SFAとExcel、営業管理にはどちらがいい？適したケースやメリット・デメリット

営業管理にはExcelとSFAのどちらがいいのか

営業管理にExcelを利用するかSFAを導入するか迷っている方もいるかもしれません。結論から述べると、営業管理に最適なツールは企業の規模や状況によって異なります。

ExcelとSFA、それぞれのツールに適しているケースを紹介します。

Excelが適しているケース

小規模な企業や営業活動が属人的で定型化されていない場合は、Excelの方が柔軟性が高く扱いやすいでしょう。

小規模な企業

小規模な企業では、顧客数や案件数は少なく、シンプルな管理で十分な場合が多いです。Excelであれば低コストで手軽に導入でき、複雑な操作を必要としないため担当者の負担も軽減できます。

営業活動が属人的

営業担当者によって営業スタイルや顧客へのアプローチ方法が異なる場合に適しているのは、Excelでの営業管理です。

SFAでは入力項目やプロセスが固定されていることが多いため、属人的な営業活動にはあまり向いていません。

定型化されていない業務が多い

事務作業や顧客対応など、営業活動以外にもさまざまな業務を兼任している場合は、Excelの方が便利です。SFAは営業管理に特化したツールであるため、その他の業務には対応できない場合があります。

SFAが適しているケース

中規模以上の企業や営業活動を可視化・効率化したい場合は、SFAの方が適しているといえます。

中規模以上の企業

中規模以上の企業では、顧客数や案件数が増え、Excelでの管理は煩雑になりがちです。SFAであれば、情報を一元管理できるため、業務効率化や情報共有の促進につながります。

営業活動を可視化・効率化したい

営業活動の進捗状況や成果を可視化し、ボトルネックを特定したい場合は、SFAが役立ちます。SFAはさまざまなデータを収集・分析できるため、営業戦略の改善や目標達成に貢献します。

チームでの情報共有が重要

複数の営業担当者で情報を共有し、連携を取りながら営業活動を進めたい場合は、SFAが適しています。SFAであれば、リアルタイムで情報共有できるため、スムーズな連携や顧客対応が可能になります。

営業管理におけるExcelとSFAにできること

営業管理において、ExcelとSFAではそれぞれできることが異なります。

Excelにできること

Excelは表計算ソフトとしての基本的な機能に加え、関数やマクロを活用することで、さまざまなデータ処理や分析が行えます。

営業管理においては、顧客情報や案件情報、売上情報などを一覧で管理したり、グラフを作成して視覚的に分析したりできます。また、関数を使って、受注確度や目標達成率などを自動計算もできます。

SFAにできること

SFAは、営業活動を支援するための専用ツールであり、Excelよりも高度な機能を備えています。

顧客情報や案件情報、売上情報などを一元管理できるだけでなく、営業活動の進捗状況をリアルタイムで把握したり、営業担当者ごとのパフォーマンスを分析したりもできます。

また、顧客とのコミュニケーション履歴や商談内容などを記録することで顧客理解を深め、最適な提案を行うための情報収集にも役立ちます。

さらに、SFAによってはMA（マーケティングオートメーション）ツールとの連携や、見積書や請求書の作成機能など、営業活動を効率化するさまざまな機能が搭載されていることもあります。

営業管理にExcelを使うメリット・デメリット

営業管理にExcelを使う場合のメリットとデメリットは次のとおりです。

カテゴリ	メリット	デメリット
コスト	コストがあまりかからない ＞既に導入されていることが多く、追加費用が少ない	データ量が増えると動作が重くなる ＞大規模なデータ処理に時間がかかることがある
汎用性	高い汎用性 ＞さまざまな業務に対応し、関数やマクロで複雑な処理が可能	モバイル端末だと使いづらい ＞視認性が低く、機能が制限される
従業員の対応力	扱える従業員が多い ＞操作方法を熟知しているため、教育コストが低い	属人化しやすい ＞担当者依存が大きく、情報がブラックボックス化しやすい
柔軟性	業務の変化に対応しやすい ＞特定業務に特化したツールよりも柔軟性が高い	担当者の退職後に問題が発生 ＞関数やマクロが理解されていないと、正常に作動しないことがある

