MOOC(ムーク)とは?スタンフォード大の講義も受講可能な公開オンライン講座・サービス紹介
コンピューターネットワークを活用した学問という概念自体は古くから存在していましたが、技術が進化しeラーニングの導入が活発になってきたものの、実現までの道のりは長い期間がかかりました。
しかし、現在ではスタンフォード大学やハーバード大学をはじめとした世界中の名門大学講座が受講できるプラットフォーム、MOOCが登場しています。
MOOCとはどのようなものなのか、概要の解説を行うとともに、主なサービスの紹介をしていきます。
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MOOC(ムーク)とは
MOOCとは、大規模公開オンライン講義を意味するMassive Open Online Courseの略称であり、ムーク、または複数形のCoursesからムークス(MOOCs)と読みます。
インターネット環境があればだれでもアクセスできる、大学レベルの高等教育オンライン講義を提供しており、テストに合格すれば単位を取得したことを証明する修了証が発行される場合もあります。
修了証の発行や一部有償の講義を除けば、基本的にはほとんどが無償のサービスとなっており、2008年頃アメリカでスタートしたのを皮切りに、2012年頃世界中に急拡大、「教育の民主化革命」ともいわれ、2015年の総受講者数約3,500万人という人気を得るまでに成長しました。
MOOCのプラットフォーム
MOOCで提供している講義のほとんどは映像による配信を行っていますが、このためのWebサイトをプラットフォームと呼んでおり、スタンフォード大学、プリンストン大学などの講義を配信する「Coursera」、MIT(マサチューセッツ工科大学)やハーバード大学が参加している「edX」がその代表的なものといえるでしょう。
これらの参加大学からも判断できるように、講義の内容はバラエティに富みながらも専門性の高いものが多くなっており、自校の学生向けに行っている講義をそのままオンライン化したというものも存在します。
しかし、GoogleやNvidia、Autodeskなどが参加した「Udacity」では、IT業界に関連した講義を提供するオンライン大学という立ち位置となっており、学ぶ側から見た選択肢も豊富になりつつあります。
一般的なMOOCのコース
週1回1時間の講義が4週でワンセットあり、さまざまな講義形態が存在するMOOCですが、基本的には、
- オンライン受講
- テスト
- (プログラムにあれば)修了証発行
という流れで行われるコースが主流です。
この他に有償になる場合がほとんどですが、反転学習コースという講義を行っているプラットフォームもあり、
- オンライン受講
- 実際の対面授業
- テスト
- (プログラムにあれば)修了証発行
という、学生の理解をより深める試みも行われています。
さらに学生同士が交流を深められるようなコミュニティ・フォーラムが開設されていたり、オフラインで学生同士が自主的に交流するなども活発に行われています。
東京大学もMOOCに進出
このような広がりを見せるなか、日本の東京大学も2013年9月からMOOCに進出を開始しました。
世界的に教育面でのグローバル化が進展する状況で、東大というブランドのプレゼンス確立が目指されたと見られますが、2016年12月現在、Courseraで6コース、edXで4コースの計10コースもの講義を行い、世界185か国以上から累計32万人を超える受講者を数えるまでになっています。
MOOCのメリット
学ぶ機会を広く設けたMOOC・MOOCsには、利用する側のデメリットは存在しないといってよく、数多くのメリットを享受できます。
人や時間、場所を選ばない
だれにでも公開されているMOOCは、人の立場や年齢、事情を問わないばかりか、時間や場所も選ばず、基本的に無償で学べます。
つまり、学費が払えずに進学を断念した人にも学ぶ機会を提供し、仕事を持つ人でも個々の都合にあわせて学べるのです。
バラエティに富んだ高度な講義内容
スタンフォードやハーバード、東大などで行われている高度で専門的な講義はもちろん、コンピューター関連やアートといった、バラエティに富んだ講義を提供するプラットフォームが存在し、それぞれの分野で一流の内容を受講できます。
MOOCの日本版JMOOC
世界的に英語のみでの講義が行われてきたMOOCが拡大する一方、日本でもJMOOC(Japan Massive Open Online Courses = 日本オープンオンライン教育推進協議)が2013年11月に設立され、さまざまな講義が行われるようになっています。
JMOOCは「無料で学べる日本最大のオンライン大学講座」という特徴を掲げ、現在までに累計340講座が行われており、10代から80代まで100万人以上の人が受講しています。
JMOOCの特徴
一部の講義を除いてすべてが無償で提供され、反転学習コースや修了証が取得可能な講義もあるのはMOOCと同様ですが、日本語で講義が行われることによって、日本人が参加しやすくなっているのが大きな違いといえるでしょう。
また、JMOOCでは放送大学、明治大学、早稲田大学などのほか、グロービズ経営大学院やTAC、Oddeyseyが講義を行っており、アカデミックなものだけでなくビジネスに役立つ講義も多く行われているのも特徴といえます。
配信プラットフォームとは
