保険業界でCRMが注目されるワケ 顧客満足度獲得で売上向上を目指そう

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- 現在求められるCRMとは
- 保険業界になぜCRMが必要なのか
- これまでのマス・マーケティングが時代遅れになった
- One to Oneマーケティングの必要性
- スコアリングによる顧客アプローチが必須に
- 保険業界におけるCRM導入の3つのポイント
- 顧客を重視した経営
- 新しいアプローチの実現
- 他の部署との連帯
- 保険業界向けCRMの選択基準と導入時の注意点
- これまでの営業手法を分析する
- 操作性をチェックする
- サポートの充実度もチェック
- 保険業界におけるCRM導入事例
- 共栄火災海上保険
- 日立保険サービス
- 顧客管理を容易にする優秀なCRM6選
- Salesforce Sales Cloud
- Zoho CRM
- Microsoft Dynamics 365
- GRMarketing
- Freshsales Suite
- pipedrive
- CRMで保険業界の業務を効率化
- BOXILとは
現在求められるCRMとは
CRMとは顧客関係管理のことで、具体的には顧客情報を手がかりに、サービスや商品を提供することで満足度を獲得し、売上向上につなげる手法を指します。ただし、顧客管理のためのシステムが多く登場したことにより、近年は顧客管理システムをCRMと呼ぶのが一般的です。
現状、さまざまな業界でCRMが導入されていますが、保険業界でも導入する企業が増えてきました。保険業界では国内の契約見込み数の減少しており、顧客のニーズに合った商品を提案して新規獲得につなげることや、ライフステージごとに繰り返し商品を購入してもらえるようなリピーターの確保が求められます。
CRMを導入することで、効率的かつスピーディーな顧客情報の整理・活用が可能になり、成約率のアップを実現できます。とりわけ多くの顧客を抱える保険業界において、CRMの恩恵は大きいといえるでしょう。
保険業界になぜCRMが必要なのか
近年はますます少子高齢化が進み、保険業界における国内の見込契約者数は減少傾向にあります。とりわけ契約者数が主な運営資本となっている保険業界では、一人あたりの売上の最大化、労働生産性の向上の2つが国内の保険市場における経営課題です。
これら2つの経営課題に対して、解決の糸口となるのがCRMといわれています。保険業界において、CRMが必要になった背景としては、次の点が挙げられるでしょう。
これまでのマス・マーケティングが時代遅れになった
保険業界にCRMが必要になった大きな理由のひとつは、これまでの営業やマーケティングの手法が通用しなくなったからです。
これまで保険業界では、一つの商品の認知性や利用意向度を高めるべく、マスメディアに載せて大量販売する、マス・マーケティングの手法が取られてきました。かつては働き方や一人当たりの所得にばらつきが少なかったため、効果的な販売手法でした。
しかし、働き方や価値観、家庭の有り方が多様化するなかで、一人ひとりの顧客ニーズが異なるようになり、ニーズに応えるべく保険商品も複雑化してきています。
言い換えると、一人ひとりの価値観やライフスタイルに応じて保険商品を提案することが求められており、マス・マーケティングでは対応できなくなってきたわけです。
One to Oneマーケティングの必要性
顧客ニーズの多様化を背景として、一人ひとりの顧客に柔軟に対応するために生まれたのが、One to One マーケティングです。
これはいわゆる「マス・マーケティング」とは対照的な手法であり、顧客ニーズに合わせて商品を提案する手法といえます。保険営業では従来、この手法を取り入れて営業成績の改善を目指してきました。
しかし、一人ひとりの顧客ニーズに合った商品・サービスを提供するためには、大量の顧客情報を管理する必要があります。正確な情報管理ができなければ、One to Oneマーケティングは成り立たないわけです。そこで、大量の顧客情報を適切に管理するために、保険業界でもCRMが注目されるようになりました。
なお、以下の記事ではOne to Oneマーケティングの手法や、具体的なメリットを詳しく解説しています。

スコアリングによる顧客アプローチが必須に
保険業界は他の業種に比べて、数多くの顧客を相手にする必要があります。そこでOne to Oneマーケティングを実践するには、大量の顧客情報を適切に管理するのに加えて、スコアリングによる顧客の優先順位づけをしなければいけません。
スコアリングの方法はさまざまですが、成約率の高いと思われるリード層(ホットリード)を抽出し、そこに営業のリソースを割くのが基本です。膨大な情報をスコアリングするのは人力では難しいため、CRMの機能を使って顧客に優先順位をつけ、成約の可能性によってアプローチを変える必要があります。
いまやどの業界でも実践されている手法ですが、とりわけ膨大な顧客数を抱える保険業界では、CRMによる顧客情報管理と優先順位付けが必須とされています。
なお、顧客のスコアリングに関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。

保険業界におけるCRM導入の3つのポイント
顧客を重視した経営
少子高齢化が進み、保険商品の見込み顧客が減少している中で売上を確保するためには、顧客重視の経営がポイントとなります。
具体的には、保険見直しのタイミングやライフイベント発生時期をCRMにて把握することで、顧客のニーズに応えた商品を提案できるようになり、顧客満足度向上や機会ロスの最小化が可能になります。
新しいアプローチの実現
