GRCツールおすすめ比較!料金やメリット・選び方のポイント
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GRCツールとは?
GRCツールは、企業の「ガバナンス(Governance)」「リスク管理(Risk management)」「コンプライアンス(Compliance)」に関する活動の強化を図るためのツールです。一般的には、これらの3つの問題・課題を解決するために導入されます。
グローバル化の進展やデジタル技術の発達などにより、企業の外部環境・内部環境はめまぐるしく変化しています。リスク管理やガバナンス・コンプライアンスに関して、企業が取り組むべき事柄が増えている状況です。
そういった背景から日本でもGRCツールが注目されており、多くの企業が導入し始めています。現状、海外のツールがほとんどですが、今後は日本のベンダーの製品も増えてくるでしょう。
GRCツールの選び方
まずは、GRCツールの導入目的を明確にする必要があります。そのうえで、必要な機能や操作性・カスタマイズ性を備えたツールを選ぶことが重要です。多くの企業がGRCツールを導入する目的は、大きく分けて次の2つがあります。
導入目的 | 詳細 |
---|---|
内部統制やリスク管理など、多くの課題をシステム上で解決したい | 汎用タイプで、幅広い用途に活用できるツールを選ぶ |
解決したい問題・課題が決まっている | 特定の用途に特化したツールを選ぶ |
「ガバナンス」「リスク管理」「コンプライアンス」のいずれの側面も強化したい場合は、汎用的に活用できるツールを導入するとよいでしょう。一方で、特定の領域における問題・課題を解決するならば、当該分野に特化した製品やサービスを選択することが重要です。
GRCツールの機能を確認する
GRCツールでできること、利用できる機能は次のとおりです。導入するツールを選ぶ際には、上記の導入目的・課題を解決できる機能が網羅されているか、よく確認しましょう。
機能 | 詳細 |
---|---|
ダッシュボード | GRCに関する情報を、管理画面上でリアルタイムに視覚化・把握できる機能 |
データ収集 | GRCに関する情報を収集し、システム上で一元管理する機能 |
データ分析 | システム上に収集したデータを特定のルールや、社内規定などをベースに分析する機能。自社を取り巻くセキュリティ上のリスクやガバナンスの問題などを明確にするために利用される。 |
リスク評価 | 一定の条件に基づいて、収集した情報からリスクと識別・評価する機能 |
アラート | 事前に設定した条件のインシデントが発生した場合に、システム上でアラートする機能 |
監査レポート | リスク評価の結果や報告書などを、レポートとして出力する機能 |
文書管理 | 自社のセキュリティポリシーやセキュリティに関する規定、リスク評価の報告書などを、文書として一元管理する機能 |
また、ツールによってはワークフロー機能が実装されており、業務プロセス全体の効率化に寄与するサービスも少なくありません。通知やリマインダーを設定し、特定の相手にGRCに関する情報を送信できる機能もあります。
GRCツールの注意点を確認する
GRCツールを導入する際には、失敗しないために、次のポイントも確認しましょう。
確認事項 | 詳細 |
---|---|
法令やルール | GRCツールによってカバーしたい法令や規範・ルールなどに、確実に対応できるかも確認が必要です。 |
カスタマイズ性 | ダッシュボードをわかりやすくカスタマイズできるか、画面上でリスクの状態を正確に把握できるか確認しましょう。 |
インシデント対策 | 事故・問題が発生した場合、GRCツールから収集した情報をもとにどのような対策が可能か、どのような対策をすべきかあらかじめ決めておきましょう。 |
セキュリティレベル | GRCに関する情報は機密性が高いので、安全にデータを収集・運用できるか確認してください。 |
サポート体制 | サービスベンダーのサポート体制を確認しておきましょう。 |
連携サービス | 連携できるツールやサービスは何があるかも確認しておくとよいです。 |
GRCツールの料金・価格相場を確認する
GRCツールの初期費用は20万~30万円程度で、月額費用が10万円程度です。ただし、クラウドサービスがほとんどであり、月額費用のみの負担で導入できるケースも少なくありません。
GRCツールの費用に関しては、ほとんどの場合サービスベンダーの問い合わせが必要なので、事前によく確認しておきましょう。
GRCツール比較【特化型】
まずは、特定の領域に特化したツールを紹介します。取引先のリスク管理や、ITツールを安全に活用するためのサービスが多くあります。
LMISは、ITILに準拠したサービスマネジメントプラットフォームです。提供サービスにおけるヘルプデスク業務の対応品質の平準化や、サービス構成管理、ITIL導入などに役立ちます。
