やサービスの納入と引き換えの支払いではなく、相手を信用して後払い条件を提供するといった例があげられます。

与信とは客先に対して信用を供与することですが、与信により自社が不払いのリスクを負担することになるので、リスク管理において与信管理の徹底は重要です。

海外と取引している場合は、海外の客先が合法的な活動をしているかどうかを株主構成や所有不動産などから調べることも与信管理業務に含まれます。与信管理にあたっては、次のポイントが重要となります。

Point.1 与信基準を設定する

まず、客先の格付けによりどこまで与信を出してよいかの与信基準や、担保を取る、不払い保険をかけるといった条件を設定します。

Point.2 顧客ごとに分析をする

客先の財務状況や支払いパフォーマンスを分析し、いくらまで、またどのくらいの期間まで与信を与えられるかの枠を客先ごとに設定します。

分析にあたっては次の方法があげられます。

  • 客先の財務諸表を入手する
  • 信用調査機関のレポートを利用する
  • 営業訪問時のヒアリングによる情報を参考にする

与信限度額は客先によって異なるため、取引先を1社ずつ丁寧にリサーチすることが大切です。

Point.3 営業と連携する

設定した枠を超えて販売しないように、営業と連携することが必要です。そのためには、客先への販売状況と与信枠の情報を営業と共有する必要があります。

Point.4 定期歴に枠を見直す

設定した枠を、客先の財務状況や支払い実績により定期的に見直すことも重要です。客先の財務状況が悪くなってきたら、リスク軽減のため与信枠を減らす必要があります。また財務状況が良くなっている場合は、与信枠を増やすことで販売量も増やせます。

Point.5 社内承認ルートを設定する

与信枠の設定は、営業のみではなく客観的な視点での判断が必要です。申請は販売見込みをベースに営業があげる必要がありますが、与信を審査して承認する部門と、最終的な経営者による承認と、適切な承認ルートを設定しておく必要もあります。

正しい債権管理で会社の財務を健全に

債権管理は、営業が安易に与信を与えて回収不能に陥らないようにし、また期日どおりに回収できていない債権に対する警告を発するなど、営業や経理とは独立した機能とするべきものです。営業や経理の本来の業務とは別のシステムを構築し、会社の健全な財務体制の強化に役立てることが必要です。

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