それぞれのメリット・デメリットについて解説します。

営業管理をExcelで行う場合のメリット

営業管理をExcelで行う場合のメリットは次のとおりです。

コストがあまりかからない

Excelは多くの企業ですでに導入されており、追加の費用負担なく利用できるケースがほとんどです。SFAのような専門的なツールと比較すると、初期費用やランニングコストを抑えられるため、特に小規模な企業や予算が限られている場合に大きなメリットとなります。

汎用性が高い

Excelは表計算ソフトとしてさまざまな業務に活用されています。営業管理以外にも、顧客管理や在庫管理、請求書作成など、幅広い用途で利用できます。また、関数やマクロを活用することで、複雑な計算やデータ処理も可能です。

そのため、特定の業務に特化したツールを導入するよりもExcelの方が柔軟性が高く、業務の変化にも対応しやすいといえるでしょう。

扱える従業員が多い

Excelはビジネスシーンにおいて広く利用されているため、操作方法を熟知している従業員が多いです。そのため、新たにツールを導入する際に必要な教育コストを抑えられます。また、担当者変更の際、スムーズに引継ぎができる点もメリットといえるでしょう。

営業管理をExcelで行う場合のデメリット

営業管理にExcelを使うことにはデメリットもあります。メリットとデメリットを天秤にかけ、自社に最適な選択肢を取りましょう。

主に次のようなデメリットが挙げられます。

モバイル端末だと使いづらい

スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末でExcelを使用する場合、画面の小ささから視認性が低下し、操作しづらいです。

また、モバイル端末では利用できる機能が制限され、複雑な計算やデータ処理はできません。そのため、外出先や移動中など、PCを使用できない環境での営業管理には不向きといえるでしょう。

データ量が増えると動作が重くなる

Excelは、データ量が増えるにつれてファイルサイズが大きくなり、動作が重くなる傾向にあります。特に、数千行を超えるような大規模なデータになると、ファイルを開くだけでも時間がかかるでしょう。計算処理に待ち時間が生じる場合もあり、業務効率の低下につながります。

属人化・ブラックボックス化しやすい

Excelでの営業管理は、担当者個人のスキルや工夫に依存する部分が大きいため、属人化しやすい傾向にあります。

また、ファイルの共有や管理方法が明確でない場合、情報がブラックボックス化し、ほかの担当者にとって理解しづらい状況になることもあります。

関数やマクロなどの自動化のための仕組みは、これらを管理していた担当者しか使い方がわからず、退職後に正常に作動しなくなるケースも珍しくありません。

このような状況は、情報共有の遅れやミスコミュニケーションにつながり、円滑な営業活動の妨げになる可能性があります。

営業管理にSFAを使うメリット・デメリット

営業管理にSFAを使うメリットとデメリットは次のとおりです。

カテゴリ	メリット	デメリット
管理・分析・レポート	管理・分析・レポートの効率化に強い ＞顧客情報や案件情報、売上情報を一元管理し、情報を探す手間を省ける	コストがかかる ＞初期費用やランニングコストが発生し、小規模な企業にとって負担が大きい
営業活動支援	営業活動に役立つ機能も充実している ＞顧客とのコミュニケーション履歴や商談内容を記録する機能などがある	不具合や障害の影響を受けやすい ＞ネットワーク環境やシステムの不具合に依存するため、リスクが伴う
モバイル対応	モバイルアプリありのシステムも多い ＞外出先や移動中でも、顧客情報や活動報告の確認が可能	定着に時間がかかる ＞操作が複雑で、使いこなすまでに時間がかかる場合がある

