GRCツールおすすめ比較!料金やメリット・選び方のポイント
GRCツールには多くの種類があり「どれを選べばいいか」迷いますよね。後から知ったサービスの方が適していることもよくあります。導入の失敗を避けるためにも、まずは各サービスの資料をBOXILでまとめて用意しましょう。
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GRCツールとは
GRCツールは、企業の「ガバナンス(Governance)」「リスク管理(Risk management)」「コンプライアンス(Compliance)」に関する活動の強化を図るためのツールです。一般的には、これらの3つの問題・課題を解決するために導入されます。
グローバル化の進展やデジタル技術の発達などにより、企業の外部環境・内部環境はめまぐるしく変化しています。リスク管理やガバナンス・コンプライアンスに関して、企業が取り組むべき事柄が増えている状況です。
そういった背景から日本でもGRCツールが注目されており、多くの企業が導入し始めています。現状では海外ベンダーのGRCツールが多くを占めていますが、近年は国内企業による製品開発も進んでおり、今後の拡大が期待されます。
GRCツールが求められる背景
日本でGRCツールが求められる背景についてさらに詳しく解説します。
ビジネス環境のグローバル化と複雑化
近年、日本でも企業活動のグローバル化が進む中、複数国・地域にまたがる事業展開が当たり前となりました。その結果、各国ごとの法規制やリスクへの対応が必要となり、企業の管理体制はより複雑になっています。
GRCツールは、このような多様な規制やリスクを統一的に管理する手段として注目されています。
法規制の強化とコンプライアンス意識の高まり
個人情報保護法やJ-SOX法(内部統制報告制度)、金融商品取引法など、法規制は年々強化されています。企業には法令を遵守するだけでなく、社会的責任を果たす姿勢も求められています。
こうした背景から、社内ポリシーの徹底や監査対応を効率化する仕組みとして、GRCツールの重要性が増している状況です。
サイバーセキュリティとIT資産リスクの拡大
デジタル技術の進展とともに、サイバー攻撃の脅威が増大しています。AIやクラウド、IoTなどの導入が進む一方で、それらを管理・統制する体制が追いついていない企業も少なくありません。GRCツールは、IT資産の保護やインシデント対応の強化に貢献します。
経営判断のスピードと正確性の要求
市場の変化が激しい現代において、経営陣には迅速かつ正確な意思決定が求められます。GRCツールは、リスクやコンプライアンスに関するデータをリアルタイムで可視化し、意思決定に必要な情報を迅速に提供する役割を果たします。
GRCツールの機能
GRCツールの主な機能について詳しく解説します。
情報の一元管理とデータ収集
GRCツールの基本となるのが、企業内外に点在する情報を一元的に管理する機能です。これにより、各部門や拠点で発生するリスク情報やコンプライアンス関連のデータ、各種業務記録などを集約し、全社的な視点で状況を把握できます。
また、外部システムとの連携によって自動的にデータ収集が可能となり、手作業による入力ミスや情報の抜け漏れを防ぎます。
リスク管理と可視化
GRCツールは、潜在的なリスクの特定・評価から対応策の策定、進捗のモニタリングまで、リスク管理の一連のプロセスをサポートします。リスクの発生源や影響範囲を定量的に評価し、ダッシュボードでリスクマップやヒートマップで視覚的に示すことで、経営層や現場担当者が迅速かつ的確に意思決定できる環境を整えます。
さらに、リスク対応策の実施状況もリアルタイムで把握できるため、リスクの早期発見と迅速な対応が可能です。
コンプライアンス管理
法令や業界規制、社内規定などの順守状況を管理する機能も、GRCツールの重要な役割です。各種規制やルールの変更があった際には、関係者への通知や教育コンテンツの配信を自動化できるため、組織全体でのコンプライアンス意識の向上につながります。