顧客対応で発生する情報を集約し、対応状況や担当ごとの負荷状況をリアルタイムで確認可能です。Salesforce基盤で構築されており、契約管理も行えるCRM機能や、Salesforceのレポート機能を利用できるダッシュボード機能も備えています。
VendorTrustLink - 株式会社アトミテック
VendorTrustLinkは、委託先や取引先のリスク管理ができるツールです。委託先に預けた個人情報や機密情報の漏えいの可能性や、サービスの欠陥や品質不良、反社会的勢力との関わりなど、さまざまなリスクを一元的に管理・視覚化できます。
チェックシートの自動送信や結果の自動集計・グラフ化など、便利な機能が豊富に実装されています。委託先一覧はフラグ管理が可能で、部署ごとやチームごとの委託先の一覧も簡単に作成可能です。委託先の一覧管理や情報の更新がうまくできていない企業は、この機会に導入を検討してみましょう。
RiskWatch
RiskWatchは、リスク管理・コンプライアンス管理が可能なツールで、リスクの特定から評価・監視を支援する機能が多く実装されています。40を超える規制やコンプライアンスに関するフレームワークをサポートしているのが特徴で、包括的なリスク評価が可能です。
リスクへの対策や改善に関する計画の策定や進捗をトレースする機能も有しており、インシデントに対する迅速な対応が可能です。企業を取り巻くセキュリティリスクを体系的に評価したい企業は、導入を検討するとよいでしょう。
Conoris BP
Conoris BPは業務プロセスの効率化と、セキュリティに関する情報管理を最適化できるツールです。委託先・再委託の審査や定期点検業務のシステム化が可能で、現場責任者や委託先・再委託先といった関係者全員とのやりとりを、同一のプラットフォームで完結できます。
自由にカスタマイズ可能な調査票を作成し、Webフォームで入力できるので、相手先に負担をかけずにリスク調査が可能です。委託先やプロジェクト単位で調査票の作成・集計ができるため、並行して複数のプロジェクトを進めている企業も情報を管理しやすいのが特徴です。
Active Risk Manager
Active Risk Managerはプロジェクトのリスク管理に特化したサービスで、さまざまなリスクの分析とリスク間のつながりの把握が可能です。プロジェクト全体で増大する可能性の高いリスクとその傾向を分析・特定し、適切なリスク管理を実行できる機能が実装されています。
リスクの定量評価やレポート機能に加えて、ダッシュボードの使いやすさも特徴です。ダッシュボード上でリスクを効果的に分析・管理しつつ、戦略的な意思決定のためのインサイトを得られます。なお、有効なリスク管理に関して電子書籍をリリースしているので、こちらも確認してみましょう。
SMART Gateway
SMART GatewayはICTインフラの運用を単純化しつつ、厳密なアクセス制御やIT管理が可能なシステムです。煩雑になりがちな特権管理の運用をシンプルにしつつ、多数の端末の統制が可能です。
ユーザーがグループごとに接続可能なサーバー・ネットワーク機器のアクセスを制御でき、柔軟に権限を管理できます。ログオンやログオフ・ファイル操作・アカウント操作などのさまざまなログを記録しつつ、任意に検索できるのも特徴です。必要最低限の権限のみを付与してアクセスコントロールを強化すれば、強力な内部不正対策になるでしょう。
Azure Policy
Azure Policyは、クラウドにおけるリソースのコンプライアンスおよび、ガバナンス管理のためのサービスです。Azure環境内に自社のセキュリティポリシーを割り当てれば、システムが定期的に確認・評価する仕組みです。
評価するポリシーは、個別のリソースやサブスクリプションなどに適用可能で、ポリシー違反が発生した場合には通知と修正の自動化を図ります。これによりクラウド環境のガバナンスの強化とともに、コンプライアンスリスクを軽減できます。Azureのユーザーならば無料で利用可能なサービスです。
GRCツールのおすすめ比較【汎用型】
近年注目されている代表的なGRCツールを押さえておきましょう。多くの機能を実装した汎用型のツールも紹介します。
ServiceNowは、社内業務に関するシステムを一元化し、運用できるクラウドサービスです。単一のプラットフォームにさまざまな情報を集約し、ワークフローに落とし込めるのが特徴です。社内で利用するアプリケーションのデータベースをまとめられるので、業務の「見える化」に加えて、セキュリティの担保やリスク管理にも役立ちます。
環境に合ったワークフローを構築すれば、日常業務の生産性を継続的に高められるでしょう。コンプライアンスや社内監査などに関する機能も実装されており、GCRツールとして社内全体の業務プロセスを管理できます。
IBM OpenPages
IBM OpenPagesは、社内データをシステム上に集約し、AI(人工知能)の活用によるリスク管理が可能なGCRツールです。リスクの予測分析や内部監査・ポリシー管理などの機能が豊富に実装されています。
