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AIを活用した人事評価システム6選!AI評価によるメリット・デメリット・注意点

最終更新日:(記事の情報は現在から381日前のものです)
HR Techの発展・浸透により、さまざまな企業がAIを活用した人事評価やシステムの導入に取り組もうとしています。AIを活用した人事評価のメリットやデメリット、注意点、おすすめのAI人事評価システムを紹介します。

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人事業務へのHR Techの活用

人事業務にITを活用して業務を効率化し、発展させるHR Techが注目を集めています。HR Techを支える技術にはさまざまな種類がありますが、とくに注目されているのがAIに関する技術です。

AIとは人工知能(Artificial Intelligence)のことを指し、人間が行ってきた知的作業の代替として期待されています。すでに一部の人事評価システムにおいても、AIを導入したサービスがリリースされており、今後も人事業務におけるさまざまな場面で活用が進んでいくと考えられます。

AIによる人事評価業務へのメリット

現在予想されている、AIを人事領域へ導入した際の活用方法としては次の5つが想定できます。

  • モチベーションを可視化できる
  • 客観的なデータから公正な評価を実現できる
  • ハイパフォーマンス社員の共通点を分析できる
  • 業務効率の向上
  • 評価項目を多角化しやすい

それぞれについて詳しく説明します。

モチベーションを可視化できる

スキルや業務経験は一定程度可視化できますが、それらと同様に重要ながら測定が困難なのが従業員のモチベーションです。モチベーションの高い従業員の方が高い成果を出しやすく、低い従業員はパフォーマンスが悪くなりがちで、最悪そのまま離職してしまう可能性もあります。

一方でAIが人間のモチベーションを計測・管理する技術は「Attuned」と呼ばれ、すでに研究・実用化が始まっています。

この技術が進歩すれば、いずれはモチベーションを客観的に計測して可視化できるようになり、人事施策に活かせる仕組みが構築できるかもしれません。

客観的なデータから公正な評価を実現できる

AIには人事評価のブレをなくす効果も期待されます。人間が行う人事評価の最大の欠点が、評価者によって評価基準が異なる点です。もちろん、このブレが大きくなればなるほど実際の能力や、会社への貢献と制度上の評価は乖離してしまうので、会社としても正しい意思決定ができなくなります。

こうしたブレを排除するためにさまざまな手法が開発・提唱されており、この中の有力な解決策の一つがAIを活用した人事評価のブレ補正です。

AIが大量の人事評価データを分析して、評価者ごとの癖を見抜き、バイアスを計測することによって人事評価のブレを少なくする効果が期待できます。

ハイパフォーマンス社員の共通点を分析できる

ハイパフォーマーの行動特性を分析して、そういった人材になることを促すように構築された評価制度はコンピテンシー評価と呼ばれ、現在では多くの企業で導入されています。コンピテンシー評価を構築するための前提となる、ハイパフォーマーの発見・分析の工程においてもAIの活用が可能です。

人間がさまざまな情報を見ながらハイパフィーマーの特徴を発見しようとすると、書類のチェックだけでも膨大な時間がかかります。また判断する人間のバイアスによって、分析結果が変化する可能性もあるでしょう。

一方で、AIを活用したシステムの方が大量のデータを効率的に処理でき、人間のようにバイアスがかかる心配も少なく、思わぬ行動特性を発見できる可能性があります。

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業務効率の向上

AIを活用した人事評価システムは、作業負担を軽減できるため、業務効率の向上にも期待できます。人事評価にかかる業務は評価シートの配布・回収、催促、データの集計・分析、評価シートの見直しなど多岐にわたります。

従業員数が多ければ負担も増えやすく、部署やチームごとに評価シートがある場合はさらに大きな負担がかかるでしょう。しかしAIを活用した人事システムは、通常の人事システム以上に業務を自動化できるため、大幅に作業時間を減らせます。

また評価項目の見直しといった単純ではない作業もAIはこなせるため、業務全体で効率化が図れるでしょう。

評価項目を多角化しやすい

職種・業務ごとの人事評価シートの作成といった、評価項目の多角化もAI人事評価システムであれば比較的簡単に行えます。企業では職種や業務ごとに評価すべきポイントが異なるため、社内で統一された人事評価シートを使っていては、適正な評価が行えない可能性もあるでしょう。

