ユーザビリティとは?定義・メリット・デメリット - 利用者目線の品質がCSと業績アップに貢献する
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ユーザビリティとは
ユーザビリティとは、製品やソフトウェアなどの「使いやすさ」や「使い勝手」の程度を示す概念であり、「利用品質」や「利用性」と呼ばれることもあります。
しかし、「使いやすい」「使いにくい」や「使い勝手が良い」「悪い」といった表現では、利用者にとってやや抽象的に感じられるかもしれません。
ユーザビリティの定義
日本工業規格のJIS Z8521はユーザビリティを次のように定義しています。
ある製品が、指定された利用者によって、指定された利用の状況下で、指定された目的を達成するために用いられる際の、有効さ、効率および利用者の満足度の度合い。
つまり、ユーザビリティとは、不特定多数ではなく特定の利用者にとっての、ある特定の状況下での使いやすさの程度を示します。そして、その製品が特定の目的で使用される場合、ユーザビリティは有効さ・効率・利用者の満足度という3つの要素によって定義され、評価されるものといえるでしょう。
「有効さ」とは、目的の作業をどれだけ達成できるか、「効率」とは作業をどれだけ短時間で行えるか、「満足度」とは再度使いたいと思えるかどうか、という意味です。
たとえば、ある製品が対象とする利用者にとって、目的を確実に達成でき、作業を短時間で行え、さらに再度使いたいと強く感じるほど、その製品のユーザビリティは高いといえます。
なぜユーザビリティが必要なのか、重要なのか
ユーザビリティは製品品質を示す概念の一つですが、製造上でいう製品品質とは少し異なります。製造現場の品質管理では、設計仕様通りに製造されているか、設計された機能や性能が十分に発揮されているかが重視されます。
つまり、製造上の製品品質は製造側の視点からの品質であるといえるでしょう。
他方、ユーザビリティは製造上の製品品質とは異なり利用者の視点に立った新しい製品品質です。機能や性能の面では問題がない、クレームとならない製品でも利用者にとって目的の機能を発揮させるのに手間がかかる、わかりにくいようでは利用者の満足は得られません。
また、利用者が製品に対して製造側の想定外の操作を行い簡単に故障してしまうようでは利用者の製品に対する信頼感は低下してしまいます。
つまり、利用者にとってはそれらの製品は使いにくい、使えない、利用したくない、ユーザビリティの低い製品として評価され販売に大きく影響する可能性が出てきます。
機能や性能、耐久性、信頼性といった機能中心の設計から、利用者視点の人間中心設計への転換が求められる中、ユーザビリティの重要性も高まっています。
ユーザビリティを重視することにより得られるメリットとは?
2002年度に経済産業省が行った「人間生活指向型製品の製造・販売に係る経済的効果などに関する調査研究」の調査結果からユーザビリティのメリットが読み取れます。
これは生活者にアンケートを行い、「家庭の中で使いやすく、優れている」とされた106製品(回収ベース)について、当該各企業へアンケート調査された結果のことです。
ユーザビリティがもたらす利用者側のメリット
ユーザビリティを重視した製品を利用すると、利用者にはさまざまなメリットがあります。経済産業省の調査結果によれば、従来品と比べて次のような利点が期待できます。
- 機能や性能の改善や革新
- 機能や性能に対するコストの削減、省エネ化の向上
- より短時間での操作、より簡単な操作
- 設置や収納に必要なスペースの削減
- 操作による身体的・精神的負担の軽減、操作の快適性の向上
従来品と比べて機能や性能が向上したり、イニシャルコストやランニングコストが下がったりすれば、利用者の満足度も高まります。また、電源投入後すぐに操作できるようになったり、より簡単に操作できたりすることで、利用者はより満足感を得られるでしょう。
そのほか、従来品より小型化され、設置や収納に必要なスペースが少なくて済めば、さらに便利に感じられるでしょう。ユーザビリティの内容により利用者はさまざまなメリットを享受できます。
ユーザビリティがもたらす提供者側のメリット
ユーザビリティを重視した製品を提供する企業のメリットとしては、まず売上アップが期待されます。アンケート調査の結果では、各企業の販売前の予想よりも売上数量が約30%アップしたと報告されています。
また、利益率の向上も同様に期待できます。各企業のこれらの製品は、従来製品と比べて、営業利益率(販売初年度)が全体の平均で4.4ポイント増加しています。
ほかには「企業イメージ・ブランドイメージが向上した」と回答した企業が全体の約88%もおり、イメージアップも期待されます。
ユーザビリティを重視した製品でないと利用者から多くの支持は得られない!
他社と同じような機能や性能を持っているだけでは、利用者から大きな支持を得ることは難しいでしょう。
しかし、他社が気づいていない「使いやすさ」の点で差別化できれば、多くの支持を得られる可能性があります。自社製品のユーザビリティを追求し、それを製品に反映できれば、競争優位に立ち、業績の向上も期待できるでしょう。
ユーザーの満足度を向上させるためには?
ユーザーのユーザビリティも重要ですが、他にも改善すべきポイントは多くあります。次の記事で紹介している顧客満足度向上のポイントを押さえて、製品の改善に努めましょう。
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