厚労省の「労働基準法改正案」を読み解く、2019年残業や休日の働き方はどう変わる?

2019年の法改正実施を目指して審議が進められている「労働基準法改正案」。2017年秋の臨時国会に提出される予定だったが衆議院解散の波にのまれて一時的に議論が中断していたのだが、2018年の通常国会で本格審議が再開している。労働基準法改正案の概要とポイントをおさらいしておこう。

厚労省の「労働基準法改正案」を読み解く、2019年残業や休日の働き方はどう変わる?

労働基準法改正案がいよいよ実現に近づきつつある

働き方改革を実現すべく、政府は法制度の整備を着々と進めている。その重要法案の一つとして議論されているのが、労働基準法である。厚生労働省の主導により、この労働基準法の改正案が準備されつつあるのだ。

今回の労働基準法改正は、2年前から計画されていたものがベースとなっている。ただ、長時間労働や賃金格差などの問題を解決せよとの世論と機運の高まりを受けて、特に残業問題をメインに切り込んだようだ。

厚生労働省は「第140回労働政策審議会労働条件分科会」を開催し、長時間労働への具体的な対策をはじめて盛り込んだ。

2018年の通常国会は「働き方改革国会」と位置付けられ労働基準法の改正案が本格審議に入った。いま一度、労働基準法改正の指針についておさらいしておこう。

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働き方改革案その1:労働基準法改正を読み解く8つのキーワード

2017年9月8日に開催された、前述の「第140回労働政策審議会労働条件分科会」で議論された内容をおさらいしておこう。

まず、労働基準法の今回の改正では、時間外労働とされていたものが、時間外労働の上限規制、という名称に変わり、トップ項目になった。

このことで、残業規制は、労働基準法の最優先課題だということが明確に浮き彫りとなった。厚生労働省および国は働き方改革の本丸は、当面、残業規制だと考えていることがわかる。

ちなみに今回の法案改革は、8つの改革事項がある。

・労働基準法を残業規制ベースに改正
・労働時間に関する特別措置法
・雇用対策法の見直し
・労働契約法の改正
・パートタイム労働者の雇用管理
・派遣労働者を保護する
・労働安全衛生法を厳守
・じん肺法の改正

かなり広範囲に渡って審議が行われた。続いてその中から、重要な働き方改革を見ていこう。

「働き方改革国会」では、2019年をめどに残業の上限規制を盛り込んだ労働基準法改正の実施を目指して審議が加速している。

働き方改革案その2:残業時間規制へ

まず、残業時間の規制が最初に宣言されたのはすでに述べた通りだ。残業時間は、月45時間かつ年間360時間までがベースとなり、繁忙期などは、月100時間かつ年間720時間まで、例外的に認められる。

従来は、時間外労働について「労働者の健康が確保されるよう配慮すること」などの表現にとどまっていたが、今回は罰則付きの上限規制となった。

罰則がつくことで、違反した企業はメディア等で報道される可能性が出てくる。昨今の若者はワークライフバランスを重視する傾向があるため、法律に違反した企業への就職を避ける可能性が高いだろう。人手不足にある現在、残業を過剰に強いる企業は、ますます人員確保が難しくなる。

人手不足が続けば、倒産するリスクも高まる。「人手不足に対する企業の動向調査」(帝国データバンク 2017年2月21日に発表)によると、人手を確保できなかったことを要因として倒産した企業の数はこの2年間で2.9倍に増加している。

日本企業において、残業は罰則をつけなければならないほど、深刻な問題なのだ。

自社の勤怠状況が残業上限規制に抵触するかどうか、心配な方は以下の記事でチェックしてみてはいかがだろうか。

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働き方改革案その3:高度プロフェッショナル制度導入

高度プロフェッショナル制度も盛り込まれる。専門職に限り、残業代支払いを撤廃し、労働時間の規制からも除外される。これによって、専門職は過重労働になるリスクもあるが、その反面、メリットもあると考えられる。

日本企業の多くが、終身雇用と引き換えにジョブローテーション型となっており、会社の中でさまざまな業務を経験させることで、ジェネラリストを育ててきた。

だが、この制度は、終身雇用および年功序列という安心感を労働者へもたらすのと引き換えに、さまざまな弊害を生んだ。長時間労働、全国転勤、追い出し部屋等のリストラ、そして働き方改革が注視されるきっかけとなった有名広告代理店でのパワハラ問題などである。

高度プロフェッショナル制度に移行することで、まずは専門職から、海外型のジョブディスクリプション型に職務転換がなされる。

これならば、問題が起これば転職をすることができる上、あらかじめ定められた契約書と異なる業務を命じられないため、より高次の専門スキルを磨きやすくなるだろう。

雇用の流動化も起こり、人材の育成が企業ではなく労働市場において活性化することが考えられる。また、労働時間で給与が決まっていたものから、成果主義に報酬制度も変更されることが予想される。

雇用の流動化を活性化するためには、非正規労働者の処遇改善も不可欠だ。正規と非正規では生涯年収に1億円の開きがあるというデータもある。非正規の処遇改善に向け、活発に議論されているのが「同一労働同一賃金」だ。