しかし職種・業務ごとに人事評価シートを作成すると、集計や評価の仕方も複雑になり作業者の負担が増加します。一方でAIを活用した人事評価システムであれば、こういった複雑な集計や分析もすべて自動で処理できるため、評価項目を多角化しやすく、より適正な評価を行えるようになるでしょう。

AIを人事評価業務に導入するデメリット

AIの導入にはもちろんデメリットも存在します。主なデメリットは次のとおりです。

  • 評価の過程がブラックボックス化しやすい
  • 評価者がAIに依存しやすい

それぞれについて詳しく説明します。

評価の過程がブラックボックス化しやすい

AIによる人事評価は過程や評価をつけた理由などがブラックボックス化しやすく、従業員が評価の内容に不満を感じる可能性があります。AIは多くの情報を学習して分析・見える化させますが、なぜそういった評価を下したかは、AI自身にしかわかりません。

従業員としては過程や理由が不透明であれば、いかに公平な理由があったとしても評価に納得しづらいでしょう。そのため、人間側でAIが下した評価の根拠や理由を推測し、従業員が納得できるようサポートする必要があります。

評価者がAIに依存しやすい

人事評価をAIばかりに任せてしまうと、評価者がみずから評価せずにAIに依存する可能性もあります。AIに依存すると、AIが出した結論に疑問を抱かなくなる危険性があり、人事評価業務に対する責任感も薄れてしまうでしょう。

また人事評価の結論から、従業員へのフィードバックやアドバイスを行うことも業務の一つですが、AIに頼っていると適正なフィードバック・アドバイスもできません。AIを活用した人事評価は、あくまで意思決定のサポートとして使うことが重要です。

人事評価にAIを活用する際の注意点

前述したように、AIの活用にはデメリットも存在するため、人事評価に導入する際には次の点に注意が必要です。

  • 最終的な意思決定は人間が行う
  • 従業員へは事前に周知徹底する
  • 無料トライアルや少額プランの活用

それぞれについて詳しく説明します。

最終的な意思決定は人間が行う

前述したように、AIはあくまで意思決定の支援ツールであり、最終的な意思決定は人間が行いましょう。AIにも欠点はあり、判断ミスを起こす可能性もあります。そのため評価者はAIだけに頼らず自分でも対象者の勤務状況を調査し、AIの結果と照らし合わせて最終的な判断を下してください。

AIの結果を常に疑うことで、AIによる判断ミスが防止できます。また結果を対象者に伝えるときは、AIの結果ではなく評価者が下した結果だと伝えることで、信頼関係が構築可能です。

従業員へは事前に周知徹底する

AIを導入する場合は、従業員からの不満や反発を未然に防止するため、説明会やオリエンテーションを開くなど周知徹底を行いましょう。AIが何を基準として人事評価を行うのか、また従業員に対してどのようなメリットがあるかなどを丁寧に説明してください。

周知徹底を行う中で従業員の不満が出るようであれば、再度制度や評価基準の見直しを検討しましょう。

無料トライアルや少額プランの活用

AIを活用した人事システムは、前述したように従業員の不満が出る可能性もあり、慎重に導入を検討する必要があるため、まずは無料トライアルや少額プランを活用しましょう。人事評価システムは会社全体で利用するため、はじめからフルで導入すると高額な費用がかかります。

また本当にAIを活用すべきなのか、システムが本当に自社に合っているかは、実際にシステムを操作しなければわからないこともあります。そのため、無料トライアルがあれば利用し、ないようであれば少額プランからスモールスタートではじめ、問題ないと判断できてから本格的な導入を行いましょう。

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AIを活用した人事評価システム7選

AIを活用した人事評価システムの開発は進んでおり、すでにいくつかのシステムではAIが搭載されています。AIが搭載された人事評価システムの紹介および、どのような機能でAIが活用されているのかについて解説します。

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  • 評価者モニタリング機能や目標添削機能などにAIを搭載
  • さまざまな評価制度・シートに柔軟に対応
  • 評価制度構築、運用支援もサポート

あしたのクラウドHRは評価者モニタリング機能や、目標添削機能などにAIを活用した人事評価システムです。評価者モニタリング機能とは、目標設定や評価が正しく行えているのかを5つの項目から判断する機能です。目標添削機能はより具体的な目標をするために、自動で添削してくれます。