CRMを導入することで顧客のライフイベントを把握できるようになるので、相談待ちの営業から攻めの営業に転換できます。
たとえば、家や車の購入は、顧客にとって何度も経験するものではないため、どんな商品を選べばよいのかわからないことも多いはずです。一方、保険の契約は、顧客情報を活用することでタイミングをある程度把握できるでしょう。
顧客情報からニーズを読み取り、相談を受ける前に企業側から保険商品の提案をすれば、保険契約や更新のタイミングを逃さずスムーズに契約に至れるはずです。
他の部署との連帯
CRMを最大限活用するためには、営業部門や代理店、コールセンターなど、他の部署との連携が欠かせません。顧客情報をより細かく把握するほど、一人ひとりに合ったサービスを提供できるようになるからです。
営業、保険代理店、コールセンターにおいても共通のプラットフォームを活用し情報収集を行えば、新しい機会や顧客のニーズにいち早く気づき、顧客満足度の向上や契約機会の創出を実現できます。
保険業界向けCRMの選択基準と導入時の注意点
では、実際に保険業界の企業がCRMを導入する際、どのような点に注意すればよいでしょうか。CRMの選択基準とともに解説します。
これまでの営業手法を分析する
導入するシステムを選択する前に、これまでの営業手法を分析しましょう。顧客とコミュニケーションをとるために、どのような点に着目し、どういったデータを取ってきたのか分析します。その分析をもとに、CRMでどのような情報管理をするべきなのか検討しましょう。
組織としてどのようなアプローチを指針としてきたのかに加えて、個々の営業担当者のノウハウも同時に分析すれば、顧客情報と営業手法の共有が進み、業務効率化のヒントにつながることもあります。
できるだけ詳細に分析することで、どのようなCRMを導入すべきか、利用したい機能は何かなどが明らかになるはずです。それをもとに、導入するCRMを絞り込むとよいでしょう。
操作性をチェックする
どれほど多くの機能を備えている評価の高いシステムであっても、環境に合わなかったり、現場で使いこなせなかったりすれば本末転倒です。導入を検討しているCRMの操作性もしっかりと確認しましょう。
CRMツールのなかには、デモ版や無料プランを提供しているシステムもあるので、実際に試してみて、業務に合ったものを選べばミスマッチが防げます。
また、クラウド環境に対応していれば、外回りが多い営業も情報にアクセスしやすくなり、業務効率化につながります。目的に合ったシステムを選ぶのは大前提ですが、さらに社員の使いやすさを重視してCRMツールを選びましょう。
サポートの充実度もチェック
導入するシステムを選択する際には、ベンダーによるサポートの充実度もチェックしましょう。特にCRMは海外ベンダーの製品が多いので、日本語によるサポートが受けられるか、サポートの内容はどうなっているかは必ず確認しなければいけません。
国内ベンダーの製品であっても、システムトラブルが起こった際、迅速に解決支援をしてもらえるかは重要な選択基準です。導入前に担当者に確認するだけでなく、ユーザーからの評判がどうかも調べておきましょう。
保険業界におけるCRM導入事例
次に、保険業界において積極的にCRMを導入し、成功を収めた2つの企業を紹介します。
共栄火災海上保険
共栄火災海上保険では、自動車、生命、火災保険など複数商品を取り扱っていますが、以前までは、各保険に対して記録媒体やシステムが異なることからコールセンターのスタッフが複数商品の問い合わせと対応できませんでした。
そこで共通のプラットフォームとしてCRMを導入しました。CRMを導入したことで、オペレーターの対応の幅が広がり、待ち時間の減少につなげられました。加えて、会話ごとに品質評価の登録が必要となるシステムを導入し、対応品質の向上の仕組み化も整えました。
また、オペレーターの対応できる商品が増え、記録媒体の統一による業務の効率化を実現することで、生産性の向上にもつながりました。
日立保険サービス
日立保険サービスのCRM導入は、企業ソリューション本部から始まりました。
CRM導入前は、顧客情報、契約情報、事故情報といった保険に関わる情報を各部門や個人で管理していたため、顧客対応ができるのは担当者のみ、またデーターの集計や分析に毎回膨大な作業工数を費やしていました。
導入後は、情報の引継ぎ、共有、進捗管理の可視化、担当者以外でも顧客対応ができるようになり、クライアントの満足度向上を実現しました。
また、担当者交代による引継ぎの効率化、部署間を超えたデータ分析、収益の簡略化を行うことにより、導入した部署だけでなく会社全体の生産性の向上を可能にしました。
顧客管理を容易にする優秀なCRM6選
それでは、顧客満足度の向上に役立つ6つのCRMを紹介します。気になるシステムがあれば、以下で詳細を確認できるので、ぜひチェックしてみてください。
Salesforce Sales Cloud - 株式会社セールスフォース・ジャパン
- 案件の進捗から競合の情報まで一元的に管理
- 営業活動の見える化・改善を通じた売上の拡大
- 優れた更新性・充実の支援体制
Salesforceは、規模や業種・業態を問わず幅広く利用されているシステムです。顧客満足度を向上させる機能が多く備わっており、売上の分析・予測から、各営業担当者の進捗状況のレポートまで、営業部門の状況を可視化できます。
さらに、顧客情報の詳細な管理、強固な情報管理体制を揃えているので、安心して顧客情報を預けられます。世界中のさまざまな国で利用されている評価の評価の高いシステムであり、連携できるサービスが非常に多いのも魅力でしょう。自社の環境に応じて、柔軟にシステム間の連携を実現できます。
- 圧倒的な機能と驚きの低価格
- 無料スマホアプリを用意し、移動中にも使える!
