保険業界向けRPAおすすめ比較！解決できる課題と事例

保険業界で活用できるRPAの機能

RPAとは「Robotic Process Automation」の略語であり、人間に代わってソフトウェアロボットに一連の作業を任せることで、業務自動化を実現できるツールです。もともと自動化を目指す取り組みがRPAと呼ばれていましたが、国内で利用が広まるにつれて、徐々にツールそのものをRPAと呼ぶのが一般的になりました。

定型業務を記録し、ロボットが忠実に再現する機能を有しているのがRPAの特徴です。ほかにもインターネット上から任意の情報を収集したり、自動返信メールを作成・送信したりする機能をもつRPAもあります。

保険業界は人間による目視の資料確認や、手作業でのデータ入力・転記などの仕事が多い業界です。RPAを導入すれば業務の一部を自動化できるので、社員の業務負担を大幅に軽減できます。RPAの機能をさらに詳しく知りたい場合は、こちらの記事を確認してみましょう。

保険業界における業務効率に関する課題

保険業界では社員の業務負担の増大や、ペーパーレス化に関する課題を抱えています。日常業務において、解決すべき課題は何か確認してみましょう。

社員の業務負担の増加

保険業界では顧客からの問い合わせの増加や、自然災害の頻発を背景とした業務の複雑化などにより、社員の負担が増している状況です。

顧客への迅速な支払いも求められるようになり、コンプライアンスの順守に関しても、さまざまな取り組みが必要とされています。社員によって担当する業務は異なるものの、軒並み業務の煩雑さが増しているのが、保険業界の現状です。

非対面業務の一般化によるプロセスの見直し

保険業界でもコロナ禍を機として、在宅ワークやテレワークを導入する企業が増えています。問い合わせ対応をはじめとして、顧客と非対面で接する機会も一般的になりました。営業活動もオンラインで実施するケースが目立ちます。

そこで、オフラインとオンラインを組み合わせた営業手法をはじめ、これまでとは異なる業務プロセスの確立が必要な組織が増えているのも特徴です。オンラインにはそぐわない非効率な業務を刷新するとともに、新たな営業のやり方を模索する企業も少なくありません。

ペーパーレス化の促進も喫緊の課題に

保険業界は業務に関連する書類が多岐にわたり、さまざまな書類の作成・管理に、時間がかかってしまうのも課題のひとつです。高齢者の顧客も多いため、完全に電子化するのは難しいにせよ、ペーパーレス化は積極的に進めなければいけません。

近年は電子契約システムをはじめとして、ペーパーレスを促進するシステムの導入が増えている一方で、ハンコ文化が根付いている企業もけっして珍しくありません。保険業界は特に、顧客側もハンコではなくデジタル署名を求める人が増えているので、積極的なデジタル化が必要です。

保険業界の課題をRPAで解決できる理由

保険業界では社員の業務負担やペーパーレスに関する課題などがありますが、RPAシステムを使えば課題を解決できる可能性があります。その理由を、RPAの具体的な機能とともに説明します。

定型業務の自動化で社員の負担を軽減

RPAでは定型業務の自動化ができるため、保険業界で発生しがちな、顧客からの問い合わせの増加や、煩雑になりがちな支払い業務の効率化が可能です。工夫次第で社員の業務負担を大幅に軽減できるでしょう。

デスクトップ上の一連の流れを記録・再現できるのに加えて、サーバーにソフトウェアロボットを導入すれば、複数の部門にまたがる作業の自動化にも対応できます。一見、複雑な業務でも、単純な作業の積み重ねの場合も多いので、うまくRPAを活用すれば組織全体の生産性を向上できます。

オンライン業務のプロセスを最適化できる

非対面の業務が増えた保険業界において、RPAはオンライン業務の最適化にも役立ちます。たとえば、RPAとチャットボットを組み合わせることで、顧客からの問い合わせに対する自動応答システムの構築が可能です。

さらに、収集した顧客データのシステム登録や転記作業などは、RPAの得意分野なので、積極的に自動化を試みるとよいでしょう。RPAは24時間365日稼働させ続けられるため、社員の帰宅後や休日の間も、一定の成果を上げられます。

