採用代行(RPO)とは?委託内容やメリット
少子高齢化による求人の売り手市場が続くなか、新しい採用手法を取り入れる企業が増えています。
採用代行(RPO)は、すでに米国やヨーロッパでは広く活用されている採用支援サービスで、日本でも徐々に広がりつつある採用活動のアウトソーシングです。本記事では、採用代行サービスの具体的な内容や利用するメリット・デメリット、向いている企業、利用のポイントを紹介します。
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目次を閉じる
- 採用代行(RPO)とは
- 採用代行(RPO)のタイプ
- 採用代行と人材紹介の違い
- 採用代行(RPO)は違法?
- 委託募集の募集主の許可基準
- 委託募集の募集受託者の許可基準
- 委託募集の募集主の許可申請
- 採用代行(RPO)で委託できる業務
- 採用計画・企画
- 母集団形成
- 応募者選考管理
- 応募者管理ツールの提供
- 内定者フォロー
- 人事の教育・研修
- 採用代行(RPO)サービスにかかる費用
- 採用にかかる費用相場
- 採用代行(RPO)の費用・料金体系
- 採用代行(RPO)のメリット
- 重要な人事業務に集中できる
- 採用活動のクオリティ向上
- 採用コストの削減
- 採用代行(RPO)のデメリット
- 委託コストがかかる
- 自社に採用ノウハウが蓄積されない
- 内定者との関係性を構築しづらい
- 採用の方向性が合わない可能性がある
- 採用代行(RPO)に向いている企業
- 採用業務の工数を削減したい企業
- 採用成功率を高めたい企業
- 採用に関するノウハウを蓄積したい企業
- 採用代行(RPO)を利用するときのポイント
- 利用目的を明確にする
- 求める人物像やスキルを明確にする
- 自社に最適な採用代行会社を選ぶ
- 進捗情報の共有
- 自社採用の準備
- 採用代行(RPO)で重要な業務に集中しよう
- BOXILとは
採用代行(RPO)とは
採用代行(RPO)とは、「Recruitment Process Outsourcing」の略で、採用活動の業務を外部へ委託する採用アウトソーシングのことです。
採用代行の具体的な内容は、次のとおりです。これらの採用活動の一部、またはすべてを委託する形態があります。
- 求人広告の作成・掲載
- 応募者対応
- 面接の手配・実施
- 候補者の選定
- 内定者フォロー
採用代行(RPO)のタイプ
採用活動には、主に次のようなタスクがあります。
これらの採用業務をすべて自社で行うのは複雑で手間がかかるため、採用活動の一部またはすべてを外部に委託するのが採用代行(RPO)です。
Aは面接までの採用プロセスを委託するケース、Bは採用の企画以外を委託するケースです。Cはこれらタスクをすべてアウトソーシングするケースを指します。
採用代行サービスでは、AやBのように採用業務の一部を代行するサービスと、Cのように採用活動すべてを代行するサービスがあります。Aのように母集団形成から面接日程の調整までを委託し、募集や選考は自社で行う場合は、第三者による募集である委託募集とはみなされません。
採用代行サービスを比較する際は、どのパターンのサービスなのかよく確認しましょう。
採用代行と人材紹介の違い
採用代行と人材紹介は、どちらも採用活動を支援するサービスですが、その内容と目的には大きな違いがあります。
人材紹介は、人材紹介会社が保有している求職者の中から、企業が求めている人材を紹介するサービスです。人材紹介会社はエージェントとして、企業と求職者との間に入り、面接の日程調整や入社時の交渉などを行います。一方で、人材紹介は求職者の紹介に特化しており、上の図の採用活動の母集団形成から面接までをサポートするサービスです。第三者による委託募集ではなく、職業紹介に該当するものです。
採用代行は人材を紹介されるのではなく、依頼元の採用活動を請け負って採用活動を行うサービスという違いがあります。
採用代行(RPO)は違法?