また、チェックリストやワークフローを活用して、コンプライアンス違反の早期発見と是正措置の徹底を図ることが実現できます。
インシデント管理と内部通報
GRCツールは、事故や不正、コンプライアンス違反などのインシデントが発生した際の報告・管理プロセスもサポートします。
従業員からの内部通報を受け付け、関係部署への自動通知や対応フローの進捗管理を行うことで、インシデントへの迅速かつ適切な対応を実現可能です。これにより、組織の透明性と信頼性を高めることが期待できます。
内部統制と監査対応
内部統制や監査業務もGRCツールによって効率化されます。J-SOX法などの法規制対応に必要な統制活動の文書化や評価、監査計画の立案から実施、結果のレポート作成までを一元的に管理できるため、監査プロセスの標準化と省力化が可能です。
監査結果の分析や改善提案の実施状況もリアルタイムで追跡でき、継続的な内部統制の強化につながります。
委託先およびIT資産リスク管理
GRCツールは、外部委託先やベンダーに関する情報を集約し、評価・監視する機能も備えています。
IT資産やシステムに関するリスク管理も可能で、サイバーセキュリティの観点からも信頼性の高い体制を構築可能です。
ダッシュボードとレポート作成
GRCツールは、収集したデータをもとに、リスク状況やコンプライアンスの順守状況、KPIなどをリアルタイムで可視化するダッシュボード機能を提供します。
経営層や管理者は必要な情報を迅速に把握し、戦略的な意思決定を実行可能です。また、各種レポートも自動で生成できるため、報告業務の負担軽減と情報の精度向上も期待できます。
業務プロセスの自動化と効率化
GRCツールには、承認フローやタスクの自動割り当て、進捗状況の管理など、業務プロセスを効率化する機能も備わっています。これにより、複雑な業務手順や複数部門にまたがるタスクもスムーズに進行し、担当者間の連携ミスや遅延を防げます。リマインダー機能やアラート通知によって、重要な業務の抜け漏れも防止可能です。
文書管理とバージョン管理
GRCツールは、ポリシーや規定、監査報告書などの文書を一元的に管理し、バージョン管理機能によって最新の情報を常に共有できる環境を整えます。これにより、古い情報の誤用や文書の重複を防ぎ、組織全体で統一されたルール運用が可能となります。
GRCツールの選び方
GRCツールを選定する際は、次のポイントに注意して選ぶことをおすすめします。
- 導入目的の明確化
- 機能の適合性と拡張性
- 操作性とユーザビリティ
- 法規制や業界基準への対応
- 既存システムとの連携性
- サポート体制と導入実績
導入目的の明確化
GRCツールを導入する際には、まず自社が何を目的としているのかを明確にすることが重要です。リスク管理の強化、コンプライアンス対応の効率化、または内部統制の強化など、目的によって必要となる機能や運用の優先順位が異なります。目的を明確にすることで、ツール選定の方向性が定まり、導入後の効果を最大化できます。
機能の適合性と拡張性
GRCツールには多岐にわたる機能が搭載されていますが、自社の業務プロセスと整合性が取れているかどうかを確認する必要があります。業務内容に合致するか、将来的な業務拡張に対応できる柔軟性を備えているかも重要な要素です。
また、GRCツールは部門横断的に利用されることが多いため、全社的な視点での機能評価も求められます。
操作性とユーザビリティ
GRCツールの操作性やユーザーインターフェースは、現場での活用度に大きく影響します。ダッシュボードやレポート機能が柔軟にカスタマイズできるか、画面がわかりやすく現場で使いやすいかを確認しましょう。
法規制や業界基準への対応
企業が順守すべき法令やガイドラインは年々複雑化・高度化しています。そのため、最新の規制や基準に迅速に対応できるアップデート体制が整っているかも、GRCツールの重要な検討ポイントとなります。グローバルに事業を展開している企業にとっては、各国の規制への対応も確認しましょう。
