電子カルテメーカー比較8選!種類や選び方を解説
電子カルテには多くの種類があり「どれを選べばいいか」迷いますよね。後から知ったサービスの方が適していることもよくあります。導入の失敗を避けるためにも、まずは各サービスの資料をBOXILでまとめて用意しましょう。
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- 電子カルテを導入するメリット5選
- 業務の効率化と医療現場の負担軽減
- 情報共有の迅速化とチーム医療の強化
- データの蓄積と医療の質の向上
- 災害・紛失リスクへの備え
- 法令遵守・記録の信頼性向上
- 紙カルテから電子カルテに移行する際の5つの注意点
- 導入目的と運用方針の明確化
- システム選定は現場の業務フローを重視
- スタッフへの研修とITリテラシーの向上
- データ移行の正確性とセキュリティ対策
- 一時的な混乱を想定した体制づくり
- 電子カルテの種類
- クラウド型とオンプレミス型
- レセコン一体型とレセコン連携型
- 電子カルテメーカーの選び方
- 導入形態とレセコンのタイプ
- 他システムとの連携は可能か
- 従業員をふくめた操作性の確認
- 料金形態とオプション費用
- 自社に合うセキュリティ水準か
- サポート体制は整っているか
- おすすめの電子カルテとメーカー8選
- エムスリーデジカル
- HOPE Cloud Chart II
- Open-Karte Cloud
- セコム・ユビキタス電子カルテ
- MAPs for CLINIC
- きりんカルテ
- blanc
- ClinicHub
- 電子カルテをメーカーで比較して導入しよう
電子カルテを導入するメリット5選
電子カルテを導入するのにはさまざまなメリットがあります。代表的なメリットを5つお伝えします。
業務の効率化と医療現場の負担軽減
電子カルテの導入により患者情報の入力・検索・共有がスムーズになり、紙カルテに比べて業務の効率が大幅に向上します。手書きによる記録の手間や読みにくさがなくなるため、医師・看護師・医療事務の負担を軽減し、診察時間や待ち時間の短縮にもつながります。
また、検査結果や処方履歴の即時参照が可能になり、診断や治療の精度向上にも寄与します。
情報共有の迅速化とチーム医療の強化
電子カルテは院内のさまざまな職種(医師、看護師、薬剤師など)間での情報共有をリアルタイムで可能にします。多職種が連携するチーム医療において、共通の情報基盤が整っているのは重要です。情報基盤が整っていることで、患者に対するアプローチの一貫性と安全性が確保されます。
特に入退院時や他科との連携が必要なケースでは、迅速かつ正確な情報伝達が重要であり、電子カルテはその土台となります。
データの蓄積と医療の質の向上
電子カルテは診療データを蓄積・分析しやすいという利点があります。蓄積されたデータをもとに、疾患の傾向分析、治療成績の評価、院内感染の予防策など、さまざまな医療の質向上につながる取り組みが可能です。
さらに、診療記録をもとにエビデンスを重視した医療の実践や、臨床研究への活用も期待できます。
災害・紛失リスクへの備え
紙カルテは災害時の焼失や紛失リスクが常に伴います。その一方で電子カルテはクラウド保存や定期的なバックアップにより、情報の保全性が高まります。緊急時でも患者情報が守られ、継続的な診療体制を支えるインフラとして機能します。
法令遵守・記録の信頼性向上
電子カルテはアクセス履歴の記録や改ざん防止機能など、法令遵守や医療訴訟リスクの軽減にも有効です。記録の透明性と信頼性が担保され、医療の説明責任を果たす手段としても重要な役割を果たします。
紙カルテから電子カルテに移行する際の5つの注意点
電子カルテの導入は便利な反面、新たに導入するにあたって注意するべき点もあります。今までカルテを紙で扱っていたクリニックで電子化させる際の注意点を5つお伝えします。
導入目的と運用方針の明確化
電子カルテを導入する前に、「なぜ導入するのか」「どのように運用していくのか」を明確にしましょう。
ペーパーレス化に憧れていたり、他のクリニックでも導入していたりなどの漠然とした理由では、導入後に現場が混乱する可能性があります。事前に診療効率の向上、情報共有のスムーズ化、診療データの有効活用など、導入の目的とそれを実現するための運用方針をスタッフ全体で共有しておきましょう。
