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電子署名とタイムスタンプの違いとは?基礎知識や仕組み

最終更新日:(記事の情報は現在から19日前のものです)
電子署名とタイムスタンプの違いはその役割です。電子署名は「誰が」契約をしたか、タイムスタンプは「いつ」契約をしたかを明らかにします。それぞれの違いや仕組み、役割などについて解説します。

電子署名とタイムスタンプの違い

電子署名とタイムスタンプの違いは何を明確にするのかの役割です。

電子署名は本人性を証明する役割をもちます。電子署名が付与された契約は「誰」が契約を行ったか明確になります。そのため、万が一契約について裁判が必要になったときに、電子署名が付与された電子契約については証拠として利用可能です。

一方で、タイムスタンプは「いつ」契約が行われたのかを明らかにする役割をもちます。契約締結日だけではなく、もしも契約の内容が変更されているのであれば変更がいつ行われたのかを記録します。

法的に本人性を証明するものは電子署名だけですが、タイムスタンプがなければその契約がいつ行われたのかわかりません。契約をするときには契約締結日と契約の効力を発揮する期間は非常に重要なため、タイムスタンプがあることでその日付や期間が担保されます。

電子署名とは?

そもそも電子署名とは、電子契約に付与される電子データ化された署名です。紙の契約書の印鑑の役割を果たし、電子署名が付与された電子契約は押印された紙の契約書に似た効力をもちます。

電子署名に関する法律は電子署名法に詳しく規定されているので、参考にしてください。

また、電子署名について詳しく知りたい場合は、次の記事も参考にしてください。

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タイムスタンプとは?

タイムスタンプは、電子データがある時点で存在していたことや、変更が行われた時刻を記録してデータに付与する技術です。タイムスタンプがあることで契約の完全性が担保されます。

電子署名と一緒に付与することで本人性と完全性が担保されるため、電子契約でも紙の契約書と同じように扱えます。法的な効力もあるため、万が一裁判になった際も証拠能力がある資料として提出可能です。

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電子署名とタイムスタンプの仕組み

電子署名とタイムスタンプは似たような技術ですが、それぞれ仕組みや発行機関は違います。電子署名とタイムスタンプの仕組みについて、確認しましょう。

電子署名の仕組み

電子署名は電子証明書といわれる証明書を電子契約に付与することで本人性を担保しています。電子証明書は政府があらかじめ認めた認定局に申請することで発行されるもので、認定局発行の電子証明書は印鑑証明が行われた印鑑のようなものだと考えましょう。

印鑑証明が行われた印鑑で押印すれば、押印された契約を行った人は印鑑の持ち主だと判断されます。実際はなりすまして印鑑を盗まれて押印されてしまう場合もあるかもしれません。しかし、法的には持ち主が異議を申し立てなければ、基本的に押印されたものは印鑑の持ち主が本人の意思で同意して押印したものと考えられます。

これは「二段の推定」といわれるものです。

二段の推定は電子署名にも適用されるため、電子署名が付与されている契約については契約者は本人であり、契約は本人が同意したものであると判断されます。よって、電子署名がある契約は、契約者双方が安心して締結できる仕組みです。

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タイムスタンプの仕組み

タイムスタンプは時刻認証局といわれる機関が発行する時刻情報を、ハッシュ値といわれる暗号のようなものと一緒にデータに付与します。これによりタイムスタンプが付与された時点でのデータの存在証明や変更の証明に役立ちます。

電子署名と一緒にタイムスタンプを付与することで、いつ・誰が・契約に同意したか(契約書を変更したか)がわかるため、電子署名とタイムスタンプは一緒に付与されることが一般的です。

電子署名もタイムスタンプも認定機関が発行したものを利用していることと、改ざんが難しい技術を利用しているため、仕組みの信頼性が担保されています。

電子契約において電子署名とタイムスタンプが果たす役割

電子署名における電子署名とタイムスタンプが果たす役割は次のとおりです。

  • 本人性を証明する
  • 書類の真正性を担保する
  • タイムスタンプ付与時の書類の存在を証明する
  • 書類の改ざん防止になる
  • 電子署名の有効期限を延長する
  • 電子帳簿保存法に対応する
  • 不正なバックデートを行っていない証明になる

