資産除去債務とは?仕訳方法を具体例で解説 – 固定資産購入時など

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「資産除去債務」を聞いたことはありますか?簡単にいうと、資産の耐用年数が過ぎたときに処理する経費を、資産購入時に計上してしまおうということです。

「資産除去債務」は勘定科目のひとつですが、経理の方でも聞いたことがないという方もいらっしゃるでしょう。使う機会はあまり多くはありませんが、いざという時に必要な勘定科目、資産除去債務について解説します。

資産除去債務とは

定義

「資産除去債務」とは財務会計基準では次のように規定されています。

(1) 有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるものをいう。

(2) 有形固定資産の「除去」とは、有形固定資産を用役提供から除外することをいう。除去の具体的な態様としては、売却、廃棄、リサイクルその他の方法による処分等が含まれるが、転用や用途変更は含まれない。また、当該有形固定資産が遊休状態になる場合は除去に該当しない。

簡単に言えば、その資産の耐用年数が過ぎて処理するときに経費が必要だとわかっているなら、その資産を購入した時に処理費用も計上しちゃいましょうということです。

どのような固定資産に適用されるの?

ここでいう資産除去債務による処理が必要な固定資産とは、実際どういうものがあるのでしょうか。具体的には建物の解体、修繕費用、工場建築による土壌汚染、アスベスト除去費用などがあげられます。なかでも最初の建物の修繕費用はかなり身近なものではないでしょうか。


固定資産についてより詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。固定資産管理についてを中心にそれらの概要を説明しています。

またこちらの記事では固定資産管理のシステムを具体的に解説しています。実際に固定資産管理をしたい方には、比較などができおすすめできる記事になっています。

資産除去債務の仕訳

それでは資産除去債務を実際に会計処理するとなったらどうすればいいのでしょうか。実際の仕訳について例を挙げながら、固定資産購入時、決算期末、固定資産廃棄等の3つのフェーズに分けて紹介します。

固定資産購入時の仕訳

では実際に有形固定資産を購入したとして、仕訳処理をしてみましょう。
例. 事業用機械100万円(耐用年数7年)を現金で購入。購入時の資産除去債務費用は10万円

借方科目金額貸方科目金額
機械装置1,081,300現金1,000,000
資産除去債務81,300

資産除去債務は将来(ここでは10年後)に支払わなければならない費用になるので、今記帳する際には将来のキャッシュフローを現在価値に割り引く作業が必要になります。詳しいことは省きますが、割引率3%で1,000,000/(1+0.03)7 で81,300円が資産除去債務となります。

決算期末の仕訳


では次にそこから7年後までどのように計上していけばいいのか紹介します。

借方科目金額貸方科目金額
減価償却費154,472減価償却費累計154,472
利息費用2,439資産除去債務2,493

大きく2つの項目があります。
原価償却については1,081,300円の機械を7年で減価償却するので

1,081,300÷7=154,472円

を毎年計上します。

資産除去債務については購入時には将来の費用を割り引いた金額しか計上してないので、今後も毎年計上します。金額については購入時の資産除去債務81,300円に割引率をかけて

81,300×0.03=2,439円

になります。
・2年目以降

借方科目金額貸方科目金額
減価償却費154,472減価償却費累計154,472
利息費用2,512資産除去債務2,512

減価償却費はずっと変わりませんが、資産除去債務の計算が少し変わります。
2年目の資産除去債務は1年目に支払った金額も含めて

(81,300+2439)×0.03=2,512

となります。3年目以降も同様に計上していきます。

除去時の仕訳

借方科目金額貸方科目金額
資産除去債務100,000現金110,000
履行差額10,000

実際の除去価格が当初想定していた金額と違ってしまうことはありうるでしょう。その時は履行差額としてその差を調整します。

除却処分を行った場合の仕訳

固定資産を除却処分したときの仕訳について説明します。除却とは固定資産を廃棄するのではなく、倉庫などにしまって使えない状態にすることを指します。

借方科目金額貸方科目金額
資産除去債務1,081,300有形固定資産1,081,300

なぜ資産除去債務の仕訳が必要なの?

この資産除去債務のような考え方はもともと日本にはなく、国際会計基準で定められていたものでした。グローバル化が加速するなかで、日本ローカルのルールも徐々に国際基準に準ずるものに変更されているようです。

また、除去時に一気に費用がかさむことを抑えられるという意味でも、従来の手法と比べてもメリットがあることは間違いないでしょう。

クラウドサービスで簡単に仕訳可能!

こういった仕分け作業、正直言って面倒ですよね。新たにものを購入したら、それをどう会計上処理すればいいのかわからないということも多々あると思います。しかし、今はクラウドの会計サービスを利用することで、そんな手間も一気に解消できるようになっています。

今までやったことがないから仕訳の仕方がわからない、基準が変わってしまいどうすべきか困っていると、いった悩みも解決してくれます。気になった方はぜひそれらのサービスもチェックしてみてください。

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