それぞれのメリット・デメリットについて解説します。

営業管理にSFAを使うメリット

営業管理をSFAで行う場合には次のようなメリットが挙げられます。

管理・分析・レポートの効率化に強い

SFAは顧客情報や案件情報、売上情報などを一元管理するため、情報を探したり入力したりする手間を省き、業務効率化につながります。

また、蓄積されたデータを元に、さまざまな切り口での分析やレポート作成が可能です。

たとえば、営業担当者ごとのパフォーマンス比較や成約率の高い顧客層の分析など、データに基づいた営業戦略の立案に役立ちます。

営業活動に役立つ機能も充実している

SFAには、営業活動を支援するためのさまざまな機能が搭載されています。

たとえば、顧客とのコミュニケーション履歴や商談内容を記録する機能、ToDo管理やスケジュール管理機能、見積書や請求書の作成機能などです。

これらの機能を活用することで、営業担当者はより効率的に営業活動を進められます。

モバイルアプリありのシステムも多い

多くのSFAでは、スマートフォンやタブレットに対応したモバイルアプリを提供されています。モバイルアプリを利用することで、外出先や移動中でも、顧客情報や案件情報の確認、活動報告の作成などが可能です。

営業管理にSFAを使うデメリット

営業管理にSFAを使うことにはデメリットもあります。メリットとデメリットを天秤にかけ、自社に最適な選択肢を取りましょう。

主に次のようなことがデメリットとして挙げられます。

コストがかかる

SFAを導入する際には、初期費用に加え、月額利用料や保守費用などのランニングコストが発生します。また、導入時のカスタマイズや従業員へのトレーニング費用なども必要となる場合があり、Excelと比較するとコスト負担は大きいです。

特に小規模な企業や予算が限られている場合は、導入前に費用対効果を慎重に検討する必要があります。

不具合や障害の影響を受けやすい

SFAはインターネット経由で利用するクラウド型のシステムであることが多いです。ネットワーク環境やシステムの不具合、障害などの影響を受けやすいというデメリットがあります。

システムが停止してしまうと営業活動に支障をきたすだけでなく、データの消失や漏えいなどのリスクも伴います。そのため、安定したネットワーク環境の確保やバックアップ体制の構築など、リスク対策をしっかりと行わなければなりません。

定着に時間がかかる

専門的なツールであるSFAは、Excelと比較して操作が複雑で、機能も多岐にわたります。使いこなせるようになるまでに時間がかかるかもしれません。

入力項目やプロセスが細かく設定されている場合もあります。従業員にとって負担が大きくなり、利用率の低下や定着の長期化につながる可能性も。導入前に十分な検討と準備を行い、従業員への丁寧なトレーニングやサポート体制を構築することが重要です。

ExcelやSFAで管理できる情報

ExcelやSFAを使って営業管理をする場合、次のような情報を管理します。

顧客情報

顧客情報は、営業活動の基盤となる重要な情報です。企業名、部署名、担当者名、連絡先などの基本情報に加え、業種、規模、過去の取引履歴、顧客のニーズや課題なども管理することで、より効果的な営業活動につなげられます。

案件情報

案件情報は、営業活動の進捗状況を把握するために必要な情報です。案件名、顧客名、受注予定日、受注確度、見積金額、商談履歴などの情報を管理することで、案件の進捗を可視化し、適切なタイミングで適切なアクションを取れます。

売上情報

売上情報は、営業活動の成果を測るための重要な指標です。受注金額、売上日、入金日、担当者などの情報を管理することで、売上目標の達成状況や営業担当者ごとのパフォーマンスを把握できます。

行動情報

行動情報は、営業担当者の日々の活動を記録するための情報です。顧客訪問、電話、メール、商談などの情報を管理することで、営業活動の効率化や改善に役立てられます。また、行動情報を分析することで、成約率の高い行動パターンを特定し、チーム全体の営業力を底上げも可能です。

Excelでの営業管理に限界を感じたらSFA導入を検討しよう

Excelは手軽で便利なツールですが、企業の成長や営業活動の複雑化に伴い、限界が見えてくることもあります。

データ量の増加により動作が重くなったり、情報共有が難しくなったり、モバイル端末での利用に不便を感じたりする場合は、SFA導入を検討するタイミングかもしれません。

SFAは、営業管理の効率化や可視化、分析機能など、Excelにはない多くのメリットを提供します。自社の状況に合わせて、最適なツールを選択し、営業活動のさらなる発展を目指しましょう。