日本人が知らない、中国「最強のユニコーン企業」10社とは

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記事の情報は2018-01-19時点のものです。

2017年、中国で最も注目されたユニコーン企業10社の資金調達額が明らかになった。その背後にあったアリババとテンセントの投資競争、ユニコーン企業の今後の戦略について予測した。
日本人が知らない、中国「最強のユニコーン企業」10社とは

2017年、中国注目を集めたユニコーン企業とは

中国では2017年、急速にシェアリングエコノミーが普及した。日本でも、中国の無人コンビニやシェア自転車が話題になったので、注視する人が増えているのではないだろうか。

社会を急激に変えたのが、今回紹介する中国のテック系ユニコーン企業。2017年、この10社はそろって多額の資金調達に成功していた。そしてその大半はアリババVSテンセントの投資競争が加速した結果でもある。

アリババとテンセントといえば、アリペイとウィーチャットペイという中国の2大決済システムを提供している大手企業だ。アリババ・テンセントとユニコーン企業がタッグを組み、また争いながら、中国の社会を変革したのだ。

そんな中国「最強のユニコーン企業」10社の顔ぶれはこうだ。

※表記方法(企業・サービス名/簡体字表記/拼音or英文表記/カタカナ発音)

第10位:菜鳥網絡/菜鸟网络/Cai Niao/ツアイニャオ

資金調達額:7.99億USドル

アリババが自社の配達の強化を目的で2013年に15の運送会社と提携してつくった運送会社で、株式の51%を保有している。

従業員がVRを使って倉庫管理をする技術が注目を集める運送業の企業だ。

第9位:摩拜単車/摩拜单车/mobike/モバイク

資金調達額:8.15億USドル

テンセントが揃って投資しているシェア自転車の会社だ。いま中国のシェア自転車業界は、このモバイクと後述するオッフォの2大勢力が支配している。

中国ではシェア自転車はすでに飽和状態。モバイクでは自転車から自動車へのシフトを急ピッチで進めている。貴州省の貴安新区でEVのシェアリングサービスを試験的に開始しており、調達した資金はこちらの新規事業に投下されるとの見方も強い。

ちなみに2017年モバイクは日本法人を設立しており、12月にはLINEが出資を発表。2018年上期には日本でもサービス提供を開始すると見込まれている。

※2018年4月、同社は2位の美団(メイトゥアン)に買収予定であることが報じられている。

第8位:餓了麼/饿了么/e le me/ アーラマ

資金調達額:10億USドル

「饿了么」とは、“お腹が空いたか?”という中国語で、その名のとおりフードデリバリサービスを提供する会社だ。いまや饿了么は、中国全国の2000都市にサービスを拡大しており、2.6億人のユーザーがいる(1ヶ月での利用者数3402人)、130万もの飲食店と提携している。

2017年は、フードデリバリサービスのシェア争いが最も熱い1年にだった。特に美团外卖(以下、美团)と饿了么のシェア争いは熾烈を極めた。

お互いに相手より安く、より多くのクーポンを顧客に還元しようと必死で、いまのところは饿了么が優位に立っている。毎日のように割引クーポンが配布され、遅くても1時間以内には注文の品物を届けてくれる。また利用者が配達員を評価をできるため、配達員のサービスが物凄くいい。

そんな饿了么ゆえに、アリババグループが買収するのではないかと話題になっている。アリババはこれまでも、投資をして来た企業に対して、最終的にその企業を飲み込み自社化させる決断を繰り返してきた。その度にその企業のCEOを追い出しているケースが多く、それが原因で饿了么の最大のライバル美团はアリババに嫌気がさし、アリババと縁を切ってテンセントの傘下に入ったという経緯もある。

アリババは2016年、饿了么に12.5億USドルを投資、すでに株式の27.7%を所有していている。

ちなみに饿了么の日本語読みは「アーラマ」「オゥーラマ」など、まだ定まっていないようだ。

第7位:字節跳動/字节跳动/Bytedance/バイトダンス

資金調達額:10億USドル

日本ではこの会社の名前を聞いたことのない人も多いと思うが、ニュースや娯楽などのサービスを展開している会社で、代表とされるのが「今日头条(今日頭条)jinritoutiao」というニュースアプリだ。

機械学習でユーザーの趣向や滞在している地域に合わせて記事を配信しており、いまや中国人の約10%が毎日閲覧しているニュースアプリだ。

最近ではブログ機能も追加されて、ツイッターやウェイボのように個人や著名人がブログを投稿できるようになったことも話題だ。

「今日头条」の利用者数は累計6億人に達しており、1日当りアクティブユーザー数が1.2億人にのぼる。ちなみに1人あたりの平均利用時間は76分。LINEの月間アクティブユーザー数約7000万人と比べると、その規模感を実感できるだろうか。

2017年2月2日にFlipagramを買収、2017年10月に10億USドルでMusical.lyも買収し、「内涵段子」、「搞笑囧途」、「内涵漫画」、「好看图片」、「今晚必看视频」などの漫画やムービーなどの娯楽アプリを提供している、勢いのある企業である。

日本でもアプリをダウンロードできるので気になる方はのぞいて見るのはいかがだろうか。

第6位:口碑/口碑/ koubei/コウベイ

資金調達額:10億USドル

アリババと、アリババの金融部門でアリペイを管轄する蚂蚁金服 Ant Financial(アント・ファイナンシャル)が共同で作ったO2Oサービスだ。

App 上でデリバリーの注文、お店や美容院の予約、飲食、ショッピング、などオンラインとオフラインをつなげるサービスで、ユーザはお店に対して評価ができ、ユーザはその口コミ評価でデリバリーの注文や美容院の予約をすることができる。

2015年6月23日に成立、アリババが10億USドル出資しており、2017年の資金調達で企業価値は80億USドルに達している。