Excelで情報共有は古い?ナレッジマネジメントツールと比較
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そもそもナレッジマネジメントとは
ナレッジマネジメントとは、企業や個人がもつ知識やノウハウといった仕事に有益な情報(ナレッジ)を収集・管理し、社内やチーム内で共有する手法のことです。ナレッジを共有することにより、各個人がスキルアップすることで、生産性・業務効率の向上や業務の属人化防止といった効果が期待できます。
Excelでもある程度のレベルまではナレッジマネジメントを行えるでしょう。しかしそもそもExcelは表計算を行うためのソフトであるため、デメリットも多く存在します。次の見出しで、Excelでナレッジマネジメントを行うメリットや、デメリットを詳しく紹介します。
Excelでナレッジマネジメントをするメリット
Excelでナレッジマネジメントをするメリットとしては、次のものが挙げられます。
- 導入コストや手間がかからずスモールスタートで始められる
- 使い慣れた操作性
- 計算機能や自動化機能が優れている
導入コストや手間がかからずスモールスタートで始められる
Microsoft Officeを導入している環境であれば、当然ながらそれ以上の費用がかかりません。通常システムを導入する場合ライセンスや導入費用で数十万円程度かかるケースも少なくないため、こういった導入コストがかからないことは大きなメリットです。
また通常ツールを導入する場合は製品の機能比較や見積もり依頼、導入時の初期設定、マニュアル作成など多くの手間と時間がかかります。しかしExcelは従業員が情報を入力するだけの簡易的なフォーマットが作成できれば、こういった導入のための準備がすべて不要です。そのためより気軽かつスムーズにナレッジマネジメントを始められるでしょう。
使い慣れた操作性
Excelは長年多くの企業で広く利用されてきたソフトであり、ほとんどの人が基本的な操作方法を理解しているため、使い慣れているのもメリットです。従業員にあらためて操作方法をレクチャーしたり、マニュアルを作成したりする手間が省けます。
ITツールに苦手意識をもつ従業員でも、Excelならある程度は利用できるケースもあり、企業として使いやすいツールといえます。また逆にExcelに関するスキルの高い従業員がいれば、シートの高度なカスタマイズやメンテンナスも依頼でき、外部に保守・運用を任せる必要もないでしょう。
計算機能や自動化機能が優れている
Excelはもともと表計算ソフトであり、関数を使った計算機能やマクロによる自動化機能に優れているのもメリットの1つです。マクロとは繰り返し行う複数の作業を1つの操作にまとめて、作業を自動化できる機能のことです。関数やマクロを活用することで、ナレッジの入力やデータベースの集計作業を効率化・自動化できます。
関数やマクロの使い方に関しては、詳しい従業員がいなかったとしても、ネット上に多くの情報があり、関連書籍も多く出版されています。こういった情報から学習ができるため、大量のデータでも処理ができ、効率的な管理が行えるでしょう。
Excelでナレッジマネジメントをするデメリット
Excelでナレッジマネジメントをするデメリットとしては、次のものが挙げられます。
- 複数人での編集や管理が難しい
- データを破損・削除・改ざんされるリスクがある
- 大雑把な権限設定しかできない
- つくり込むとメンテナンスがしにくくなる
- 更新頻度が低いと情報が古くなるリスクがある
複数人での編集や管理が難しい
Excelファイルは複数人での編集を行いにくく、管理も難しい点がデメリットです。Excelは通常の状態ではファイルが保護されているため、他の人と同時編集ができません。「ブックの共有」機能を利用すれば同時編集もできますが、この場合セルの結合や図形・画像・行の挿入、グラフ作成・変更などの機能が制限されます。
このように制限が多いと編集が行いにくく、情報共有にも時間がかかるでしょう。また複数人で同時編集を行う場合、ほかの人が編集した内容を保存せずファイルを完了すると、古い情報と新しい情報の混在したバージョンが複数発生します。
これによりナレッジを見たい従業員はどのファイルを見ればいいかわからなくなり、正しいナレッジを共有するのも難しくなるでしょう。
