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発注点方式とは?発注点の決め方とポイント、管理方法

最終更新日:(記事の情報は現在から38日前のものです)
発注点方式とは、設定した在庫数に達したら新たに発注する在庫管理の方法です。発注数を一定にできる、コストの削減ができるといったメリットがある一方で、予測が難しいケースに不向き、リードタイムが一定であるのが前提といったデメリットがあります。本記事では、発注点の決め方とポイント、管理方法について解説します。

発注点方式とは

発注点方式とは、発注点法とも呼ばれ、在庫がある一定数を下回ったら新たに発注する在庫管理の方法です。発注するタイミングとなる在庫数のことを発注点と呼び、発注点をあらかじめ決めておくことで、余剰在庫や在庫切れを確実に防げます。

たとえば、食品を販売していた際に在庫が100になったら発注をかけるといった具合で、このようなケースでは100が発注点となります。

一定数を下回ったら発注するため、発注数を一定にできるのがメリットです。また、発注回数を最小限にできるため、コストの削減にもつながります。

一方で、発注タイミングが不定期であるため、業務の効率化が難しいといったデメリットもあります。そのため、発注点方式は、安定した売り上げがあり、在庫切れが許されない商品に適しています。

発注点法と定期発注方式との違い

発注方式には、発注点方式以外に定期発注方式があります。定期発注方式とは、在庫数に関係なく、一定のタイミングで発注する方法です。たとえば、毎週末に発注する、月末に発注する、3か月ごとに発注するといった一定期間ごとに発注する方法です。

一定期間ごとに必ず発注するため、発注忘れをすることが少ない、発注や支払い業務がスムーズであるのがメリットです。一方で、在庫数を正確に把握していないと、余剰在庫や欠品を招きやすいといったデメリットがあります。

発注点方式との違いは発注タイミングが在庫数に依存しない点です。発注点方式は在庫数に依存するため、業務の効率化が難しいです。たとえば、定番商品であっても月によって売り上げが変われば発注する月としない月があるでしょう。

そのため、発注業務がいつ起きるかわからず、業務予定に組み込みにくいといったデメリットがあります。一方で、在庫を確実に補充でき、欠品を防げるといったメリットもあります。

発注点と発注量の決定方法

発注点と発注量を決定するには、需要予測やリードタイムを活用する、在庫回転率を考慮するなどさまざまな方法があります。発注点と発注量の決定方法について詳しく解説します。

発注点の決定方法

発注点を決める際は次の計算式を活用します。

発注点=(平均需要×リードタイム)+安全在庫

データ名 概要
平均需要 過去のデータを参考に一定期間の需要を平均した値
リードタイム 発注から納品までにかかる時間
安全在庫 需要の変動や供給遅延といった不測の事態が起きても対応できる在庫量

たとえば、平均需要が30個でリードタイムが2日、安全在庫が70個である場合は次の計算となります。

(30×2)+70=130

したがって、在庫数が130個を下回ったら発注を行います。このような計算が一般的ではありますが、消費が早い商品の場合は多少の余裕を持って発注することが重要です。

発注量の決定方法

在庫量が発注点に達した際に、発注担当者はどの程度の量を発注するかを決めなければなりません。これを発注量といいます。発注量は次の計算式で算出可能です。

経済的発注量=√(2×1回あたりの発注費用×年間必要量÷年間在庫保管費用)

発注量を間違えてしまうと、余剰在庫や欠品につながります。しかし、発注コストと在庫の保管コストが大幅にかかってしまっては、利益が損なわれたり経営を圧迫してしまったりします。そのため、コストを最小化しつつ余剰在庫や欠品を防げる量の算出が必要です。

そのようにコストを最小化した発注量を経済的発注量といい、EOQとも呼ばれています。経済的発注量を求めることで、年間にかかるコストを最小化し、在庫の注文回数や量を最適化できます。

発注点方式のメリット

発注点方式のメリットは次のとおりです。

  • 在庫の最適化
  • 発注の手間やコストの削減
  • 需要の変動への対応が可能
  • キャッシュフローの改善

それぞれ詳しく解説します。

在庫の最適化

発注点方式を導入することで、在庫を最適化できます。発注点を下回ったら発注するため、在庫過剰や在庫不足になりにくい発注方法です。すなわち、在庫を適切な状態に保ち、コスト削減につながるだけでなく、過度なスペースの確保が不要となります。

