DWH(データウェアハウス)とは | DB、BI、データマートとの違い
DWH(データウェアハウス)には多くの種類があり「どれを選べばいいか」迷いますよね。後から知ったサービスの方が適していることもよくあります。導入の失敗を避けるためにも、まずは各サービスの資料をBOXILでまとめて用意しましょう。
⇒DWH(データウェアハウス)の資料をダウンロードする(無料)
目次を閉じる
- DWH(データウェアハウス)とは
- 一般的なデータベースとの違い
- 時系列での管理と分析に特化した特徴
- 類似概念との違い:DWH、DB、データレイク、データマートの関係
- DWHとDB(データベース)との違い
- DWHとデータレイクの違い
- DWHとデータマートの違い
- DWHとBIの違い
- DWHとETLの違い
- DWHの機能
- データの蓄積と時系列管理
- 分析に適したデータ構造の提供
- 高速な検索・集計処理
- アクセス制御とセキュリティ管理
- DWHのメリット
- 値がわかりやすい
- データを集約できる
- 用途を制限されづらい
- DWHとBIツールを組み合わせたデータ活用
- BIツールとの連携の仕組み
- DWH × BIの活用シナリオ
- DWH導入時の検討ポイント
- 要件定義とシステム設計の重要性
- クラウド型とオンプレ型の違いと選び方
- よくある質問(FAQ)
- DWHとDBはどう使い分けるべき?
- クラウドDWHの代表例には何がある?
- 小規模企業でも導入できる?
- DWHでデータ分析を促進しよう
- BOXILとは
DWH(データウェアハウス)とは
DWH(データウェアハウス)とは、複数のシステムから収集した大量のデータを統合し、分析しやすい形で蓄積するシステムのことです。直訳すると「データの倉庫」という意味を持ち、過去から現在に至る時系列データを整理・保存する役割を担います。
DWHは、膨大なデータを蓄積・整理し、分析や意思決定に役立てるための基盤です。営業情報や顧客データ、取引履歴などの情報を一元的に管理し、経営判断の根拠となる分析を行えます。
データの活用が重要視される昨今、多くの企業がデータウェアハウス(DWH)の導入を進めています。
DWH内のデータは分析しやすい形にまとめられており、BIツールをはじめとしたツールと直接連携するより、扱いやすい状態で分析可能です。
企業によっては、DBとDWHの間に暫定的にデータを集約するためのデータレイクを導入するケースもあります。DWHを取り囲む分析の一連の流れは次のとおりです。

一般的なデータベースとの違い
一般的なDB(データベース)は、リアルタイムな処理や業務システムの運用を目的としており、日々の取引や顧客情報などを高速に読み書きするのに適しています。一方、DWHは業務処理には使用せず、分析や可視化といった目的に特化しています。
具体的には、DBは現在の状態を管理するのに対し、DWHは履歴や推移といった過去のデータも蓄積して分析に活用します。
そのため、DWHではデータをあらかじめ加工・整理しておく「ETL処理」が行われることが一般的です。
時系列での管理と分析に特化した特徴
DWHの最大の特長は、時系列データの蓄積と活用に優れている点です。
年月ごとの売上推移、部署別のKPI進捗、顧客行動の変化など、時間の経過とともに変化するデータを体系的に管理できます。
この時系列性により、過去のデータとの比較分析やトレンド予測、将来の需要予測などが可能になります。DWHは、経営判断をデータにもとづいて行う「データドリブン経営」を支える重要な仕組みといえます。
類似概念との違い:DWH、DB、データレイク、データマートの関係
データを活用する基盤として、DWH(データウェアハウス)以外にも「データベース(DB)」「データレイク」「データマート」といった用語が登場します。
これらはすべて情報の保存や管理を担う仕組みですが、目的や構造、活用シーンが異なります。
DWHの理解を深めるためにも、これらの類似概念とどのような違いがあるのかを整理することが重要です。
DWHとDB(データベース)との違い
DWHとDBの違いは、上図のように保存されているデータが異なる点です。
DBは、ERPや基幹システムに蓄積されている生のデータです。それに対しDWHは、ETLにて分析に必要なデータが整形された状態で格納されています。
たとえば、AWSのDBには生データを保存しているものの、データを整形していなければデータ分析は困難です。そこでAmazon RedshiftにてDWHを活用してデータ分析します。
DWHとデータレイクの違い
DWHとデータレイクの違いは、保存されているデータが異なることです。
データレイクは各方面に分散していたデータを一か所にとりまとめたものですが、DWHはデータレイクのデータを分析時に扱いやすいよう整えたものです。
DWHとデータマートの違い
DWHとデータマートの違いは、必要なデータとして切り出されているか否かです。
DWHはDBやデータレイクから整えたデータを蓄積しています。一方データマートは、DWHに蓄えられたデータをさらに使いやすいよう個別事象にあわせてカスタマイズして保存しています。

DWHとBIの違い
DWHとBIの違いは、データを貯めるのと分析する違いがあります。
