みずほ銀行の次期システム開発はなぜ炎上した?今さら聞けない合併・統合失敗の歴史【図解】

みずほ銀行の新システムが2018年にようやく完成し、移行スケジュールが示されている。みずほフィナンシャル・グループが発足した2000年から18年が経過したが、その間、みずほ銀行次期システム開発は、長らく経営の重しとなり続けてきた。富士銀行、第一勧業銀行、日本興業銀行という三行合併の歴史を振り返り、混迷・失敗の背景を探ってみたい。(追記:2018年6月12日)

みずほ銀行の次期システム開発はなぜ炎上した?今さら聞けない合併・統合失敗の歴史【図解】

2017年10月24日の日本経済新聞に「みずほのシステム完成、金融界にも安堵」という題名の記事が掲載された。2012年から開発してきたみずほ銀行の新システムに目途が立ったという内容である。

(編集部注:みずほ銀行では、2018年6月から2019年上期まで、全9回にわたってシステム移行を実施する。システム移行は基本的に土日祝日に行われ、当該期間はATMやキャッシュカードが使えなくなる。詳細スケジュールは、次の記事でご覧いただきたい)

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銀行統合の最大のメリットはシステム投資削減

みずほ銀行の前身である、富士銀行、第一勧業銀行、日本興業銀行は、それぞれが名門中の名門であった。

富士銀行は安田財閥の流れをくむ都市銀行であり、合併当時で130年以上もの歴史を誇る日本最古の銀行の一つである。

第一勧業銀行は、旧第一銀行と日本勧業銀行の合併により預金量で世界最大となったこともある。日本興業銀行は、戦後の日本復興に長期資金を提供する「長期信用銀行」であったため、特に優秀な人材が集まることで有名だった。

それぞれが企業グループを形成し、多くの子会社を持つ巨大組織だったわけだが、そんな巨大な三行が「対等な精神による合併」という名のもとに「みずほフィナンシャルグループ」を発足させたのが、2000年のことだ。

そもそも、銀行が合併する最大のメリットは「重複するコストの削減」である。海外の金融機関であれば、合併時に大規模な人員削減を行うことは珍しくないが、日本では経営が著しく不振でない大企業が人員削減を行うことは難しい。よって、コスト削減の本丸は「人件費」ではなく「システム投資の削減」となる。

なぜシステム投資なのかといえば、金融機関のシステム投資額がとにかく膨大だからである。IT調査会社のIDCによれば、全世界のシステム投資のじつに30%が、金融機関によってなされているという。

金融機関の数は、製造業などの他の産業の企業数に比べれば圧倒的に少ないことを考えると、一社(一行)あたりの投資額が膨大であることが容易にわかる。

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金融業は、製造業のように工場を設立するわけでも、部品を調達するわけでもない。「お金というデータ」を厳格にやり取りする、いわば「システム装置産業」だ。預金残高が1円でも間違えることは許されないため、高い信頼性を担保すべく膨大なシステム投資を行っている。

大規模な銀行になると、年間数百億円というシステム投資額は一般的だ。もしみずほの前身である三行のシステムをすべて維持するのであれば、単純計算で3倍かかる。これを合併により1つに統合すれば、3分の1とまではいかないまでも、システム投資額が大幅に削減できる。