データを破損・削除・改ざんされるリスクがある
Excelファイルは、データ破損や誤って削除されるリスクなど、セキュリティ面に不安があります。Excelファイルは誰でも簡単にコピーや外部へのもち出しができ、別のユーザーによる削除も可能です。
またExcelファイルはパスワードを設定できますが、「パスワード解析ツール」を利用すれば解除できます。そのため外部への情報漏えいや情報を改ざんされるリスクも無視はできないでしょう。改ざんの意識がなかったとしても、データ入力する場所を誤って、結果的に改ざんになる可能性も考えられます。とくに顧客情報や機密情報といった重要な情報が含まれたファイルを管理する際は、注意が必要です。
大雑把な権限設定しかできない
Excelでは、アカウントごとにファイルへのアクセス制限がかけられる権限設定を、大雑把にしかできないのもデメリットといえます。Excelでできる権限設定は「すべての情報が閲覧可能」、もしくは「一切閲覧不可」の2種類しかありません。
チームメンバーだけで閲覧できるようにする、または一部だけを情報共有するといった細かい設定には対応していません。誰でも閲覧できる状態では、情報漏えいや情報改ざんのリスクが上がりやすく、セキュリティ面から考えても危険です。コピーにより複数のExcelファイルを作成すれば、特定のメンバーだけで情報共有も可能ですが、よりデータ管理をしにくくなるでしょう。
つくり込むとメンテナンスがしにくくなる
先ほどメリットで、関数やマクロで効率化できると紹介しましたが、これは逆にシートを高度にカスタマイズすると、メンテナンスがしにくくなるデメリットにもつながります。高度にカスタマイズされたシートは、1度エラーが発生するとデバックを行うのに時間がかかります。
またExcelに詳しい従業員に情報更新やメンテナンスを任せていると、該当の担当者が退職した際にメンテナンスや情報の更新ができなくなるケースも考えられるでしょう。くわえてExcelは情報量が増加することで、不具合によってデータが消失するケースも見られます。ナレッジは蓄積するデータ量が増えれば増えるほど効果を発揮しやすいため、Excelはナレッジマネジメントにあまり向いていないといえるでしょう。
更新頻度が低いと情報が古くなるリスクがある
Excelでナレッジマネジメントを行う場合、情報が定期的に更新されないと、その内容がすぐに古くなりやすいリスクがあります。特に複数のチームメンバーが情報を共有・活用する環境では、最新の情報を反映する頻度が低いと、過去のデータや解決策に依存してしまい、誤った判断をする恐れがあります。
また、情報の更新が個人の責任に依存しやすいため、メンテナンスの怠りや更新漏れが起きやすくなり、ナレッジの質を低下させるリスクもあります。そのため、Excelでのナレッジ管理には情報の更新頻度を意識し、定期的なメンテナンスや監視体制が求められますが、それを実行するのは手間がかかるため、他の専用ツールの導入が有効な場合もあります。
Excelでナレッジマネジメントを行うポイント
Excelでナレッジマネジメントを行う際には、次のポイントを押さえることで円滑に運用しやすくなるでしょう。
無料のテンプレートを活用する
ナレッジマネジメントは、ナレッジを入力するシートにテンプレートを利用することで、作成の手間が省けます。Excelには新規ブックを作成する際に、外部からテンプレートを取り込める機能があり、これを利用すればExcelでもテンプレートを利用可能です。
Microsoftが公式で提供する無料テンプレートの中には、ナレッジマネジメントに活用できるテンプレートも豊富に用意されており、これを自由に利用できます。またネット上にはほかにも無料で利用できるテンプレートが多くあるため、自社に適してものを選び、カスタマイズを行うことでより効率的にナレッジマネジメントを始められるでしょう。
使いやすい簡単なフォーマットを作成する
ナレッジの共有は幅広い従業員が行うため、誰でも使いやすく気軽に情報共有ができるフォーマットをつくりましょう。ナレッジマネジメントはナレッジが投稿され、これを別の従業員が検索・閲覧するといったサイクルができて、初めて効果を発揮します。
一方でナレッジの書き方が統一されていないと内容が見にくく、従業員が利用しなくなる原因になりかねません。そのためマニュアルもいらないような、直感的に操作や入力のできる簡単なフォーマットを作成し、誰でも投稿できて見やすいナレッジのデータベースを構築しましょう。