他のシステムとの連携でペーパーレス化を促進

AI-OCRをはじめとして、さまざまなツールや管理システムとRPAを連携すれば、複雑な業務でもある程度は自動化できます。これまで紙ベースで処理をしてきた業務に関しても、システム上で完結できる部分が増えるでしょう。

また、RPAの中には、サーバーにインストールして運用できるタイプもあるので、複数の部門や拠点にまたがるように自動化のプロセスを構築できます。クラウド上でデータをやりとりできるサービスと組み合わせれば、全社的にペーパーレス化を進められるでしょう。

保険業界におけるRPAの導入事例

保険業界におけるRPAの導入例を紹介します。他社がどういった課題をRPAで解決できたか、具体的に確認していきましょう。

家庭保険サービス株式会社

福岡県で損害保険や、生命保険の代理店業を営む家庭保険サービス株式会社では、業務全般の効率化のためにRPAを導入したものの、社内でうまく扱えていなかったようです。そこで、新たに人気の高いRPAツール「Robo-Pat DX（RPAロボパットDX）」を採用したところ、100件近いデータ処理の自動化を実現できました。

ソフトウェアロボットを直観的に作成でき、サービスベンダーによるサポートが充実していたことが、成功の理由としています。今後はRPAによって自動化できる業務を増やし、組織全体に広める予定のようです。

※出典：株式会社FCEプロセス&テクノロジー「家庭保険サービス株式会社 - RPA - Robo-Pat DX（ロボパットDX）」（2024年1月31日閲覧）

大同火災海上保険株式会社

大同火災海上保険株式会社では、単純な事務処理作業を大量に抱えており、社員の手でしか対応できない業務に割けるリソースが限られていました。さらに、多種多様な管理システムを利用していたため、データの入力業務が煩雑になりがちで、紙による情報伝達の文化も残っていたようです。

そこで、IT業界を中心に人気のあるRPAツール「BizRobo!」を導入し、社員の労働時間とコストの削減を図りました。その結果、契約管理から代理店への連絡・保険の受付など、主な定型業務の効率化に成功しています。

今後はさらにRPAを活用しながら、約18,000時間の労働時間の削減を目指すようです。

※出典：RPAテクノロジーズ株式会社「【保険業 RPA事例】会社から与えられた使命はコスト削減と業務効率化」（2023年12月28日閲覧）

楽天損害保険株式会社

楽天損害保険株式会社では長い間、保険業界に特有の紙問題に悩まされており、ペーパーレス化と働き方改革実現のために、有名なRPAツール「WinActor」を導入しました。特に、契約に関する書類や請求書などの処理に難儀していたようです。

人材サービス会社の協力のもとRPAの導入・運用を進めたところ、トライアルの時点で1,700時間の作業時間短縮に成功しています。さらに2018年からは、ユーザー部門が主導するかたちで本格的に利用を開始し、55体のソフトウェアロボットを作成したことで、年間で7,000時間以上の削減が可能になりました。

※出典：株式会社NTTデータ「WinActor®導入事例【楽天損害保険株式会社】保険業界の大量の事務作業をRPAで解決!」（2024年1月31日閲覧）

保険業界向けRPAの比較

BizRobo!は低コストで、無制限に利用できるRPAツールです。開発および実行環境がオールインワンで提供されるのが特徴で、ロボットを追加する際のコストもかからないのが魅力です。

また、特定の場所に縛られず開発できるため、在宅ワークやモバイルワークなどを導入している企業でも、使いやすいでしょう。開発環境はインストール無制限で、ブラウザから簡単にロボットを実行可能です。

他のRPAツールに比べて動作も安定しており、状況に応じてスケールもしやすいので、まずは気軽に導入を検討してみましょう。導入規模に応じて、3種類の製品から選択できます。

RPAロボパットDXは、事業部門がみずから自動化できるシステムをコンセプトに、開発されたRPAです。現場の業務フローと必要な機能を追求し、改善を重ねてきたサービスで、多くのシステムやアプリケーションの自動化が可能です。