本人性を証明する

電子署名の役割として最も重要なものが本人性の確認です。電子署名は押印のような役割を果たすため、契約に電子署名が付与されていれば本人が契約に同意していること、そして本人が署名を付与したことが推定されます。

もちろん、なりすましや無理やり押印させられるケースもあるかもしれませんが、本人以外が電子署名を契約に付与することは非常に難易度が高く、現実的ではありません。また、異議を申し立てられれば、推定を見直すこともあるため、本人が押印したかどうかは正しくわかるようになっています。

このように電子署名を他人が付与することは難しいため、電子署名は本人性を証明する役割を担っています。

書類の真正性を担保する

電子署名とタイムスタンプが付与されていることで、電子契約の真正性が担保されます。真正性とは、作成された契約書が正当な権限によって作成された本物で、記載内容に虚偽や書き換えなどが行われていない性質のことです。

電子署名とタイムスタンプが付与されていれば真正性を証明できるため、裁判になった際も証拠能力を有するとされています。反対に電子署名が付与されていない契約については、誰がいつ作ったものか、改ざんが行われていないかなどがわからないため、証拠として能力が弱いと考えられるでしょう。

このように電子署名とタイムスタンプがあることで、法的に証拠能力が認められるような契約が締結できます。

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タイムスタンプ付与時の書類の存在を証明する

タイムスタンプが付与されることで、付与時点の書類の存在を証明できます。

たとえば、A社からB社に月額100万円でサービスを提供する契約を締結したケースを考えてみましょう。サービス提供企業のA社は6月から契約をしていたとして、6月から8月分300万円の支払いをB社に求めます。しかし、B社は7月が契約開始だとして、7月と8月分の200万円の支払いしかできないと食い違った主張をします。このとき、契約書のタイムスタンプが7月1日になっていれば、6月にはまだ契約が存在しないためA社の主張が誤りだとわかりるでしょう。

この際、「サービス提供開始日や契約締結日を◯月◯日にする」といった期間の定めがあれば、別途考慮する必要があります。しかし、基本的に契約書が存在するタイミングよりも後から契約は有効になるため、タイムスタンプが付与されることで契約書の効力を発揮する期間を証明できます。

書類の改ざん防止になる

電子契約とタイムスタンプは契約書を締結するときだけではなく、内容を変更したタイミングでも付与されます。よって、契約締結後の一方的な契約書改ざん防止にも役立ちます。

契約書は、すでに記載している内容に同意したものであり、その後変更が必要であればその変更にも契約者間で同意しなければなりません。一方の都合で契約内容の変更はできないため、タイムスタンプを付与することで改ざんを防止します。

電子署名の有効期限を延長する

電子署名には有効期限があり、一般的には2~3年に設定しているところが多いと思います。電子署名の有効期限が切れると、電子証明書の役割を果たせず、本人性の証明やファイル改ざんが行われているかどうかも確認できません。

しかし、タイムスタンプが付与されていればこの有効期限を延長可能です。長期署名の仕組みを使えば、タイムスタンプの有効期限によって電子署名も有効になります。タイムスタンプも最長10年の有効期限が設定されていますが、これもタイムスタンプを更新することで延長できます。

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電子帳簿保存法に対応する

電子帳簿保存法(電帳法)は国税関連の書類のデータ保存に関するルールを決めた法律です。2022年に改正され、2024年に宥恕期間を終了して本格運用した電帳法に対応するためにもタイムスタンプは役立ちます。

電帳法ではさまざまな要件があり、その中の1つが真実性の確保です。真実性の確保をするための手段は多いですが、多くの手段がある中でも最も簡単で要件を満たしやすいものがタイムスタンプの付与です。

また、自動で書類に付与される点もタイムスタンプのメリットです。

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不正なバックデートを行っていない証明になる

タイムスタンプがあれば、不正なバックデートを行っていないことも証明できます。

バックデートとは実際の契約締結が行われた日よりも前に契約締結日を設定することです。たとえば8月1日を契約締結日として、実際に契約書が完成した日が8月5日になる場合は、契約日が実際の契約締結日よりも前に来ているためバックデートとなります。

