購買管理とは - 5原則と業務内容、システムの機能を紹介
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- 購買管理とは
- 購買管理と調達の違い
- 購買管理と販売管理の違い
- 購買管理の5原則
- 信用できる取引先を選ぶ
- 適切な品質か確かめる
- 適切な数量を設定し、確保する
- 納期を適切に管理する
- 適切な価格で購入する
- 購買管理の必要性
- 資材原価を下げられる
- 生産効率が向上する
- 購買管理の業務内容と業務フロー
- 1. 購買計画
- 2. 仕入れ先の選定・見積り依頼
- 3. 価格や品質・納期の比較
- 4. 発注・入荷
- 5. 検収・支払
- 6. 保管・移動
- 7. 出荷・納品
- 8. 棚卸管理
- 購買管理における内部統制の実施
- 1.購買基準の明確化
- 2.購買管理規定とルールの設定
- 3.発注者と支払担当者をわける
- 購買管理を行うポイントや注意点
- 購買の担当者は定期的に配置換えする
- 第三者によるチェック体制を構築する
- 購買データは一元管理する
- 購買管理のシステム化
- 購買管理システムとは
- 購買管理システムの代表的な機能
- 管理状況の可視化
- 仕入先の管理
- 仕入れのプロセス管理
- 納品書・請求書の自動作成機能
- 原価管理機能
- 納期管理機能
- 購買先別や商品別の売上統計
- 品質管理機能
- 支払管理機能
- 他の基幹システムとの連携機能
- 購買管理システムでミスを減らしスピードも改善
- BOXILとは
購買管理とは
購買管理とは、材料や部品を購入した際「適切な品質のモノ」を「適切な量」だけ「適切な価格」で購入し、「必要な部署へ届ける」までを管理し、効率的な業務をサポートすることです。購買管理を適切に行うことによって、必要なモノが足りず企業活動が滞る事態を防げます。また綿密に購買計画を管理することで、安定した経営を実現可能です。
購買管理と調達の違い
購買は「商品の購入」に関する概念である一方、調達とは、レンタルやリースなど商品購入以外も含んだ概念です。「購買」=「調達」ではなく、「購買は調達の一部」と考えるとよいでしょう。
購買管理と販売管理の違い
販売管理とは、「企業活動において発生した販売活動を管理すること」であり、販売についての管理が販売管理の役割です。
しかし、業種によっては、商品を販売するための仕入れが必要であり、この場合仕入れに関する業務は購買管理として扱われます。販売のために購入が必要な業種においては、「購買管理は販売管理の一部である」と考えるとよいでしょう。
購買管理の5原則
購買管理を適切に行うためには、次の5つの原則を守ることが大切です。
- 信用できる取引先を選ぶ
- 適切な品質か確かめる
- 適切な数量を設定し、確保する
- 納期を適切に管理する
- 適切な価格で購入する
信用できる取引先を選ぶ
購入先は信用できる会社を選びましょう。経営状態が悪い取引先を選んでしまうと、企業活動を妨げられる可能性があります。
たとえば、納期が遅れてしまったり、倒産によって商品が届かなくなったり、悪影響が生じることもあるでしょう。そのため料金や納期、サービス内容だけでなく、実績や経営状況などを踏まえ、総合的に信頼できる会社を選ぶのが大切です。
適切な品質か確かめる
商品を購入する際は、品質のチェックも欠かせません。とくに大切なのは、料金に対する品質です。一般的に商品は品質が高いほど、高価になります。一方で料金が高ければ品質がよいとは限りません。
商品を購入するときは、事前に必ずクオリティをチェックしておきましょう。
適切な数量を設定し、確保する
商品の購入時は、欠品が出たり在庫が増えすぎたりしないよう適切な数量を発注しましょう。商品によっては、大量購入することで割引の対象になることがあります。
しかし安く購入できたとしても、在庫が残っては意味がありません。そのため過不足のない適切な数量を購入しましょう。
納期を適切に管理する
納期の管理も購買管理の大切な役割です。商品によっては、納品する商品を作るための材料の仕入れが必要です。もし、仕入れがうまくいかなければ、スケジュールが遅れる可能性をはらみます。
また取引先によっては、納期間近に遅れを報告することもあります。スケジュールの遅れは販売計画に影響を与えるため看過できません。そのため、納期管理を取引先に一任せず、進捗に問題がないか、発注者側も積極的に関与しましょう。
適切な価格で購入する
商品は適切な価格で購入しなければなりません。安くするために無理を強いると、相手の心象を損ねます。結果、納期が遅れたり商品の質が下がったりと望まない結果につながってしまうことも少なくありません。