手順の決まっている作業はもちろん、人間が無意識にしている判断も、ある程度は再現できます。さらに、マウスを当てるだけで最適な操作を判別できる機能や、高速スクレイピングなども実装されています。サービスベンダーによるサポートも充実しており、集合型から個別型まで、ニーズに応じて選択が可能です。

AUTOROはパソコン上の定型操作を効率化できる、クラウド型のRPAです。ユーザー自身がWeb上でロボットを作成し、画面上で操作を記録させるだけで、一連の作業の自動化が可能です。

システム管理からメールの送受信・スクレイピングなど、RPAに求められる動きを数多く実現できるのに加えて、Google Chromeの拡張機能にも対応しています。作業フローをコピーする機能もあるので、自動化プロセスをチームで共有するのもよいでしょう。ニーズに合わせて、さまざまなプランを選択できるのも魅力です。

UiPath StudioXは、ノーコードでソフトウェアロボットを開発できるRPAで、世界的に有名なツールです。ドラッグ&ドロップが中心の操作で、初心者にも使いやすく、実装したいアクティビティも簡単に探せます。

開発から運用・機能の拡張まで幅広く対応できるプラットフォームであり、海外ベンダーではあるものの、国内サポートが充実しているので、初めてRPAを導入する企業でも問題ないでしょう。実際、保険業界をはじめとして多くの企業で利用されており、国内で着実に導入数を増やしています。

Automation Anywhereは、世界トップレベルのシェアを誇るRPAで、国内でも多くの業界に導入されています。AI（人工知能）が自動化可能な業務プロセスを選定し、マシンスペックを気にせず、ソフトウェアロボットを開発できるのが特徴です。

画像やPDFなどの情報の読み取りも得意で、パフォーマンスを計測できる機能も実装されています。さらに、世界中の制作者がつくり上げたロボットを利用できるほか、Google CloudとのAPI連携も可能です。保険業界をはじめ製薬業界やアパレル業界など、広く導入されています。

RaBit - ラディックス株式会社

RaBitは、業界でトップクラスのコストパフォーマンスで、複雑な作業でも簡単に自動化できるRPAです。

表計算ソフトへの入力や会計ソフトの操作、データの転記・取得などの作業を自動化でき、環境に合わせたカスタマイズも可能です。システムの運用に専門知識は不要で、サービスベンダー専任のエンジニアに、ヒアリングから設計・導入後のサポートまで、ワンストップで対応してもらえます。

EzAvater - 株式会社テリロジーサービスウェア

EzAvaterは、簡単操作と開発のしやすさに重きが置かれたRPAで、ユーザーの声を素早く反映し、年間で100以上の機能を追加し続けているサービスです。難しい設定はテンプレートが用意されており、ボタンひとつで登録できる機能もあります。

誰でも簡単に使える点が追求されており、請求書のメール送信や給与計算・登録情報の整合性チェックなど、さまざまな業務の自動化が可能です。フリートライアルに加えて、契約前にハンズオントレーニングも受けられるので、ITシステムの運用に自信がない担当者の方でも、安心して導入できます。

保険業界向けRPAで煩雑な業務を最適化

RPAは手順の決まっている作業を自動化できるツールで、うまく活用すれば、保険業界の業務効率に関する課題の解決に役立ちます。複雑な業務でも定型業務に落とし込めれば、複数の部門・部署にまたがる業務でも、横断的に自動化できる可能性もあります。

導入するRPAを選ぶ際には、運用コストや機能性はもちろん、操作性やベンダーのサポート体制にも目を向けることが大事です。ソフトウェアロボットを社内で自作するならば、誰にでも作成しやすい製品を選択しなければいけません。

まずは導入目的を明確にして、どのような業務を自動化するか、決めるところから始めましょう。なお、保険業界ではRPAに関連して、次のようなサービスも導入されています。こちらも検討してみましょう。

• 保険業界向けチャットボット
• 保険業界向けCRM