稟議書の書き方 - フォーマット6選|例文・テンプレートですぐ使える
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稟議書は現場からの提案を承認してもらうために必要な書類です。決裁者からの承認が目的なので、決裁者が理解しやすく承認したくなるような書き方を心がけましょう。そんな稟議書の記入事項や書き方のポイントを解説します。すぐに利用できる例文・ひな型もタイプ別に紹介するので、ぜひ活用してください。
ワークフローシステムは、並列承認や複数承認などさまざまな承認形式に対応し、ファイル添付や入力規則の設定ができます。頻繁に発生する稟議をテンプレート化できるシステムもあるので、稟議が必要になることが多い企業は導入を検討してみましょう。
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稟議書とは
稟議書(りんぎしょ)とは、会社や官公庁において承認を必要とする事項を申請し、決裁者に回す書類のことです。「起案書」と呼ばれることもあります。稟議書は、権限の低い人から順に、高い人へと向けて回覧されるのが通例であり、企業規模が大きくなれば承認者は多くなり、承認フローが複雑になりがちです。金額や重要度によって承認者は異なり、場合によっては社長に承認を求めることもあります。
稟議書は、承認プロセスの透明性と正確性を保つための重要な書類です。複数の承認者が関わることで、情報の伝達にブレが生じるリスクが高まりますが、稟議書によって提案内容を明確に記録し、一貫性を保てるようになります。稟議書は、提案が組織の目標や方針に合致しているかを評価し、組織内での意思決定をスムーズに進めるために不可欠です。
稟議と決裁の違い
決裁とは、稟議書を通じて提出された提案や計画に対して、上司や管理職などの決裁者が最終的な承認や却下の判断を下す行為です。決裁が下されると、その案件は実行に移されます。
稟議とは決裁を得るための手続きであり、決裁は稟議に対する回答という関係になります。
稟議とは何か、決裁との違いを知りたい方は、こちらの記事も参照してください。
稟議書の役割
稟議書は、企業内の意思決定プロセスを効率化し、透明性を高めるために不可欠な書類です。新しいプロジェクトや計画を提案し、それが組織の目標や予算に合致するかを確認し、必要な承認を得る際に使用されます。
稟議書の主な役割は次のとおりです。
- 提案内容の整理と明確化
- 承認プロセスの透明性の提供
- 公式記録としての価値
提案内容の整理と明確化
稟議書は、提案内容の詳細情報を整理し、提案の背景、必要な資金、期待される成果など、承認者が判断を下すために必要な情報をわかりやすく一元化して提供します。承認者は提案の意義や影響を迅速かつ正確に把握できるようになります。
承認プロセスの透明性の提供
稟議書は、だれが承認したのか、どのようなプロセスを経て決裁もしくは却下が行われたのかを明確にします。これにより、企業のガバナンスが強化され、個々の責任と組織全体の責任が明確になるでしょう。
公式記録としての価値
稟議書は、提案された内容の詳細を記録することで、将来的に参照したり、監査やレビューの際に使用したりできます。企業の公式記録として、意思決定の過程や理由を伝えるための資料として機能します。
稟議書が必要となるケース
稟議書は、企業経営においてすべての意思決定に必要なわけではなく、特定の状況下で使用されます。主に稟議書が必要となる代表的なケースは次のとおりです。
- 新規の契約や提携を検討する際(契約稟議)
- 大きな資本投資や重要な購入を行う場合(購買稟議)
- 採用、昇進など人事に関わる重大な決定をする際(採用稟議)
稟議書を通すためには、提案の全体像を的確に伝え、重要性と緊急性を理解してもらう必要があります。そのためには、稟議書の書き方一つひとつが重要であり、事実にもとづいたデータの提示、明確かつ簡潔な表現、効果とリスクの均衡の取れた分析が不可欠です。
これらの決定には組織全体に影響をおよぼす可能性があり、適切な承認プロセスを経る必要があります。稟議書を通すには、具体的なデータにもとづく情報提供、明瞭で簡潔な表現、そして提案のメリットとリスクをバランスの取れた分析が不可欠です。