スムーズな取引を実現するためにも、発注先にも無理のない適切な料金で購入するのが大切です。
購買管理の必要性
購買管理には必ず守らなければならないルールや規則が存在しません。上記で紹介した5原則もあくまで原則であり、法律で定められているものでもありません。しかし、購買管理は力を入れて取り組むことで、次のような大きなメリットが期待できます。
資材原価を下げられる
まず購買管理に取り組むと、より安く品質の高いものを仕入れやすくなるため、資材にかかる原価が下げられます。製造業(工場)のうち、とくに中小企業では製造原価に占める材料費がおよそ40~50%といわれています。
原価のほぼ半分を占める資材原価が下げられれば、利益を大幅に増やすことも可能でしょう。もちろん、価格は下げても品質を維持する必要はありますが、商品の価格を据え置きにしたまま、粗利の確保ができるのです。
生産効率が向上する
購買管理は、徹底的に取り組むことで生産効率も向上できます。購買管理に取り組むと、発注や入荷、保管、出荷といった工程にかかる時間が短縮できるからです。工場では、仕入れから製造、販売までがすべて1つにつながっており、生産管理のスタート部分である仕入れ・調達で業務が滞ると計画どおりに生産が行えません。
また工場以外でも、業務に必要な備品が不足すれば、通常業務がうまく進まないこともあるでしょう。しかし購買管理にしっかりと取り組み業務改善ができれば、スピーディーに仕入れが行えるため、生産性の維持はもちろん、製造業においては予定よりも早い納品すら可能になります。
購買管理の業務内容と業務フロー
購買管理は、物流の流れに沿って次のようなプロセスで行います。
- 購買計画
- 仕入れ先の選定・見積り依頼
- 価格や品質・納期の比較
- 発注・入荷
- 検収・支払い
- 保管・移動
- 出荷・納品
- 棚卸し管理
それぞれ具体的に説明しましょう。
1. 購買計画
購買を適切に管理するために、最初に計画を立てましょう。購入する商品や数量、納期を明確にすることで、スムーズに管理できるようになります。必要な商品と数量が決まり次第、仕入れ先の選定に入ります。
2. 仕入れ先の選定・見積り依頼
次に候補となりそうな仕入れ先をいくつかピックアップし、見積もりを依頼しましょう。候補を選ぶ場合は扱っている商品の種類や価格、実績、仕入れのルートなどの項目をチェックし、発注に問題がなく信頼性の高い企業を探します。
また複数の企業で見積もりを依頼すると、相場を把握しやすく、価格といった条件でネゴシエーション(交渉)を行いたい場合にも話を進めやすくなります。
3. 価格や品質・納期の比較
候補の仕入れ先から提出された見積もりやサンプルをもとに、価格や品質、納期といった項目で比較を行い、自社の規格に合っている企業や条件のいい企業を取引先として決定します。またこの時、必要に応じて2社購買を検討するといいでしょう。
2社購買とは、2社以上の企業から仕入れを行うことです。2社購買では、災害をはじめとする非常時でも供給がストップしにくく、2社の競合による安価な適正価格の実現といったメリットがあります。ただし、管理コストのアップといったデメリットもあり、メリットと比較して導入を検討する必要があります。
4. 発注・入荷
購入先が決定次第、商品の発注と入荷作業に移ります。
発注業務では、適切な取引を実現するために取引先と取引条件を確認します。このとき、発注後のトラブルを防止するために取引契約を締結することも、購買管理の重要な役割です。
具体的には、「取引期間や通常納期」、「支払い条件や検収方法」などを契約書類に明記し、問題がないか双方でチェックしましょう。
5. 検収・支払
検収業務は、発注した商品が正しく納品されたかを確認する作業です。
基本的には、取引契約に準じた方法で確認作業を行います。とくに、商品の数量や品質の確認は欠かせません。もし商品が間違っていたり、品質に問題があったりした場合は、速やかに代替品を送ってもらうように手配しなければなりません。
すべての商品の検収を済ませたら、契約にしたがって期日までに先方へ支払いを行います。企業によって、発注作業と支払い作業を同じ人物が担当することがあります。しかし、発注と支払いを同じ担当者が担うと不正が発生しやすいため、担当をわけるとよいでしょう。
6. 保管・移動
検収を終えた商品は、倉庫に移動させて保管します。すぐに必要とされている商品であれば、届けるのも購買管理の役割です。
他方、すぐに使わず保管する商品に関しては、品質の維持が必要です。商品によっては、保管場所を移動することもあります。このときに発生する「移動手段の確保」や「安全管理」も、購買管理の業務に含まれます。
