個人間取引でも電子契約はできる?法人契約との違いや個人向けシステム

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- 個人間の電子契約は可能
- 法人間の電子契約との違い
- 個人間契約における契約書の重要性
- 個人間で電子契約なしに契約する際の課題
- 契約内容と異なる商品が届くことがある
- 代金の支払いでトラブルが発生しやすい
- 不当な評価が行われる
- 個人情報を相手に提供する情報リスクがある
- 配送時の責任の所在が明確ではない
- 個人間で電子契約を行うメリット
- 契約書作成の手間を最小限に抑えられる
- 契約内容を口頭ではなくデータとして残せる
- システム利用により高いセキュリティで情報を守れる
- 契約書で責任の所在を明確にできる
- 個人間で電子契約を行う場合の注意点
- 電子契約できない契約が存在する
- 契約件数の上限が少ない場合がある
- 機能に制限があることも多い
- 個人間の金銭消費貸借契約書も電子契約が可能
- 個人間で契約が無料でできる電子契約システム
- クラウドサイン
- 電子印鑑GMOサイン
- DottedSign(ドットサイン)
- ベクターサイン
- 貸し借りかんりくん - common株式会社
- 個人間の電子契約もシステムを利用して効率的に締結しよう
個人間の電子契約は可能
個人間の取引の契約の際にも、電子契約で締結が可能です。個人間契約はCtoC(Consumer to Consumer)契約といわれることもあり、副業やフリーランスの増加による個人間取引の拡大や電子契約の普及により個人間の電子契約も徐々に広がりを見せています。
個人間取引は、フリーマーケットへの出品やフリマサイトでの物品売買、自宅の一部や所有物件を宿泊施設として貸し出す民泊などが代表的な例です。これらの個人間で締結する契約が個人間契約であり、その契約を紙の契約書を使わず電子契約を用いて締結する動きが拡大しています。
法人間の電子契約との違い
法人間契約と個人間契約において、電子契約のプロセスの違いはとくにありません。法人契約のみに適用される法令やルールが一部あるものの、おおまかな点では法人契約と個人間契約で違いはないと考えて電子契約を行いましょう。
個人間契約における契約書の重要性
契約は書面や電子契約による契約書の作成を行わずとも、口頭での口約束でも成立します。ただし、一般的に口約束で行われた契約は反故にされることも多く、法人契約ではリスク管理の観点から契約書を取り交わすことが一般的です。
本来は個人間契約においてもリスク管理の観点から契約書を取り交わすことが理想的です。しかし、契約書締結のハードルの高さから契約書を取り交わさずに契約(約束)を行い、あとからトラブルに発展するケースも多いでしょう。このようなトラブルの際もスムーズに解決できるよう、個人間であってもできるだけ契約書は取り交わすことをおすすめします。
個人間で電子契約なしに契約する際の課題
個人間で電子契約なしに契約をすると、次のような課題に悩まされます。
- 契約内容と異なる商品が届くことがある
- 代金の支払いでトラブルが発生しやすい
- 不当な評価が行われる
- 個人情報を相手に提供する情報リスクがある
- 配送時の責任の所在が明確ではない
契約内容と異なる商品が届くことがある
個人間取引でよくあげられるトラブルの代表例ともいえるものが、契約内容と異なる商品が手元に届いたというものです。これに準ずるトラブルとして次のようなものが考えられます。
- 写真で表示されていたものより明らかに品質の劣るものが届いた
- パッケージのみが届き、必要な中身が届かなかった
- 化粧品や医薬品に効果がなく、中身がすり替えられた偽物の可能性がある
このようなトラブル発生時に取引相手が不誠実な対応を繰り返すことで、泣き寝入りせざるを得ない状況になった方は少なくないでしょう。商品発送者の故意か過失かにかかわらず、このようなトラブルは個人間取引では発生しやすく、大きな課題として考えられています。
代金の支払いでトラブルが発生しやすい
個人間取引では代金の支払い時にもトラブルが発生しやすいです。商品を適切に発送したものの、購入者が支払いを行わずに商品のみを持ち逃げされる例は多いです。また、支払いの意思がある様子だとしても、当初設定していた価格よりも安い価格で購入をしようとしたり、なんとか値引きさせようと商品にクレームを入れられたりするケースも散見されます。
商品購入後・発送後の不当な値引きを抑止する方法がないため、販売者側の視点で考えても個人間取引には課題が多いといえます。
不当な評価が行われる