既存システムとの連携性
GRCツールが、他の業務システムやデータベースと連携できるかどうかも大切なポイントです。既存のITインフラとの親和性を事前に確認し、データの一元管理やAPIによる連携が可能かどうかをチェックしましょう。全社的な情報統合を実現するには、システム間の親和性が欠かせません。
サポート体制と導入実績
GRCツール導入後のサポート体制やベンダーの信頼性も重要なポイントです。導入支援やトレーニング、運用サポートが充実しているか、また、日本語対応や国内での導入実績があるかも確認しましょう。
海外ベンダーのGRCツールを選ぶ場合は、日本市場向けのカスタマイズやサポート体制の確認も重要です。
GRCツール比較【特化型】
まずは、特定の領域に特化したツールを紹介します。取引先のリスク管理や、ITツールを安全に活用するためのサービスが多くあります。
LMISは、ITILに準拠したサービスマネジメントプラットフォームです。提供サービスにおけるヘルプデスク業務の対応品質の平準化や、サービス構成管理、ITIL導入などに役立ちます。
顧客対応で発生する情報を集約し、対応状況や担当ごとの負荷状況をリアルタイムで確認可能です。Salesforceを基盤として構築されており、契約管理も行えるCRM機能や、Salesforceのレポート機能を利用できるダッシュボード機能も備えています。
VendorTrustLink - 株式会社アトミテック
VendorTrustLinkは、委託先や取引先のリスク管理ができるツールです。委託先に預けた個人情報や機密情報の漏えいの可能性や、サービスの欠陥や品質不良、反社会的勢力との関わりなど、さまざまなリスクを一元的に管理・視覚化できます。
チェックシートの自動送信や結果の自動集計・グラフ化など、便利な機能が豊富に実装されています。委託先一覧はフラグ管理が可能で、部署ごとやチームごとの委託先の一覧も簡単に作成可能です。委託先の一覧管理や情報の更新がうまくできていない企業は、この機会に導入を検討してみましょう。
RiskWatch
RiskWatchは、リスク管理・コンプライアンス管理が可能なツールで、リスクの特定から評価・監視を支援する機能が多く実装されています。40を超える規制やコンプライアンスに関するフレームワークをサポートしているのが特徴で、包括的なリスク評価が可能です。
リスクへの対策や改善に関する計画の策定や進捗をトレースする機能も有しており、サイバーセキュリティの監視・維持、継続的な改善の追跡が可能になります。企業を取り巻くセキュリティリスクを体系的に評価したい企業は、導入を検討するとよいでしょう。
Conoris BP
Conoris BPは、業務プロセスの効率化と、セキュリティに関する情報管理を最適化できるツールです。委託先・再委託の審査や定期点検業務のシステム化が可能で、現場責任者や委託先・再委託先といった関係者全員とのやりとりを、同一のプラットフォームで完結できます。
自由にカスタマイズ可能な調査票を作成し、Webフォームで入力できるので、相手先に負担をかけずにリスク調査が可能です。委託先やプロジェクト単位で調査票の作成・集計ができるため、並行して複数のプロジェクトを進めている企業も情報を管理しやすいのが特徴です。
Active Risk Manager
Active Risk Managerはプロジェクトのリスク管理に特化したサービスで、さまざまなリスクの分析とリスク間のつながりの把握が可能です。プロジェクト全体で増大する可能性の高いリスクとその傾向を分析・特定し、適切なリスク管理を実行できる機能が実装されています。
リスクの定量評価やレポート機能に加えて、ダッシュボードの使いやすさも特徴です。ダッシュボード上でリスクを効果的に分析・管理しつつ、戦略的な意思決定のためのインサイトを得られます。なお、有効なリスク管理に関して電子書籍をリリースしているので、こちらも確認してみましょう。
SMART Gateway