7. 出荷・納品
顧客への納品が必要な商品は、納期に間に合うよう出荷手続きを行います。一般的に、出荷・納品業務は、購買管理ではなく販売管理の一環として行われます。そのため、購買管理担当者は販売管理の担当者に適切に状況を引き継ぐことが大切です。
8. 棚卸管理
企業によっては、仕入れた資材を保管する在庫管理を購買管理に位置づけることがあります。
とくに原材料のストックや売上が期待できる商品は、欠品させるわけにはいきません。そのため、経年劣化や管理不行き届きによって、商品に問題が生じていないか定期的にチェックする必要があります。
以上、物流プロセスにしたがって購買管理の内容を説明してきました。企業によって、購買管理を担う担当者の数や部署の数は異なります。また業種によって、適切な購買管理体制は異なります。そのため、企業規模や業種にあった体制を構築することが大切です。
購買管理における内部統制の実施
購買管理をスムーズに行うためには、適切な内部統制も欠かせません。内部統制がしっかりとできていなければ、必要以上にコストが発生したりミスが多発したりします。最悪の場合、不正行為を見逃してしまう可能性もあるでしょう。
こうした事態を防ぐためにも、次の3つを意識して内部統制を行うことが重要です。
- 購買基準の明確化
- 購買管理規定とルールの設定
- 発注者と支払担当者をわける
1.購買基準の明確化
購買を適切に管理するためには購買基準を明確にすることが大切です。
誰が担当者でも、同じ水準のものを同じような価格帯で購入できなければ、安定した企業活動ができません。そのため、商品の品質や仕様、取引先の選定条件など、購買に関する基準を定めておきましょう。
2.購買管理規定とルールの設定
購買基準の他には、購買管理規定やルールを定めるのがポイントです。
購買業務では、多額のお金を扱います。担当者によっては、取引先と癒着し、不正を働く可能性もあります。こういった場合に備え、「どのような行為が不正行為にあたるのか」、「不正行為を行ったらどのような不利益が生じるのか」をあらかじめ周知しておきましょう。
3.発注者と支払担当者をわける
発注者と支払担当者はわけるようにしましょう。
発注と支払を同じ担当者が担う場合、担当者1人の裁量で購買業務が進むため、第三者からの目がなくなり、経費の私的な利用や自身の利益を優先するといった不正が起きやすくなります。もちろん、規模の小さな企業は人材不足で担当者をわけるのが難しい面もあるかと思いますが、できる限り業務をわけることで、不正リスクが未然に防げます。
購買管理を行うポイントや注意点
購買管理を徹底的に行うためには、次のような点に注意して実施しましょう。
購買の担当者は定期的に配置換えする
購買の担当者を、定期的に配置換えを行うことでも不正リスクが未然に防げます。購買業務は金銭が絡む業務であり、長年業務を行っていると仕入れ先の担当者との関係性が深くなって不正をもちかけられるケースや、癒着するケースも少なくありません。
しかし定期的に人事異動を行い、担当者を変えると癒着を解消しやすく、後任の担当者によって不正も発見しやすくなります。
第三者によるチェック体制を構築する
担当者と関係のない第三者によるチェック体制を構築することでも、不正を見つけやすく、かつ未然に防ぎやすくなります。発注書や納品書といった書類に整合性や妥当性はあるか、仕入れ先から報酬を受け取っていないかなどを、審査できるよう組織づくりを行いましょう。
購買データは一元管理する
購買データは一元管理することで、業務の効率化が図れます。個人で管理されるとデータが共有されにくく、仕入れ先の選定や価格といった交渉を行う際に、余計に手間がかかる可能性があるからです。
またデータを集約して誰でも見られる状況すると、仕入れ先との癒着防止にも役立つうえ、業務のノウハウや仕入れ先の情報を他部署と共有し、有効活用できるといったメリットもあります。
購買管理のシステム化
購買管理では数多くのプロセスを適切に管理することが求められるため、購買管理システム・ソフトの導入を検討するのもおすすめです。もちろんExcelや紙でも管理は行えますが、作業範囲が幅広いため次のようなトラブルが生じることもあります。
- 欠品や過剰在庫など、適切な在庫管理ができない
- 過去の情報を確認しにくく、適切な価格で購入できない
- 煩雑な購入業務によってミスが生じやすい
これらの課題を解決するためには、管理の仕組みを整えることが何より大切です。しかし対応範囲が広く、日々業務に追われている現場では、十分な管理体制を築けないこともあります。こういった場合は、購買管理システムを利用するとよいでしょう。