稟議書作成の際には、提案の重要性と緊急性を明確に伝えることで、承認者が情報を迅速に把握し、適切な判断を下しやすくなります。これにより、組織の意思決定プロセスがよりスムーズかつ効率的に進行します。
稟議書の項目と書き方
稟議書は申請者が作成し、承認者が書類に署名すれば承認が成立します。したがって、何を承認してほしいのかを伝えられる稟議書であることが重要です。稟議書にはさまざまなフォーマットがあるものの、稟議書として必ず記載しておかなければならない点に、次のようなものがあります。
- 件名
- 概要
- 承認を求める内容
- 目的
- 申請理由
- メリット・デメリット
稟議書を作成する際は、ポイントを押さえた明快な申請事項の記載が必要です。一つの申請事項に対して一つの稟議書を作成し、申請事項を明確にしましょう。
件名
何を申請するのかについて端的に書きましょう。最初に目につく件名は、短く具体的に書くのが重要です。どのような稟議書なのか、優先して承認すべきなのかなど、件名から判断してもらえます。承認してほしい稟議を後回しにされないよう、件名は端的かつ明確に書きましょう。
概要
何について書いてある稟議書なのかわかるよう、簡潔かつ件名より詳しくまとめます。件名はタイトルを、概要は要約を想定すればイメージしやすいでしょう。稟議書は承認を得るだけではなく、承認が得られていることを社内の第三者にも認識させるためにも使われます。
承認を求める内容
申請した内容のどこを承認してほしいのか記します。承認者が、何を判断すればいいのかを明確にするのに必要な項目です。承認ポイントが明確だと、承認者は具体的な判断基準をもって対応できます。誤解させないため、そして承認者の貴重な時間を必要以上に取らせないためにも明確に記載しておきましょう。
目的
申請の背後にある目的を明記します。これを記すことで、申請の意図を承認者に正確に伝えます。稟議書は、承認者が「この稟議の内容は承認に値する」と思うように書かなくてはなりません。
費用対効果
なぜ申請するのかを定量的に説明します。申請を正当化する客観的な根拠があれば、承認者も納得しやすいでしょう。稟議書本体へは簡潔に記載し、詳細説明や資料といった形で添付ファイルへまとめるのがおすすめです。
メリット・デメリット
提案が会社にとってどのようなメリット・デメリットがあるのか記載しましょう。たとえばITシステムを導入するなら人件費や管理コストがどれだけ削減できるかといった、具体的な数字をあげて記載します。
デメリットを書くときは、メリットがデメリットを上回るように記述しなくてはなりません。デメリットが解消できる道筋や、メリットの方が大きい根拠をあわせて示しましょう。根拠に使える資料としては他社事例やデータ分析資料といったものが考えられます。
従業員が増えて稟議フローの構築を検討している担当者の方は、ワークフローシステムの導入を検討してみてください。
ワークフローシステムを導入すると、稟議に限らずさまざまな申請・承認フローをシステム化でき、社外からも容易に承認・決裁が可能なため、迅速な意思決定が実現できます。
無料トライアルのあるサービスもあるので、興味のある方は無料でダウンロードできるサービス資料をぜひ活用してください。
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稟議書を再提出する場合の書き方
稟議書の再提出が必要になった場合、なぜ稟議を却下されたのか理由を把握する必要があります。理由がわからない状態で新たに作成しても、再び却下される可能性が高いでしょう。
稟議書が却下されてしまう理由としては、次のようなものがあります。
- 申請の目的や背景が不明瞭
- 判断に必要なデータが不足している
- リスクについての評価をしていない
- 関係者への事前確認が済んでいない
- 企業の理念や方向性にマッチしていない
- 書式に不備がある
承認してほしい内容が伝わらなかったのか、それとも必要性を感じなかったのか、この違いによって改善すべきポイントが決まります。また、改善すべきポイントがわからない場合は、1人で悩まずに、却下した承認者に理由を尋ねるのが確実でしょう。再提出の際には、承認者が最初に懸念を示したポイントがどのように改善されたのかを明確に説明することが重要です。
稟議書の再提出は、最初の提案を再度送るのではなく、却下の理由を真摯に受け止めて提案をより強固なものにする絶好の機会です。このプロセスを通じて、提案方法やコミュニケーションスキルを改善することにもつながるでしょう。
