CPQシステムおすすめ比較5選!選び方やツール導入のメリット
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CPQとは?
CPQとは「Configure Price Quote」の略称で、日本語ではそれぞれ「C=製品構成」「P=価格」「Q=見積もり」のことを指します。オーダーメイドやカスタマイズの自由度が高い、構成内容が複雑な商品の見積もりを作成する際に使用するシステムを指してCPQと呼びます。
複雑な見積もりは見積もりをとる営業や事務担当の感覚に依存していることが多く、会社として提出する見積もりが標準化できていないこともあるでしょう。見積もりスキルを資産にして、見積もり提出のリードタイムを削減するためにもCPQシステムの導入が求められます。
Configure(製品構成)
CPQのCに該当する「Configure」とは、見積もりを作成するにあたって、製品やサービスの構成を決めるステップのことです。
たとえば、パソコンや自動車などの顧客のオーダーによって細やかなカスタマイズが必要な製品の場合、オプションの組み合わせを考慮すると、注文バリエーションは膨大になります。
選択したオプションによって別のオプションが選べたり、選べなかったり、選択肢が分岐したりとオプション同士の関連性がある場合は、条件を覚えるのも大変で見積もりに手間がかかります。
Price(価格)
CPQのPに該当する「Price」とは、決定した製品構成をもとに価格設定を行うステップのことです。
価格設定に関しても、取引先ごとの製品価格設定、ボリュームディスカウントなどの要素で価格の計算が複雑になる可能性があります。
また、製品構成が複雑な場合は、オプションごとの価格やオプションの組み合わせによる割引によって、さらに価格決定が複雑になるケースもあるでしょう。
さらに、顧客の予算や営業の要望によって多少価格に変更を加えることも考えられます。
Quote(見積もり)
CPQのQに該当する「Quote」とは、見積もりを顧客に提示するステップのことです。算出した価格を文書化して顧客に提示できるようにします。
顧客は競合企業との相見積もりをするかもしれませんし、社内の稟議に見積書を使用するかもしれません。こうした相見積もりや稟議を想定したうえで、それに耐えうる見積もりの提示が必要です。
CPQシステムの選び方
CPQシステムを選ぶ際は、次の流れで確認しましょう。
- CPQシステムの導入目的を確認する
- CPQシステムの機能を確認する
- CPQシステムを導入する際の注意点を確認する
- CPQシステムの料金・価格相場を確認する
CPQシステムの導入目的を確認する
CPQシステムの導入を検討する際は、まず導入目的を明確にしましょう。主な導入目的は次のとおりです。
導入目的 | 詳細 |
---|---|
複雑な見積もりを早く作成したい | 見積もり提出までのリードタイムを短縮できる |
属人化している見積もりスキルを資産化したい | CPQシステム上で一連の見積もり作業を実施できるため属人化防止につながる |
CPQシステムの機能を確認する
CPQシステムでできること、利用できる機能は次のとおりです。上記の導入目的・課題をどのように解決できるか記載しているため、必要な機能を洗い出しましょう。
【基本的な機能】
機能 | 詳細 |
---|---|
構成管理 | 製品やサービスの構成をカスタマイズする機能 |
見積書・注文書の発行 | 顧客の要件や選択した構成、価格設定ルールにもとづいて、見積もりドキュメントを自動的に生成する機能 |
ワークフロー | 見積もりを受け入れてオーダーを処理する機能。顧客の承認後、見積もりをオーダーに変換し、注文処理のワークフローを管理できる |
価格の自動計算 | 製品構成や仕様にもとづいて価格をシミュレーションできる機能 |
【特定の課題・用途・業界に特化した機能】
機能 | 詳細 |
---|---|
CRMシステムとの連携 | 既存のCRMと連携して情報を反映し、見積もりまでのプロセスを効率化できる機能 |
3Dモデルの構築 | 3DCADと連携して、顧客が決定した製品仕様の3Dモデルを構築できる機能 |
