レコグニション制度とは?意味やメリット、効果的な人事制度の仕組み

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レコグニション制度とは、社員一人ひとりの仕事や能力を認め合うことで職場環境の改善や生産性の向上に結びつける制度のことです。近年レコグニション制度が注目されている背景や導入メリットなどを解説します。

レコグニションとは

「レコグニション(recognition)」とは、英語で「承認」や「認識」などの意味があります。企業で用いられる場合には、社員一人ひとりの仕事や能力を認め合い、互いに承認・称賛し合う仕組みを指します

具体的には、業績が顕著な社員を表彰する制度や、特別なインセンティブを与えるといった手法が挙げられるでしょう。ただし近年では、金銭的な報酬だけでなく、周囲からの賞賛や栄誉といった金銭以外の報酬にも重きが置かれる傾向があります。

レコグニションが注目される背景

レコグニションがビジネス分野で注目されるようになった背景には、従来のやり方では社員の長期的なモチベーションを維持することが難しくなってきたことが挙げられます。現在日本は急激に少子高齢化が進んでいるため、新たに優秀な人材を確保するのが難しく、1人の社員を大切に育て、長く働いてもらうことが重要です。

一方で最近のアンケート結果では、20代の離職の背景として「認められている実感がない」ことが最も大きな理由として挙げられています。そのため、レコグニションによって特に若手社員のエンゲージメント向上や、日々の仕事にやりがいを感じてもらうことが、業績の安定成長には欠かせない要素となっています。

つまり、金銭以外の報酬や、社員同士が互いに称賛し合える環境を整えることが、企業風土の改善や離職防止策として重要視されるようになってきていると言えるでしょう。

ソーシャル・レコグニションとは

ソーシャル・レコグニションとは、レコグニションのなかでもとくに、組織内でメンバー同士が承認し合える体制づくりや仕組みを意味します。従来のレコグニションは、社員表彰や永年勤続表彰といった、企業から社員に対して行われる称賛がほとんどでした。

しかし近年社員同士が褒め合い・認め合うためのサンクスカードや、後述するピアボーナス®(社員同士でボーナスを送る仕組み)などが登場しています。これによりレコグニションのなかでも、とくに社員同士で称賛する制度を、「ソーシャル・レコグニション」と呼んで区別しています。

リワードとの違い

レコグニションとリワードの違いは、報酬・金銭の有無です。そもそも「リワード(reward)」とは、英語で「報酬・褒美」といった意味があり、評価に伴う金銭やそれに準ずるインセンティブを指します。たとえば賞与や個人の売上に応じて与えられる成果報酬などが該当します。

一方レコグニションは、必ずしもインセンティブが発生するわけではないのが大きな違いです。前述したように、レコグニションは金銭的な報酬を重視せず、社員同士褒め合うことで職場の雰囲気をよくするのが目的です。

レコグニション導入のメリット

レコグニションをビジネスに採り入れるメリットとしては、次の点が挙げられます。

社員のエンゲージメントを高められる

ビジネス分野でレコグニションを導入する場合、社員エンゲージメントの向上は大きな目的の1つです。

社員エンゲージメントとは、簡単に言えば、社員が企業に対して持つ信頼や愛着の度合いを表す概念です。エンゲージメントが高い状態では、企業と社員が互いに貢献し合っています。また社員エンゲージメントが高まると、企業全体の方針や戦略が社員に浸透しやすくなり、組織全体のパフォーマンスの向上が期待できます。

もちろん昇給や賞与といった、リワードによってエンゲージメントを高めるのも手法の1つです。一方でレコグニションによって社員同士の連携や仕事への満足感を高めることでも、企業全体の業績向上につながります。

離職を防止できる

優秀な人材の離職に頭を悩ませている企業が多いなか、離職防止策としてもレコグニションは有効です。すでに説明したように、とくに20代の若者は金銭的報酬以上に「みずからの仕事が企業に認められているか」、「価値を認めてもらっているか」が仕事をするうえで非常に重要な要素です。

レコグニションによって社員同士が互いに認め合える職場環境を構築できれば、それが仕事のやりがいにつながり、結果として離職を防止できるでしょう。

社内をポジティブな雰囲気にできる

レコグニションを導入することで、社内の雰囲気をよりポジティブに変えられます。レコグニションによって、自身の取り組みや努力が評価され、周囲に称賛を伝え合えるようになると、社員は前向きかつ積極的に仕事に取り組むようになります。

