「常に博打を打ってる感じです」働き方多様化の先駆け Sansan日比谷尚武

公開日:

記事の情報は2017-02-15時点のものです。

働き方の多様化の先駆け「Sansan日比谷尚武」の今までとこれから
「常に博打を打ってる感じです」働き方多様化の先駆け Sansan日比谷尚武

働き方の多様化の先駆け「Sansan日比谷尚武」の今までとこれから

12月から働き方を変え、業務委託としてSansan株式会社で働きながら様々な活動をしている日比谷さん。

現在は「コネクタ(※1)」というSansan独自の役職で新しい働き方の先駆けています。

その「コネクタ」に成るまでの経緯、そのルーツは学生時代にまでさかのぼります。

そもそも「コネクタ」という役割をどうやって作ったのか。

今回は、「働き方改革元年〜これからの働き方」インタビュー第二弾。
Sansan株式会社 日比谷尚武さんに、インタビューを行いました。

前編、後編に分けてお送りします。

(※1) Sansan独自の役職「コネクタ」とは?
職種、部署、企業などの枠を飛び越えて、社会と広く付き合ってイノベーションを生み出していく役割。
広報としてメディアと企業を繋げるだけでなく、業界団体、行政、クライアントを含めた社会と、企業、サービスを結びつけ、新しい価値を生む仕事を総称した役割を指す。

参考: 名刺総研:対談:「人を繋げる」を仕事にしたい人達が、結構気になっている職業「コネクタ」って何!?

人物紹介

ゲスト:日比谷尚武


Sansan株式会社 コネクタ/Eightエバンジェリスト Sansan 名刺総研 所長





学生時代より、フリーランスとしてWebサイト構築・ストリーミングイベント等の企画運営に携わる。
その後、NTTグループにてICカード・電子マネー・システム開発等のプロジェクトに従事。

2003年、株式会社KBMJに入社。
取締役として、会社規模が10名から150名に成長する過程で、開発マネジメント・営業・企画・マネジメント全般を担う。2009年より、Sansanに参画し、マーケティング&広報機能の立ち上げに従事。
並行して、OpenNetworkLabの3期生としても活動する。

現在は、EightおよびSansanのエバンジェリストとして社外への情報発信を務める。並行して、株式会社PRTable 社外取締役、公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会 広報委員、一般社団法人 at Will Work 理事 も務める。

趣味は情報収集&タスク整理&野宿&サバイバルゲーム。


インタビューアー:古橋 智史

スマートキャンプ株式会社 代表取締役
BtoBビジネスマッチングプラットフォーム「ボクシル」の開発・運営。




立教大学卒業後、新卒でみずほ銀行入社。その後、株式会社SpeeeにてSEO新規開拓営業。ネットマイルにてスマホ事業立ち上げを経験。

2014年6月に「日本のホワイトカラー労働生産性を飛躍させる」をミッションにスマートキャンプ株式会社設立。

コネクタとしての働き方を始めるまで

古橋:
早速ですが、12月からSansanでの働き方が業務委託という形になったと思うんですが、今は何をされてるんですか?

日比谷:
仕事の内容とか会社に対するスタンスは一切変わってないんですが、仕事の量を週に3日程度に縮めました。
具体的な仕事はSansanとEightのエバンジェリスト活動やコネクタ活動、それからPRのプロジェクトです。

Sansan日比谷さん01

PRのプロジェクトとしては、最近『働き方改革に関する意識・実態調査』を行いました。働き方改革において、生産性向上の手段のひとつとしてSansanをPRするためのアドバイザー的な役割をしています。

古橋:
会社にはご出社されているんですか?

日比谷:
決まった会議がいくつかあるのですが、それ以外にも広報としての取材対応があるので、実質3日位は出社してますね。

古橋:
日比谷さんは「コネクタ」と呼ばれる役職で活動されていると思うのですが、どのような役割なのか簡単に教えていただけますか?

日比谷:
簡単に言うと社会と企業、サービスをつなぐ、コネクション(渉外)としての役割ですね。

メディア対応だけに留まらず、マーケティングから行政とのリレーションなど、多岐に渡ってるので、ちょっと表現しづらいんですけど。

興味を持ったHTMLで実験をしていたら、それが仕事になった学生時代

古橋:
なぜコネクタとして働くようになったのかについて過去のお話をお伺いしたいんですが、今、日比谷さんは社会人になって、何年くらいですか?

日比谷:
22歳からだから、社会人になって18年目くらいですね!

古橋:
ということは40歳ですか!?……見えないですね!(笑)
今の働き方に対する考えは、22歳の頃からあったのでしょうか?
それともSansanに入ってから芽生えたのか、どちらですか?

日比谷:
学生の頃からずっとですね。
学生時代からフリーでホームページ作ったり、企業のパソコン導入支援をやっていました。

古橋:
学生の時から既に始められていたとは素晴らしいですね!
そうすると18歳くらいからですか?

