カスタマージャーニーとは?目的やメリット、作り方
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カスタマージャーニーとは
カスタマージャーニーとは、顧客が商品・サービスを認知してから購買に至るまでのプロセスを洗い出し、情報を整理することです。
カスタマージャーニーは日本語で「顧客の旅」の意味があり、商品を購入するまでの一連の体験を旅に見立てています。

「認知」や「興味」といった各フェーズで、顧客がどういった行動をとり、どのような感情をもつかといった情報を洗い出すことで、顧客体験や施策の改善に役立てられます。
カスタマージャーニーマップとは、これらを書き起こした上記のような図のことです。カスタマージャーニーマップに関しては、次の記事でくわしく紹介しているため、参考にしてみてください。
カスタマージャーニーの歴史
カスタマージャーニーの概念は、カスタマーエクスペリエンス(CX)の重要性が認識され始めた1990年代後半から2000年代初頭にかけて発展しました。
2016年にフィリップ・コトラーの著書『マーケティング4.0』でくわしく紹介されたことで、さらに広く認知されるようになりました。
カスタマージャーニーはなぜ必要なのか
カスタマージャーニーが重視される理由としては、購買行動の多様化が挙げられるでしょう。
近年はインターネットが普及したことで、情報を収集する手段も非常に増えてきています。そのため、消費者がどのような流れで購買にたどり着くかのルートが複雑化しているのが現状です。
また、手軽に情報を収集・比較でき商品の差別化を図りにくいことから、近年は商品を購入する前後の顧客体験が重視されており、これらも含めて正確な管理が求められています。
こういった行動プロセスが複雑化した状況で、見込み顧客へ正確にアプローチするには、プロセス全体で消費者とのタッチポイントや顧客体験を設計しなければなりません。
一方で、カスタマージャーニーはマップを使ってプロセスや顧客の状況をすべて可視化できます。カスタマージャーニーを利用することで、一貫性のある適切な施策を最適なタイミングで提供可能です。
カスタマージャーニーはもう古い?
カスタマージャーニーはしばしば時代遅れ、もう古いといわれることがあります。これはいわゆる「パルス消費」が増加している影響と考えられるでしょう。
パルス消費とは、目的もなく漠然とSNSや通販サイトを見ているうちに、突然購買意欲が高まって商品を購入する行動のことです。
とくに、近年BtoCで予測した行動プロセスを通らず購入まで至るケースは増加しつつあります。
反対にじっくり購入・成約を検討するため、予測した行動プロセスを行ったり来たり繰り返す場合もあるでしょう。
このような傾向から、行動プロセスを軸として考えるカスタマージャーニーは古いと考えられています。
近年、パルス消費(目的なくSNSや通販サイトを閲覧しているうちに衝動的に購買する行動)が増加し、従来の直線的なカスタマージャーニーモデルでは説明しきれないケースもあります。
しかし、カスタマージャーニーマップは単なる購買プロセスの可視化ではなく、行動のパターンや課題の分析ツールとして有効です。
現在では、リアルタイムのデータを活用し、より動的なカスタマージャーニーの設計が求められています。
カスタマージャーニーの目的
カスタマージャーニーにはどのような目的があるのでしょうか。主な目的について紹介します。
消費者の行動パターンを知る
カスタマージャーニーの目的は、消費者の行動パターンを知ることが一番といっても過言ではありません。
消費者がどのような経緯でコンテンツに興味をもち、どの媒体を利用しているのかを詳細に分析することで、行動パターンを把握します。
全体の行動傾向がわかれば、行動のポイントごとに適切なアプローチが可能になります。自然に成約率が向上し、リードを優良顧客へと育成する機会が増えるでしょう。
反対にどのポイントが購入障壁かもわかるので、これを解消することで長期的な売り上げ向上が期待できます。
消費者の目線に合わせられる
消費者の目線に立って商品を開発したり、販売促進したりするのが商売の基本です。しかし、仕事を長く続けていると、注意していても企業側の視点になりがちです。
一方、カスタマージャーニーは消費者の目線に立ってプロセスを考える方法です。そのため、原点に返って消費者の目線で商品を評価できるでしょう。
消費者行動の理由を知る
一口で消費者視点のマーケティングといっても、実際に消費者がどういった感情をもって行動しているか把握しなければ、長期的に効果の出る施策を打ち出すのは難しいでしょう。
とくに現在はインターネット環境が発達しているため、消費者は複数のタッチポイントを経由していることが普通です。
部分的に行動を分析したとしても、全体的な視点が欠けているため、消費者が該当の媒体を利用しなくなったときに理由がわからなくなる可能性は高いでしょう。
