仮想マシンとは | ホストOSとゲストOSの違いを解説
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仮想マシンとは
2019年には市場規模が913億円に達すると予測されていた仮想マシンは、中小企業・大企業を問わず導入が進んでいるシステムの一つです。
そもそも仮想化とは?
一口に仮想化といっても種類が多く、サーバー、ストレージ、ドライブ、デスクトップなどさまざまな仮想化があります。
また、それぞれに違いはありますが、仮想化を一言で表すと「物理的な環境にとらわれず、仮想的な環境を作り出すこと」です。
たとえば、サーバー仮想化では、一台の物理サーバー上で複数の仮想サーバーを稼働させられます。これにより、見た目はサーバーが一台でも、実際には複数のサーバーが動作しています。
一方、ストレージ仮想化では、複数の物理サーバーのストレージを仮想的に統合して、一つの大規模なストレージプールを構築します。
このように仮想化の対象ごとに特徴は異なりますが、「物理的な環境にとらわれない」という点は共通しています。
仮想的に作り出されたハードウェア
では、仮想マシンとは何でしょうか。これは「仮想的に作り出されたハードウェア」を指します。つまり、前述の仮想サーバーと同じ意味になります。一台の物理サーバー上で複数の仮想サーバーを作成し稼働させるのが、仮想マシンの仕組みです。
何ができる?
通常の運用では余ってしまいがちなハードウェアリソース(CPUやメモリなどの資源)を有効に活用できます。従来の「一台のハードウェアに一つのアプリケーション」というスタイルでは、リソースが余ってしまい、ハードウェアの性能を20%しか活用できませんでした。
しかし、仮想マシンを導入することでリソースを分割でき、ハードウェアの性能をより最大限に活用できるようになります。
ホストOSとゲストOS
仮想マシンについて調べていくと、「ホストOS」と「ゲストOS」という言葉をよく目にします。これらの違いは、「土台となるOS」か「仮想マシンにインストールされたOS」か、という点です。
ホストOSとは仮想環境の土台となるOSであり、つまり物理サーバーにインストールされたOSとなります。
対してゲストOSは仮想マシン上にインストールされたOSのことです。
たとえば、Linuxサーバー上で仮想マシンを作成し、その中にWindowsをインストールした場合、ホストOSはLinux、ゲストOSはWindowsとなります。
仮想マシンの歴史は古い
仮想マシンの歴史は意外と古く、大型汎用機(メインフレーム)が普及した時代にまで遡ります。当時の大型汎用機には他機種間の互換性がなく、古い汎用機のアプリケーションを新しい機種で動かせませんでした。そのため、情報資産の継承が課題となっていました。
そこで1972年、IBMが商用初となる物理分割システム(現在の仮想化ソフトウェア)を開発し、上記のような問題が解消されました。
仮想マシンが導入されている理由
ここでは、仮想マシンが多くの企業で導入されている主な理由を2つ紹介します。
システムの一元管理
従来の「一つのハードウェアに対して一つのアプリケーション」では、システムごとにハードウェアが増え管理が煩雑化するという問題がありました。
そこで、一つのハードウェアに対して複数の仮想マシンを稼働させることで、システムを一元的に管理できます。
物理環境の整備
物理環境が増えると、管理が煩雑になるだけでなく、運用コストにも影響が及びます。サーバーの購入だけでも数十万~数百万円と高額で、さらに運用にかかる人件費を考慮するとランニングコストも多くなります。そのため、コスト削減を目的として仮想マシンを導入する企業が多くなっています。
仮想マシンのメリット
仮想マシンの導入メリット
クラウドサービスを利用している場合は別ですが、これまで新たなシステムを導入する際、都度サーバーを調達する必要がありました。
システムベンダーとサーバーのサイジングについて入念に打ち合わせるなど、検討段階から新しいサーバーを自社に設置するまでには数週間から数か月かかります。
1日や2日の判断の遅れが大きな影響を及ぼす現代のビジネス環境において、迅速性に欠けることは大きな問題となります。
しかし仮想マシンを導入していれば、一台の物理ハードウェアに対して複数の仮想マシンを稼働させられるため、リソースさえ余剰があればシステムを迅速に導入できます。
仮想マシンの運用メリット
物理サーバー上で複数の仮想マシンを稼働させるため、これまで煩雑化していた物理環境をスッキリとさせられます。
さらに、同じハードウェア上で複数のシステムを一元管理できるため、業務効率化につながるのは間違いありません。
また、サーバー設置スペースの削減にもつながります。
仮想マシンのコスト面のメリット
コスト面ではまずハードウェア削減によるメリットと、業務効率化によるメリットがあります。
新たなハードウェアの購入が不要なので数十万~数百万円かかるコストを大幅に削減できます。また、ハードウェアが数台減るだけで5年間の電力代が数十万円ほど削減可能です。
さらに、仮想マシンによる業務効率化は、目に見えにくいコスト削減にもつながります。管理・運用業務から離れて情報システム本来の業務に注力できれば、労働生産性が向上し、結果的にコスト削減につながります。
仮想マシンのセキュリティ上のメリット
これまでの物理環境ではセキュリティパッチを適用する際、システムの停止・セキュリティパッチの適用・システムの再稼働・動作確認という業務が必要です。
そのため、システムの稼働を止めずにパッチを適用するには、代替機を用意しておく必要があります。
しかし仮想マシンでは物理ハードウェアのリソースを自由に分割できるので、セキュリティパッチ適用時も代替機は必要なくスムーズに適用できます。
仮想マシンデメリット
仮想マシンの導入デメリット
仮想マシンの導入や、仮想環境で新たなシステムを導入する際には、従来とは異なる技術が必要となります。そのため、仮想化技術を持つ人材を確保するか、情報システム部門に技術教育を行う必要があります。これは導入時の最大のデメリットと言えるでしょう。
仮想マシンの運用デメリット
仮想マシンではシステムを一元的に管理できる反面、これまでの物理環境同様の管理はできません。
また、仮想マシン導入に際しデータセンターを活用する企業も増加しています。
そのため、仮想マシン運用監視ツールが必要になることが多く、これを導入しないまま運用を開始すると、トラブルが発生するケースも少なくありませんので、注意が必要です。
仮想マシンのコスト面でのデメリット
仮想マシンではコスト削減できる部分もあれば、逆にコストが増加する場合もあります。前述の運用管理ツールがその代表例です。
また、後述しますが冗長化のために複数台のハードウェアを残しておく必要があるので、完全にコスト削減できるわけではありません。
そのため、仮想マシン導入においてコスト削減を過度に追求するのはリスクがあります。コストメリットはあくまで副次的なものととらえ、他の面でのメリットを重視することが大切です。
仮想マシンのセキュリティ面でのデメリット
仮想マシンでは、ハードウェア障害に備えた対策を強化しなければなりません。
一台の物理サーバー上で複数の仮想マシンを稼働させているため、障害が発生するとすべてのシステムに影響が及ぶ可能性があります。
また、ウイルス対策も同様に強化する必要があります。
まとめ
仮想化に伴い、業務システムや周辺環境も大きく変化していくため、情報システムに直接関わっていないビジネスパーソンも、基礎知識として「仮想マシンとは何か」を理解することが重要です。
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