在宅医療とは?システム・メリットとデメリットを解説
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在宅医療とは
在宅医療とは、病院に入院することなく、自宅にいながら行う医療のことです。これは通院が困難な患者や、容態により自宅での療養を望む場合に行われます。
しかし、広い意味では病院外で行われるすべての医療行為を在宅医療とも呼ぶため、老人施設での医療もこれに含まれます。
本記事では、在宅医療が推進されている理由について解説し、在宅医療のメリットとデメリットを紹介します。
在宅医療の背景
なぜ在宅医療を行う必要があるのでしょうか。それは、厚生労働省が発表した「在宅医療・介護の推進について」の資料によると、国民の約60%が自宅での療養を望んでおり、安心して自分らしい生活をしたいと考えているからです。
厚生労働省としては、「できる限り、住み慣れた地域で必要な医療・介護サービスを受けつつ、安心して自分らしい生活を実現できる社会を目指す」ことによって、在宅医療の必要性を高めていく流れがあります。
在宅医療の役割
在宅医療自体はこれまでも一般的でしたが、今後はもっと増えることが予想されています。
その理由は、現在の深刻な少子高齢化に伴い、2025年には75歳以上の高齢者が2,000万人を超える見込みになっていることから、今後医療現場での人材が不足し、在宅医療にせざるを得ない状況になる可能性が高いからです。
今後医療を受けられる場が減り、診療できる医師が減っていくため、今後も医療を続けるためには在宅医療が必要不可欠になります。
在宅医療の内容
ここでは、在宅医療の主な内容について5つ紹介します。
呼吸補助療法
呼吸補助療法は、空気よりも高濃度の酸素を吸入させる在宅酸素療法や在宅人工呼吸療法などがあります。これは体内に十分な酸素を供給するための医療であり、低酸素血症を防ぐためなどに行われます。
栄養補助療法
栄養補助療法は、いわゆる点滴注射のことでパックなどに入れた薬剤を点滴を介して一滴ずつ投与する方法で、在宅中心静脈栄養療法、成分栄養経管栄養法をいう方法があります。
この方法は、持続的に薬剤を投与することができるので、安定して薬の作用を維持することができます。
排泄補助療法
排泄補助療法は、尿道にカテーテルを通して導尿する在宅自己導尿療法や持続導尿のことで、ここには人工肛門なども含まれます。主に排泄関連の療法であるため、医師や看護師以外には患者本人や医師の十分な指導を受けた患者の家族のみしか行うことができません。
在宅注射療法
在宅注射療法は、インスリン注射によって血糖値を恒常維持させたり、床ずれなどで体が擦れてしまった患者などにモルヒネを投与することで、痛みに関する感覚を麻痺させる療法です。
補助腎臓療法
補助腎臓療法は、腎臓の機能を人工的に代替する人工透析のことです。2017年末の段階で日本には約32万人を超える患者が人口透析を必要としているため、今後さらに患者が増えていくことを予想すると、在宅医療による人工透析が増えていくでしょう。
在宅医療が推進される理由
ここでは、在宅医療が推進される理由として考えられることについて解説します。
住み慣れた自宅で療養したいという患者の想い
治療が末期になってきて、患者が最期を意識するようになると、残りの時間を病院ではなく、住み慣れた自宅で療養したいと思うようになります。
そのため、在宅医療を行うことによって、患者が残りの時間を自分の望む場所で過ごせるようになり、治療に対しても前向きに取り組めるきっかけづくりにもつながります。
一緒にいる時間を確保したいという家族の想い
病院ではなく自宅で療養することによって、家族との時間を増やすことができるようになります。在宅医療では、一緒にいる時間を確保したいという家族の想いを実現することができ、病院のように時間を気にせずに患者との時間を過ごすことができます。
医療機関不足と人材不足
現在少子高齢化に伴い、医療機関不足と人材不足の問題が年々深刻化しています。このままのペースで少子高齢化が進めば、医療機関だけでは患者への対応ができなくなるため、在宅医療のシステムを整えていく必要があります。
また、人材不足にともない介護ロボットが導入され始めています。介護ロボットについては以下の記事で解説しているのでぜひご覧ください。
在宅医療のメリット・デメリット
ここでは、在宅医療のメリットとデメリットについて解説します。
在宅医療のメリット
在宅医療のメリットは、患者と家族にとって、住み慣れた環境で療養することにより、普段の生活に近い状態で療養できることです。治療環境だけみれば自宅よりも病院の方が整っていますが、ずっと病院にいることによって気が滅入ってしまうので、在宅で療養することで治療に対して前向きな姿勢で取り組めるようになるメリットがあります。
在宅医療のデメリット
病院での入院治療であれば看護師がケアを行ってくれますが、在宅療養の場合には家族がケアを行わなければいけないので、家族への負担が大きくなります。慣れていない状態で、毎日患者のケアを行うことは容易ではないので、受け入れる家族としても準備が必要です。
在宅医療の推進を地域自治体が協力している事例
在宅医療の推進を地域自治体が協力している事例について解説します。
栃木県の事例
栃木県では、栃木県在宅医療推進協議会を開催し、県民の方々が住み慣れた場所で医療を受けながら暮らすことができる在宅医療提供体制の構築を目指しています。
県のホームページには、各在宅医療圏の在宅医療関係機関も紹介されており、県として在宅医療をすすめています。
神奈川県川崎市の事例
神奈川県川崎市では、川崎市医師会、川崎市病院協会などのさまざまな団体の代表が集まり、定期的に川崎市在宅療養推進協議会の開催をしています。
また、在宅療養患者とその家族を支えるための人材育成として、在宅医療に関する研修なども開催しています。
東京都武蔵野市の事例
東京都武蔵野市では、在宅医療・介護連携推進協議会を設置し、地域の関係者相互間の在宅医療および介護に対する理解を深める取り組みを行っています。
実際に平成29年に行われたこの協議会では、市民や医療・介護関係者173名が集まり、前向きな取り組みとして進められています。
在宅医療の普及は今後の日本の少子高齢化の課題
現在ではまだまだ在宅医療のデメリットをカバーしきれるほどの制度はありませんが、今後少子高齢化に伴い、間違いなく人材不足になっていくので、在宅医療の必要性はどんどん上がっていきます。
そのため、今後はどのようにして在宅医療を普及し、日本の高齢化問題に立ち向かっていくのかが課題です。
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