たとえば、スポーツドリンクは夏場の需要が高く、冬場は夏場ほど高い訳ではありません。したがって、冬場は夏場にスポーツドリンクを置いていたスペースを空けられます。空いたスペースを作業スペースに当てたり、他の商品を置くスペースにできたりするため、有効活用が可能です。

このように、発注点方式は在庫を最適化して、コスト削減やスペースの有効活用に貢献できます。

発注の手間やコストの削減

発注の手間やコストの削減ができるのも、発注点方式のメリットのひとつです。発注点方式は、一定の在庫になった時点で自動的に商品発注を行います。そのため、発注業務を自動化することで発注業務を簡略化でき、管理コストも削減可能です。

たとえば、スマートマットクラウドや自動補充発注システムを利用して発注を自動化すれば、発注業務を確認作業程度にできるため、担当者の負担が減ります。また、ヒューマンエラーがなくなるため、機会損失を防げたり顧客満足度の向上にもつながります。

このように、発注点方式は発注業務の簡略化や、管理コストの削減が可能です。

需要の変動への対応が可能

発注点方式は、一定の数量になったらすぐに発注を行うため、需要の変動への対応が可能といったメリットがあります。需要が大きく増加してもリアルタイムで在庫数を確認し、商品がなくなる前に発注を行えるため、仕入れが間に合い、在庫切れリスクの低減が可能です。

たとえば、ある商品がSNSで大きな反響を起こして話題になった場合、急激に需要が増加します。発注点方式を導入していれば、すぐに発注を行えるため、在庫切れする前に商品の仕入れが可能です。

このように、需要の急激な変動に対応できるのが、発注点方式のメリットのひとつです。

キャッシュフローの改善

発注点方式を導入することで在庫を適切な数に保てるため、キャッシュフローの改善ができるのもメリットのひとつです。在庫を適正化して、発注の際も必要最低限の量を発注することで、余計なコストを削減できます。

たとえば、発注点が100の商品の場合は100を切ったら発注します。150を保つ必要があれば、常に50だけ発注すれば問題ありません。突然、100や150を発注する必要はなく、最低限のコストで発注ができます。

その結果、過剰なコスト負担を避けることで、キャッシュフローの改善が期待できます。

発注点の管理方法

発注点を効果的に管理する方法に、Excelで管理する方法や、在庫管理システムで管理する方法があります。それぞれに特徴があるため、詳しく解説します。

Excelで管理する

発注点の管理方法で代表的なのが、Excelで管理することです。Excelは多くのパソコンに備わっているアプリケーションソフトであるため、Excelに慣れている担当者がすぐに利用できるといった特徴があります。

一方で、在庫数が多い場合は必要な情報の検索や、更新に時間がかかるといったデメリットがあるため、注意が必要です。

Excelで発注点管理をする際は、品名や発注点、発注する量、発注方法など、さまざまな商品データを入力して発注します。

在庫管理システムで管理する

発注点管理は、在庫管理システムで管理可能です。在庫管理システムは、在庫情報を一元管理できるため、正確な在庫情報の把握や、ヒューマンエラーの防止に役立ちます。

たとえば、在庫状況が変化した際に自動で再計算してリアルタイムの在庫状況がわかります。したがって、発注点に達したタイミングが確実にわかり、発注忘れの防止が可能です。

在庫量が多く、複数の倉庫を運用するような大規模な企業にとって、在庫管理システムは適しています。

発注点管理を行う際のポイント

発注点管理を行う際は次のポイントに気を付けながら行う必要があります。

  • リードタイムの短縮
  • 在庫管理の優先順位を見直す
  • ロケーション管理の徹底

それぞれ詳しく解説します。

リードタイムの短縮

リードタイムを短縮することで1回の発注量を減らせるため、発注点管理がしやすくなります。リードタイムを短縮できれば、在庫回転率を高められます。したがって、過剰在庫を抱えるリスクの低減や、コスト削減が可能です。

リードタイムを短縮するためには、仕入れ先との連携をしっかりと行うのが効果的です。また、在庫回転率が悪い商品を廃棄したり、在庫回転率の高い商品の販売をさらに強化したりするのも、リードタイムを短縮しやすくなります。

