出荷作業を改善するメリットと8つの方法、よくあるミス
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出荷作業でミスが起こりやすい工程
物流現場において、出荷作業は複数の工程で構成され、各段階で高い精度が求められます。特に次の3つの工程では、ミスが発生しやすく、業務効率と顧客満足度に直結する重要なポイントです。
- 受注情報の確認・管理
- ピッキング
- 梱包・発送
受注情報の確認・管理
受注情報の確認・管理は、出荷作業の最初の工程であり、この段階でミスが発生すると後続の工程に大きな影響を与えます。
特に、情報の手入力やシステムへのデータ移行時にミスが発生しやすいです。また、繁忙期のような、多くの受注情報を処理する場合にミスが起こりやすくなります。
この工程でよくあるミスは、数量の誤記入、商品コードの入力ミス、配送先情報の不備や誤りなどが挙げられます。
このようなのミスは、誤出荷や配送遅延につながり、顧客満足度の低下や信頼喪失につながる恐れがあります。
ピッキング
ピッキングは、倉庫内から必要な商品を集める作業です。作業員の経験や習熟度に依存する部分が大きく、ミスが発生しやすい工程です。
特に、類似商品が多い場合や、倉庫の整理整頓が行き届いていない場合に、商品の取り違えや数量の間違い、棚番の見誤りなどが起こりやすいです。
このようなミスは、誤出荷や在庫差異につながり、商品配送の遅延やそれに伴う在庫管理コストの増加などの問題に発展しかねません。
梱包・発送
梱包・発送は、ピッキングされた商品を梱包し、配送業者に引き渡す作業です。複数の作業員が関わる場合があり、連携不足や確認不足によってミスが発生しやすい工程といえます。
特に、急ぎでの出荷依頼が多い場合や、梱包資材が不足している場合にミスが起こりやすくなります。
この工程でよくあるミスは、同梱物の入れ忘れや配送伝票の貼り間違い、梱包の不備などです。
これらのミスは、誤出荷や配送遅延、個人情報の漏えいにつながる恐れがあり、顧客からのクレームや返品、再送など、重大なミスに発展する恐れがあります。
出荷作業を改善する3つのメリット
出荷業務の改善を図ることで、物流改善だけではなく、企業全体の業績向上にもつなげられます。
具体的には次の3つのメリットが期待できます。
- 顧客満足度の向上
- 業務効率化とコスト削減
- コア業務に集中できる環境づくり
メリット1. 顧客満足度の向上
出荷作業の改善によりミスが削減できることで、顧客からのクレームや返品対応が大幅に減少するなど顧客体験が向上し、顧客との良好な関係を維持できるようになります。
顧客ロイヤルティが向上し、リピート率の改善とLTV(顧客生涯価値)の上昇につながります。さらに、満足した顧客からの口コミ効果が広がり、信頼性の高い企業としての市場評価を獲得することで、長期的なブランド価値向上にも貢献するでしょう。
正確な出荷体制の構築は、業務改善だけではなく、収益向上に直結する顧客体験価値の創出となります。
メリット2. 業務効率化とコスト削減
出荷作業を改善することで、業務効率化や人件費の削減も期待できます。作業手順の見直しやマテハン機器の導入による改善を図ることで、作業効率の大幅な向上につながります。
また、ミスが減少することで、不良在庫や誤出荷による再送、回収費用、それにかかっていたリソースが不要になりコストや人件費を抑えられます。
さらに、削減できたコストをほかの業務に投資することで、さらなる生産性向上にも貢献できるでしょう。
メリット3. コア業務に集中できる環境づくり
出荷作業に多くの時間や労力を費やしている場合、本来注力すべきコア業務に十分なリソースを割けていないことも少なくありません。
出荷作業を改善して効率化することでコア業務に集中できる環境が整い、より付加価値の高い業務に時間を使えるようになります。
新商品開発やマーケティング戦略の立案など、企業の成長に直結する業務に取り組めることで、企業の競争力強化につながります。
出荷作業を改善する8つの方法
出荷作業を改善する具体的な方法を8つ紹介します。
方法1. 業務の標準化とマニュアル作成
業務の標準化とは、作業の手順や方法を統一し、担当者が誰であっても一定の品質を維持できるようにすることです。業務を標準化したうえで、作業内容、手順、注意点などを明確に記述したマニュアルを作成しましょう。
業務を標準化しマニュアルを作成することで、作業品質のばらつきを抑え、ミスを削減できます。新人の教育期間を短縮したり、作業効率を高めたりする効果も期待できます。