また周りの人間や他部署の行動に対して興味関心をもちやすくなるため、社員同士の交流も増えやすくなるでしょう。こういった変化は企業全体にポジティブな空気をもたらし、働きやすい環境の構築や生産性の向上、チームワークの強化につながります。

レコグニション構築のポイント

続いて、組織内で実際にレコグニションを構築する際のコツやポイントについて解説します。

目的・目標を明確にする

まずはレコグニションを導入する目的や、導入後に達成したい目標を設定しましょう。自社の人事評価制度にどういった課題があるかを洗い出し、なぜレコグニションを導入したいか、また課題をどう改善し、どのような目標を達成したいか考えチームで共有してください。

事前にこれらを定めることにより方針が定まり、次のポイントであるレコグニションの範囲や運用ルールといった導入後の計画が立てやすくなります。

レコグニションの範囲を明確にする

レコグニションは表彰や褒章の対象範囲を明確にするのが重要です。正社員以外の契約社員やパートなど、非正規の社員をどこまで含めるかをしっかり検討してください。

当然、一部の社員だけが評価されて他の社員はなかなか評価されないといった、不公平な状態にしてはいけません。対象外となった社員のエンゲージメントが低下する可能性もあるため、注意しましょう。

逆に非正規の社員も対象範囲に含めることで、「会社に必要な存在として認められている」といった充足感・安心感が与えられます。

レコグニションの基準や方法をはっきりさせる

レコグニションでは、客観的な評価・報酬にもとづいた社内制度を構築する必要があります。具体的には、次のようなポイントをはっきりと定めるとスムーズに導入が進められるでしょう。

  • レコグニションを誰が与えるか
  • レコグニションを誰に与えるか
  • レコグニションを与える規準
  • レコグニションを与える場所と方法
  • レコグニションを与えるタイミング

レコグニションを与える方法や制度としては、とくに近年ピアボーナス®を導入する企業が増えています。ピアボーナス®については、後述します。

認め合う組織文化を醸成する

レコグニションを社内に導入するには「認め合う組織文化の醸成」に、全社的に取り組む姿勢を見せましょう。

そのためには、社員向けの説明会を開催し、説明資料を配布するなどして、制度の周知を徹底することが重要です。なぜレコグニション制度を導入するのか、目的や趣旨、運用ルールなどをしっかり伝え、社員の理解を得ましょう。

またルールに関しては文章化し、社内規定にすると文化として定着を促進でき、運用を行いやすくなります。

レコグニションの効果確認と改善の実施

レコグニション制度の導入後、形骸化させないためにはどの程度の効果が出たかを確認し、問題点の洗い出しと改善を行うことも重要です。導入後実際の現場で制度が機能していないことや、目的から外れた運用になることも少なくないからです。

効果の測定方法としては、社内アンケートの実施や利用状況の調査などが挙げられます。測定の際には社員目線での評価を行いましょう。調査内容に問題点があれば、制度の見直しや目標の修正などを行い、会社に適した制度を構築していきます。

迅速なフィードバックを心がける

レコグニションを構築するうえで重要なのは、とにかく迅速なフィードバックを心がけることです。時間を置くとフィードバックの効果が薄れてしまうだけでなく、当の本人が何のフィードバックなのかさえ忘れてしまっているケースもあります。

時間が経過するほど当事者意識が薄れることから、互いに迅速なフィードバックを心がけましょう。

おすすめのピアボーナス®ツール

ピアボーナス® 」とは、同じ職場で働く社員同士が仕事による成果や貢献に対して、互いに金銭的な報酬も含むボーナスを送り合う仕組みです。社員同士で評価し合うことで、レコグニション制度において重要となる「認め合う組織文化の醸成」につながります。

ピアボーナス®自体はどのような企業でも導入できますが、次に紹介するような専用ツールを導入することでスムーズな制度化を実現できます。

※「ピアボーナス®」はUnipos株式会社の商標です。商標権者から使用許諾を得ています。

インセンティブ・ポイント

  • インセンティブや福利厚生に使えるポイントシステム
  • 同僚に感謝を伝える「サンクスポイント機能」も
  • 付与されたポイントで厳選されたアイテムと交換

インセンティブ・ポイント は、ポイント管理とアイテム交換をワンストップで提供するサービスです。管理者が設定した基準に従いユーザーにポイントを付与でき、たまったポイントは多種多様なアイテムと交換できます。社員のモチベーションアップ、代理店への販売促進報奨、顧客へのキャンペーン施策などに活用可能です。社員同士で感謝のメッセージとともにポイントを送り合える「サンクスポイント機能」もあり、コミュニケーションの活性化、エンゲージメント向上が期待できます。