客観的な目線で自分が書いた稟議書を見ることも大切
稟議書を書いた経験が少ない場合、稟議書の書き方が一人よがりになっていることがあります。たとえば、言葉の意味を説明せずに承認者がわからない用語を使用している、自分がよいと思っていても承認者がわかるように説明していないといったケースがこれに該当します。
はじめのうちは先輩や上司などに、きちんと伝わる稟議書が書けているかをチェックしてもらうのもよいでしょう。メールやチャットでのやりとりよりも、対面や電話でのコミュニケーションの方が具体的なフィードバックを確認でき、書き方のコツがより効果的に得られるためおすすめです。
なお、具体的な稟議書の書き方のポイントについては本記事の中でも紹介しているので確認してください。
稟議書の書き方と例文
稟議書をまっさらな状態から作成するのは、時間と手間がかかります。また、初めて作成する人にとっては記入例がなければ、どのように書けばいいのか見当もつかないでしょう。
そこで、稟議書の書き方と例文を目的別に紹介します。
- 修理に関する稟議書
- 物品購入に関する稟議書
- 正社員登用に関する稟議書
- 融資に関する稟議書
- システム導入に関する稟議書
- 契約締結に関する稟議書
これらのサンプルを参考に、伝わる稟議書を作成しましょう。
修理に関する稟議書の書き方と例文
数万円~数十万円かかる修理は、自身の判断で決めるのは難しいため、稟議を通す必要があります。
件名には、「〇〇(修理が必要な物)の修理依頼について」と記載します。書き方のポイントは、修理の必要性と緊急性、そして修理代にかかる見積金額を記載することです。
たとえば、パソコンが故障したときの例文は下記のとおりです。
修理の必要性
当社の営業部門で使用しているオフィス用パソコン(購入から3年経過)が、起動不良を繰り返す事態となりました。トラブルシューティングを試みましたが改善せず、専門業者による診断を受けたところ、ハードディスクの故障が原因と判明しました。このパソコンは営業データの管理や顧客情報の入力に毎日使用しており、修理を急ぐ必要があります。
修理の緊急性
このパソコンの故障により、営業活動に支障をきたしており、顧客情報の更新作業が滞り、営業成果に直接影響しています。また、重要な営業データが失われるリスクもあり、早急な修理が必要です。
修理代にかかる見積金額
修理業者からの見積もりによると、ハードディスクの交換およびデータの復旧作業には、合計でx万円(税込)が見込まれます。この金額には、部品代と作業費が含まれています。
修理にかかる費用はx万円に上りますが、営業活動の円滑化とデータの安全性を確保するためにも、この修理は必要不可欠です。以上の理由から、オフィス用パソコンの修理依頼を承認していただきたく、ご検討のほどよろしくお願いします。
物品購入に関する購買稟議書の書き方と例文
高額な物を購入する際は、1人の判断では決められないので、物品購入の稟議書が必要です。
稟議書の件名には、「〇〇部の(〇〇で使用する)〇〇購入について」と記載します。書き方のポイントは、必要性と緊急性、そして効果を明確に示すことです。
たとえば、タブレット端末を購入したいときの例文は下記のとおりです。
購入の必要性
現在、営業部の外回り営業では紙の資料を使用しておりますが、これによる情報の更新が遅れがちで、また持ち運びにも大きな負担があります。タブレット端末を導入することで、最新の情報をリアルタイムで共有し、顧客への提案力の向上が可能です。また、デジタル資料の使用は紙の消費を減らし、環境への配慮にもつながります。
購入の緊急性
競合他社ではすでにタブレット端末を営業活動に積極的に取り入れており、その効果が顕著に表れています。このままでは市場競争において後れをとる恐れがあります。今後の営業戦略を考えるうえでも、スピーディーな情報共有と提案活動の強化は急務です。
効果
タブレット端末を導入することで、次の効果が期待できます。
・情報の即時更新と共有による提案力の向上
・紙の資料に比べた携帯性と利便性の向上
・紙の使用量削減による環境負荷の軽減
・デジタルツールの活用による新たな営業手法の開拓
購入にかかる費用