システム選定は現場の業務フローを重視
電子カルテの機能やインターフェースはメーカーによって大きく異なります。
選定時にはどの製品が多機能かではなく、自院の業務フローにどれだけフィットするかが重要です。現場で実際に使用する医師・看護師・事務スタッフの声を反映しながら、見やすさ・操作性・連携機能などを確認しましょう。必要に応じてトライアル導入やデモ体験を活用して、納得のいく選定を行いましょう。
スタッフへの研修とITリテラシーの向上
システムを導入しても、使いこなせなければ意味がありません。紙カルテに慣れているスタッフにとって、電子カルテへの切り替えは大きな負担になることもあります。
事前の研修だけでなく、導入後も継続的なサポート体制の整備が重要です。特に医療現場ではITが苦手なスタッフは少なくありません。職種や習熟度に応じた段階的な教育を行い、スムーズな移行を目指しましょう。
データ移行の正確性とセキュリティ対策
紙カルテから電子カルテへ移行する際には、既存の患者情報を正確にデジタル化する作業が必要です。この際入力ミスやデータ欠損が起きないように、十分なチェック体制とバックアップを用意しましょう。
また個人情報を扱う以上、セキュリティ対策も不可欠です。アクセス権の設定、ログ管理、定期的なセキュリティアップデートなど、情報漏洩を防ぐ仕組みを整える必要があります。
一時的な混乱を想定した体制づくり
どれだけ入念に準備しても、移行初期には業務の混乱や診療の遅延が発生する可能性があります。に操作ミスや情報の取り扱いに不慣れな初期段階では、対応に時間がかかるケースも多く、通常よりも人員や時間的余裕を確保が求められます。
初期トラブルに備えた緊急対応マニュアルや、ベンダーとの密な連携体制を構築することで、混乱を最小限に抑えましょう。
電子カルテの種類
電子カルテにはクラウド型とオンプレミス型の2タイプ、レセコン一体型とレセコン連携型の2タイプがそれぞれ存在します。これらの計4タイプはメーカーに依存することも多く、選定時にはまず絞り込みたい要素といえます。
クラウド型とオンプレミス型
電子カルテの導入形態には、クラウド型とオンプレミス型の2つがあります。クラウド型はインターネット経由でデータを管理するため、サーバーの保守や管理が不要であり、柔軟な利用が可能です。一方、オンプレミス型は自社のサーバーにシステムを導入する方式であり、データ管理のセキュリティや内部統制を重視する場合に適しています。
| クラウド型 | オンプレミス型 | |
|---|---|---|
| メリット | 初期費用が安い。保守運用のコストが低い | カスタマイズしやすい。自社のセキュリティ方針に合わせられる |
| デメリット | 月額ないし年額の費用が都度発生 | 初期費用が高い。アップデートや管理が自社責任 |
クラウド型の電子カルテについては次の記事にて詳しく解説しています。
レセコン一体型とレセコン連携型
電子カルテとあわせて使う傾向にあるレセコンを、電子カルテとの一体型とするか、別で導入する連携型とするかでシステムが大きく分かれます。電子カルテによって一体型と連携型のいずれかしかない場合や、プランによって選べる場合があります。運用の想定にあわせて選択しましょう。
| レセコン一体型 | レセコン連携型 | |
|---|---|---|
| 特徴 | レセコンを電子カルテとあわせて導入できる | レセコンを導入企業が自由に選べる |
| 注意点 | レセコンの使い勝手も比較が必要 | 導入中ないし導入予定のレセコンと連携できるかチェック |
電子カルテメーカーの選び方
電子カルテメーカーは次のポイントを押さえて選ぶとスムーズです。
- 導入形態とレセコンのタイプ
- 他システムとの連携は可能か
- 従業員をふくめた操作性の確認
- 料金形態とオプション費用
- 自社に合うセキュリティ水準か
- サポート体制は整っているか
導入形態とレセコンのタイプ
まずはクラウド型とオンプレミス型、レセコン一体型とレセコン連携型のどのタイプにするかを検討しましょう。もしタイプ選びに迷う場合は、各サービス提供会社の導入事例にて、自分と似た医療機関がどのタイプを選定しているか調査するのもおすすめです。
他システムとの連携は可能か
