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【2024年最新】改正電子帳簿保存法の不動産業界への影響は?変更点や注意点

最終更新日:(記事の情報は現在から52日前のものです)
電子帳簿保存法は2022年に大きな改正が行われたことで、不動産業界にも少なからず影響を与えることが考えられます。本記事では、改正電子帳簿保存法の変更点や不動産業界ならではの注意点を解説しているので、早めに適切な対策を講じましょう。

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)とは、国税関係の帳簿・書類を電子保存する際の要件がまとめられた法律です。

たとえば、電子帳簿保存法には、帳簿や書類をスキャナで電子化するのか、カメラやスマートフォンでの撮影でも可能なのかなど、具体的なルールが明文化されています。加えて、対象となる帳簿や書類の種類、金額、罰則なども記されているため、幅広い形式の帳簿や書類を扱う企業において確認は必須です。

電子帳簿保存法の改正点

電子帳簿保存法は1998年に制定され、これまでにも何度か改正が行われてきました。なかでも2022年の法改正は変更範囲が広く、さまざまな産業に大きな影響を与えると考えられています。2022年の主な改正点は次のとおりです。

  1. 税務署長の事前承認なしで電子帳簿の保存やスキャナ保存が可能になった
  2. 電子取引時の書類を紙ではなく電子データで保存することが義務付けられた
  3. 保存したデータの検索性を保つための要件が緩和された
  4. スキャナ保存後にタイムスタンプを付与しなければならない期限が延長された
  5. スキャナ保存の要件(解像度や階調など)や確認要件が緩和された
  6. 法に抵触した際の罰則が強化された

上記のうち、とくに2つ目の電子データ保管の義務化と、6つ目の罰則強化については注意が必要です。

法改正前は電子取引であっても紙に印刷して帳簿や書類を保管できていましたが、現在は電子データ化が欠かせません。また、隠蔽や仮装によって申告漏れが生じた場合、重加算税が10%加重されます。そのため、今回の変更点について正しい知識を押さえ、適切な運用を心がける必要があります。

不動産業界における電子帳簿保存法の対象となる書類

電子帳簿保存法には、「電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引」の3つの制度があり、それぞれ対象となる書類が異なります。各制度の対象書類は次のとおりです。

制度名 対象書類
電子帳簿等保存 ・総勘定元帳や仕訳帳など国税関係の帳簿
・貸借対照表や損益計算書などの決算書類
・注文書や請求書などの取引書類
スキャナ保存 ・注文書
・請求書
・契約書
・納品書
などの取引先がで発行した書類
電子取引 ・注文書
・請求書
・契約書
・納品書
などの電子取引で生じた書類

不動産業界であれば、賃貸借契約書や売買契約書、重要事項説明書などが該当します。不動産業界特有の書類は、いままで電子保存が認められていませんでしたが、2022年の法改正で対象範囲が広がり、上記のような書類の電子化が可能になりました。

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電子帳簿保存法の改正が不動産業界に与える影響

改正電子帳簿保存法が不動産業界に与える影響は、良い側面と悪い側面の両面から考える必要があります。想定し得るメリットとデメリットは次のとおりです。

  • 検索性の向上
  • 印刷費や印紙代などのコスト削減
  • 電子取引の機会増加による働き方改革の推進
  • BCP対策の強化
  • システム導入費や開発費の増加

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

検索性の向上

紙ベースの書類管理から脱却しデジタル化が進めば、情報の検索性が向上します。電子データは紙とは異なり、単語やキーワードなどで容易に情報を検索できるためです。

また、2022年の法改正で電子データ保存における検索要件が緩和されました。従来は電子取引時のデータを、一定の条件で検索できるよう保管する必要がありました。

しかし法改正後、電子帳簿等保存の制度内では検索要件を満たさずに済みます。検索要件を満たす帳簿に関しては、青色申告特別控除の適用(65万円)や過少申告加算税の軽減(5%)などの恩恵を受けられます。さらにスキャナ保存や電子取引についても、「取引日時や金額で検索ができる」といった簡易的な要件に変更されました。

いままでよりも運用しやすいルールのもと、情報の検索性を高められるのは不動産業界にとっても大きなメリットだといえるでしょう。

印刷費や印紙代などのコスト削減

電子帳簿保存法の改正に伴いペーパーレス化を進めることで、印刷費や印紙代などのコスト削減につながります。

不動産業界では、契約関係だけでも賃貸借契約書や定期借地権設定契約書、媒介契約書といった多数の書類を扱います。このような書類をすべて紙ベースで管理しようとすると、経費の増大や利益圧迫などの問題が生じがちです。