SMART Gatewayは、ICTインフラの運用を単純化しつつ、厳密なアクセス制御やIT管理が可能なシステムです。煩雑になりがちな特権管理の運用をシンプルにしつつ、多数の端末の統制が可能です。
ユーザーがグループごとに接続可能なサーバー・ネットワーク機器のアクセスを制御でき、柔軟に権限を管理できます。ログオンやログオフ・ファイル操作・アカウント操作などのさまざまなログを記録しつつ、任意に検索できるのも特徴です。必要最低限の権限のみを付与してアクセスコントロールを強化すれば、強力な内部不正対策になるでしょう。
Azure Policy
Azure Policyは、クラウドにおけるリソースのコンプライアンスおよび、ガバナンス管理のためのサービスです。Azure環境内に自社のセキュリティポリシーを割り当てれば、システムが定期的に確認・評価する仕組みです。
評価するポリシーは、個別のリソースやサブスクリプションなどに適用可能で、ポリシー違反が発生した場合には通知と修正の自動化を図ります。これによりクラウド環境のガバナンスの強化とともに、コンプライアンスリスクを軽減できます。Microsoft Azureのユーザーならば無料で利用可能なサービスです。
ComCheck - 三井物産クレジットコンサルティング株式会社
ComCheckは、企業のコンプライアンスリスク管理を効率化するサービスです。従来の記事検索サービスのように大量の検索結果を自分で精査する手間なく、「要注意区分」というわかりやすい指標でリスクレベルを表示し、一目で把握できます。
法人だけでなく代表者や役員もワンクリックでまとめてチェック可能で、取引先のリスク変動を自動で知らせるモニタリング機能も搭載。反社を含む広範囲なコンプライアンスリスクに対応しており、効率的かつ継続的なリスク管理を行えます。
GRCツールのおすすめ比較【汎用型】
近年注目されている代表的なGRCツールを押さえておきましょう。多くの機能を実装した汎用型のツールも紹介します。
ServiceNowは、社内業務に関するシステムを一元化し、運用できるクラウドサービスです。単一のプラットフォームにさまざまな情報を集約し、ワークフローに落とし込めるのが特徴です。社内で利用するアプリケーションのデータベースをまとめられるので、業務の「見える化」に加えて、セキュリティの担保やリスク管理にも役立ちます。
環境に合ったワークフローを構築すれば、日常業務の生産性を継続的に高められるでしょう。コンプライアンスや社内監査などに関する機能も実装されており、GRCツールとして社内全体の業務プロセスを管理できます。
IBM OpenPages
IBM OpenPagesは、社内データをシステム上に集約し、AI(人工知能)の活用によるリスク管理が可能なGRCツールです。リスクの予測分析や内部監査・ポリシー管理などの機能が豊富に実装されています。
必要に応じて柔軟に機能を追加できるモジュール形式なので、環境やニーズに合わせてカスタマイズしやすいのもメリットです。複数の業務領域を統合し、全体のリスクおよびコンプライアンスの状況を一元管理できます。異なる分野でもデータの一貫性を維持できるため、多くの業務領域を抱える大企業におすすめできます。
SAP GRC
SAP GRCは、ビジネスにおけるGRCの再創造に寄与する、包括的なプラットフォームです。内部監査人協会を中心に推奨されている「3層防御モデル」を採用しているのが特徴で、オペレーションとリスク管理・法令順守・内部監査を連携できます。
業務上のタスクと意思決定の自動化に役立つ機能が多く、継続的な統制モニタリングにより業務プロセスを可視化できます。変化し続ける規制要件や地政学的リスク、市場環境の変化など、さまざまな要因を加味してグローバルトレードを最適化できるのが特徴です。海外の企業と頻繁にやりとりする企業は、ぜひ導入を検討してみましょう。
ARCHER
Archerは、幅広い業務領域に対応する機能モジュールを備えており、必要なものを選択して導入できます。リスクに関する情報の収集・一元管理が可能で、すべてのリスクデータを可視化できるので、安全な業務運営が可能になります。
