誓約書とは?ひな形付きで記載事項を解説
誓約書とは
誓約書とは、当事者の一方が相手方に対して、約束を守るという意思表示をするための書類です。誓約書は、当事者の一方が誓約書に署名・押印する形式が取られますが、当事者の双方が署名・押印する場合もあります。
一般的には、機密情報の非開示や協業禁止といった特定の行動の制限、特定の条件への同意など具体的な約束を明示するために使用されるものです。誓約書を作成する際には、約束事項が明確か、公序良俗に反しないかなどを確認しておきましょう。
誓約書と契約書の違い
誓約書と契約書の大きな違いは、誓約書は当事者が一方的に意思表示を記載するものに対し、契約書は当事者の双方の合意内容を記載する点です。契約書にあらかじめ誓約文を記載しておくことで、契約書兼誓約書という扱いにもできます。
そもそも契約書は、当事者間で契約が締結されたことを証明する文書です。国税庁の「第4節 契約書取扱い」によると契約書の意義は次のように記載されています。
法に規定する「契約書」とは、契約当事者の間において、契約(その予約を含む。)の成立、更改又は内容の変更若しくは補充の事実(以下「契約の成立等」という。)を証明する目的で作成される文書をいい、契約の消滅の事実を証明する目的で作成される文書は含まない。
引用:国税庁「第4節 契約書の取扱い」
誓約書と念書の違い
誓約書と念書の違いは、誓約書は約束した内容を相手に守らせることに重点が置かれている点です。一方、念書は約束した内容に対し、みずから守ることを示す点に重きが置かれる場合が多いです。
念書とは当事者の一方が約束したい内容を記載し、もう一方の当事者に提出する文書です。約束事を記載して証拠とする文書のため、誓約書と同じ効力を持ちます。
誓約書の主な種類
誓約したい事項によって内容は異なりますが、誓約書には次の項目が最低限必要です。
- 表題
- 作成日
- 誓約文言
- 誓約内容
- 会社名
- 代表者名
- 誓約者の住所・氏名
一般的な誓約書・機密保持誓約書・入社時誓約書・退職時誓約書の4つの誓約書について、記載内容や作成する際の注意点を説明します。
一般的な誓約書
誓約書を作成する際は、誓約させる内容が公序良俗や強行法規の範疇を超えないものかを確認する必要があります。公序良俗とは公共の秩序を守るための常識的な観念を示しており、強行法規とは、公共の秩序に関する規定で、当事者の意思により変更できないものです。また、第三者から見たときに合理的なものである内容にしましょう。
誓約書を作成する際には、手書きでもパソコンを使用しても問題ありません。ただし、署名は手書きかつ、押印は必ず忘れないようにしましょう。署名と押印がないと、誓約書の法的効力が生じません。
最近では、書面ではなく電子署名で誓約書を締結する企業も増えてきています。ただし、電子署名する際には、「本人性」と「非改ざん性」の要件を満たす必要があります。電子署名・電子印鑑を行っても、「本人性」「非改ざん性」が認められなければ、電子署名法に定められた電子署名と判断されず、法的効力が弱くなるため、あらかじめ電子署名法を確認しておきましょう。
機密保持誓約書
機密保持誓約書はビジネスシーンで用いられることが一般的です。機密保持誓約書は、業務を遂行するうえで取引相手から開示された製品情報や顧客情報、個人情報などの機密情報を外部に漏えいしないことを約束するために作成します。
作成する際の注意点は、機密情報が何を指すのか明確に記載することです。たんに「会社で知り得た情報」だけでは、どこまでが機密情報にあたるのか判断しにくく、裁判所では無効とされてしまう場合もあります。具体的に「取引情報を持ち出してはならない」「顧客リストを第三者に開示してはならない」のように誰でも判断できるように記載しておきましょう。
近年は個人情報を厳格に管理することが必須とされているため、自社の従業員だけでなく取引先とも機密保持誓約書を締結して、リスクヘッジに備えるようにしましょう。
入社時誓約書
入社時誓約書は企業側が入社時に社員へ提出を求める誓約書です。事業場の秩序を維持するために必要な、社員の義務や禁止行為を定めた服務規定や機密情報の保持、競業避止義務などを記載します。近年は副業を希望する社員も増えてきているため、副業可能かどうかの旨も記載しておくとよいでしょう。
退職時誓約書
退職時誓約書とは社員が退職する際に、守ってほしい約束事を明記した文書です。とくに「秘密保持義務の遵守」「競業避止義務の遵守」については必ず誓約するようにしましょう。
万が一にも誓約を忘れた場合、退職後に退職前の業務で扱っていた情報を漏えいされたり、ノウハウやナレッジを利用されたりする可能性があります。また、顧客関係や競業関係にある事業に従事した場合、損害を被る恐れがあります。
誓約書の主な記載事項
誓約書に記載するべき事項は、誓約書を結ぶケースによって異なります。一方で、必ず記載しておくべき事項があるため、忘れないように確認しておきましょう。
表題
表題には誓約書の名称を記載します。たんに「誓約書」でも、具体的に「機密保持誓約書」「入社時誓約書」としても問題ありません。誓約内容が具体的に定まっている場合は、何の誓約書かがわかりやすい表題を付けるとよいでしょう。
誓約者情報
誰と誰が誓約を締結するのか記載します。誓約書を受け取る側の会社名・代表者名、誓約を約束する側の会社名・代表者名、住所を記載しておくとよいでしょう。
作成日
誓約書の作成日を忘れずに記載しておきましょう。誓約書の有効性を示すだけでなく、特定の期間や状況において誓約が適用される場合、その範囲を示す役割を果たします。作成日を記載しておけば、事前にトラブルを防止可能です。
誓約内容
誓約書によって相手側に何を約束させるのか、誓約内容を記載します。誓約内容は誰が見てもわかりやすいかつ、具体的に示すようにしましょう。たとえば、機密保持誓約書の誓約内容は次のとおりです。
- 機密保持誓約書の定義
- 機密情報の複製・持ち出しの禁止
- 退職後の機密保持義務
あらかじめ誓約させたい内容を網羅的に書き出して、抜け漏れがないか確認しておきましょう。
一般的な誓約書のひな形(テンプレート)
BOXILでは、一般的な誓約書のひな形(テンプレート)を無料でダウンロードできます。誓約書を作成する際はぜひ利用してください。
誓約書に法的効力はある?
締結した誓約書には当事者の一方が約束事を守る旨が記載されているので、契約書と同様に法的効力が生じます。そのため、誓約書を提出した側は約束事を守る義務を負い、受け取った側は約束事を守るように求める権利を主張可能です。万が一、違反があった場合は損害賠償責任が発生する場合があります。
しかし、誓約書の内容が公序良俗や強行法規に反していると判断された場合は、誓約書の法的効力は無効になります。誓約書を作成する際は公序良俗に反していない内容か、よく確認しておきましょう。
誓約書に控えは必要?
誓約書を必ず控える義務はありませんが、誓約書を提出した側が誓約内容を忘れてしまう場合もあるため、控えを渡して見返せるようにすることが望ましいです。電子署名などオンライン上でやり取りする場合は、誓約書の締結後、相手側に送付するようにしましょう。
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