個人の取引アカウントに対して、不当な評価を行われる可能性があることも、個人間取引の課題とされています。インターネット上で互いに顔が見えない個人間取引では、個人の所有するアカウントの評価が取引の判断材料として重要です。そのアカウントの評価を不当に行われることで、評価を受けた側は取引が行いにくくなることが懸念されます。
不当な評価が行われる理由としては、次のようなものが考えられるでしょう。
- 購入者が勝手に想定した日程での発送が行われなかった
- 購入者の無理な値引きやサービス要求に応えなかった
- 中古品の販売であると伝えていても双方の商品品質の認識に差があった
これらを理由として不当な評価が行われると、不当な評価を受けた販売者は今後取引が行いにくくなることが想定されます。このようなケースも、個人取引でのよくあるトラブルとして考えられています。
個人情報を相手に提供する情報リスクがある
個人間取引では、個人情報を個人間でやり取りすることも、大きなリスクであり課題とされています。そもそも、インターネットで個人情報を不特定多数の人に明かさなければならない状況は、その情報を用いたなんらかの被害に遭う可能性があり非常に危険です。取引相手もあなたに個人情報を伝えてくれるからといって、その情報が本当に相手のものかどうかを確かめる方法もなく、自身だけが本当の情報を伝えることで一方的にリスクを抱える可能性も否定できません。
このように、個人情報を取引相手に提供することはリスクであり、個人間契約における課題であるといえるでしょう。
配送時の責任の所在が明確ではない
個人間取引の課題として、配送時の責任の所在が明確ではないことも考えられます。
商品販売者が問題のない商品を発送したのにもかかわらず、購入者が商品が破損していたと返金を求められたとします。この場合、商品購入者が商品を利用する中で商品を破損してしまったのか、配送時に業者のミスによって破損したのか、販売者側では判断できません。
また、実際に破損した商品を受け取った購入者視点で考えても、販売社が破損していると知ったうえで配送を行ったのか、配送中の事故で商品が破損してしまったのか判断できません。
このように、商品販売者・購入者それぞれの視点で考えても、破損や汚損が発生した際の責任の所在が明らかではないことが、個人間取引での大きな課題として考えられています。
個人間で電子契約を行うメリット
個人間で電子契約を行うメリットには、次の点が考えられます。
- 契約書作成の手間を最小限に抑えられる
- 契約内容を口頭ではなくデータとして残せる
- システム利用により高いセキュリティで情報を守れる
- 契約書で責任の所在を明確にできる
契約書作成の手間を最小限に抑えられる
個人間の契約に電子契約を導入すると、契約書作成の手間を最小限に抑えられます。個人間で契約を行うことを考えたときに、障壁になりがちなのが契約書作成です。たとえば、個人が契約書を作成し締結するまでには次のようなことを検討しなければなりません。
- 契約書にどのような内容を記載すればよいのか
- 相手とどのような手順で契約書を締結すればいいのか
- 締結後の契約書はどのように保管することが適切か
電子契約ならこれらの悩みを解決できます。テンプレート機能を使えば契約書に記載する内容は新しく考える必要はなく、作成した契約書はデータや閲覧できるURLを取引相手に送付するだけで締結できます。
締結後もシステム内で契約データを保管できるため、管理スペースやセキュリティリスクを考慮する手間も最小限に抑えられるでしょう。このように、契約書作成から保管までの手間を最小限に抑えて個人間契約ができることが、個人間取引における電子契約の大きなメリットです。
契約内容を口頭ではなくデータとして残せる
契約内容を口頭ではなくデータとして残せることも、個人間で電子契約を行うメリットです。契約(約束)した内容を口頭ではなくシステム上に残るため、契約書双方で契約内容の認識に齟齬が発生するような事態を防止可能です。
たとえば、お金の貸し借りについて口頭で契約(約束)をしたことを例に考えましょう。お金を貸した側は「期限までに返済してくれるだろう」と考えます。しかし、お金を借りた側が期日を認識しておらず、定められた期限までに返済が必要だとは考えていないことも珍しくありません。
契約データが残っていれば貸した側は自身の主張に正当性をもたせられます。また、借りた側も期間を忘れることなく返済計画を立てられます。このように、データとして契約内容を残すことは、契約者双方にメリットがあるといえるでしょう。
システム利用により高いセキュリティで情報を守れる