特徴 | SNS機能つきで人への興味がより強く

  • 特徴1 個人プロフィールやタイムライン機能つき
  • 特徴2 社内SNSから社内施策を共有でき、カルチャーが醸成される
  • 特徴3 写真・動画投稿、オリジナルスタンプに対応可能

TUNAG の大きな特徴は、社内SNS機能と社内制度管理機能にあります。この2つの機能で社員同士の信頼関係を構築しながら、組織の課題に合わせた社内制度の運用が可能です。SNSを使いこなしている世代であれば、簡単に利用できるのもTUNAGのポイントです。

<導入企業>

TANITAや京都信用金庫、ヒルトン成田、TABIPPOなど

>> TUNAGの価格・口コミ・評判はこちら

Unipos

  • 社員エンゲージメント・働きがいを向上させる
  • 人事の負担は最小限に、社員の認め合いを促進できる
  • 導入・運用・定着を徹底サポート

Unipos は、社員同士がオープンに感謝・賞賛の言葉を送り合えるシステムです。メルカリ社をはじめ数多くの企業に導入されており、高い継続率を誇っています。

社員がみずから使いたくなるプロダクト設計を強みとし、エンゲージメントや働きがいの向上が可能です。他にも部署・拠点を越えた連携強化や心理的安全性の醸成、行動指針の浸透など多くの経営課題にアプローチでき、HR関連アワードを多数受賞しています。

Uniposについては下記の記事でも詳しく紹介しています。

レコグニション制度の企業導入事例

これからレコグニション制度の導入を検討している方に向けて、いくつかの企業が実際に導入しているレコグニション制度の事例を紹介します。

日本マクドナルド株式会社

大手ファストフードチェーンのマクドナルドは、相手に感謝を伝えるレコグニションのカルチャーを大切にしている企業です。表彰に関しては、優秀な成績を収めた社員はもちろん、フランチャイズのオーナーやサプライヤーのためのアワードが設けられており、関係者全体に対しレコグニションを行っています。

またマクドナルドのレコグニションは、各店舗にもしっかり根づいているのが特徴です。マクドナルドの店舗では、コミュニケーションの一環として、店員同士が頻繁に「サンキュー!」と声かけを行っています。こういったちょっとした行動・配慮へも感謝の気持ちを伝えることで、マクドナルドでは強力なチームワークが発揮できているそうです。

※出典:日本マクドナルド「 カルチャーを知る03 レコグニション 」(2024年4月19日閲覧)

オリエンタルランド株式会社

東京ディズニーリゾートの運営会社として知られるオリエンタルランドでは、人の喜びを自分の喜びと感じ、年齢や性別、役職に関係なく称え合う文化が受け継がれています。レコグニション制度としては、スキル・技術を競うコンテストの開催や、幅広い視点からさまざまな案件に対しての会社表彰などを行っています。

また特徴的なのが、東京ディズニーリゾートのキャストに対してのレコグニションです。キャスト同士が素晴らしい行いに対し、専用カードにメッセージを書いて称え合います。またレコグニションでとくに高く評価されたキャストは、「マジカルディズニーキャスト」として特別なピンが授与されます。ほかにも最も素晴らしいキャストを選出する表彰制度や、年に1回パーク閉演後に感謝の気持ちを伝えるイベントの開催を行い、キャストのモチベーション向上に力を入れているそうです。

※出典:オリエンタルランド「 企業風土とES活動 」(2024年4月19日閲覧)

レコグニションで社員のエンゲージメントを高めよう

社員一人ひとりの仕事や能力を認め、互いに承認・称賛し合う体制づくりであるレコグニションについて解説しました。なかでもピアボーナス®をはじめとする制度の導入によって、職場内で気軽に感謝の言葉を伝え、互いに「認め合う文化」を醸成する施策が近年注目されています。

またレコグニション制度は、上記のように実際に多くの企業に導入され、一定の成果を上げています。工夫次第でどのような企業にも導入でき、企業風土の改善や離職対策としても有効であるため、ぜひこの機会に導入を検討してください。

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