しかし、カスタマージャーニーを作成すれば、消費者行動の全体像を捉えられるようになります。なぜ各媒体で行動を取ったのかが推測できるため、行動の変化に即した対策がとれるでしょう。
カスタマージャーニーのメリット
続いてカスタマージャーニーを作成するメリットについて、顧客理解や顧客体験の向上といった観点から説明します。
認識を社内で統一できる
カスタマージャーニーマップを作成すれば、抽象的なイメージしかもてなかった消費者のニーズを目に見える形で共有可能です。これにより大規模な会社でも、共通の認識をもって各プロジェクトに取り組めます。
一般的にマーケティングは、専門性の高いチームを複数にわけて実施する企業が多い傾向にあります。
そのため、カスタマージャーニーマップによって理想的な顧客像や、顧客の行動傾向を全体でシェアできれば、各施策の方向性がずれにくくなるでしょう。
顧客が購入に至るプロセスを深く理解することで、本質的な議論や意見交換も可能になります。
顧客の視点で動ける
カスタマージャーニーでは、設定したペルソナの行動傾向や思考様式を時系列で視覚化するため、顧客行動を深いレベルで理解できるようになります。
インタビューやアンケート調査でも顧客行動は理解できますが、これはあくまでも部分的なものであり、全体でどういった傾向があるのか把握するのは難しいでしょう。
しかしカスタマージャーニーを設定すると、顧客の行動から考えていることや感じていることを理解できるようになります。
どういう場面でどのような心理状態にあるのかを把握すれば、有効なマーケティング施策を打ち出せるでしょう。
マーケティングを効率化できる
ビジネスではどうしても自社目線でサービスを提供しがちですが、カスタマージャーニーの作成によって、顧客目線での商品開発およびサービス提供が実現できます。
これに伴って、従来のマーケティング施策ではなぜ効果が出なかったのかを理解できます。どういったタイミングでどのようなメッセージを発信するのが有効かも、体系的に理解できるでしょう。
このように、現状の課題や実施すべき施策がわかれば、KPIも設定しやすくなります。目標に向かって効率的に施策を実施できるでしょう。
迅速な意思決定につながる
社内で顧客像の共通認識をもちやすくなるため、マーケティングの意思決定がスムーズになります。
顧客の行動や心理を時系列的に可視化したカスタマージャーニーマップを作成するので、どういった経緯で顧客が商品・サービスに興味をもつのかを、全体で共有可能です。
必要なポイントの議論だけで完結するため、意思決定までの時間も短縮できるでしょう。
顧客体験の品質向上
カスタマージャーニーは顧客体験の向上、ひいては顧客満足度の向上も期待できます。
カスタマージャーニーマップを作成すると、常にユーザーの目線に立って施策を立てられます。ユーザーは求めている情報を必要なタイミングで受け取れるようになり、顧客体験が向上します。
カスタマージャーニーマップを利用すれば、一貫性のある施策を立てられます。購買行動全体での顧客体験が向上しやすく、最終的な顧客満足度の向上も期待できるでしょう。
顧客体験をとおして信頼関係が構築できれば、優良顧客へ育成にも役立ちます。
カスタマージャーニーのデメリット
カスタマージャーニーの主なデメリットについて紹介します。
作成に時間とリソースがかかる
カスタマージャーニーのマップを作成するには、顧客の行動や感情を正確に把握するための調査・分析が必要です。
インタビュー、アンケート、データ分析には相応の手間と時間がかかり、関係者とのすり合わせも多くなります。
特に複数のターゲット層がいる場合や、複雑な購買プロセスを扱う場合は、設計の難易度も上がり、リソースを多く割く必要があります。
マップを作るだけでは成果に直結しない
カスタマージャーニーを丁寧に作成しても、活用しきれなければ課題解決にはつながりません。実際の業務フローや施策に反映されていないと「作って終わり」になり、形骸化するリスクがあります。
ジャーニーマップは、あくまで顧客理解のためのツールです。マップをもとに改善施策を考え、実行に移すことが不可欠です。
カスタマージャーニーマップのフレーム
カスタマージャーニーマップのフレームを設計は、次のように実施します。

縦軸と横軸が存在しており、それぞれ項目ごとに枠をつくるのが一般的です。それぞれの要素について説明します。
横軸
横軸では、基本的に時間軸に沿って顧客の行動プロセスを設定します。商品・サービスを認知してから購入もしくは継続までをフェーズ(段階)ごとに分類します。分類方法はいくつかあり、主なものは次のとおりです。
- AIDMA:Attention(注意)・Interest(興味)・Desire(欲求)・Memory(記憶)・Action(行動)
- AISAS:Attention(注意)・Interest(興味)・Search(検索)・Action(行動)・ Share(共有)