ナレッジ検索しやすい仕組みをつくる
Excelにも検索機能はありますが、正確な文言で検索しなければヒットしないため、ナレッジを検索で見つけやすくする仕組みづくりも重要です。検索しても求めているナレッジが表示されない、もしくは求めている情報を見つけるまで時間がかかるようでは、従業員は利用しなくなります。
そのためナレッジにはカテゴリーを設定し、分類を行うのがおすすめです。たとえばシステムの操作方法であれば大きなカテゴリーに「システム名」、小カテゴリーに「マニュアル」といったように設定し、検索性を向上させます。
ただしカテゴリーの分類は細かくし過ぎないよう注意が必要です。細かく分類しすぎると、必要な情報を探すために多くのカテゴリーを見て回る必要があり、逆に非効率です。分類を行う際は最小限にとどめましょう。
継続的に効果を測定する
ナレッジマネジメントが実際に効果を上げているか確認するのも重要です。表面上はスムーズに情報共有ができているように見えても、実際には不満点や改善点が多く隠れている可能性もあります。そのため実際に従業員へアンケートを行い、業務の役に立っているか、ナレッジを探しやすいかなどを評価してもらいましょう。
事前にナレッジマネジメントに関する目標を設定し、このアンケートで定期的に効果を測定し、目標に対する進捗を確認します。これにより目標達成に対して何が足りないか、どこを改善すべきかが見えてくるでしょう。
ナレッジマネジメントができる主なツールの種類
ここまで紹介したように、Excelでもナレッジマネジメントは行えますが、デメリットも多く、しっかりと運用を行うには多くの工夫や手間が必要です。もしExcelによる運用が難しいと感じる場合には、ほかのITツールへ移行するのもおすすめです。そこで次に、ナレッジマネジメントに利用できる、主なツールを紹介します。
チャットボット
チャットボットとは、ユーザーの質問に対して自動で回答が表示されるツールのことです。チャットボットにナレッジを登録することで、回答としてナレッジが表示できます。とくにAIチャットボットであれば、フリーワードで質問が入力でき、一問一答で回答が表示されるため、効率的に求めている情報を見つけやすいでしょう。
またチャットボットでは回答率といったデータを分析でき、回答を表示したあとに「この回答は役に立ちましたか?」といった質問をつければ、ナレッジマネジメントの効果測定にも活用可能です。ただし、AIチャットボットの精度を向上させるにはある程度の時間がかかるため、計画的に導入を進める必要があります。
社内Wiki
社内Wikiとは、従業員が自由に知識やノウハウなど情報を書き込めるWebサイトシステムです。ブラウザを使うため情報共有がしやすく、細かく閲覧制限もかけられます。
なにかトラブルが発生した際の自己解決に使いやすいのが特徴です。複数人で1つのページを編集するため、常に最新の情報を表示でき、情報の鮮度を維持できます。ただし、複数人が同時編集すると情報を誤って削除する可能性もあるため、情報の編集や更新に関する運用ルールをしっかりと設ける必要があります。
ナレッジマネジメントツール
ナレッジマネジメントツールとは、従業員同士で知識やノウハウが共有できるツールです。専用の機能が利用でき、同時編集機能や高度な検索機能も備えています。ファイル共有機能やコミュニケーション機能がついているシステムもあり、効果的にナレッジを共有できるでしょう。
こういった機能性の高さから、導入費用や月額費用はかかるものの、これらのコスト以上に高い効果が期待できます。
ナレッジマネジメントツールのメリット・デメリット
ナレッジマネジメントに利用できるツールの中でも、とくにおすすめのナレッジマネジメントツールについて、メリット・デメリットをより詳しく紹介します。
ナレッジマネジメントツールのメリット
- 共同編集・バージョン管理が容易
- 外部共有やアクセス制限がスムーズ
- 動画や画像、音声などさまざまなファイルを埋め込み・共有可能
- 検索性が高い
多くのナレッジマネジメントツールは、共同編集を前提とした設計がされており、バージョン履歴も残ります。またURLやQRコードによる外部共有が容易で、アクセス制限も柔軟に設定できます。