GRC活動を統合的に管理できる機能群であり、セキュリティリスクの低減や法規制の順守、内部統制の強化が可能です。収集した情報をもとにリスクが影響を与える業務をマッピングし、経営上の意思決定に寄与する機能も有しているのが特徴です。IT資産のライフサイクル管理や各種監査業務にも活用できます。
Diligent
Diligent Oneは、監査管理機能や内部統制管理に関する機能が充実している、GRCプラットフォームです。ダッシュボード上ですべての監査および改善の状況を、リアルタイムで「見える化」できます。戦略的に優先度の高いリスクに監査を集中させ、発見したすべての調査結果を統合し、改善の取り組みを追跡します。
また、事前に構築した規制・統制のコンテンツを使用し、短時間でコンプライアンスの実証が可能です。KPIやKRI(重要リスク指標)といった指標を監視して異常値を見分けられるのも特徴で、一定の基準を満たした場合にアラートで通知します。
A1 Tracker
A1 Trackerは、企業を取り巻くリスクを効率的・効果的に管理し、法規制の順守に役立つ統合プラットフォームです。リスク管理とコンプライアンスの管理に関する豊富な機能が実装されており、ワークフローの自動化もできます。
さらに契約管理に関する機能もあり、契約の作成・承認・更新など、一連のライフサイクル管理も可能です。契約の期限やマイルストーンに関する通知機能もあるので、契約にかかる業務の効率化を目指す企業は導入を検討してみましょう。
MetricStream GRC Platform
MetricStream GRC Platformは、将来を見据えたリスクの可視化によりビジネス目標や投資に与える影響を加味した、統合リスク管理プラットフォームです。ビジネス環境の変化によって進化する規制要件をモニタリングし、コンプライアンスの状況や改善点の把握が可能です。
監査計画の作成やスケジュール管理に加えて、IT環境におけるリスクの識別やツールのマネジメントにも対応しています。豊富な機能と柔軟なカスタマイズ性が強みで、セキュリティを担保した事業運営と市場競争力の強化に役立ちます。
LogicManager
LogicManagerは、多くの業界で導入されているリスク管理プラットフォームで、豊富なGRC機能を利用できます。ガバナンス領域と核となる業務システム全体で相互接続できるように、特別に設計されているのが特徴です。
内部監査や情報セキュリティ、ベンダー管理などを複数の機能を有機的に結びつけることで、リスクの高い領域を特定できます。部門間のコラボレーションを促進するとともにリスクの状況を詳細に分析できるので、戦略的なリソースの割り当てが可能です。専門のリスク管理コンサルタントによる丁寧なサポートを受けられるのも魅力です。
GRCツール比較【ERP連動型】
続いて、ERPと連動したGRCツールを紹介します。モジュールとして導入すればリスク管理やコンプライアンス管理が可能になるので、ERPの導入も検討しているならば選択肢として考えてみましょう。
Oracle Fusion Cloud ERP - 日本オラクル株式会社
Oracle Fusion Cloud ERPはプロジェクト管理を中心に、人事や財務などの業務プロセスを統合管理できるクラウドベースのERPです。企業内のさまざまな業務データを一元的に管理し、リアルタイムなデータ分析を可能にします。
モジュールの導入によりGRCツールとしての活用も可能で、監査管理機能やコンプライアンス管理機能・内部統制を強化に役立つ機能などが利用できます。必要なモジュールを任意に組み合わせて運用できるので、環境やニーズにしたがって、機能を追加・カスタマイズできるのが特徴です。
GRCに加えて効率的なビジネスプロセスの管理・運用や、データドリブンな意思決定ができる環境の構築を目指す企業は、導入を検討してみましょう。
GRCツールの導入メリット