機会予測 | 顧客・価格データを収集し、履歴をもとにAIを活用して今後の機会予測を行える機能 |
BOMの自動生成 | BOMと連携し、部品表データの自動生成や出力を行い、受注後の工程に流用できる機能 |
CADデータの出力 | CADシステムと連携して見積もりと同時に図面を出力し、即座に製品イメージの確認が可能になる機能 |
受注履歴管理 | システム上で過去の見積もりを履歴から確認できる機能 |
多言語・多通貨 | 多言語表示や多通貨での価格計算が可能な機能 |
営業効率をアップしたい場合はCRMとの連携機能、グローバルでビジネスを展開している場合は他言語・多通貨に対応したサービスがおすすめです。
CPQは商品・サービスの見積書を作成するためにツールなので、基本的な機能はどのシステムでも同じです。CPQがもっている代表的な機能を4つさらに詳しく紹介します。
見積もり機能
見積もり機能とは、製品構成や価格決定を行うための機能です。見積もりのアルゴリズムを整理して、CPQに設定することにより、見積もり作成者が悩まずに見積もり作成が行えます。
ただし、製品構成や価格は変化していくので、オプションや価格の変化に合わせてCPQの設定も更新する必要があります。
そのため、CPQシステムの見積もり機能はメンテナンスありきで使用するものだと考えるべきです。
ワークフロー機能
ワークフロー機能とは、作成した見積もりや値引きの申請などを上長や決裁担当者がチェック・承認するための機能を指します。
- どのような過程を経て作成した見積もりをクライアントに提出するか
- 割引をはじめイレギュラーな見積もりは誰の許可を得るべきか
といった内容は意思決定の仕組みによって異なるので、この仕組みを反映できるワークフロー機能のあるツールを導入しましょう。
書類作成機能
書類作成機能とは、商品構成や価格を決定して、実際に顧客に見積もりとして提示できるようにする機能です。システムによっては受注履歴管理機能もあり、過去の見積もりを履歴から確認、価格の調整や見積書の形式を確認できるケースもあります。
また、見積書に加えて、仕様書や販売規約など関連の書類が必要な場合はこれらの種類を保管、出力するために機能も求められます。
CRMとの連携機能
CPQシステムはCRMと連携できることが多いです。顧客ごとの見積書提示や受注履歴といったデータは、営業が営業方針を決めたり実際に営業に行ったりするときも必要です。また、これらのデータがシステムに入力されていれば、引継ぎの際もスムーズになるでしょう。
こうした理由からCRMとの連携機能をもつCPQシステムが多く、どのような連携をできるのかは確認しておきたいポイントです。
CPQシステムを導入する際の注意点を確認する
CPQシステムを導入する際、失敗しないために次の項目も確認しておきましょう。
確認事項 | 詳細 |
---|---|
既存システムとの連携方法 | 既存のCRMや会計ソフトなどと連携させた方が作業負担やミスの軽減につながります。よって、まずは社内のシステムでCPQに連携が必要だと考えられるシステムの洗い出しを行い、それと連携できるシステムを選んだ方がよいでしょう。 |
マスターのメンテナンス容易性 | オプションや価格の情報を登録しているマスターのメンテナンスが必要です。マスターのメンテナンス頻度が高そうな企業ならば、メンテナンスが簡単に行えそうなツールをデモやトライアルで確認して選びましょう。 |
運用オペレーションについて検討 | 誰がこのシステムを使うのか、システムを使いこなすためにどの程度教育をするのか検討が必要です。また、価格の割引時には承認ワークフロー機能が必要か否か、営業・経理とCPQの情報をどのように共有するのかなど、運用オペレーションについても導入前に検討しましょう。 |
サポート体制 | 障害やトラブルが発生した際の対応や、マスターの作成やメンテナンス方法についてのどのようなサポートを受けられるのか、受付時間も含めて確認しておきましょう。 |
多言語対応 | グローバル企業の場合は、多言語表記や他通貨に対応したサービスを選びましょう。 |
CPQシステムの料金・価格相場を確認する