電子カルテはレセコン以外のシステムと連携できると、より使いやすくなります。たとえば、検査に使うシステムや会計用のシステムと連携しやすければ、データの一元管理や入力ミスの防止を図れます。
レセコンとあわせてどのような運用をするのかあらかじめ計画しておきましょう。
従業員をふくめた操作性の確認
電子カルテの操作性も選定に際して重要なポイントです。導入者だけでなく、現場の従業員も違和感なく操作できるかヒアリングしましょう。可能ならトレーニングやサポートが充実しているか電子カルテが好ましいです。
操作しやすいシステム、トレーニングやサポートが充実しているシステムを選び、電子カルテを最大限活用しましょう。
料金形態とオプション費用
電子カルテの導入にかかる料金の総額を整理しておきましょう。
初期費用や月額費用、オプション料金などを比較検討し最適な選択肢を見つけます。また、導入後のメンテナンス費用やアップデート費用も考慮し、トータルコストで考えることが大切です。
費用が変動するポイント、費用を抑えるためのコツについては次の記事にて詳しく解説しています。
自社に合うセキュリティ水準か
電子カルテでは個人情報を扱うため、堅牢なセキュリティ体制が求められます。求めているセキュリティの要件に適合しているかは事前に問い合わせしましょう。SOCやISOといった第三者認証の取得有無について聞くこともひとつの手です。
また、定期的なセキュリティ対策のアップデートや監視体制が整っているかも確認するようにしましょう。
サポート体制は整っているか
トラブルが発生した際に迅速かつ適切な対応をしてもらえそうなベンダーを選びましょう。
24時間対応や専門のサポート担当がいるメーカーなら安心です。また、トレーニングやマニュアルの提供など、導入後の運用サポートについても体制をチェックすべきです。
おすすめの電子カルテとメーカー8選
エムスリーデジカル
エムスリーデジカルは開業医におすすめの電子カルテです。エムスリーデジカルには次のような特徴があります。
- 開業医向けに開発された低コストで運用できるシステム
- シンプルな画面設計と最新AIでカルテの入力時間を80%※1削減
- 選べるサポートプランでコストを抑えながら運用
【メーカー:エムスリーデジカル株式会社】
エムスリーデジカル株式会社は開業医の診療をラクにすること、ITコストの削減を大事にしている企業です。グループ会社が提供しているm3.comに登録されている30万人以上※2の開業医の声をふまえてシステム開発しており、クライアントにとっての使いやすさを重視しています。
※1 エムスリーデジカル「エムスリーデジカル 公式サイト」2025年5月28日閲覧
※2 エムスリー「m3.com 医師会員数が 30 万⼈を突破」2021年4⽉7⽇発表
HOPE Cloud Chart II
HOPE Cloud Chart IIは必要なサービスを選んで利用できるクラウド型の電子カルテです。HOPE Cloud Chart IIには次のような特徴があります。
- ユニバーサルデザインにもとづく見やすい画面
- 日本品質保証機構や日本データセンター協会の基準に適合
- 機能の追加・改善や教育動画の配信により継続性を担保
【メーカー:富士通株式会社】
富士通株式会社は日本を代表するIT企業です。1935年に設立された歴史ある企業でコンピュータ、通信システム、AIなど幅広い製品・サービスを提供。グローバルに事業を展開し、先進的なテクノロジーで社会課題の解決に取り組んでいます。また環境経営にも注力し、持続可能な社会の実現を目指しています。
Open-Karte Cloud
Open-Karte Cloudはユーザビリティを追求した電子カルテです。Open-Karte Cloudには次のような特徴があります。
- 視認性と判読性を追及し、見やすくユーザーに優しい電子カルテ
- 専任スタッフが定期訪問し運用提案や操作レクチャーを提供
- 端末や職種ごとに必要な情報を1画面にまとめて表示
【メーカー:ウィーメックス ヘルスケアシステムズ株式会社】
ウィーメックス ヘルスケアシステムズ株式会社は、2023年に富士フイルムヘルスケアシステムズ株式会社より電子カルテ・レセプト関連事業を取得し、サービスを提供している会社です。PHCホールディングス株式会社の事業子会社であるウィーメックス株式会社の子会社にあたり、ヘルスケア領域における強みを伸長していくものと考えられます。