購買管理システムとは
購買管理システムとは、購買管理を効率化するために開発されたシステムです。購買管理システムを導入することでペーパーレス化、定型作業の自動化、内部統制の強化といったメリットを受けられます。また、ほかの基幹システムと連携できればさらに効率化を見込めます。
購買管理システムの代表的な機能
続いて、購買管理システムの代表的な機能について紹介します。
管理状況の可視化
多くの購買管理システムでは、生産計画に沿って原材料や部品の発注をできているか可視化できます。
たとえば製造業であれば、事前の生産計画にしたがって「必要となる原材料や資材、あるいは各種部品」を「どの業者から購入するか」を決めておくことが必要です。そして購入する業者が決まり次第、購入のタイミングも決めなければいけません。
購買管理システムでは、これらのデータをまとめた購買計画書を作成する際の入力ミスを減らし、作成したデータを各部署で共有できます。
仕入先の管理
複数の取引先から原材料や資材を仕入れている場合、取引先ごとに購入履歴を管理する必要があります。取引件数によっては購入履歴が膨大になることもありますが、購買管理システムを導入していればデータ管理はもちろん、ヒューマンエラー防止にも役立ちます。
また、スムーズな企業活動を実現するためには、価格や品質はもちろん、納期を守る企業と取引しなければなりません。購買管理システムのなかには、取引履歴をもとに取引先を評価できるサービスもあります。取引先が優良企業であるか判断するのに役立つでしょう。
仕入れのプロセス管理
仕入れのプロセス管理とは、発注から検収までのプロセスを管理するための機能です。どの品物がどの段階にあるのかを可視化し、必要に応じて調整を促します。
届けられた商品の管理や検収も一元で管理可能です。部署ごとに担当者を用意しなければならなかった企業も、システムによって余分なリソースを割かずに済みます。
納品書・請求書の自動作成機能
購買管理システムを使えば、書類を簡単に生成可能です。納品書や請求書、発注書など、発注や納品のたびに必要となる定型業務を自動化します。また発注書や請求書の送付もれによる損失を抑えられるため、購買管理におけるミスを減らせます。
原価管理機能
購入履歴や契約によって、適正な契約価格の算定から取引価格の改定までを管理する機能です。データは取引先とのネゴシエーションで根拠として活用できるほか、利潤を最大化する方法を模索するのに役立ちます。
納期管理機能
納期管理機能は、仕入れの納期を管理する機能です。発注した商品が、スケジュールどおりに納品されているか管理できます。
また販売管理までカバーできるシステムであれば、出荷スケジュールをふまえた納期管理が可能です。万が一遅れが生じる場合でも柔軟に対処できるようになります。
購買先別や商品別の売上統計
商品別の売上を計算できるサービスもあります。売上データと仕入れデータを連動させることで、適正な仕入れ数を算出可能です。そのため、在庫管理に困っている場合、仕入れ数を最適化できるシステムを選ぶとよいでしょう。
品質管理機能
契約どおりの品質で商品が納品されているかを、ステータスとして可視化できる機能です。品質に問題があった場合でも、種類や数量を的確に把握できるため、スピーディーに購買先へ連絡することで被害を最小限に抑えられます。
国際的な品質管理の基準の1つである「ISO9001」では、購買において外部から提供される製品やサービスに対しても品質確保や対処が求められています。購買管理システムの導入で、企業にとっても重要な要素といえる購買の品質管理が的確にできるようになります。
支払管理機能
支払管理機能では、支払いデータや出金データを管理できます。システムによっては銀行と提携してネット上で金融手続を行えるものもあります。また購買管理システムの多くは発注から納品、支払いまでを一元管理可能です。
他の基幹システムとの連携機能
既存の在庫管理システムや生産管理システムと連携できるサービスがあります。また販売管理システムによっては、購買管理、在庫管理、生産管理など多くの業務をカバー可能です。
購買管理システムでミスを減らしスピードも改善
販売管理システムを導入することで、発注や検収、支払いなど、これまで人間の手でやっていた業務の多くを自動化できます。また他の基幹システムと組み合わせることで企業全体の業務プロセスも簡略化できるでしょう。本記事を参考に、ぜひ目的に合ったシステムの導入を検討してください。
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