一方、帳簿や書類を電子化すれば、紙で出力する必要がありません。すると必然的に印刷や発送、印紙などの費用がかからずに済むため、経費削減に効果を発揮します。

電子取引の機会増加による働き方改革の推進

電子取引の機会が増えると働き方改革の推進にも寄与します。電子取引では、メールやチャットなどでインターネットを介してやり取りを行えるためです。

不動産業界では顧客や取引先と直に接する機会が少なくありません。しかし、電子データでのコミュニケーションを主軸にすれば、自宅や外出先からでもやり取りが可能になり、オフィスや店舗に出向く機会を最小限に抑えられます。より柔軟な働き方に対応することで、従業員満足度の向上や離職率の低下といったメリットが期待できるでしょう。

BCP対策の強化

改正電子帳簿保存法への対応により、BCP対策の強化につながることもあります。BCP対策とは、災害やネットワーク障害、サイバー攻撃などの脅威に対して、安定した事業継続を行うための備えです。

たとえば、大規模な地震や水害が発生すると、紙の書類が紛失したり情報の可読性が失われてしまったりと、さまざまな問題が起こります。一方、書類の電子化やデータのバックアップなどの対策を行っておけば、災害が起きた際でも必要な情報にアクセスできる可能性が高まります。

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システム導入費や開発費の増加

電子帳簿保存法が改正されると、システム導入費や開発費の増加などの負の側面が現れる可能性も考えられます。電子データの保存や管理には、ITツールの活用が必須だからです。

たとえば、さまざまな形式の電子データを一元管理するために、電子帳簿保存システムや文書管理システムを導入するケースもあるでしょう。環境によっては新旧のシステムを入れ替えたり、いちからシステムを開発したりすることも必要です。

システム導入や改修の範囲が広くなるほど高額なコストがかかるため、適用範囲の絞り込みや適正予算の検討など、早いタイミングで対策を立てておきましょう。

不動産業界で改正電子帳簿保存法に対応する際のポイント

不動産業界で改正電子帳簿保存法に対応するには、いくつか押さえておくべきポイントが存在します。各ポイントに沿って要点を解説します。

対策を行う前に各制度の要件を確かめる

電子帳簿保存法には、「電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引」の3つの制度がありますが、それぞれの要件をしっかりと確かめることが大切です。各制度には次のような要件が定められています。

  • 電子帳簿等保存:見読可能装置の備え付け、書類の即時閲覧が可能な環境整備など
  • スキャナ保存:期限内(2か月と7営業日)でのタイムスタンプ付与、一定水準(200dpi)以上の解像度での読み取りなど
  • 電子取引:検索機能の確保、真実性の担保など

上記のうち、真実性は自社または取引先がタイムスタンプを付与することで担保が可能です。タイムスタンプがない場合でも、修正・削除したデータの記録を残せるシステムがあれば認められます。

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取引内容を整理して対応範囲を定める

「電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引」の3つの制度に応じて、取引内容を整理することも重要です。社内の関係書類を洗い出し、それぞれどの制度に該当するかを確認しましょう。

不動産業界では数多くの書類を扱うため、一度にまとめて電子化するのは難しいものです。そのため、「最初は請求書や領収書から始める」といった形で、扱う機会が多い書類から順に対応範囲を広げていくと良いでしょう。

改正法に対応したシステムやツールを導入する

改正電子帳簿保存法に対応するには、次のようなツールが役立ちます。

ただし、なかには最新の電子帳簿保存法に対応していないツールも存在します。非対応のツールを利用すると、適切な形で書類を作成・管理できないため、最悪の場合は罰則対象にもなりかねません。価格や機能性を確認することも重要ですが、必ず改正電子帳簿保存法の対応可否を確認しておきましょう。

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電子帳簿保存法の改正点を踏まえて適切な対策を

2022年に法改正により電子帳簿保存法が大幅に改変されました。なかでも電子データ保管の義務化と罰則の強化には注意が必要です。

不動産業界では賃貸借契約書や売買契約書といった幅広い書類を扱うため、改正電子帳簿保存法に対する理解が欠かせません。ときにはツールの導入やシステムの開発を検討しなければならないため、適正な要件定義や予算設定も重要です。今回紹介した改正電子帳簿保存法のポイントを踏まえ、さっそくプランを検討してみてはいかがでしょうか。

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