採用代行は、適切な許可を取得していれば違法ではありません。採用代行は、職業安定法第36条に規定されている「委託募集」に該当し、労働者の募集を第三者に委託する場合には、厚生労働大臣または就業地を管轄する都道府県労働局長の許可が必要であると定められています。
採用代行サービスを利用する場合、募集主(採用を委託する企業)と募集受託者(採用代行サービス提供会社)の双方が、職業安定法第36条の許可基準を満たし、許可を受けていれば違法にはなりません。これらの基準は、委託募集で採用される労働者が不利な状況に陥らないようにするためのものです。
委託募集の募集主の許可基準
委託募集の募集主(採用を委託する企業)の許可基準は次のとおりです。
- 事業主の徳性 職業安定法その他の労働関係法令に係る重大な違反がないこと。
- 募集に係る労働条件 募集に係る労働条件が適正であること。具体的には、法令に違反するものでないこと(賃金の毎月払い原則等)、同地域における同業種の賃金水準に比較して著しく低くないこと。
- 募集に係る業務内容及び労働条件の明示 募集に係る業務内容及び労働条件が明示されていること。
- 社会・労働保険の適切な加入 適用事業所については社会・労働保険に適切に加入していること。
※参考:厚生労働省職業安定局「募集・求人業務取扱要領」(2023年1月4日閲覧)
委託募集の募集受託者の許可基準
委託募集の募集受託者(採用代行サービス提供会社)の許可基準は次のとおりです。
- 職業安定法その他の労働関係法令に係る重大な違反がないこと。
- 募集に係る労働条件が適正であること。
- 募集に係る業務内容、労働条件が明示されていること。
- 労働者の募集に必要な知識、経験を有していること。
採用代行サービスを選ぶ際には、サービス提供会社が厚生労働省の「委託募集の許可基準」を満たしているかどうかを確認することが重要です。
委託募集の募集主の許可申請
募集主(採用代行利用者)は、「委託募集許可等申請書(様式第3号)」に必要事項を記載し、厚生労働省または都道府県労働局長へ提出します。申請の際は、委託募集許可等申請書の内容を証明する帳簿や、書類を同時に提出する必要があります。
委託募集許可申請書の手続きは募集主に代わって受託者が行えるため、採用代行サービス提供会社に許可申請を依頼するとよいでしょう。
採用代行(RPO)で委託できる業務
採用代行では具体的にどのような採用業務を委託できるのでしょうか。多くの企業がアウトソーシングする代表的な採用業務内容の5つを紹介し、どのようなことを代行できるのか紹介します。
採用計画・企画
人材を確保できない企業は、採用計画・企画に問題があるかもしれません。採用活動を成功させるために、緻密な人物像設計や採用計画策定をはじめ、採用ツールの選定や採用競合分析のような採用計画に関する専門性の高い業務を代行できます。
母集団形成
採用活動における母集団形成とは、自社の求人に興味や関心を持つ可能性のある候補者を集める活動のことです。具体的には、求人に応募する人々や、求人に興味を持ち、将来的に選考に参加する可能性のある人々を対象とします。
具体的には、次のような業務を代行してもらえます。
- 求人広告の掲載媒体の選定から広告作成・掲載
- エントリーフォームの作成・管理
- SNSやイベントなどの活用
- 人材紹介会社との連携
- インターンシップや会社説明会の開催
- スカウトメールの原稿作成と配信
母集団形成は単に人数を集めるだけではなく、採用ターゲットにマッチする応募者を集めることが重要です。これにより、入社後のミスマッチを防ぎ、定着率の向上が期待できます。
応募者選考管理
応募者が集まったら、採用する人材を選び出す選考作業が必要となります。適性検査や筆記試験の実施、面接などの選考プロセスを代行します。すべてを一任するのではなく、自社で行いたい業務と代行依頼したい業務を明確に分けることが重要です。
応募者管理ツールの提供
採用代行サービスは、応募者データの管理・分析を効率化するためのツールを提供します。人事担当者の視点から作られたツールであるため、作業効率が良く、使いやすさに優れているものが多いです。有効活用することで、採用担当者の負担を軽減し、採用活動の精度を高められます。
内定者フォロー
内定者との連絡や各種調整を代行します。具体的には、内定者への入社に関する連絡や書類の取得、内定者研修の企画・実施などが含まれます。
人事の教育・研修
