AIを活用した人事評価システム6選!業務へのメリットや注意点

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HR Techの発展・浸透により、さまざまな企業がAIを活用した人事評価やシステムの導入に取り組もうとしています。AIを活用した人事評価のメリットやデメリット、注意点、おすすめのAI人事評価システムを紹介します。

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人事業務へのHR Techの活用

人事業務にITを活用して業務を効率化し、発展させるHR Techが注目を集めています。HR Techを支える技術にはさまざまな種類がありますが、とくに注目されているのがAIに関する技術です。

AIとは人工知能(Artificial Intelligence)のことを指し、人間が培ってきた知的作業の代替として期待されています。
すでに一部の人事評価システムにおいても、AIを導入したサービスがリリースされています。

今後も、人事業務におけるさまざまな場面で活用が進んでいくでしょう。

AIによる人事評価業務へのメリット

現在予想されている、AIを人事領域へ導入した際の活用方法としては次の5つが想定できます。

  • モチベーションを可視化できる
  • 客観的なデータから公正な評価を実現できる
  • ハイパフォーマンス社員の共通点を分析できる
  • 業務効率の向上
  • 評価項目を多角化しやすい

それぞれについてくわしく説明します。

モチベーションを可視化できる

スキルや業務経験は一定程度可視化できますが、それらと同様に重要ながら測定が困難なのが従業員のモチベーションです。

モチベーションが高い方が高い成果を出しやすい一方、低いとパフォーマンスが悪くなりがちです。結果として離職してしまう可能性もあります。

AIが人間のモチベーションを計測・管理する技術は「Attuned」と呼ばれ、すでに研究・実用化が始まっています。

この技術が進歩すれば、いずれはモチベーションを客観的に計測して可視化できるようになるでしょう。人事施策に活かせる仕組みが構築できるかもしれません。

客観的なデータから公正な評価を実現できる

AIには、人事評価のブレをなくす効果も期待されます。人間が行う人事評価の最大の欠点が、評価者によって評価基準が異なる点です。

もちろん、このブレが大きくなればなるほど実際の能力や、会社への貢献と制度上の評価は乖離してしまいます。会社としても正しい意思決定ができなくなるでしょう。

こうしたブレを排除するためにさまざまな手法が開発・提唱されており、有力な解決策の一つがAIを活用した人事評価のブレ補正です。

AIが人事評価データを分析して、評価者ごとの癖を見抜き、バイアスを計測することにより、人事評価のブレを少なくする効果が期待できます。

ハイパフォーマンス社員の共通点を分析できる

ハイパフォーマーの行動特性を分析し、優秀な人材になることを促すように構築された評価制度はコンピテンシー評価と呼ばれます。
コンピテンシー評価を構築するための前提となる、ハイパフォーマーの発見・分析の工程においてもAIの活用が可能です。

人間がさまざまな情報を見ながらハイパフォーマーの特徴を発見しようとすると、書類のチェックだけでも膨大な時間がかかります。また判断する人間のバイアスによって、分析結果が変化する可能性もあるでしょう。

一方で、AIを活用したシステムの方が大量のデータを効率的に処理できます。人間のようにバイアスがかかる心配も少なく、思わぬ行動特性を発見できる可能性があります。

業務効率の向上

AIを活用した人事評価システムは、作業負担を軽減できるため、業務効率の向上にも期待できます。
人事評価にかかる業務は評価シートの配布・回収、催促、データの集計・分析、評価シートの見直しなど、多岐にわたります。

従業員数が多ければ負担も増えやすく、部署やチームごとに評価シートがある場合はさらに大きな負担がかかるでしょう。
しかしAIを活用した人事システムは、通常の人事システム以上に業務を自動化できます。そのため大幅に作業時間を減らせます。

評価項目の見直しといった単純ではない作業もAIはこなせるため、業務全体で効率化が図れるでしょう。

評価項目を多角化しやすい

職種・業務ごとの人事評価シートの作成といった、評価項目の多角化もAI人事評価システムであれば比較的簡単に実施できます。

職種や業務ごとに評価すべきポイントが異なるため、社内で統一された人事評価シートでは適正に評価できない可能性もあるでしょう。

そのような場合に職種・業務ごとに人事評価シートを作成すると、集計や評価の仕方も複雑になり、作業者の負担が増加します。

AIを活用した人事評価システムであれば、複雑な集計や分析もすべて自動で処理できます。評価項目を多角化しやすく、より適正に評価できるでしょう。

AIを人事評価業務に導入するデメリット

AIの導入にはもちろんデメリットも存在します。主なデメリットは次のとおりです。

  • 評価の過程がブラックボックス化しやすい
  • 評価者がAIに依存しやすい

それぞれについてくわしく説明します。

評価の過程がブラックボックス化しやすい

AIによる人事評価は過程や評価をつけた理由などがブラックボックス化しやすく、従業員が評価の内容に不満を感じる可能性があります。
AIは多くの情報を学習して分析・見える化させますが、評価の細かな理由は、AIにしかわかりません。過程や理由が不透明であれば、いかに公平な理由があったとしても評価に納得しづらいでしょう。