在庫管理の優先順位を見直す

在庫の優先順位を見直し、最適化することが、発注点管理に重要です。在庫に優先順位を付けることで、在庫管理を効率化し、欠品リスクを防止できます。

在庫管理の優先順位を付ける効果的な手法のひとつが、ABC分析です。ABC分析は、一定の評価軸を決めて、自社内のすべての在庫をABCの3グループに分けます。

Aは、重点的に管理して、けっして欠品を出さないようにするグループ。Bは、重点度を落として、多少の在庫切れを出しても許容できるグループ。Cは、AとBの中間グループと設定します。

このように、在庫に対して優先順位を付けることで、発注点の効果的な管理が可能です。

ロケーション管理の徹底

ロケーション管理を徹底することが、発注点管理を行う際には重要です。ロケーション管理が徹底されていないと、在庫がどこにあるのか、どの程度の在庫数があるのかがわかりません。したがって、発注点に達したかがあいまいになり、在庫切れを起こしてしまう可能性があります。

ロケーション管理を行う際は保管場所を見直し、在庫のある場所や数を把握しやすいようにするのが重要です。また、在庫を把握しやすい導線設計も重要となります。たとえば、倉庫や棚にラベルを割り振って番号管理をすれば、在庫の把握がしやすくなります。

発注点方式の注意点

発注点方式を導入する際は次の点に注意が必要です。

  • 小ロット生産の場合は発注頻度が多くなる
  • 予測が難しいケースには適していない
  • リードタイムが一定であるのが前提

それぞれ詳しく解説します。

小ロット生産の場合は発注頻度が多くなる

小ロット生産で発注点方式を導入した場合、発注頻度が多くなるリスクがあります。小ロットは少数生産であるため、発注点に達しやすいです。したがって、頻繁に発注業務を行わなければなりません。

人力で発注管理をしていた場合、頻繁に発注業務を行うとヒューマンエラーが発生する可能性が高まり、発注コストも増加します。また、保管や物流業務に影響する可能性もあります。

適切に調整するには、在庫管理システムを導入するのが効果的です。在庫管理システムの中には、指定のタイミングで自動で在庫数を計測し、発注タイミングにアラートで知らせてくれるものがあります。

在庫管理システムを活用することで、発注頻度が多くても最適な在庫管理ができるようになります。

予測が難しいケースには適していない

需要が不安定で予測が難しいケースには適していないのが、発注点方式の注意点のひとつです。発注点方式の発注タイミングは在庫数に依存するため、需要予測を正確に行わないと効果的な活用ができません。

しかし、需要予測の難しい商品は、いつ発注点に達するかの見極めが難しく、発注タイミングの設定が困難です。タイミングを誤ると余剰在庫や在庫切れにつながります。

したがって、需要予測が難しい商品の場合は、定期発注方式や不定量不定期発注方式に切り替えるといった、需要変動に強い発注方式に切り替えるのが効果的です。

リードタイムが一定であるのが前提

発注点方式を導入する場合は、リードタイムが一定であるのが前提です。リードタイムが変動すると計画的な発注ができないため、在庫切れになるリスクがあります。

しかし実際には、供給元の運営状況や発送遅延によって、リードタイムが一定でないケースは多いです。そのような場合は、仕入れ先や納品業者といったサプライヤーとの情報共有で対応できます。

また、利用設備の見直しや在庫管理システムの導入、工程の見直しなどもリードタイムを一定にするための効果的な手法です。

在庫管理システムを導入して適切な発注管理を

発注点方式は、発注の手間を減らせる、コストの削減が可能といったメリットがあるため、在庫管理に効果的な方法です。

一方で、発注業務がいつ発生するかの予測が難しく、業務予定に組み込みづらいといった点がデメリットです。Excelで管理するケースが一般的ですが、在庫量が多く複数の倉庫を抱えているような企業は、在庫管理システムを導入すると効果的な在庫管理が可能になります。

在庫管理システムは、在庫の仕入れから出荷までの情報をリアルタイムで把握できるため、発注点に達したタイミングも正確に把握できます。

すなわち、発注点方式の効率的な運用が可能となるため、発注点方式の導入を検討しているなら、在庫管理システムを導入すると効率的に運用できるでしょう。

在庫管理システムを導入する際は各ツールを比較し、気になるシステムの資料をダウンロードして自社に合うのか検討してみましょう。

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