方法2. 倉庫管理への5S導入
5Sとは、「整理・整頓・清掃・清潔・躾」の5つの頭文字「S」を取った職場環境改善の基本原則です。
倉庫管理における5Sとは、不要なものを処分し、必要なものを整理整頓し、清掃を行い、清潔な状態を維持し、決められたルールを守ることを意味します。
5Sを導入することで、作業環境が改善され、安全性も向上します。物の探しやすさや取り出しやすさが向上し、作業効率も高まるでしょう。
方法3. マテハンの導入
マテハンは、マテリアルハンドリングの略で、物流現場における運搬、保管、仕分け、ピッキング、梱包などの作業を効率化するための機器やシステムのことです。
具体的には、フォークリフトやパレットなどが挙げられます。
適切なマテハンを導入することで、作業の自動化や効率化が進み、作業時間短縮や省人化が実現します。作業員の負担軽減や作業精度の向上にもつながるでしょう。
方法4. 倉庫ロケーションの見直し
倉庫ロケーションとは、倉庫内における商品の配置場所のことです。商品の特性や出荷頻度などを考慮し、最適な配置場所を決めましょう。
たとえば、出荷頻度の高い商品は出口に近い場所に配置したり、類似商品は近くに配置したりします。
倉庫ロケーションを見直すことで、ピッキング作業の効率が向上し、作業時間を短縮できます。作業員の移動距離を短縮したり、探し物の時間を削減したりする効果があり、倉庫全体の作業効率の向上が可能です。
方法5. ピッキング方法の見直し
ピッキング方法はシングルピッキングとトータルピッキングの2種類に分けられます。シングルピッキングは、1つの注文に対して作業員が倉庫内を回り、必要な商品をピッキングする方法です。
トータルピッキングは、複数の注文の商品をまとめてピッキングし、後で注文ごとに仕分ける方法です。
シングルピッキングは比較的シンプルな作業手順で、少量多品種のピッキングに適しています。作業員は注文リストに従って商品を順番に集めていけば良いため、特別なスキルや設備は必要ありません。
トータルピッキングは、大量の注文を効率的に処理するのに適しており、作業効率を高められます。複数の注文を同時に処理することで、作業員の移動距離を短縮したり、ピッキング回数を減らしたりできます。
ただし、ピッキング後に仕分けをするためミスが起きやすく対策が必要です。
方法6. 人材配置の見直し
人材配置とは、作業員の能力や適性に合わせて適切な部署や作業に配置することです。適材適所の人材配置を行うことで、作業効率や品質の向上を図れます。
たとえば、経験豊富な作業員を重要な工程に配置したり、体力のある作業員を運搬作業に配置したりします。
人材配置を見直すことで、各作業員の能力が最大限に発揮され、組織全体のパフォーマンス向上が可能です。作業員のモチベーション向上や定着率向上も期待できます。
方法7. 適正在庫の維持
適正在庫とは、過剰在庫や欠品を起こさない適切な在庫量のことです。需要予測や販売計画に基づいて適切な在庫量を維持することで、在庫コストを削減し、顧客への配送遅延を防げます。
適正在庫を維持することで、保管スペースの有効活用や在庫管理コストの削減が可能です。欠品による販売機会損失を防ぎ、顧客満足度向上にも貢献します。
適切な在庫管理は、企業の収益性だけでなく、顧客からの信頼にも影響します。
方法8. 在庫管理システムや倉庫管理システムの導入
在庫管理システムとは、在庫情報を一元管理するためのシステムです。商品の入出庫情報、在庫数、ロケーション情報などをリアルタイムで把握できます。
バーコードやRFIDなどの自動認識技術と連携することで、より正確かつ効率的な在庫管理が可能です。
在庫管理システムを導入することで、在庫管理業務の効率や精度が向上します。人手による作業を削減し、ヒューマンエラーを防止する効果があるためです。
さらに、在庫管理だけでなく、倉庫や配送センターでの業務を効率化したい場合には、倉庫管理システムの導入がおすすめです。
倉庫管理システムは、倉庫全体の管理を行うもので、在庫管理はもちろん、倉庫内の人員配置や設備管理まで幅広く対応できます。
出荷作業の改善には倉庫管理システムが役立つ
出荷作業でミスが発生すると、誤出荷や配送遅延といった問題が発生し、顧客からのクレームや信頼失墜につながります。出荷作業を改善することは、企業の収益向上や競争力強化に大きく貢献します。
出荷作業の改善を考えるうえで、軸となるのが倉庫管理システムです。
こちらの記事ではおすすめの倉庫管理システムを紹介しています。倉庫管理システムに興味がある方、出荷作業のミスに悩む方は、ぜひお読みください。