日比谷:
はい。SFC(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)に入った頃からですね。
どうやったらHTMLが書けて、どうやったらホームページができるかというのに興味を持ってみんなで実験したんです。

Sansan日比谷さん

当時、Windows 95のパソコンを使って、趣味でホームページを作っていて実験してるうちに、企業のホームページとか作りませんかというバイトが先輩経由で来るようになりまして。

そういうバイトをやっているうちに、「ホームページ作れる学生がいるらしい」という話が企業さんにも回って直接企業さんから相談とか来たりして。

古橋:
では学業もある中ですから、働き方としては時間に縛られてはいなかったのですね。

日比谷:
はい。
昼は湘南藤沢のキャンパスにいて、東京に車で行って打ち合わせしていました。

当時はネットの回線が遅いので「MOディスク」というのにデータを移して帰っていました。



MOディスク(出典:Wikipedia)

後輩を20人集めて、「今から1人10ページずつよろしく」と言って、私も含め全員でホームページを作っていました。

次の日、またMOディスクで持っていって納品していました(笑)

古橋:
結構、実入りはよかったのですか?(笑)

日比谷:
それで小銭を稼いでアジアにバックパッカーに行ったこととかはありましたね(笑)

卒業後はNTTソフトウェアに入社、スタートアップを経てSansanへ

古橋:
卒業後は一度、普通に就職なさったんですよね。

日比谷:
そうですね、NTTソフトウェアに、4年くらい勤めてました。
その後、SFCの後輩が作った会社が「ちょっと人数が足りなくて、事業を伸ばしたいんだけど」と誘われて、そこで取締役になることになったんです。
開発チームの立ち上げから、営業、マーケまで幅広く担当していました。

同じくらいのタイミングで、大学時代の同期だった現Sansan代表の寺田と富岡がSansanを立ち上げようとしていて、色々と相談に乗っていました。

ちょうどそのタイミングで、COOをしていた会社がライブドアショックで、上場計画がなくなったのもあり、Sansanのメンバーたちが、「うちで一緒にやろうぜ」という話になったんですよね。
そして、Sansanにジョインすることになりました。

古橋:
そう考えると、日比谷さんはずっとスタートアップしてますね。

日比谷:
確かにそうですね。ですが全然といっていいほど「勤め上げてる」というのがないんですよね。
常に博打を打ってる感じです(笑)

Sansanに入社後、様々な役割を経てコネクタに

常に半歩先を考えて行動していたら、役割が後から付いてくる

古橋:
Sansanにジョインされて、現在はコネクタという役割になっていると思いますが、なぜこれをやろうと思ったのでしょうか?

日比谷:
Sansanでのキャリアは、まずは、マーケティングの立ち上げを行って、延長で広報を立ち上げてたのが最初の仕事ですね。

その後「Eight」ができて、エバンジェリストとして、サービスを浸透させる役割を担ったという感じです。

Sansan日比谷さん03

次に、広報もある程度の形ができてきたので、チームにパスして、メディアリレーション以外の広報もやることにしたんです。

この辺りからコネクタの役割が出てきたと思います。

古橋:
メディア以外の広報はどんなことをされていたんですか?

日比谷:

  • 業界団体との付き合い
  • 行政との付き合い
  • インフルエンサーとの接点を増やす

とか、社会とのコミュニケーションに必要なことをおさえて先取りしてやってました。

Sansanでのキャリアは常に先取りで、マーケティングをしている時に、勝手に広報が必要だなと考えて、メディアリレーションをしていました。

広報チームの体制が出来てきた頃には「Eight」をローンチしたので、世の中に広めるためにエバンジェリストになろうと思って。

次は「行政とか業界団体が弱いね」ですとか、半歩先の足りないところを埋めていく感じで先取りしてやっていました。

それでどんどん肩書きになっていった、みたいな感じです。

古橋:
役割を自分で作っていった感じなんですね!

日比谷:
そうですね。
会社としても僕がやっている仕事は未知な機能じゃないですか。

明確に部署とか、役割が作りづらいので、「明確に役割を作られる前に自分で、勝手に先に動いてみる。動いた後、結果を先に出して、役割にする」感じで仕事してましたね。

ベンチャーの立ち上げの頃は、ちょっとしたショートカットが事業のスピードを速めると思っています。

例えばあるアライアンスパートナーといい関係性が作れてすごく売り上げが上がるとか。
そういった「非連続なジャンプアップが演出できるか」というのを狙ってやっていました。

「相手が何を求めているか知ること」が、コネクタとして成功した秘訣

古橋:
日比谷さんみたいな動きは、いきなりやろうと思ってもなかなかできないと思うんです。
例えば、業界団体の人にいきなり会えないですよね。
半歩先を考えたり、会いたい人に会うためのコツとかはありましたか?

日比谷:
まずは相手を知ることが大事だなと思っています。

Sansan日比谷さん04

メディアでも行政関係者でも、業界団体でも、だいたい同じだと思いますが、

  • 相手がどんな人なのか
  • 相手がどんな思考なのか
  • 何を求めてる人なのか
  • 何を課題だと思っているか
  • それが分かって、こっちが出せるカードに何があるのか

と考えました。営業でも一緒だと思うんですけど。

古橋:
おっしゃるとおり、大事なことですよね。
そもそものメディアの方とか、行政関係者の方々は紹介でお会いになることが多いんですか?

日比谷:
多いですね。
場合によってはメディアなどを調べて知ることもあります。

古橋:
意外と泥臭いこともされてるんですね。

日比谷:
はい、結構泥臭いですよ(笑)
今までやってきた営業、マーケティング、広報、そして、コネクタも全て人間関係でできていると思うので、常に相手が何を求めてるのか考えて、自分たちのアセットを考えて何ができるか、どのタイミングで誰と出会うかを常に考えてます。

インタビュー編集後記

お話を伺って、「今、関わっている人から何を求められていて、ベストな役割は何か」を考え続けた結果が日比谷さんのキャリアになっていることがわかりました。

相手が何を求めているかを常に考えて半歩先の行動をする。
これは営業、人事、マーケター、エンジニアなど、どんなビジネスマンにもつながる考え方だなと思います。

先を見ながら半歩先を考えて行動する人材こそがこれからの社会、会社、サービスを創る人材のかもしれません。