- 業務の効率化を実現
顧客の過去の商談情報や契約内容などすべてを一元管理できるクラウド型CRMZoho CRM(ゾーホー・シーアールエム)は、低コストと機能性の高さが人気のツールです。
無料スマホアプリも利用でき、アプリ上で顧客の情報を確認したり地図で最短訪問ルートを表示したりするなど、移動の多い営業担当者とっては頼もしいツールとなります。成約後は移動中にアプリで契約情報をCRMに登録し、次の部署に書類の作成を依頼できます。
Microsoft Dynamics 365 - 日本マイクロソフト株式会社
- 時と場所を選ばず顧客情報を取得できる
- 未来と過去の情報をつなぎ、精度の高いリード顧客管理を実現
- 営業から受注まで共通のプラットフォームで管理可能
Microsoft Dynamics 365はマイクロソフト系列のパブリックコンサルティングが提供するCRMです。未来顧客と過去の実績を結び付けることにより、精度の高いリード顧客の抽出が可能です。
基本的な顧客管理から営業管理、商品の出荷・請求、その後のサポートまでを共通のプラットフォームで管理できるのが特徴で、マーケティング領域もカバーできる統合業務管理システムを構築できます。さらにマイクロソフト系列のサービスであるため、同社のオフィスシステムを日常的に利用している企業であれば、スムーズな連携とシステム運用が可能です。
GRMarketing - 株式会社イーグリッド
- 見積・請求作製、売上集計が簡単に
- 売上・利益管理が簡単に
- さまざまなデバイスからアクセス可能で場所を選ばない
GRMarketingは、あらゆる顧客情報を一元的に管理できるCRMです。ブラウザ一つで顧客管理や営業支援が可能で、シンプルで使いやすい操作性が特徴です。
顧客情報から組織の利益管理まで管理可能で、さらに使いやすさが重視されているため、初めてCRMを導入する保険会社でも問題なく運用できるでしょう。小規模な企業から大手の保険会社まで、幅広く対応できます。ユーザー数に依存しないシンプルな料金プランも魅力です。
Freshsales Suite - OrangeOne株式会社
- 顧客エンゲージメントを適切に管理
- スコアリングによる顧客の優先順位づけ
- さまざまなフォローアップ機能を実装
Freshsales Suiteは、保険業界のニーズに対応したCRMソフトウェアで、営業担当者の時間の節約やホットリードの効率的な獲得を実現できます。一人ひとりの顧客に対して、カスタマイズした会話を簡単に作成でき、顧客エンゲージメントの管理もできるのが特徴です。
さらに、これまで顧客とどのような契約ややり取りがされたかを一目で確認できるので、担当者が変わってもスムーズな対応が可能。スコアリングによる顧客の優先順位付により、成約可能性の高いリード層に集中できるようになります。
- シンプルで使いやすい画面構成
- あらゆる取引情報を一目で把握
- セールスプロセスの最適化を実現
Pipedriveは、営業担当者の業務効率化に特化したCRMで、誰でも使いやすい画面構成と操作性のよさに定評があります。
わずか数分で起動・実行できる手軽さに加えて、セールスの効果を高めるさまざまな分析機能が利用できます。保険業界でも多く導入されており、セールスプロセスに合ったパイプラインを構築し、顧客とのタッチポイントから重要なリードデータの収集が可能です。
上記で紹介したSalesforceや、その他のCRMとの機能比較記事はこちらから。

CRMで保険業界の業務を効率化
少子高齢化が進む中で売上確保を図るためには、顧客満足度を高め、一人当たりの売上の最大化を図る必要があります。顧客満足度と顧客単価の向上のためには、One to Oneマーケティングが有効です。
顧客ニーズを分析し、一人ひとりに合ったアプローチをするために、CRMの導入を検討しましょう。CRMならば大量の顧客情報を一つのシステム上で管理でき、他の管理システムとの連携もスムーズにできます。CRMで保険業界の活性化と業務効率化を図りましょう。
BOXILとは
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