すべてが不正なバックデートではありませんが、取引先が同意していないバックデートや、売上計上のために意図的にバックデートを行うことは、不正なバックデートとして文書偽造罪に問われる場合もあります。

タイムスタンプがあればこのような不正なバックデートが発生しません。第三者が付与するタイムスタンプの時刻を契約者が操作できないため、不正なバックデート対策ができて社内統制が強化されるでしょう。

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電子署名やタイムスタンプ利用時の注意点

電子署名やタイムスタンプ利用時には次のような注意点もあります。

  • 関連法律に準拠する
  • なりすましや無権代理が発生しない仕組みを作る
  • 電子署名とタイムスタンプの機能があるシステムを使う
  • 長期署名に対応したシステムを選ぶ

関連法律に準拠する

電子契約、および電子契約に必要な電子署名やタイムスタンプは近年になって本格運用され始めた技術です。そのため、まだ対応が追いついていない事業者もあるでしょう。

しかし、電子契約が一般に広く普及している現在、関連する法律に準拠していなければ法律違反になってしまいます。たとえば、電子帳簿保存法に対応できていなければ税務申告ができない可能性があり、電子契約をしたときに契約データに法的効力をもたせられない可能性もあります。

電子データの取り扱いに関する法律は非常に多く把握が大変ですが、必ず対応しなければならないため、全社的なプロジェクトとして取り組みを進めましょう。

電子契約に関する法律についてより詳しく知りたい方は次の記事が参考になります。

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なりすましや無権代理が発生しない仕組みを作る

電子契約のリスクとして大きいものはなりすましや無権代理です。無権代理とは、本来代理契約をする権利がない人が、権利者の代理として契約を行ってしまうことです。

従来の紙による契約であれば、目の前で権利者が押印をする様子がわかったためなりすましや無権代理が非常に困難でした。しかし、電子契約の場合、遠隔地で契約業務ができるため、なりすましや無権代理が行いやすいです。

なりすましや無権代理を防ぐためには、契約書に正当な権利者が契約を行っていることを保証する文言を入れることが有効でしょう。正当な権利があると記載している契約書にサインしているため、通常第三者から異議申し立てが起きることはなく、万が一そのような事態が発生した場合についても契約者が責任をもって対処することも盛り込んでおけばより安心です。

電子署名とタイムスタンプの機能があるシステムを使う

電子署名やタイムスタンプがある電子契約システムを利用することも1つの手段だと考えましょう。

電子契約システムを利用すれば、電子署名とタイムスタンプを自動で契約に付与してくれるため、設定漏れもなく安心して電子契約が行えます。また、メール認証機能やアクセス権限の設定機能、印刷・ダウンロード制限機能をもつシステムもあるため、電子契約のセキュリティに懸念のある方も安心して利用できます。

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長期署名に対応したシステムを選ぶ

長期署名に対応したシステムを選ぶことも電子契約を行う際には非常に重要な注意点です。

電子署名とタイムスタンプには有効期限があり、有効期限が切れてしまうとその効力を発揮できなくなります。電子署名とタイムスタンプの効力がない契約は法的な証拠能力を喪失する場合や、電帳法には対応していないと判断されて税務申告のときに証憑として認められない場合も考えられます。

電子署名とタイムスタンプの機能を長期的に有効活用するためには、長期署名に対応していることは必須です。電子契約システムの導入を検討する場合は、できるだけ長期署名の機能があるものを選びましょう。

電子署名とタイムスタンプの役割の違いを理解しよう

電子署名とタイムスタンプは役割に違いがあります。電子署名は誰が契約を行ったかを明らかにするもので、タイムスタンプはいつ契約が行われたかを明らかにするものです。この2つの機能があることで契約の真正性や真実性が確保され、電子契約の法的な証拠能力を確保したり、そのほか多くの法律に対応できたりします。

関連する法令に対応が必要だったり、長期署名の仕組みを利用しなければ有効期限の管理が難しかったりと、電子契約には多くの手間がかかると考える場合もあるかもしれません。しかし、多くの企業で電子契約が採用される現代において、電子契約に一切かかわらず業務を行うことは難しいでしょう。

まだ電子署名とタイムスタンプを利用した契約に対応できていない企業は、電子契約システムの導入も視野に入れて早急な対応を目指しましょう。

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