DWHはDBやデータマートのようにデータを蓄積しておくためのものです。それに対しBIは、DWHなどに貯められたデータを分析するためのツールです。
より詳しいDWHとBIの違いについては次の記事をチェックしてください。
DWHとETLの違い
ETLとは「Extract(抽出)」「Transform(変換)」「Load(書き出し)」の頭文字を取った略語でデータレイクやDWHにデータを整形して格納する作業を指します。
DWHはETLは異なる概念ですが、DWHを活用する際はETLが必要になります。
DWHを導入して自社のデータ分析を一歩前に進めませんか。DWHがあれば、これまでは見逃していた顧客のニーズが拾えるようになるかもしれません。DWH各社のサービスをふまえて、機能や料金を比較してみましょう。
⇒DWH各社の資料を一括でダウンロードする(無料)
DWHの機能
DWHは、単なるデータの保管場所ではなく、企業のデータ活用を支える高度な機能を備えたシステムです。さまざまなデータソースから情報を集約し、整形・保存・分析しやすい形に加工する機能を通じて、意思決定の質とスピードを高められます。
データの蓄積と時系列管理
DWHは、過去のデータを時系列で保存できるのが大きな特徴です。これにより、期間ごとの売上やアクセス数、顧客行動などの推移を記録し、経年比較やトレンド分析に活用できます。
分析に適したデータ構造の提供
DWHでは、データが多次元的な構造で整理されることが多く、BIツールや分析ツールと連携しやすくなっています。
この構造により、担当者が専門知識を持っていなくても、直感的にデータを参照・分析できます。
高速な検索・集計処理
膨大なデータを対象とした検索や集計も、DWHであれば効率的に処理できます。
インデックスの最適化や列指向型データベースなどの技術によって、大量データでもパフォーマンスを損なわずに集計・分析を実現します。
アクセス制御とセキュリティ管理
機密性の高いデータを扱うため、DWHにはユーザーごとのアクセス権限管理やログ監視、データマスキングといったセキュリティ機能も備えられています。
これにより、不正アクセスや情報漏えいのリスクを抑えつつ、安全に活用できる環境が整います。
DWHのメリット
企業がデータウェアハウス(DWH)を導入する最大の目的は、データにもとづいた迅速で正確な意思決定を実現することにあります。
DWHは、複数のシステムに散在している情報を一元化し、分析に最適な形で提供することで、日々の業務から経営判断まで幅広い場面で力を発揮します。
DWHを導入することで得られる主なメリットを整理しました。
値がわかりやすい
DWHのメリットのひとつに、蓄積されているデータの中身を理解しやすい点があげられます。
DWHにはETLの完了したデータがたまっていくため、必要なデータが必要な形でまとまっています。
0と1で判別がつかないように不必要に冗長なデータのない点が強みです。
データを集約できる
DWHは、Extractする段階でデータを集約しているのがメリットです。
こちらにおいてもETLにおいて処理していることがプラスに働いています。
多方面に存在しているDBをDWHへまとめることで分析をする際にデータの在り処を探さずに済みます。
用途を制限されづらい
DWHはデータマートと異なり、分析の用途を制限されづらい点が強みです。
DWHは必要なデータを最小公倍数の要領で集めるため、分析に用いるデータが抜け落ちるのを避けられます。
反対に、データマートには分析にフォーカスして目的以外のデータを削ぎ落としてしまう欠点が存在します。
DWHとBIツールを組み合わせたデータ活用
膨大な情報を蓄積できるDWH(データウェアハウス)だけでは、データを活用しきれないことがあります。
そこで重要になるのが、DWHに蓄積されたデータをビジュアルに可視化し、誰もが理解・活用できる形に変換するBI(ビジネスインテリジェンス)ツールの存在です。
DWHとBIツールを組み合わせることで、現場担当者から経営層まで、データを軸にした判断が日常業務の中に根づいていきます。
BIツールとの連携の仕組み
BIツールは、DWHに蓄積された構造化データへ接続し、ダッシュボードやレポートを生成するための可視化機能を提供します。
DWHから取得したデータは、事前に定義されたスキーマや集計ロジックに従って加工・集約され、BIツール上で視覚的に表示されます。
連携方法は、ODBC/JDBCなどの汎用的なデータ接続インターフェースを介してリアルタイムにデータを参照するケースが一般的です。
また、クラウド型のDWHとクラウド型のBIツールを連携させれば、拠点をまたいだデータ活用もスムーズに実現できます。
DWH × BIの活用シナリオ
DWHとBIツールを組み合わせることで、企業の部門ごとに多様な活用シナリオが生まれます。
たとえば、営業部門では地域別・担当者別の売上実績や目標進捗をリアルタイムで可視化することで、迅速な営業戦略の見直しが可能になります。
マーケティング部門では、広告の効果測定や顧客属性ごとの反応傾向を分析し、次回施策の精度を高められます。
経営層にとっても、財務状況や事業別KPIの推移をひと目で把握できるダッシュボードは、意思決定のスピードと正確性を大きく高める武器となります。