採用代行サービスでは、採用を行う人事の教育と研修も行います。優秀な人材を獲得するためには、それを見極める人材も優秀でなくてはなりません。さまざまな経験ノウハウを活かし、面接官のトレーニングを代行します。これにより、人事担当者のスキルアップが図れるでしょう。
そのほか、入社後の人材開発や配置まで請け負う採用代行会社もあります。
採用代行(RPO)サービスにかかる費用
採用代行サービスの費用は、採用人数や依頼する業務内容、採用代行会社によって大きく変わります。参考として目安となる指標を紹介しましょう。
採用にかかる費用相場
通常の一人あたりの採用コストは、新卒採用で約70〜100万円、中途採用で約100万円が相場といわれています。
これらの費用には、求人広告費や説明会の会場費などが含まれます。それらのトータルでかかった経費を採用人数で割った数字が、一人あたりにかかった採用費です。
採用代行(RPO)の費用・料金体系
採用代行サービスの料金形態には種類があるため、一概に費用がこれくらいとは断言できません。
具体的な例を挙げると、採用人材の概算年収30〜40%、月額管理費用20〜30万円といったサービスが挙げられます。どの範囲の業務を依頼するのか、依頼した業務を代行するにあたって何名のスタッフが必要になるかなどにより料金は変動します。
採用代行の費用・料金体系は、大きく「従量課金型」「定額料金型」「成功報酬型」の3つに分かれています。
料金体系 | 性別 |
---|---|
従量課金型 | 代行する業務量によって料金が変わる方式で、採用代行サービスの代表的な料金体系です。サポート範囲の項目を基準に料金が決まります。 |
定額料金型 | 対応件数や成果とは関係なく、あらかじめ用意されたプランに応じて月額の定額料金を支払う方式です。対応期間や件数などの上限が決められていて、その範囲内でサービスを受けられます。 |
成功報酬型 | 成果が出た際に料金が発生する方式です。「1人の採用ごとに〇円」のように、採用時に料金が発生します。 |
採用代行(RPO)のメリット
採用代行のメリットは次のとおりです。
- 重要な人事業務に集中できる
- 採用活動のクオリティ向上
- 採用コストの削減
重要な人事業務に集中できる
採用代行によって、人事担当者が行わなくてもよい業務をアウトソーシングすることで、採用活動のコア業務に集中できます。採用後のミスマッチ防止や、優秀な人材を見極めるための重要な時間を確保できます。
採用活動のクオリティ向上
採用代行会社は、採用活動の豊富な実績とノウハウを持っているため専門性が高く、自社にあった形で採用活動を行ってくれます。データ分析を活用したターゲティング採用やオンライン面接の導入など、自社ではできないような取り組みも可能です。
これまで取りこぼしていた優秀な人材も、プロに任せると採用の確率が上がるでしょう。
採用コストの削減
「アウトソーシング=コストがかかる」というイメージが強いですが、実はそうとは限りません。採用にかかるすべてのコストを考えた場合、採用管理システムを用意する費用が省けたり、採用担当者の時間や手間を大幅に省けたりするので、採用コストの削減につながる可能性があります。
採用代行(RPO)のデメリット
採用代行のデメリットは次のとおりです。
- 委託コストがかかる
- 自社に採用ノウハウが蓄積されない
- 内定者との関係性を構築しづらい
- 採用の方向性が合わない可能性がある
委託コストがかかる
採用代行に安くないコストがかかってしまうのは、ある意味仕方がありません。単発で見ると大きなコストですが、採用活動と人件費を長期的に見た観点から、コストパフォーマンスを検討しましょう。
自社に採用ノウハウが蓄積されない
採用代行では、自社で一貫した採用活動を経験しないため、採用ノウハウが蓄積されません。採用代行を利用している間は順調でも、契約を解除した際に同じようなレベルの採用活動ができないリスクがあります。
採用代行を利用する際に、採用ノウハウの共有や、採用担当者の育成といったサポートを依頼することも検討しましょう。
内定者との関係性を構築しづらい
採用代行を利用すると、会社と内定者との関係性を構築するのが難しくなる可能性もあります。内定者フォローには、自社が積極的に関わる要素も必要です。
採用の方向性が合わない可能性がある
採用代行会社は、採用のプロフェッショナルですが、自社の採用の方向性と合わない場合もあります。採用の方向性や採用の目的を明確に伝え、採用代行会社と密に連携することが重要です。