システムを利用することで、個人間取引であっても高いセキュリティで情報を守れることも電子契約のメリットです。個人間での紙の契約書締結では、契約内容の情報や個人情報が適切に管理されるかわからないといったセキュリティ的なリスクがあります。契約内容そのものを第三者に知られることや、記載した個人情報が流出することは契約者にとって大きなリスクです。
しかし、電子契約システムを利用することで、高いセキュリティで契約情報を守ってくれるシステム提供企業に情報保護を任せられます。個人が紙で契約書を管理するよりも高い品質で情報を守ってくれるため、安心して契約が行えることも電子契約のメリットです。
契約書で責任の所在を明確にできる
契約書を締結することで、なんらかのトラブルが発生した場合の責任の所在を明確にできます。個人間契約では、配送時に代表されるようなトラブル発生時の責任の所在が明確ではないケースが多く、一方が損をしてしまうことも少なくないでしょう。
このような事態も電子契約を行うことで解決できます。トラブル発生時の対応をあらかじめ契約者双方で相談して決定し、契約書にその内容を盛り込んでおくことで、必要に応じて双方が責任者に対応を求められます。万が一適切な対応が受けられなかった場合の損害賠償についても定めておくことで、契約書をもとに相手に被害の補填を要求できるでしょう。
このように、契約書を締結することでトラブルが起きたときにどちらが対応するか明確になるため、安心して契約できるようになることが電子契約を行うメリットの1つです。
個人間で電子契約を行う場合の注意点
個人間で電子契約を行う場合は、次のような点に注意が必要です。
- 電子契約できない契約が存在する
- 契約件数の上限が少ない場合がある
- システムの機能に制限があることも多い
- 個人間の金銭消費貸借契約書も電子契約が可能
電子契約できない契約が存在する
多くの契約が電子化できるようになった現在でも、電子化できない契約が存在します。たとえば、次のような契約では電子契約が行えません。
- 業務用の定期借地契約
- 農地の賃貸借契約
- 任意後見人契約
それぞれ公正証書が必要だったり、電子化してもよいと定める法律がなかったりすることで、電子化ができない契約として残存しています。
リモートワークが流行する昨今では、仕事をする場所を選ばないことから郊外に引っ越して自然の中で暮らしたい人も増えています。その生活の中で、農業をやってみようと農地の賃貸借契約を個人間で結ぼうとした場合、電子契約はできません。また、任意後見の契約書が必要になった場合も、公正証書が必要になるため電子化ができません。
紹介したもの以外にも電子契約ができないものや電子化に契約者双方の合意が必要なものもあるため、個人間契約を電子契約で行う前には自身が行う契約が電子化できるものかどうかよく確認しましょう。

契約件数の上限が少ない場合がある
個人間契約で電子契約システムを利用する場合には、月間の契約締結数の上限が少ないことがあるため注意が必要です。個人事業主向けの比較的リーズナブルなプランや無料プランでは、上限件数に制限を設けられていることがよくあります。契約件数の制限の例は次のとおりです。
- 「月間の契約締結数が5件まで」のように制限があるもの
- 一定件数まで無料で利用できるものの、それ以上は従量課金となるもの
これらの契約上限数はシステムによって異なります。利用するシステムを決定する前にシステムの設定をよく確認し、自身の契約状況に見合うシステムを選ぶことが重要です。

機能に制限があることも多い
電子契約システムにおいて、個人が利用するようなリーズナブルなプランや無料プランでは、契約件数だけではなく機能に制限が多いことも注意点の1つです。
フリープランは操作性を確認するための最低限の機能のみ提供されていることが多いので、「よりセキュリティを強化したい」「契約書テンプレートを登録したい」などの希望がある場合、有料プランや1つ上のプランも検討しましょう。
個人間の金銭消費貸借契約書も電子契約が可能
個人間のお金の貸し借りに関する契約である金銭消費貸借契約書も電子化が可能です。個人の契約といえば、副業やフリマサイトを利用した個人間の売買契約がイメージされやすいですが、実際はそれだけではありません。
個人間の契約でメジャーなものの1つが、お金の貸し借りに関する契約です。友人や家族、恋人間などの親しい間柄で行われるお金の貸し借りについても、契約を行うことでトラブルを防止できます。
なお、金銭消費貸借契約書を締結しておけば、次のようなことを証明できます。
- お金の貸し借りがあった事実
- 貸し借りを行った金額
- 返済計画や返済予定日
契約書があれば上記のような契約内容に契約者双方が同意したと証明ができるため、トラブルの解決もスムーズに行えます。