GRCツールを導入するメリットについて詳しく解説します。
リスクへの対応力の向上
GRCツールは、リスクの特定から対応策の実行、結果の追跡までを一連のプロセスとして管理できるため、組織としてのリスク対応力が飛躍的に向上します。リスクの早期検知と迅速な対応が可能になることで、重大なインシデントの発生を未然に防ぐことが期待できます。
さらに、リスクに関するデータを蓄積し、将来的な予測や戦略にも活用できる点が大きなメリットです。
コンプライアンスの徹底と法令順守の強化
法規制や業界基準の変化に迅速に対応できる体制を構築するうえで、GRCツールは非常に有効です。ポリシーの管理や監査対応、教育・啓発活動などを効率化できるため、コンプライアンス違反のリスクを大幅に低減できます。企業の社会的信用を守るうえでも、GRCツールの導入は大きな意味を持ちます。
業務の一元管理による効率化
GRCツールを導入することで、これまで部門ごとに個別に管理されていたリスク情報やコンプライアンス関連のデータを、一元的に管理できるようになります。これにより、情報の重複や見落としを防止し、組織全体の業務効率が大幅に向上します。また、管理業務の標準化が進むことで、担当者の属人化を防ぎ、持続可能な運用体制を構築可能です。
意思決定の質とスピードの向上
GRCツールは、リアルタイムでの情報可視化や分析機能を備えており、経営陣が状況を迅速に把握できるようになります。これにより、変化の激しいビジネス環境下においても、的確な意思決定が可能になります。経営と現場の情報格差を埋め、全社的な方向性を共有する情報基盤としても有効です。
企業ガバナンスの強化
ガバナンスの強化は、企業の持続的成長と社会的信頼の確保に不可欠です。GRCツールを導入することで、役員や経営陣が組織の統制状況を把握しやすくなり、責任の所在も明確になります。組織全体として透明性が高まり、内部不正の抑止や倫理的経営の推進にもつながります。
GRCツール導入のデメリット
GRCツールの導入には多くのメリットがある一方で、次のデメリットがあります。事前にきちんと対策を立てておき、計画的に導入を進めることが大事です。
徹底したニーズの洗い出しが必要
GRCツールはほかのツールやシステムの導入以上に、徹底した自社ニーズの洗い出しが必要です。ほかのシステムに比べて新興のツールであり、まだ国内ベンダーが提供する製品・サービスが少ないです。ニーズに合ったものを慎重に選択しなければ、ミスマッチが発生するケースが少なくありません。
さまざまな機能が豊富に実装されているツールが多いものの、自社の環境に合っていなければ現場の担当者が使いこなせない可能性があります。事前に必要な機能をしっかりと洗い出し、どのGRCツールが環境に合っているか慎重に検討しましょう。
運用体制の構築に時間がかかる
確実にデータを収集・活用するためには、単に優れたシステムを導入するのみならず、運用体制の構築と改善が欠かせません。GRCの管理体制に関するPDCAを回し続け、自社に最適な体制を構築するまでには時間がかかります。
効果的なリスク管理とコンプライアンス管理のためには、適切なリソースを確保しつつ慎重な導入計画を立てるとともに、導入後に改善を積み重ねましょう。サービスベンダーのサポートも、積極的に活用することが大切です。
GRCツールで企業の信頼性を高めよう
GRCツールは「ガバナンス」「リスク管理」「コンプライアンス」の強化を図れるツールであり、海外ベンダーを中心に、さまざまな製品・サービスが登場しています。日本のベンダーの製品も徐々に増えているため、複数のツールの強みや特性を理解したうえで、自社に合ったツールを選択しましょう。
導入するGRCツールを選ぶ際には、次のポイントを意識することが重要です。
- 導入目的の明確化
- 機能の適合性と拡張性
- 操作性とユーザビリティ
- 法規制や業界基準への対応
- 既存システムとの連携性
- サポート体制と導入実績
GRCツールをより深く検討したい方は、各サービスの資料を請求し、比較してみるとよいでしょう。