採用代行(RPO)に向いている企業
採用代行の利用を検討すべき企業とは、どのような企業なのかを説明します。
採用業務の工数を削減したい企業
採用業務には、求人広告の掲載や応募者対応、面接の実施など、さまざまな業務があります。これらの業務をすべて自社で行うには、多くの時間と労力が必要です。
専門的な知識を持つ採用代行会社に採用業務を委託することで、採用業務の工数を削減でき、戦略的な採用計画を立てる時間が得られるでしょう。
具体的には、採用担当者が少ない企業や採用数拡大に対応できる人員がいない企業、採用を急いでいる企業は、採用代行サービスの利用を検討するとよいでしょう。
採用成功率を高めたい企業
採用成功率を高めるためには、採用計画の策定や求人票の作成、面接官の育成など、さまざまなノウハウが必要です。採用代行会社は、豊富な採用ノウハウを保有しており、採用成功率を高めるためのサポートを受けられます。
具体的には、採用活動で期待どおりの効果が得られていない企業、求める人材を他社に取られている企業は、採用代行サービスの利用をおすすめします。
採用に関するノウハウを蓄積したい企業
採用代行を利用すれば、採用ノウハウを外部の専門家から取り入れられます。採用に関するノウハウを蓄積することで、採用の方向性や採用戦略を明確にでき、自社の採用力の強化につながります。
採用代行(RPO)を利用するときのポイント
採用代行(RPO)を利用するときに、押さえておきたいポイントは次のとおりです。
- 利用目的を明確にする
- 求める人物像やスキルを明確にする
- 自社に最適な採用代行会社を選ぶ
- 進捗情報の共有
- 自社採用の準備
利用目的を明確にする
採用代行を利用する目的を明確にしましょう。採用成功率を高めたい、採用業務の工数を削減したい、採用に関するノウハウを蓄積したいなど、目的によって依頼する業務内容や選ぶ採用代行サービスが異なります。
自社で実施可能な採用業務を洗い出し、本当に依頼したい業務の範囲を明確にすることが大切です。こなせる業務は社内で行ったほうがコストの削減になります。
求める人物像やスキルを明確にする
採用したい人物像やスキルを明確にしましょう。採用代行会社は、自社の採用基準や求める人物像を理解したうえで、採用活動を進めていきます。これらが明確ではない場合、人材のミスマッチが起こりかねません。
自社に最適な採用代行会社を選ぶ
採用代行サービスを選ぶ際には、依頼したい内容が対応可能か、採用実績が豊富にあるか、同業他社の採用実績があるかといったポイントを参考にするとよいでしょう。
具体的には、次のような特徴を確認することが重要です。
- 累計導入社数
- 年間導入社数
- 採用代行会社の従業員数
- スカウトメールの成功率
- セキュリティ体制
- 料金体系
進捗情報の共有
採用代行業務を開始後、進捗状況を確認するためにも円滑な情報交換が必要となります。採用代行会社との採用活動の進捗状況や採用結果などの情報共有方法を事前に確認しましょう。採用活動の状況を把握し、必要に応じてフィードバックを行うことで、より効果的な採用活動につながります。
クラウドサービスやレポートツールの活用によってシームレスに情報共有できれば、確認業務の短縮になり業務の効率化にもつながります。
自社採用の準備
採用代行サービスを利用する場合は、委託先に任せきりにするのではなく、委託した採用業務のマニュアル化や採用フローの標準化を進めましょう。
採用代行をやめ、自社で採用活動していく際に、自走できる仕組みを整えることが大切です。
採用代行(RPO)で重要な業務に集中しよう
採用代行は、採用活動を外部に委託するものなので、現状の採用活動でネックとなっている業務を依頼しましょう。
採用代行を活用すれば、効率的に採用活動を進められるだけでなく、採用後の離職も減らせます。もし、どの採用業務を依頼すればよいのかわからなければ、記事で紹介した「採用代行(RPO)で委託できる業務」を参考にしてみてください。
採用代行のメリットとデメリットはそれぞれあるので、長期的・短期的な視点で自社の採用戦略を考え、どの範囲で利用するのがいいのかを検討しましょう。
ぜひこれを機会に、採用代行サービスについて検討してみてください。
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