それぞれ消費者の購買行動を仮説したもので、AIDMAの法則は従来の行動モデル、AISASの法則はネット普及後のモデルとされています。
ただし、企業や商品の特性によっては、これらのモデルに当てはまらないケースも考えられます。
必ずしもこのフェーズで設定する必要はなく、それぞれに合った分類方法を利用しましょう。また、AIDMAやAISASの詳細については、次の記事でも紹介しています。
縦軸
縦軸に設定する項目は、特に決まりがありません。顧客を分析するのに必要な項目だと感じたものを設定します。たとえば縦軸に設定する項目としては、次のようなものが挙げられます。
- 顧客の行動
- タッチポイント(顧客との接点、広告や記事コンテンツなど)
- 顧客の感情
- 施策(提供すべき顧客体験)
カスタマージャーニーマップの作り方
実際にカスタマージャーニーマップを作成する方法は次のとおりです。
- ペルソナを設定する
- フレームを設定する
- マッピングする
ただし、この記事ではざっくりとしか紹介していません。もしより詳細に作り方を知りたい場合には次の記事を参考にしましょう。
ペルソナを設定する
ペルソナとは、商品の典型的な購買対象のことです。簡単にいえば、もっとも売り込みたいターゲット層を、よりリアリティのある人物像に落とし込んだのがペルソナです。
具体的には年齢・性別・職業・趣味・ライフスタイル・価値観といった情報を設定し、詳細にイメージをつくり込みます。

ペルソナを設定すると、フェーズごとにどういった行動を取るかや、どういった感情・課題を抱くかがイメージしやすくなり、スムーズにマップを作成できます。
設定したペルソナを社内やチームで共有すれば、方向性が定まるため意思疎通もしやすくなるでしょう。
フレームを設定する
次に情報を書き込むためのフレーム(枠)を設定します。前述した「カスタマージャーニーマップのフレーム」を参考に、各ステップや項目を決めましょう。
このとき、項目が多くなりすぎると全体像を把握しにくくなるため、フレームはざっくりとしたもので構いません。
マッピングする
最後にユーザーの目線に立ち、それぞれの枠ごとの情報を実際に書き込みます。
このとき、できるかぎり情報の収集やリサーチを実施し、情報に客観性をもたせることをおすすめします。
ユーザー目線に立とうとしても、売り手側はどうしても先入観や「こうであってほしい」といった願望が入りやすく、実際の顧客の考えからは大きく離れるケースが少なくありません。
既存顧客へのアンケートや周囲の人物への聞き込みを実施し、客観的な事実をもとに書き込むと安心です。また、マップは詳細に書き込みすぎるとそれだけニーズも絞り込まれます。
結果として、限定的な成果しか出ず運用しづらいマップになるでしょう。
マップの情報はなるべくシンプルであそびのあるものをつくり、幅広く応用ができるよう調整しましょう。
カスタマージャーニーを作成する際の注意点
カスタマージャーニーを作成する際の注意点について紹介します。
憶測ではなく顧客の声をもとにする
カスタマージャーニーを作成する際に、企業側の憶測や理想だけで設計してしまうと、実際の顧客行動とのズレが生じます。
たとえば「このタイミングで資料請求するはず」「ここで興味を持つはず」といった仮定を前提にすると、期待どおりに成果が出ない可能性が高まります。
顧客インタビューやアンケート、アクセスログなど、実際のデータをもとに設計することが重要です。
完璧を目指さず、まずは全体像を描く
最初から細かいステップまで作り込もうとすると、時間がかかりすぎたり、チーム内での認識のずれが大きくなったりします。
カスタマージャーニーはあくまで仮説ベースで作成し、必要に応じて肉付けすることが重要です。
まずは主要な接点と顧客の感情・行動の流れを大まかに可視化し、そこから段階的に詳細化する方が効果的です。
運用しながら定期的に見直す
一度作成したカスタマージャーニーを使い続けるのは避けましょう。運用しながら定期的に見直すことも重要なポイントです。
顧客のニーズや行動、競合状況は時間とともに変化します。とくに、新しいサービスを開始したときやチャネル戦略を変更したときは、ジャーニーの更新が必要です。
定期的なレビューの仕組みを作っておくことで、常に実態に即したマーケティング活動が可能になります。
カスタマージャーニーマップを作成してみましょう
カスタマージャーニーの概要や目的、メリット、作り方を解説しました。
有効なマップを作成するには相応の時間はかかりますが、一度作成すれば、のちのマーケティングを効率的かつスムーズに進められるようになります。
さまざまな支援ツールも存在するため、積極的に活用して戦略的なマーケティングにつなげましょう。
支援ツールに関しては、次の記事で紹介しているためこちらも参考にしましょう。
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