セコム・ユビキタス電子カルテ
セコム・ユビキタス電子カルテはセコムグループが提供する、高セキュリティのクラウド電子カルテです。セコム・ユビキタス電子カルテには次のような特徴があります。
- セコムグループのITセキュリティ技術を活用した電子カルテ
- 患者を統一患者IDで管理して施設間のカルテ共有をスムーズに
- 部門連携やシステム連携に強い
【メーカー:セコム医療システム株式会社】
セコム医療システム株式会社は、ホームセキュリティで有名なセコムのグループ企業で、医療や介護、健康、ICTにてサービスを提供しています。システムを作るのみならず、実際に看護やクリニック開業を支援しており、医療関係の課題へ多角的に取り組んでいます。
MAPs for CLINIC
MAPs for CLINICは直感的な操作性を追及した使いやすいクラウド型の電子カルテです。MAPs for CLINICには次のような特徴があります。
- パーツや箇所単位での色や文字サイズ設定にて見やすい画面を構成
- 医療機器や検査センターとの連携が充実
- 初期ライセンス費用が0円、月額料金は1接続あたりの課金で無駄が出づらい
【メーカー:株式会社EMシステムズ】
株式会社EMシステムズは「人と地球の健康に貢献する会社」を経営理念に掲げている会社です。事業としては医科や調剤、介護、福祉に特化してシステム開発および販売、保守をしています。また、創業してから40年以上が経過しており、東京証券取引所のプライム市場へ上場している老舗の企業です。
きりんカルテ - きりんカルテシステム株式会社
きりんカルテは紙カルテのような書き心地の電子カルテです。きりんカルテには次のような特徴があります。
- 手書き文字をテキストに自動変換し、書きやすさと可読性を両立
- スマートフォンで写真を撮影しカルテにアップロード
- 在宅医療や自由診療へ切り替え可能
【メーカー:ウィーメックス株式会社】
ウィーメックス株式会社は「医療と、幸せを、クロスする。」を掲げ、医師の理想の働き方実現に向けて医療DXを推進する、PHCホールディングス株式会社の子会社です。電子カルテだけでなく、医事コンピュータや薬歴システムなど、医療関係のさまざまなシステムを提供しています。
blanc
blancは一般病院と精神科病院向けのクラウド電子カルテです。blancには次のような特徴があります。
- 訪問医療、看護や介護などさまざまなサービスに対応
- 複数のデータセンターを持ち、データを災害から守る
- ITインフラやセキュリティ運用のアフターサービスも提供
【メーカー:亀田医療情報株式会社】
亀田医療情報株式会社は、病院から始まった医療現場のニーズに寄り添うメーカーです。30年以上かけて電子カルテの技術を引き継いだblancをはじめ、医療機関向けのシステム開発を行っています。なお、JBCC株式会社は亀田医療情報株式会社が開発しているblancの正規販売代理店です。
ClinicHub - 株式会社zapath
ClinicHubは、自由診療クリニック経営に必要な集客、顧客管理、そして電子カルテ機能などをひとつにまとめた統合クラウドサービスです。ClinicHubには次のような特徴があります。
- 自由診療クリニック専門で集客、管理、電子カルテを統合
- 複数メディアの患者情報や予約を自動で集約
- ClinicHub利用者は無料集客支援や手厚い導入後サポートを利用可能
【メーカー:株式会社zapath】
株式会社zapathは「世界を少しでも良くしていきたい」という想いを原動力に、新たな産業が抱える課題に取り組んでいる企業です。「WeMedical」や「キレイサーチ」など、クリニックの運営者と利用者双方のニーズに応える、幅広く高度なシステムを提供しています。
電子カルテをメーカーで比較して導入しよう
電子カルテを選ぶ際には、導入形態や操作性、料金などのさまざまな要素を照らし合わせて確認しましょう。電子カルテは無料プランや無料トライアルを提供している傾向にあるため、導入前に試験運用しましょう。
電子カルテのうち最適なサービスを選ぶには、ニーズや予算に合わせて、複数のシステムを比較検討することが大切です。