JMOOCでは実際に講義が配信されるプラットフォームに「gacco」「OpenLearning, Japn」「OUJ MOOC」「Fisdom」を持ち、各々を配信プラットフォームと呼んでいます。
JMOOCのWebサイト自体はこれらをまとめるポータルサイトの役割を果たしている、という仕組みなっているのです。
代表的なMOOCサービス紹介
日本でもサービスが開始されたため、注目を集めてきているMOOCですが、ここでは代表的なサービスを紹介します。
Coursera
スタンフォード大学、ミシガン大学、プリンストン大学や東京大学をはじめ、世界の名門大学が講義を提供しているプラットフォームです。
「コンピュータサイエンス」「医療・医学・生物学」「社会・ネットワーク・情報」「人文学・社会科学」「数学と統計学」「経済学・金融学・経営学」などに分類されており、それぞれが短いビデオ講義によって行われ、演習問題も用意されています。
有償にはなりますが修了証の交付も行っており、学生の身元確認を行ったうえで交付するという、信頼のおける認可を行っていることが特徴です。
edX
ハーバード大学、MIT(マサチューセッツ工科大学)、カリフォルニア大学バークレー校、東京大学、京都大学などが講義を提供する、こちらも世界の名門大学が参加するプラットフォームです。
edXでは配信にとどまらない、より交流型のプラットフォームへの進化を見据えており、有償にはなりますが、アリゾナ州立大学を通じた大学単位の取得も可能となっています。
リアルタイムで講義が進行し、数週間で受講が完了する形が多くなっていますが、Coursera同様、終了した講座をまとめて視聴可能となっています。
Udacity
すでに紹介したGoogle、Nvidia、Autodeskの他に、Facebookやsalesforceも参加しているMOOCプラットフォームです。
コンピューターサイエンスや数学などの分野に強く、AIやディープラーニングをテーマにした高度な内容の講義が多く行われています。
もちろん、Web開発やモバイル開発、データ・サイエンスなど、IT関連企業に勤める人材に役立つような講義も多く行われており、25歳〜30歳後半のビジネスパーソンの受講者が多くなっているようです。
MOOEC
Massive Open Online English Courseの略称になるMOOECは、その名のとおり英語を学びたい人向けのMOOCプラットフォームです。
初心者から上級者まで対応した講義が用意されており、だれでも気軽に受講できるよう、1回の講義でそれぞれが完結する、短いプログラムとなっているのが特徴です。
リスニングとスピーキングを学びたい人には最適です。
Schoo
Web業界で働く人、働きたい人向けのオンライン学習講座を行っているのがSchooです。
内容はWebスキルはもちろんのこと、Photoshopといったデザインからビジネススキル、リーダー研修やプロジェクトマネジメント研修まで、Web業界のみならず、仕事に役立つ講義が数多く行われており、講師陣も、その分野で一流といわれる人物となっています。
リアルタイムでの配信は無償ですが、完了した講義を見返したい場合は有償となり、いくつかのプランが用意されています。
自社の社員教育にも使えるビジネスプランも用意されており、企業が活用しやすいMOOCかもしれません。
MOOCが抱える課題
あらゆる人に学ぶ機会を提供するMOOCは、利用する側にデメリットが存在しないのは事実ですが、MOOC自体はいくつかの課題を抱えています。
新規ユーザー獲得に苦戦?
2012年にMOOCが急激に注目されたとき以降、2015年になってもGoogle検索トラフィックの結果が伸びていないというデータがあります。
現在、約20のサービスが行われているMOOCですが、プラットフォームと累計ユーザー数という点で拡大を続けているにしても「新規のユーザー獲得に苦戦しているかもしれない」という見方があります。
学習の意義とモチベーション
従来の学校教育からいわれてきたように、これは学ぶ側のモチベーションとおおいに関係があると思われます。
つまり、仕事を含めた多くの重要事を抱えている社会人を中心に、人は学ぶ事を最優先するモチベーションを持ちにくいということです。
さらにほとんどが無償で提供されるサービスとなっているため、有償で学校に通う場合に比べ、学ぶ意義も持ちにくいと指摘されています。
これを解決するためには、現在のWebプラットフォームを利用した講義形式を超える、新しいプラットフォームが必要だと考えられています。
学びたい意識があれば学べる環境が実現
いくつかの課題があるとはいえ、学びたいという意識さえあれば、だれでも、どこでも、いつでも学ぶ事ができる環境がMOOCによって実現されたのは非常に重要なことだといえるでしょう。
課題自体も、当人の意識で解決できるものである以上、デメリットにもなりえません。変化の激しい市場経済に対応していくには、これからますます知識と情報が重要になってきます。
うまくMOOCを活用して、自身の対応力強化をはかってみてはいかがでしょうか。
MOOCに関連して、Edtechについては次の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
オンライン上で学習ができる、eラーニングシステムを紹介!サービスの比較をしたい方は、次のチャートをご活用ください。
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