その他にも1on1支援、甘辛分析、目標設定・管理機能、360度評価などさまざまな機能が搭載されておりタレントマネジメントにも対応しています。

Qasee - Qasee株式会社

  • 人事評価に必要な指標を見える化
  • AIが業務状況をレコメンド
  • 社内の業務状況を簡単に分析

Qaseeは人事評価の前提となる各自の業務上状況を可視化、各従業員のストレスチェック、業務負荷チェック、個人レポートなどを行うツールです。AIが業務状況をレコメンドしれくれるのでシステムを通じて業務改善にも取り組めます。

分析機能も豊富で、アプリケーションごとの生産性の違いや、紙の印刷といったアナログオペレーションなど社内の業務状況が簡単に分析可能です。個人だけではなくチームの生産性の管理にも活用でき、人事評価、生産性向上の両方の観点から役に立ちます。

POSITIVE

  • グローバル・グループ経営企業の経営に役立つ人事システム
  • AIが最適な人材配置を提案してくれる
  • 人事情報、タレントマネジメント機能あり

POSITIVE人事は人事管理、給与管理、就業管理、タレントマネジメント機能など搭載されている統合型の人事システムです。人事評価やタレントマネジメントのデータをもとに、AIが最適な人材配置を提案してくれます。

とくにグループ企業やグローバルで事業を行っている企業向けの人事システムで、会社や部署、国をまたいでの人事管理を行う際に導入を検討したいシステムの一つです。

SUZAKU

  • 組織心理学×AIが人事に関する問題を可視化
  • 人事領域でAIテーマごとに提案
  • 実績のあるアセスメント・サーベイを搭載

SUZAKUは、組織心理学×AIで人事問題を可視化することをコンセプトにした、人事評価システムです。入力されたデータをもとに適材配置や育成支援、リテンションマネジメント、採用マッチングのテーマに関してAIが提案してくれます。行動科学・組織心理学にもとづき開発された、豊富な利用実績のあるアセスメント・サーベイを搭載しているので、提案の精度についても一定程度は担保されていると考えられます。

HR君haichi

  • AIをフル活用したクラウド型人事支援サービス
  • 働き手一人ひとりの生産性向上にもフォーカス
  • 直感的に使用できるインターフェース

HR君はAIをフル活用したクラウド型人事支援サービスです。AIが人材発掘・育成サポートをするHR君DIA、人材の最適配置を提案するHR君haichi、従業員一人ひとりについて健康状態や業務効率向上、エンゲージメント向上などをAIがサポートするHRパーソナルアシスタント、採用の合否予測やハイパフォーマー、退職者の予測分析などを行うHR君アナリティクスの4つの機能があります。

AIを使ったシステムですが、簡単に使用できるようにインターフェースは工夫されています。

AI人事4.0

  • 成果主義人事制度導入をサポートするためのシステム
  • AI×クラウドにより運用の手間を削減
  • 能力のプロファイルとeラーニングコンテンツが連動

AI人事4.0は成果主義人事制度の導入・運用サポートに特化した人事評価システムです。仕事で使う能力を細分化し、各要素を評価することにより簡単に自己評価・他者評価を行えます。

またAI人事4.0は、自己評価・他者評価の結果をもとにキャリア目標を設定し、目標と実績の差分を可視化可能です。必要な能力・スキルを身につけるために必要な、eラーニングコンテンツも提供してくれます。

その他の人事評価システムはこちらの記事を参考にしてください。

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人事業務におけるAIの活用事例

人事業務のさまざまな場面ですでにAIは活用されはじめています。「IBM」「防衛省」の2つの事例を通じて、現在AIはどのように人事業務に利用されているのか解説します。

IBM

IBMは人工知能に関わる研究に力を入れており、IBMの人工知能「Watson」はAIの中でも最も有名なものの一つです。このIBMは、人工知能を全世界に先駆けて人事に活用した企業としても知られています。

IBMでは求職者の募集や採用、学習、報酬、キャリア管理などほぼすべての人事業務にAIを適用して業務の効率化を図りました。人事評価においてもいくつかの領域にAIを活用しています。

たとえば、IBMではマネージャーが従業員の人事評価・報酬を決定する際に、AIによるレコメンデーションを元に意思決定を行うのが特徴です。

AIは米国労働省労働統計局から得られる外部情報や、人事異動に要するコストといった社内データなどいくつものデータをもとに、マネージャーが意思決定をするための資料を作成します。そして、マネージャーの決定をもとにAIはさらに人事評価の方法について学習して、よりマネージャーの判断に近い正確な意思決定ができるように進化するのです。

