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絶好調ライオン、中期事業戦略「Vision 2020」の2本柱は
ライオンは日用消費財メーカーとして、今年で126年を迎える老舗企業だ。売上高は約4,000億円、そのうち海外比率は直近で28%まで上昇している(2017年第二四半期)。業績については、4期連続で最高を更新しており絶好調といえるだろう。
取り扱い製品のうち、日用消費財は全体の66%を占め、おなじみのオーラルケア(歯磨き・歯ブラシ)やビューティケア(ハンドソープ)ではシェアNo.1を誇る。
またファブリックケア事業(洗濯用洗剤、柔軟剤)、リビングケア(台所用洗剤)、薬品(目薬、解熱剤)なども手掛けており、こちらも高いシェアを維持している。
一方、最近比率が上がっている海外事業に関しては、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、台湾、中国、香港、韓国といったアジア諸国のみで展開している点が特徴だが、各国シェアも非常に高い。タイでは歯磨き・ブラシ、洗濯用洗剤などで第2位のシェア、マレーシアでは洗剤がダントツの第1位、シンガポールも洗剤は第1位、中国はECで歯ブラシが第1位となっている。
現在は、中期事業戦略として「Vision 2020」を掲げ、健康・快適・環境領域を中心とした事業ドメインで、「国内事業の質的成長」「海外事業の量的成長」「新しいビジネス価値の開発」「組織学習能力の向上」という4つの戦略を推進中だ。
「国内市場の質的成長」とは
榊原氏は「国内市場にフォーカスすると、日用雑貨(トイレタリー)と医薬品は単価の微増傾向が続いているものの、個数は伸び悩んでいる状況だ。国内変化として少子高齢化の影響もあるが、まだ世帯数は少し増える予測なので、量的に拡大するチャンスはある」との見通しを示した。
ライオン 取締役 上席執行役員 榊原 健郎氏
では、年代別の日用雑貨市場はどうなのだろうか? 国内では2013年以降、消費支出はどの年齢層でも伸びているが、特に50歳以上の中高年齢層の消費支出が伸長している点が大きな特徴だ。逆に29歳以下の若年層の伸び率は相対的に低下している。
「年齢で見るとメインターゲットになりそうなのはシニア層だ。シニアがお金をかけたいものは、リゾート・旅行や健康維持などだ。ただし彼らは、徒歩や自転車でアクセスできるような近隣店、すなわち小商圏で日用雑貨の買物をしており、それが購買選択の要因になると考えている」(榊原氏)。
このような国内市場の変化を踏まえ、榊原氏は今後の方向性と具体的な戦略を2つ示した。
・「高付加価値製品の開発・導入と新市場の創造」
・「小売企業との取り組み強化と地域市場の活性化(地域ファンづくり)」
特に業界では上位100社の小売企業の売上高が80%以上と集中しているため、その連携を強化しつつ、地域に密着したファンづくりが重要になるわけだ。