DWHとBIの連携は、組織全体の「見える化」を進め、データドリブンな文化を定着させる鍵となります。
DWH導入時の検討ポイント
DWHを導入する際は、単にツールを選ぶだけでは不十分です。
企業の業務プロセスや分析目的に応じた設計・運用体制を整える必要があります。
効果的にDWHを活用するためには、要件定義から体制構築、インフラの選定まで多角的な視点での検討が欠かせません。導入前に確認すべき主要なポイントを紹介します。
要件定義とシステム設計の重要性
DWHの導入を成功させるためには、最初に目的とゴールを明確にすることが重要です。
たとえば「経営指標を月次で可視化したい」「営業部門ごとのKPIをリアルタイムに分析したい」といったニーズに対して、どのようなデータが必要で、どの粒度で保存・集計すべきかを整理しておく必要があります。
これらの要件をもとに、テーブル構造やデータの取得・更新頻度、保持期間などを設計していきます。
要件定義が曖昧なまま進めてしまうと、導入後に再設計が必要になり、コストやスケジュールに大きな影響を及ぼすリスクがあります。
クラウド型とオンプレ型の違いと選び方
DWHのインフラは、クラウド型とオンプレミス型のどちらを選ぶかによって、コスト構造や運用負荷が大きく変わります。
クラウド型は初期投資が抑えられ、スケーラビリティにも優れているため、近年多くの企業で採用されています。
代表的なクラウドDWHには、Snowflake、Amazon Redshift、Google BigQueryなどがあります。
一方、オンプレ型は自社のセキュリティポリシーに則った環境で運用できる強みがあり、特に金融や公共機関など、高い情報管理レベルが求められる業種では今も選ばれる傾向があります。
業種・予算・運用体制・セキュリティ要件などを踏まえ、最適なインフラを選定することが重要です。
よくある質問(FAQ)
DWH(データウェアハウス)に関する情報は多岐にわたるため、導入を検討している企業や実際の運用担当者から、よく似た疑問が寄せられます。
DWHの基本的な使い分けや導入可否、技術用語の意味など、特に多く寄せられる質問に答えます。
DWHとDBはどう使い分けるべき?
DBは日々の業務データを保存・更新する「業務処理向け」の仕組みであり、受発注や顧客管理といったリアルタイムな処理に最適です。
一方、DWHは「分析・集計に特化したデータ基盤」として、過去から現在までのデータを統合・整形し、意思決定やレポート作成に活用されます。
両者は役割が異なるため、使い分けが重要です。業務アプリケーションの裏側にはDBを、経営分析やレポート作成にはDWHを用いることが一般的な運用スタイルです。
クラウドDWHの代表例には何がある?
クラウド型のDWHは、初期コストを抑えながらスピーディに構築できることから、近年多くの企業に選ばれています。代表的なサービスには次のものがあります。
Amazon Redshift(AWS)
Amazon Web Servicesが提供する高性能なクラウドDWH
Google BigQuery
大規模データの高速処理と柔軟な料金体系が特徴
Snowflake
独立系プロバイダーで、多くのクラウドに対応した柔軟性と高い拡張性が魅力
いずれもスケーラブルで、BIツールとの連携もスムーズに行える設計となっています。
小規模企業でも導入できる?
DWHは大企業向けのものと考えられがちですが、クラウド型サービスの普及により、小規模企業でも導入が現実的になっています。
特にクラウドDWHは従量課金制が多いため、使った分だけの料金でスタートできる点がメリットです。
分析に活用したいデータ量が増えてきたタイミングや、手作業でのレポート作成に限界を感じた際には、DWH導入を検討する良い機会といえるでしょう。
DWHでデータ分析を促進しよう
DWHは過去のデータを順次記録していくので、時系列で保存できる特徴があります。そのため基幹系業務システムなどでは見落としがちな、重要なデータを見つけられる可能性があります。
そのようなDWHを活用し、ビジネスに活用していきましょう。DWHの実際に使用されているシステムは次の記事で紹介しています。
BOXILとは
BOXIL(ボクシル)は企業のDXを支援する法人向けプラットフォームです。SaaS比較サイト「BOXIL SaaS」、ビジネスメディア「BOXIL Magazine」、YouTubeチャンネル「BOXIL CHANNEL」を通じて、ビジネスに役立つ情報を発信しています。
BOXIL会員(無料)になると次の特典が受け取れます。
- BOXIL Magazineの会員限定記事が読み放題!
- 「SaaS業界レポート」や「選び方ガイド」がダウンロードできる!
- 約800種類のビジネステンプレートが自由に使える!
BOXIL SaaSでは、SaaSやクラウドサービスの口コミを募集しています。あなたの体験が、サービス品質向上や、これから導入検討する企業の参考情報として役立ちます。
BOXIL SaaSへ掲載しませんか?
- リード獲得に強い法人向けSaaS比較・検索サイトNo.1※
- リードの従量課金で、安定的に新規顧客との接点を提供
- 累計1,200社以上の掲載実績があり、初めての比較サイト掲載でも安心
※ 日本マーケティングリサーチ機構調べ、調査概要:2021年5月期 ブランドのWEB比較印象調査