CPQシステムの料金は、月額従量課金タイプか月額固定費用タイプで異なります。必要な機能と要件が搭載されているサービスの料金を確認しましょう。
月額従量課金タイプの場合、容量1ギガバイトごとに245〜円程度が相場です。一方で、月額固定費用タイプは9,000円から利用できるシステムが多いです。
CPQシステムおすすめ比較
これまで確認した内容を踏まえて、CPQのサービスを選びましょう。おすすめのCPQツールを特徴とともに紹介します。
Salesforce CPQ - 株式会社セールスフォース・ジャパン
- 月額9,000円と安価な導入が可能
- クリックだけで適切なSKUに到達できる
- 予測機能で見積もりをフォローアップ可能
Salesforce CPQは、株式会社セールスフォース・ジャパンが提供しているCPQシステムです。CRMとして圧倒的なシェアを誇っているSalesforceシリーズのCPQで、Salesforce Sales Cloudと連携させて簡単に見積書・提案書作成が行えます。
見積もりが遅れている案件に対してシステム側からリマインドをしてくれるので、見積もり遅れによる失注も防止できます。
Cincom CPQ - シンコム・システムズ・ジャパン株式会社
- 各社の見積もり手順に合わせて柔軟にカスタマイズ可能
- 主要なCRMシステムとの連携が可能
- BOM、3Dモデルなどの作成も自動化
Cincom CPQは、シンコム・システムズ・ジャパン株式会社が提供している統合型CPQソリューションです。MicrosoftDynamicsやSalesforceをはじめ主要なCRMシステムと連携可能で、カスタマイズの自由度も高いのが特徴です。
BOMや3Dモデルの自動生成機能もあるので、カスタマイズした仕様を即座に見積もりしてクライアントに提案し、迅速に受注・生産作業をすすめるといった営業の仕方も可能になります。
Oracle CPQ Cloud - 日本オラクル株式会社
- Infor LNやMicrosoftなどのERPと連携して注文管理ができる
- 直接販売/代理店販売/顧客自身見積もりのどのチャネルにも対応可能
- 製品マスターやルールをチャネル間で活用できる
Oracle CPQ Cloudは、日本オラクル株式会社が提供しているCPQツールです。同社が販売しているOracle Cloudはもちろん、Infor LN、MicrosoftなどのERPと連携できます。
製品・価格の基本情報からロジックまで、各種設定情報の更新がノーコードで対応可能なためマスターの更新が頻繁な場合でも対応可能です。販売見積もりを早期に共有し、より正確な販売予測を実現できます。
Infor CPQ - インフォアジャパン株式会社
- ガイドに従って操作すれば簡単に見積もりが作成可能
- 営業・設計・製造・サプライチェーンがコラボレーションできる機能を搭載
- 3Dモデルを自動で作成可能
Infor CPQは、インフォアジャパン株式会社が提供しているCPQシステムです。同社が開発しているInforはもちろん、SalesforceやMicrosoft Dynamics CRMにも連携できます。
見積もり情報をもとに、正確に製造情報へ変換できるので、受注や製造の流れもスムーズにできます。同社はCPQの他にも製造業向けにERPシステムも提供しており、組み合わせて利用することでさらなる業務効率化が期待できるでしょう。
Tacton - 株式会社エクサ
- 製造業に特化した次世代型CPQ
- Webサイトへの組み込みも可能
- ニーズを入力し仕様誘導するガイド営業機能
Tactonは、株式会社エクサが提供しているCPQシステムです。製造業に特化しており、工業製品や個別受注品などの製品構成、組み合わせルールが複雑な製品の見積もりも簡単に作成できます。
直販だけではなく、代理店の見積もりツールとしても活用でき、Webサイト内に組み込んで顧客自身に見積もりをとってもらうことも可能です。見積~設計の全体効率化を実現するプラットフォームとして、構成をもとに部品表やCADデータ、図面など、設計情報といった製造に必要なデータも出力できます。
CPQシステムを活用するメリット