さらにテキスト・画像以外にも、動画や音声、PDFファイルを埋め込んだりクラウド上で共有したりできる点もメリットです。検索性も高く、全文検索と呼ばれる機能でキーワードをページ全体から探し、対象の情報を探しやすいでしょう。
ナレッジマネジメントツールのデメリット
- コストが発生する
- 操作に慣れるのに時間がかかる
ナレッジマネジメントツールは基本的に有料サービスが多いため、導入コストや運用費用が発生します。また、使いやすい操作性やインターフェースであるものの、やはり導入当初は操作に慣れるのに時間がかかるでしょう。
ナレッジマネジメントツールの選び方
ナレッジマネジメントツールの導入を検討する際には、次のポイントに注目すると、自社に合ったツールを選びやすくなります。
共有したい情報の種類に対応しているか
前述したようにサービスによっては、テキスト以外にも画像や動画、音声、PDFなどさまざまなデータを埋め込み・共有ができます。
また動画に特化したサービス、テキスト・画像に特化したサービスなどツールによって特色が異なるため、自社がナレッジ共有によく使用するデータファイルが対応可能かを確認しましょう。
パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットでも閲覧できるツールなら、外出先やテレワーク中のユーザーも利用しやすくなります。
セキュリティ対策は十分か
大切な情報を守るためにも、セキュリティ対策が十分に実施されているか確認してください。
二段階認証によるログインや、IPアドレスによる制限などが適用されているツールであれば、セキュリティレベルは高いと考えられます。また、定期的にセキュリティシステムをアップデートしているかも、あわせてチェックしましょう。
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ナレッジマネジメントツールおすすめ3選
ナレッジマネジメントにおすすめのツールを紹介します。
- 動画・グラフ・PDF・X・Googleスプレッドシート・スライドなどが埋め込み可能
- 全文検索機能を搭載
- プロジェクト単位、組織単位などの柔軟なアクセス制限
NotePMは、社内Wikiやノウハウ、FAQなどとして活用できるナレッジマネジメントツールです。更新履歴は自動的に記録されるため、情報操作の追跡が容易にできます。ツリー構造のフォルダやタグで情報を整理しやすく、かつ全文検索ができるため、必要な情報へのアクセスもスムーズにできるでしょう。
- シンプルな記事作成ページ
- 既存データ移行支援や初期セットアップなどサポートサービスが充実
- 二段階認証機能搭載、IPアドレス制限も可能
ナレカンは、シンプルな設計で小規模~大規模の企業が使用できるナレッジマネジメントツールです。アクセス制限を細かく設定でき、ナレカンを通してメンバーへの質問も簡単にできます。業務マニュアルや企画作成、議事録、トークスクリプト、ニュース共有など多様な用途で活用可能です。
Confluence - アトラシアン株式会社
- 複数のチームでナレッジを共有できる
- テキスト以外にも表や画像の共有にも対応
- コメント・メンション・通知・共同編集など十分な機能を搭載
Confluenceは、10人まで(2GB)なら無料で利用できるツールです。プロジェクト管理やソフトウェア開発、製品管理などさまざまな場面で利用でき、各種テンプレートを搭載しています。SlackやTrello、Microsoftなどさまざまなサービスと連携できる点も魅力です。
情報共有ツールで知識を共有しよう
Excelは導入コストが低く、使い慣れていますが、同時編集が難しくデータ破損のリスクもあります。一方でナレッジマネジメントツールは共同編集やバージョン管理が容易で、多様なファイルの埋め込みや高い検索性が特徴ですが、コストがかかり操作に慣れる時間が必要です。
ナレッジマネジメントツールの導入を検討する際には、自社のニーズや規模感に合わせて、複数のサービスを比較することが大切です。BOXILではナレッジマネジメントツールのサービス資料をまとめてダウンロードできるので、ぜひ活用してください。
ナレッジマネジメントツールは、次の記事でも詳しく紹介しています。
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