マイナンバー管理サービス導入事例まとめ | 国内&海外・比較・課題・問題点
不安が尽きないマイナンバー制度
日本でも2016年1月よりマイナンバー制度が導入され、さまざまな組織で対応が進められています。
日本国内でのマイナンバー対応事例を紹介するとともに、マイナンバーに類似した制度を導入している海外事例と、その問題点を解説します。
事例1:まずはマイナンバー制度対応項目を整理
事業内容: 医薬品関連
課題:マイナンバー制度対応のアウトソーシング模索
国内10か所以上の拠点を持つB社では、人事・総務の事務処理をアウトソーシングしていたことから、企業にとって複雑でわかりにくいマイナンバー制度対応についても、アウトソーシングすることを検討、NECのコンサルティングサービス「マイナンバー業務内容具体化支援サービス」採用にいたった。
効果:社内でのマイナンバー収集をスムーズに完了
マイナンバー制度対応に対する現状分析・課題洗い出しを経て、新たな仕組みを構築し「マイナンバー対応BPOサービス」を利用し、社員・準社員などのマイナンバー収集・確認・管理を実施。スマートデバイスを活用することで、低コストを実現しながらスムーズに収集完了した。
コンサルティングサービス
- 状況に合わせた3つのサービスを提供
- 規定・業務フロー策定・見直しに対応
- ERP EXPLANNERとの連携に対応
コンサルティングサービスは、マイナンバー簡易アセスメントサービス、マイナンバー業務内容具体化支援サービス、マイナンバー監査支援サービスの3つを、状況に合わせて提供する、マイナンバー制度対応のコンサルティングサービスです。企業にとって複雑なマイナンバー制度に対応させるため、社内規定や業務フローの策定、見直しのアドバイスを行うほか、簡易アセスメントでスムーズな収集を実現しており、同社のERPシステム「EXPLANNER」と連携させたマイナンバー管理も可能、マイナンバー対応をトータルで支援します。
事例2:保管方法を検討
事業内容: 成田国際空港システム運用ほか
課題:マイナンバー収集・管理のリスク懸念
マイナンバー収集にあたって、紙の書類や社内サーバーでの収集・保管にリスク懸念を持っていた空港情報通信では、それらの運用形態にクラウドサービスを活用するのが最善と判断、対応するサービスを模索していた。
効果:収集・保管以外にマイナンバー管理も可能に
同社では、クラウド環境で運用が可能な、OBCの「マイナンバー収集・保管サービス」を選定、リスク要因を企業内に残さずにマイナンバー収集・保管を実現、あわせて法定調書奉行ネットワーク版を導入したことにより、支払い調書におけるマイナンバー管理も実現した。
OBCマイナンバーサービス
- 強固なセキュリティのクラウド環境保管
- 選べるマイナンバー収集対象
- 給与・法定調書・人事奉行との連携
OBCマイナンバーサービスは、企業の事情に応じてマイナンバー収集対象を選択でき、強固なセキュリティを誇る、Microsoft Azureクラウド環境で保管・管理を行えるサービスを提供しています。
さらに、同社の給与奉行、法定調書奉行、人事奉行と連携することにより、帳票出力時にクラウドからマイナンバーを取得、利用完了後には一括で自動削除が行われるなど、スムーズなマイナンバー管理を実現しているほか、それぞれに強固な安全管理システムを搭載、情報漏えいを防いでいます。
事例3:収集から印刷処理まで一括運用
事業内容: 教育事業
課題:33拠点、1万人を超えるマイナンバー収集対象者への対応
東海大学では、全国33拠点、常勤教職員だけで1万人超え、個人事業主を含めるとさらに膨大な人数となるマイナンバー対象者を抱えており、法定調書を指定形式で出力するには、給与システムの大幅カスタマイズも必要という課題もあった。
効果:マイナンバーの一元管理実現と法定調書印刷を実現
これを解決するため、マイナンバーBPOサービスを採用、拠点へのキット配送・関係者配布・個々に日立BPOセンターへ投函という流れでデータ化を完了、大学のマイナンバーへの接触を最小限としながら一元管理が実現、法定調書印刷処理まで実現したことにより、システム変更は最小限に抑えられた。
マイナンバー対応BPOサービス
- 一括管理により既存システム変更が最小限
- 高度なセキュリティによるデータ管理
- コンタクトセンターによる問い合わせ対応
マイナンバー対応BPOサービスは、マイナンバーの収集、データ登録、運用管理、法定調書などの印刷処理を一括して管理・運用することによって、既存システムを変更することなくマイナンバーに対応可能なサービスを提供しています。
機密性の高い独立区画でのデータ化や、インターネットから切り離されたデータ保管・管理など、高いセキュリティを保った運用を実現するほか、企業の管理者・従業員の個別問い合わせにコンタクトセンターが対応するなど、トータルなマイナンバー管理を実現しています。
事例4:新たに人事給与システムを構築
事業内容: 私立幼稚園
課題:マイナンバー対応の給与システムへの移行
課外教室を充実させ、待機児童対策にも取り組んでいる戸田第一学園 戸田第一幼稚園では、本業に集中できる体制作りのため、既存の給与システムからマイナンバー対応システムへの移行を検討しており、セキュリティ対策も同時に強化したい課題を持っていた。
効果:厳格なマイナンバー管理と業務基盤の確立
このため、組織的安全管理措置を備えたSMILE BS 2nd Edition 人事給与を導入。同時に、統合脅威管理ツールFortiGateも導入したことから、強固なセキュリティでマイナンバーを保護すると同時に、帳票出力にも対応した給与システムを実現、幼児教育に集中できる業務基盤の確立を実現した。
ERP NAVI SMILE BS 2nd Edition 人事給与
- 安全管理措置対応
- 年末調整を効率化
- 厳格な権限設定によるセキュリティ
ERP NAVI SMILE BS 2nd Edition 人事給与は、特定個人情報保護委員会のガイドラインによる、組織的・物理的・技術的安全管理措置に対応した、マイナンバー制度対応の給与システムです。
厳格な権限設定と暗号化による、高度なセキュリティでマイナンバーを管理することによって、源泉徴収や扶養控除などの帳票出力を安全に行うことができます。
また、控除額の自動計算や電子申告に対応することにより、マイナンバー対応後の年末調整を圧倒的に効率化、万一の変更時の再計算にも対応しています。
海外の事例は?