CPQシステムを活用するメリットは次の3つです。CPQシステムを活用することにより、業務効率化、顧客満足度向上効果が期待できます。それぞれのメリットについて詳しく説明します。
- 見積もり提出までのリードタイム改善
- マス・カスタマイゼーション
- 見積もりスキルの資産化
見積もり提出までのリードタイム改善
CPQの見積もり機能やワークフロー機能を活用すれば、見積もりにおいて発生しがちな時間がかかる原因を排除でき、見積もり提出までのリードタイムを改善できることがメリットです。
さらに、手計算と違って計算上のミスも発生しないので、検算の必要もありません。
複雑な見積もりの場合、製品構成を決めるのはもちろん、それをもとに価格を決定する際にも手間がかかります。また、見積もりのチェックや割引の決定などによって決裁担当者の許可が必要な場合は、さらに見積もり提出までの時間が遅れるといった課題を解決できます。
マス・カスタマイゼーション
「マス・カスタマイゼーション」は大量生産と受注生産を両立した生産体制のことを指します。これらを両立させれば企業収益の向上が期待できるものの、実現は困難です。通常、顧客に要望に合わせてカスタマイズして受注生産すると、納期までに時間がかかるので大量生産は難しくなります。
そして、マス・カスタマイゼーションを実現する障害の1つが、見積もりに時間がかかることです。CPQを活用して見積もりのリードタイムを削減することは、マス・カスタマイゼーション実現のために必要なステップの1つです。
見積もりスキルの資産化
CPQシステムの導入は、見積もりスキルの資産化にもなります。
複雑なオプションの組み合わせや価格の変更がある場合、手計算が必要な場合は見積もり業務が一部の熟練者しかできない業務になる可能性があります。
こういった状態は、担当者の退職によって見積もり作業ができなくなったり、見積もりが集中した場合は担当者がボトルネックになったりして、営業・生産体制に支障をきたすこともあるでしょう。
こうした問題を防ぐためにはCPQシステムの導入が必要で、見積もりを誰もが行えるようになれば、見積もり作業がネックになる事態を防ぎ、共有知にできます。
CPQシステムを活用するデメリット
複雑な見積もり業務を効率化できる反面、CPQシステムにはいくつかのデメリットがあります。代表的なデメリットを2つ説明します。
見積もり手順の見直しが求められる
CPQシステムを導入するためには、見積もり手順に曖昧さを排除しなければなりません。すなわち、担当者A・担当者Bに同じ条件で見積書を作成させたときに、同じ提案内容、価格の見積書提出ができるようにする必要があります。
見積もり手順が曖昧な場合、そもそもオプションの組み合わせや価格について担当者ごとの判断がバラバラなケースもあります。こうしたばらつきを考慮したうえで、会社としての標準的な見積もり手順を設計しなければならないので、見積もりの仕方に曖昧さが多い企業は手順の見直し段階で苦戦するかもしれません。
LTV管理には対応しにくい
CPQシステムはあくまでも単体の取引に関する見積もりを作成するためのツールです。そのため、LTV(≒顧客との長期的な取引によって得られる利益)を想定した価格設定は、CPQシステムだけでは困難です。
将来的に利益が得られそうな取引先の初回取引は少し価格を下げる、ロットが小さすぎて収益の少ない案件については少し価格を上げる、といった微調整は人の手で行う必要があります。
CPQシステムを使う際も、CPQシステムだけですべて価格を決定するだけではなく、価格を調整できるように社内制度を構築しておくべきです。
CPQシステムで見積もり業務を標準化しよう
CPQシステムには、見積もり業務の効率化、スキルの資産化といったメリットがあり、見積もりの仕方が複雑で時間のかかっている方におすすめのサービスです。選定の際は次のポイントに注意して選ぶのをおすすめします。
- 既存システムとの連携のさせ方を考える
- マスターのメンテナンス容易性
- 計算能力はどの程度必要か
- 運用オペレーションについて検討する
CPQシステムに関してより深く検討したい方は、サービス資料を請求し比較するとよいでしょう。
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