必要に応じて柔軟に機能を追加できるモジール形式なので、環境やニーズに合わせてカスタマイズしやすいのもメリットです。複数の業務領域を統合し、全体のリスクおよびコンプライアンスの状況を一元管理できます。異なる分野でもデータの一貫性を維持できるため、多くの業務領域を抱える大企業におすすめできます。
SAP GRC
SAP GRCはビジネスにおけるGRCの再創造に寄与する、包括的なプラットフォームです。内部監査人協会を中心に推奨されている「3層防御モデル」を採用しているのが特徴で、オペレーションとリスク管理・法令遵守・内部監査を連携できます。
業務上のタスクと意思決定の自動化に役立つ機能が多く、継続的な統制モニタリングにより業務プロセスを可視化できます。変化し続ける規制要件や地政学的リスク、市場環境の変化など、さまざまな要因を加味してグローバルトレードを最適化できるのが特徴です。海外の企業と頻繁にやりとりする企業は、ぜひ導入を検討してみましょう。
ARCHER
ARCHERは、幅広い業務領域に対応する機能モジュールを備えており、必要なものを選択して導入できます。リスクに関する情報の収集・一元管理が可能で、すべてのリスクデータを可視化できるので、安全な業務運営が可能になります。
GRC活動を統合的に管理できる機能群であり、セキュリティリスクの低減や法規則の遵守、内部統制の強化を図れます。収集した情報をもとにリスクが影響を与える業務をマップングし、経営上の意思決定に寄与する機能も有しているのが特徴です。IT資産のライフサイクル管理や各種監査業務にも活用できます。
Diligent
Diligentは、監査管理機能や内部統制管理に関する機能が充実している、GRCプラットフォームです。ダッシュボード上ですべての監査および改善の状況を、リアルタイムで「見える化」できます。戦略的に優先度の高いリスクに監査を集中させ、発見したすべての調査結果を統合し、改善の取り組みを追跡します。
また、事前に構築した規制・統制のコンテンツを使用し、短時間でコンプライアンスの実証が可能です。KPIやKRIといった指標を監視して異常値を見分けられるのも特徴で、一定の基準を満たした場合にアラートを発生させます。
A1 Tracker
A1 Trackerは企業を取り巻くリスクを効率的・効果的に管理し、法規制の遵守に役立つ統合プラットフォームです。リスク管理とコンプライアンスの管理に関する豊富な機能が実装されており、ワークフローの自動化も可能です。
さらに契約管理に関する機能もあり、契約の作成・承認・更新など、一連のライフサイクル管理が可能です。契約の期限やマイルストーンに関する通知機能もあるので、契約にかかる業務の効率化を目指す企業は導入を検討してみましょう。
MetricStream GRC Platform
MetricStream GRC Platformは、将来を見据えたリスクの可視化によりビジネス目標や投資に与える影響を加味した、統合リスク管理プラットフォームです。ビジネス環境の変化によって進化する規制要件をモニタリングし、コンプライアンスの状況や改善点の把握が可能です。
監査計画の作成やスケジュール管理に加えて、IT環境におけるリスクの識別やツールのマネジメントにも対応しています。豊富な機能と柔軟なカスタマイズ性が強みで、セキュリティを担保した事業運営と市場競争力の強化に役立ちます。
Connected Risk
Connected RiskはGRCに関わる情報をシステム上に集約し、1つのソリューションで企業の成長を促せるサービスです。全社的なリスクマネジメントに加えて、モデルリスク管理や法規制の変更管理、IT製品やサービスに関する情報管理などに対応しています。
さらにプラットフォーム上で、J-SOXコンプライアンスをシームレスに合理化できるのが特徴です。リスクの集計ビューや、異種データの統合機能など、データの集約・分析・活用に至るまでの機能が豊富です。GRCチームのニーズの把握に関して有益なアドバイスを受けられるので、まずは気軽に相談してみましょう。
LogicManager
LogicManagerは、多くの業界で導入されているリスク管理プラットフォームで、豊富なGRC機能を利用できます。ガバナンス領域と核となる業務システム全体で相互接続できるように、特別に設計されているのが特徴です。
内部監査や情報セキュリティ、ベンダー管理などを複数の機能を有機的に結びつけることで、リスクの高い領域を特定できます。部門間のコラボレーションを促進するとともにリスクの状況を詳細に分析できるので、戦略的なリソースの割り当てが可能です。専門のリスク管理コンサルタントによる丁寧なサポートを受けられるのも魅力です。
GRCツール比較【ERP連動型】
続いて、ERPに連動したERCツールを紹介します。モジュールとして導入すればリスク管理やコンプライアンス管理が可能になるので、ERPの導入も検討しているならば選択肢として考えてみましょう。