日本国内では、当初からマイナンバー制度へのセキュリティ面が懸念されることも多く、実際の運用にともなって、サービスを提供する企業も特にセキュリティ面に気を使ったシステム開発を行っているようです。
しかし、すでにマイナンバーと同様の制度が導入されている海外では、成功例もありながら、セキュリティに関する問題も多発しているのが現実です。
海外事例1:アメリカ
アメリカ版マイナンバーと言えるのが「社会保障番号」で、導入されてからすでに80年近くが経過しています。導入当初は、社会保障プログラムの一環として収支を記録するためのものでしたが、現在では身分証明としての役割が高まり、社会保障番号がないと就職はおろか、銀行口座の開設も難しいほどです。
問題点:なりすまし事件が多発
アメリカでは社会保障番号が身分証明の手段として一般的となっており、カードがなくても番号さえ口頭で伝えれば良いケースも多くあります。原則、発行を受けた本人以外は番号を知らないという想定に基づいて、カード自体の確認が省かれるのです。
しかし、この状況を悪用したなりすまし事件が多発しています。今年5月には、サイバー攻撃により流出した個人情報が悪用される事件がありました。なりすましにより、1万3千人分、3,900万ドル(約49億円・当時)の税金還付金が詐取されたのです。
海外事例2:韓国
韓国版マイナンバーにあたるのは「住民登録番号」で、番号が記載されたカードの携帯を義務付けています。1960年代に導入され、一説には、北朝鮮からのスパイのあぶり出しが目的とも言われています。基本的には身分証として、年齢確認や、不動産登記などに使われます。
問題点:情報漏えいの常態化
アメリカと同様、韓国でもマイナンバーの情報漏えいが常態化しています。確認されただけでこれまでに3億7,400万件以上の情報漏えいがあったと発表されています。韓国の人口はおよそ5,000万人なので、国民一人あたり7回以上流出している計算になります。
ここまで悪用が増えた背景にはインターネットのサイトに利用登録をする際に住民登録番号の記入を求められることが一般的となったことがあります。この状況を受けて、2014年に法律で定められた場合を除き、住民登録番号をみだりに収集することは禁止されました。
海外事例3:スウェーデン
スウェーデンでは1947年にマイナンバーが導入されています。氏名や住所、本籍地などのほか、本人だけでなく家族の所得・資産や所有する不動産関連の情報が含まれることが特徴です。
それらの情報がすべて一元管理されるため、確定申告などの際もあらかじめ内容が入力された書類が送付され、署名して返送するだけで済んでしまうのです。省庁間での情報共有も徹底されています。
成功例:行政による徹底管理
スウェーデンでは行政が情報を徹底管理していることもあり、数ある海外事例のなかでもマイナンバー制度に成功している例だと言えます。一方で、国がすべての情報を管理しているということは、プライバシー保護の面からは懸念があることも事実です。
国民の不安をやわらげるため、スウェーデン政府は、いつ、だれが、自分のどんな情報を、何のために閲覧したかを国民ひとりひとりに開示しています。
マイナンバーを安全に管理するには?
以上、日本国内のマイナンバー対応事例に加え、類似する3つの海外事例に触れましたが、いかがでしたでしょうか?
問題点となりやすいのは情報漏えいであり、また、情報を徹底管理する場合でもプライバシーの問題が生じることがこれらの海外事例からわかりました。
日本のマイナンバー制度が発展していく節目には、海外事例の教訓も参考にしていきたいですね。
マイナンバーを安全に管理する方法のひとつに、安全なソフトを利用することがあげられます。下記事ではそんなマイナンバー管理機能をもったソフトを紹介しています。
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