LION(ライオン)絶好調のワケ、質的成長を実現した「新ローカル戦略」とは?

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記事の情報は2017-11-09時点のものです。

日用消費財メーカーのライオンは「新ローカル戦略」に成功し、4期連続過去最高を更新した。「日本マーケティング学会」に登壇した同社の榊原 健郎氏は、国内事業の質的成長を掲げた中長期戦略「Vision 2020」を紹介し、国内事業の方向性と成功の秘訣を語った。

「地元のファンづくり」ライオンが成功したアプローチとは

続いて榊原氏は、地域別のコミュニケーション活動として、地元ファンづくりのアプローチについても紹介した。これは主に企業認知の向上、コーポレート・ブランドの浸透、ストア・ロイアリティを上げるための地元小売企業とのタイアップ、オウンドメディアによる地域ファンづくりという目的がある。

まず企業認知に関しては、地方局への番組提供をサポート。2016年で全国レギュラー番組へのスポンサードは27本で、地方版は4本、単発でも14本ほどあるという。もちろん単発番組では必ずパブリシティ枠を獲得している。アクロンの例のように、アナウンサーと掛け合いで商品説明を行うといった具合だ。

地方イベントの協賛も積極的に行っている。たとえば「YOSAKOIソーラン祭り」や「全国高等学校クイズ選手権」といったイベントの協賛によって話題も広げてきた。

「さまざまな商品情報を高校生に伝えることでファンになっていただき、実際に使ってもらえるよい機会になった。実は高校生クイズで勝ち残ったチームで、ライオンに入社してくれた学生も何人かいる」(榊原氏)

このほか、多くの啓発活動も実施している。夏休みの子供自由研究などで「なぜ洗剤は汚れを落とすのか?」といったテーマで地域に出向いて活動を行ったり、「キレイキレイのまち 坂出」プロジェクトを発足させたりして、ハンドソープによる子供の手洗い推進活動を広げているそうだ。

またブランド浸透に関しては、日テレ系列の27のローカル局と連携し、地域顧客にターゲットを絞ってCMを入れ、徐々に成果を上げているという。愛媛を中心に、嵐の二宮君を使った「SUPPER NANOX」のローカルCMなども発信している。

地方イベントの活用という点では、頭痛・生理鎮痛薬の「バファリン ルナi」を女性を対象とした地域イベントで紹介して、シェアを上げてきた。このほか、オウンドメディア「Lidea(リディア)」を開設し、話題づくりやファンの拡大に一役買っているという。

地域のユーザーの声を「聴く」ことが大切

最後に榊原氏は「オシャレ着洗いでもわかるように、メーカのイメージとユーザーのイメージは異なっている。したがって従前の常識を疑う必要があるだろう。また時代の変化とともに、潜在的な価値観も変化している。

我々は、さまざまなリサーチを実施しているが、それは“アスキング”でなく、“リスティング”だ。聴くことで価値を見出し、地域のお客さまのコンタクトポイントを通じて、気づきや共感、話題を提供しながら、新たな対応に取り組んでいる」とまとめた。