個人間で契約が無料でできる電子契約システム
個人間で契約が無料でできる電子契約システムを紹介します。
- 無料版でも電子署名とタイムスタンプが付与される
- 国内シェアが非常に高く安心して利用できる
- 官公庁や金融機関でも利用されるほどの高いセキュリティ
クラウドサインは、無料版でも電子署名とタイムスタンプが付与される、法的効力の高い契約ができる電子契約サービスです。付与されることで契約者が本人の意思で契約を行ったことを証明してくれる仕組みである電子署名とタイムスタンプが付与された契約であれば、トラブル発生時にも法的な証拠として利用できるため、トラブルが起こりやすい個人間契約にも安心して利用できます。
国内のシェアも高く、官公庁や金融機関といったセキュリティ意識の高い組織でも利用されることから、安全に個人契約をしたい方にも向いているサービスです。
電子印鑑GMOサイン - GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
- 本人確認書類が添付可能で本人性を強化
- 電子メールではなくSMSでの署名依頼が可能
- 契約相手がアカウントがなくても契約できる
電子印鑑GMOサインは、画面の向こうにいる相手が正しい契約相手か確認しながら安心して契約できる電子契約システムです。個人契約で懸念される本人性を確認するために、オプション機能で免許証を含む本人確認書類の提出が求められるほか、メールよりも本人性の高い電話番号を用いたSMSでの署名依頼もできます。契約相手にアカウントがなくても契約できる点も、個人間契約においては嬉しいポイントです。
DottedSign(ドットサイン) - 株式会社KDAN Japan
- フリープランでは毎月3件まで契約が行える
- スマートフォンにも対応しており個人でも利用しやすい
- 有料プランも月額8ドル〜利用開始できる
DottedSign(ドットサイン)は月間契約件数に制限があるものの、フリープランでも無制限に契約ができる電子契約システムです。パソコンだけではなく、スマートフォンにも対応しており、普段スマートフォンを多く利用する個人でも契約がしやすいでしょう。有料プランにした場合も月額8ドルで利用が開始できるため、個人利用に向いているサービスといえます。
ベクターサイン - 株式会社べクターホールディングス
- 無料プランでも機能制限なく、保管数も無制限に利用可能
- 多くのセキュリティ対策とバックアップ体制で安全に契約ができる
- 電子契約に関連する法令に準拠したサービス
ベクターサインは無料プランで機能と保管件数に制限なく利用できる点は大きなメリットです。しかし、無料プラン申し込み承認日の翌月末までしかシステムを利用できない点は不便に感じられるかもしれません。また、無料期間内に送信できる契約数は30件までであることと、無料プランの期間終了後、有料プランへ移行せず翌月26日になるとアカウントが自動退会になることに注意が必要です。無料プランを利用して電子契約を開始したあと、継続的に契約書を保管する必要がある場合は、期間内に忘れず有料プランへ移行しましょう。
貸し借りかんりくん - common株式会社
- 無料で金銭消費貸借契約書が作成できる
- 返済期日の連絡や催促状・督促状の送付代行をしてくれる
- 有料プランでも月額1,000円~で利用可能
貸し借りかんりくんは、お金の貸し借りに関する契約書である金銭消費貸借契約書が無料で作成できる電子契約システムです。返済期日に自分や契約相手に連絡を行ってくれたり、費用を支払うことで個人で行うには気が重い催促状や督促状を代行送付してくれたりします。システム内で貸し借りの状況を一覧で記録できるうえ、元本や利息の計算も自動で行ってくれるため、個人間のお金の貸し借りを効率的に管理したい方には最適なサービスです。
その他の電子契約システムの、使い方や評判はこちらの記事でも詳しく解説しています。
個人間の電子契約もシステムを利用して効率的に締結しよう
個人間で行うにはハードルが高いと思われがちな電子契約も、システムを利用すれば便利に行えます。無料で利用開始できる電子契約システムもあり、個人利用向きのシステムも多いです。個人間の契約契約書を作成しないことで多くのトラブルが発生する可能性があります。商品トラブルや支払いトラブル、郵送時のトラブルも契約書を作成することでスムーズに解決できるでしょう。
個人間の契約をスムーズに行い、トラブル発生時にも効率的に解決したい方は、電子契約システムの導入を前向きに検討しましょう。

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