Oracle Fusion Cloud ERP - 日本オラクル株式会社
Oracle Fusion Cloud ERPはプロジェクト管理を中心に、人事や財務などの業務プロセスを統合管理できるクラウドベースのERPです。企業内のさまざまな業務データを一元的に管理し、リアルタイムなデータ分析を可能にします。
モジュールの導入によりGRCツールとしての活用も可能で、監査管理機能やコンプライアンス管理機能・内部統制を強化に役立つ機能などが利用できます。必要なモジュールを任意に組み合わせて運用できるので、環境やニーズにしたがって、機能を追加・カスタマイズできるのが特徴です。
GRCに加えて効率的なビジネスプロセスの管理・運用や、データドリブンな意思決定ができる環境の構築を目指す企業は、導入を検討してみましょう。
GRCツールを利用するメリット
GRCツールを利用するメリットは、主に次のとおりです。
- リスク管理の精度を向上できる
- 情報の一元化により業務生産性が向上する
- 情報資産を安全に管理できるようになる
リスク管理の精度を向上できる
GRCツールの導入により社内のリスク管理が高度化し、意思決定の精度も向上することがメリットです。自社を取り巻くさまざまなリスクを体系的に捉えて正しく評価することで、早期に潜在的な問題・課題を把握できるでしょう。前もってきちんと対策を立てておけば、問題を顕在化させずに解決できます。
情報の一元化により業務生産性が向上する
GRCツールにより各所にあるコンテンツ・ガバナンス・リスクに関する情報をシステム上で一元的に管理できるようになり、業務生産性の向上も期待できることもメリットです。担当者が必要な情報にすぐアクセスでき、状況をスムーズに把握したうえで、有効なガバナンス対策を打ち出せるようになります。
情報の収集・分析のスピード感が増すだけではなく、GRCツールの導入により手動での煩雑な作業も減らせるので、より重要な仕事にリソースを割けるようになるでしょう。部門・部署をまたいだ情報共有が可能になり、全体の業務効率化と生産性の向上に寄与します。
情報資産を安全に管理できるようになる
GRCツールの導入で社内のガバナンスとリスク管理能力が高まり、機密データを含む情報資産を安全かつ効率的に管理できるようになります。厳密なアクセス権限設定が可能なツールが多く、データの暗号化により、安全なデータ転送が可能です。
情報資産に関するリスクも分析・評価できるので、問題が起こる前に適切な対策を講じられるのもメリットです。万が一セキュリティインシデントが発生した際にも、スピーディーに対応するためのプロセスを構築できるので、被害を最小限に抑えられます。
GRCツール を利用するデメリット
GRCツールは多くのメリットがある一方で、次のデメリットがあります。事前にきちんと対策を立てておき、計画的に導入を進めることが大事です。
徹底したニーズの洗い出しが必要
GRCツールはほかのツールやシステムの導入以上に、徹底した自社ニーズの洗い出しが必要です。ほかのシステムに比べて新興のツールであり、まだ日本企業が提供する製品・サービスが少ないです。ニーズに合ったものを慎重に選択しなければ、ミスマッチが発生するケースが少なくありません。
さまざまな機能が豊富に実装されているツールが多いものの、自社の環境に合っていなければ現場の担当者が使いこなせない可能性があります。事前に必要な機能をしっかりと洗い出し、どのGRCツールが環境に合っているか慎重に検討しましょう。
運用体制の構築に時間がかかる
確実にデータを収集・活用するためには、単に優れたシステムを導入するのみならず、運用体制の構築と改善が欠かせません。GRCの管理体制に関するPDCAを回し続け、自社に最適な体制を構築するまでには時間がかかります。
効果的なリスク管理とコンプライアンス管理のためには、適切なリソースを確保しつつ慎重な導入計画を立てるとともに、導入後に改善を積み重ねましょう。サービスベンダーのサポートも、積極的に活用することが大切です。
GRCツールで情報を安全かつ効果的に管理しよう
GRCツールは「ガバナンス」「リスク管理」「コンプライアンス」の強化を図れるツールであり、海外ベンダーを中心に、さまざまな製品・サービスが登場しています。日本のベンダーの製品も徐々に増えているため、複数のツールの強みや特性を理解したうえで、自社に合ったツールを選択しましょう。
導入するGRCツールを選ぶ際には、次のポイントを意識することが重要です。
- 必要な機能が網羅されているか
- 現場で使いやすいツールか(管理画面のわかりやすさや操作性)
- 必要に応じて柔軟に機能を拡張できるか
- 既存のシステムと統合・連携できるか
- ツールのセキュリティに問題はないか
- サービスベンダーによる十分なサポートを受けられるか
GRCツールをより深く検討したい方は、各サービスの資料を請求し、比較してみるとよいでしょう。