この他にも従業員の保有しているスキルを推測したり、採用の際の人事評価に活用したりとさまざまな場面でAIが活躍しています。

出典:THINK Business「AIを人事業務に活用し、『ダイヤの原石』を見つける」

防衛省

保守的だと思われがちな公官庁でもAIを活用した人事評価、人事異動に挑戦する動きがあります。防衛庁では2020年に人工知能を活用した人事評価、人事異動に関するシステムを導入するために2億7000万円の予算を計上しています。

AIのレコメンドを元に最終的な判断は人間が行うことになりますが、全自衛官の6分の1にあたる約4万人の幹部自衛官が対象になるとのことです。

他国ではすでにAIを軍隊の人事に取り入れている事例もあります。たとえば韓国軍では2019年からAIを活用した面接の導入を発表、志願者の表情や音声、心拍数などのデータをもとに人材の評価に取り組んでいます。

出典:財経新聞 「防衛省、AI人事の導入を目指す」

人事の仕事はAIによって将来的になくなる?

AIの進歩や業務への活用によって危惧されるのが、人事業務の将来性です。AIは人間の脳が処理するよりも大量のデータを短期間で処理して答えを出すので、人事としての経験やノウハウが陳腐化されることが予想されます。

ただし、AIが進歩し、さまざまな意思決定に活用できるようになったとしても、人事の仕事は一定程度残ると考えられます。

AI活用で新たに浮かび上がる課題

AI技術により、将来的には多くの人事業務がAIで行われる未来が予想されるとしても、少なくとも現段階ではそこまで技術は進歩していません。

たとえば、通販大手のAmazonでは人材採用に活用したAIシステムが、女性差別を助長しているとして運用停止に追い込まれました。またアメリカの人事システム大手「Workday」では、AIを活用した人材採用ツールが黒人や障がい者、40歳以上といった属性をもつ応募者を不当に差別しているとして、訴訟問題にまで発展しています。

世界に先駆けてAIによる人事評価や賃金決定を行いはじめたIBMでも、日本では人事評価の過程がブラックボックス化していることが指摘されています。結果AIによる人事評価や賃金決定は労働組合から反発され、東京都労働委員会が介入する事態となりました。

このようにAIが人間にとって必ずしも納得性の高い評価をしてくれるとは限らず、判断過程を透明化しなければ実際に被評価者から強い反発が起こります。

人間にしかできない人事領域の仕事も

「ハイパフォーマンス」「離職しそう」などの一定のテーマで人材の共通点を探したり、大量の人事データを瞬時に処理したりするのは人間よりもAIの方が得意で、今後も差は大きく開いていくと考えられるでしょう。

一方で、AIだけで人事評価を行うと、前述したように評価がブラックボックス化して納得性がなくなります。

よって、人事領域においてもAIが出す結果に納得性をもたせるために、被評価者と評価者の間を取りもち、必要な研修やオリエンテーションの遂行が必要です。

このようにAIがどれだけ進化したとしても、人間だからこそ効果の高い人事業務も一定程度残り続けるため、人間の人事部社員は必要だと考えられています。

AIと人間の協働が人事領域においても求められる

「AIか人間か」の対立構造で今後の人事業務を考えるのではなく、AIと人間が協働して組織力の強化や人材発掘、育成に取り組むことが今後の人事業務においては重要です。

人事評価の分析・管理はAIの得意領域で、ハイパフォーマンス人材を発掘することや、退職しそうな人材を発見してアラートを通知するといったことはAIが行ってくれます。しかし実際にハイパフォーマンス人材になるような施策を打ったり、退職しそうな人材を引き留めたりするのは人間でないとできません。

AIを活用することによって得られるさまざまなメリットを駆使して、強い組織をつくることが今後の人事部には求められるでしょう。

AIを人事評価へ上手に活用するために

技術の進歩により、人事評価の場面においても、AIを活用しなければならない日が到来すると考えられます。すでに多くの人事評価システムでAIの活用が始まっており、ハイパフォーマンス人材の発掘や社員のモチベーション推測、評価者ごとの評価ブレ補正など、さまざまな場面での活用が期待されます。

ただし、AIがさまざまな人事業務を効率化するといっても、まだまだ人間にしか対応できない人事業務も存在し続けるでしょう。人事とAIが協働して組織力強化に取り組むことで、AIを最大限に活用した人事評価が可能になるはずです。

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