そのため、人間側でAIが下した評価の根拠や理由を推測し、全員が納得できるようサポートする必要があります。

評価者がAIに依存しやすい

人事評価をAIばかりに任せてしまうと、評価者がAIに依存する可能性もあります。AIに依存すると、AIが出した結論に疑問を抱かなくなる危険性があり、人事評価業務に対する責任感も薄れてしまうでしょう。

また人事評価の結論から、評価者はフィードバックやアドバイスすることも業務の一つです。しかし、AIに頼っていると適正なフィードバック・アドバイスもできません。

AIを活用した人事評価は、あくまで意思決定のサポートとして使うことが重要です。

AIを活用した人事評価システム6選

AIを活用した人事評価システムの開発は進んでおり、すでにいくつかのシステムではAIが搭載されています。AIが搭載された人事評価システムの紹介および、どのような機能でAIが活用されているのかについて解説します。

あしたのクラウドHR

  • 評価者モニタリング機能や目標添削機能などにAIを搭載
  • さまざまな評価制度・シートに柔軟に対応
  • 評価制度構築、運用支援もサポート

あしたのクラウドHRは、評価者モニタリング機能や、目標添削機能などにAIを活用した人事評価システムです。

評価者モニタリング機能とは、目標設定や評価が正しく実施されているかを5つの項目から判断する機能です。目標添削機能はより具体的な目標をするために、自動で添削してくれます。

1on1支援、甘辛分析、目標設定・管理機能、360度評価など、さまざまな機能が搭載されています。タレントマネジメントにも対応しています。

Qasee

  • 人事評価に必要な指標を見える化
  • AIが業務状況をレコメンド
  • 社内の業務状況を簡単に分析

Qaseeは人事評価の前提となる各自の業務上状況を可視化、各従業員のストレスチェック、業務負荷チェック、個人レポートなど実施するツールです。
AIが業務状況をレコメンドしてくれるため、システムを通じて業務改善にも取り組めます。

分析機能も豊富で、アプリケーションごとの生産性の違いや、紙の印刷といったアナログオペレーションなど社内の業務状況が簡単に分析可能です。
個人だけではなくチームの生産性の管理にも活用でき、人事評価、生産性向上の両方の観点から役に立ちます。

POSITIVE

  • グローバル・グループ企業の経営に役立つ人事システム
  • AIが最適な人材配置を提案してくれる
  • 人事情報、タレントマネジメント機能あり

POSITIVEは、人事管理、給与管理、就業管理、タレントマネジメント機能など搭載されている統合型の人事システムです。人事評価やタレントマネジメントのデータをもとに、AIが最適な人材配置を提案してくれます。

とくに、グループ企業やグローバルで事業を展開している企業向けの人事システムです。会社や部署、国をまたいで管理する際に導入を検討したいシステムといえます。

SUZAKU

  • 組織心理学×AIが人事に関する問題を可視化
  • 人事領域でAIテーマごとに提案
  • 実績のあるアセスメント・サーベイを搭載

SUZAKUは、組織心理学×AIで人事問題を可視化することをコンセプトにした、人事評価システムです。

入力されたデータをもとに適材配置や育成支援、リテンションマネジメント、採用マッチングのテーマに関してAIが提案してくれます。

行動科学・組織心理学にもとづき開発された、豊富な利用実績のあるアセスメント・サーベイを搭載しているのも特徴です。

AI人事4.0

  • 成果主義人事制度導入をサポートするためのシステム
  • AI×クラウドにより運用の手間を削減
  • 能力のプロファイルとeラーニングコンテンツが連動

AI人事4.0は、成果主義人事制度の導入・運用サポートに特化した人事評価システムです。仕事で使う能力を細分化し、各要素を評価することにより簡単に自己評価・他者評価を実施します。

AI人事4.0は、自己評価・他者評価の結果をもとにキャリア目標を設定し、目標と実績の差分を可視化可能です。必要な能力・スキルを身につけるために必要な、eラーニングコンテンツも提供してくれます。

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その他の人事評価システムはこちらの記事を参考にしてください。

人事評価にAIを活用する際の注意点

人事評価に導入する際には、次の点に注意が必要です。

  • 最終的な意思決定は人間が実施する
  • 従業員へは事前に周知徹底する
  • 無料トライアルや少額プランの活用

それぞれについてくわしく説明します。

最終的な意思決定は人間が実施する

AIはあくまで意思決定の支援ツールであるため、最終的な意思決定は人間がしましょう。

AIにも欠点はあり、判断ミスを起こす可能性もあります。評価者はAIだけに頼らず自分でも対象者の勤務状況を調査し、AIの結果と照らし合わせて最終的な判断を下してください。

AIの結果を常に疑うことで、AIによる判断ミスが防止できます。また結果を対象者に伝えるときは、AIの結果ではなく評価者が下した結果だと伝えることで、信頼関係を構築可能です。

従業員へは事前に周知徹底する

AIを導入する場合は、従業員からの不満や反発を未然に防止するため、説明会やオリエンテーションを開くなどの周知を徹底しましょう。
AIが何を基準として人事評価するのか、どのようなメリットがあるかなどを丁寧に説明してください。

周知するなかで不満が出るようであれば、再度制度や評価基準の見直しを検討しましょう。

無料トライアルや少額プランの活用

AIを活用した人事システムは、不満が出る可能性もあります。慎重に導入を検討する必要があるため、まずは無料トライアルや少額プランを活用しましょう。

人事評価システムは会社全体で利用するため、はじめからフルで導入すると高額な費用がかかります。

本当にAIを活用すべきなのか、システムが合っているかは、実際にシステムを操作しなければわからないこともあります。

無料トライアルがあれば利用し、ないようであれば少額プランからスモールスタートではじめることがポイントです。問題ないと判断できてから本格的に導入しましょう。

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人事の仕事はAIによって将来的になくなる?

AIの進歩や業務への活用によって危惧されるのが、人事業務の将来性です。

AIは人間の脳が処理するよりも大量のデータを短期間で処理して答えを出します。人事としての経験やノウハウが陳腐化されることが予想されます。

ただし、AIが進歩し、さまざまな意思決定に活用できるようになったとしても、人事の仕事は一定程度残ると考えられるでしょう。

AI活用で新たに浮かび上がる課題

AI技術により、将来的には多くの人事業務がAIで実施される未来が予想されています。しかし、少なくとも現段階ではそこまで技術は進歩していません。

たとえば、通販大手のAmazonでは人材採用に活用したAIシステムが、女性差別を助長しているとして運用停止に追い込まれました。

また、アメリカの人事システム「Workday」では、AIを活用した人材採用ツールが黒人や障がい者などの応募者を不当に差別しているとして、訴訟問題にまで発展しています。

世界に先駆けて、AIによる人事評価や賃金決定をしはじめたIBMでも、日本では人事評価の過程がブラックボックス化していることが指摘されています。

結果AIによる人事評価や賃金決定は労働組合から反発され、東京都労働委員会が介入する事態となりました。

このように、AIが人間にとって必ずしも納得性の高い評価をしてくれるとは限りません。判断過程を透明化しなければ、実際に被評価者から強い反発が起こります。

人間にしかできない人事領域の仕事も

「ハイパフォーマンス」「離職しそう」などの一定のテーマで人材の共通点を探したり、大量の人事データを瞬時に処理したりするのは人間よりもAIの方が得意です。

一方で、AIに頼った人事評価では、ブラックボックス化して納得感がなくなります。

人事領域においてもAIが出す結果に納得性をもたせるために、被評価者と評価者の間を取りもつことがポイントです。必要な研修やオリエンテーションの遂行がカギといえます。

AIがどれだけ進化したとしても、人間だからこそ効果の高い人事業務も一定程度残り続けます。そのため、人間の人事部社員は今後も必要です。

AIと人間の協働が人事領域においても求められる

「AIか人間か」の対立構造ではなく、AIと人間が協働して組織力の強化や人材発掘、育成に取り組むことが今後の人事業務においては重要です。

人事評価の分析・管理はAIの得意領域です。ハイパフォーマンス人材を発掘することや、退職しそうな人材を発見してアラートを通知することはAIが実施してくれます。

しかし、実際にハイパフォーマンス人材になるような施策を打ったり、退職しそうな人材を引き留めたりするのは人間でないとできません。

AIを活用することによって得られるさまざまなメリットを駆使して、強い組織をつくることが今後の人事部には求められるでしょう。

AIを人事評価へ上手に活用するために

技術の進歩により、人事評価の場面においても、AIを活用しなければならない日が到来すると考えられます。

すでに多くの人事評価システムでAIの活用が始まっています。人材の発掘やモチベーション推測、評価ブレ補正など、さまざまな場面での活用が期待されているのが現状です。

ただし、AIがさまざまな人事業務を効率化するといっても、まだまだ人間にしか対応できない人事業務も存在し続けるでしょう。

人事とAIが協働して組織力強化に取り組むことで、AIを最大限に活用した人事評価が可能になるはずです。

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