提案するタブレット端末は、1台あたりx万円で、営業部員10名分で合計xx万円(税込)が必要です。長期的な視点で見れば、この投資によって営業成績の向上が見込まれ、コストパフォーマンスは非常に高いと考えられます。
以上の理由から、営業部の外回りで使用するタブレット端末の購入を承認していただきたく、ご検討のほどよろしくお願いします。
正社員登用に関する稟議書の書き方と例文
パートや派遣社員を正社員に登用する際に必要となる稟議書です。
稟議書の件名には、「派遣社員(パート)〇〇の正社員採用について」と記載します。正社員登用に関する稟議書の書き方のポイントは、採用理由や候補者がどのような人材なのかを忘れずに記すことです。学歴や職歴以外に、以前の働きぶりも記しておくと、どのような人材なのかイメージしやすくなるでしょう。
また、判断材料として賃金や労働条件も必要です。抜け漏れのないよう、気をつけてください。
例文は下記のとおりです。
採用理由
〇〇〇〇は、過去2年間にわたり当社にて派遣社員として勤務しており、その間に示した卓越した業績とチームへの貢献により、正社員としての採用を推薦します。具体的には、プロジェクト管理能力の高さと、チームメンバーへの積極的なサポートが評価されています。
候補者の詳細情報
学歴:〇〇大学経済学部卒業
職歴:〇〇株式会社にて3年間勤務後、当社に派遣社員として入社
業績:新規顧客獲得プロジェクトにおいて、目標達成率120%を達成
人物像:チームワークを重視し、常に前向きな姿勢で業務に取り組む
賃金および労働条件
月給:xxx,000円(各種手当含む)
労働時間:週xx時間制
その他の条件:正社員登用後は、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険に加入
以上の点から、〇〇〇〇を正社員として採用することを強く推薦します。
融資に関する稟議書の書き方と例文
銀行から融資を受ける際に必要となる稟議書です。
稟議書の件名には、「〇〇銀行との金銭消費貸借契約締結について」と記載します。借入先と借入金額、返済期間、利息、担保差し入れ、連帯保証人などを簡潔に記すとよいでしょう。
金銭消費貸借契約締結は、財務の関係上、重要な決裁事項です。書き方のポイントとしては、今回の契約締結は「役員会で了承済み」「予算計画書の範囲内」を明確に示すことになります。
例文は下記のとおりです。
借入先:〇〇銀行
借入金額:x,000万円
返済期間:x年(xxか月)
利息:年率x%
担保差し入れ:会社所有の不動産(所在地:〇〇市〇〇町1-2-3)
契約締結の目的
当社は、新たな事業展開に向け、必要な設備投資および運転資金の確保を目的としております。このため、〇〇銀行よりx,000万円の融資を受け、事業の拡大と収益性の向上を目指すものです。
契約締結の重要性
本融資により、当社は中期的な成長戦略を加速できます。また、設備投資による生産性の向上や、市場競争力の強化が期待されます。
役員会の承認
本契約締結については、役員会において事前に議論を行い、了承済みであります。
予算計画書の範囲内
本融資による資金使用は、予算計画書にもとづき適切に計画されており、会社の財務健全性に影響をおよぼすことなく実行可能です。
以上、〇〇銀行との金銭消費貸借契約締結につきまして、承認をお願い申し上げます。
システム導入に関する稟議書の書き方と例文
新たにシステムを導入する際に必要となる稟議書です。
稟議書の件名には、「〇〇システム導入について」と記載します。導入することで何に役立つのか、どのようなメリットがあるのかを根拠とともに明確に記しましょう。システム導入は費用・コストがかかるため、確かなメリットがないと承認を得られない可能性があります。
また、書き方としては、よいことばかりだけでなくリスクも忘れずに記載しましょう。物事にデメリットは付きものです。リスクが記載されていないと違和感をもたれてしまう恐れがあります。
例文は下記のとおりです。
導入するシステムの概要
本稟議書では、顧客管理を効率化するためのCRMシステムの導入について申し立てます。このシステムは、顧客情報の一元管理、顧客とのコミュニケーション履歴の記録、販売機会の管理などを可能にします。
導入の目的とメリット
・顧客情報の一元管理による業務効率の向上
・営業チームのコミュニケーションの活性化と情報共有の促進
・マーケティング活動の効果測定と分析機能による戦略的な顧客アプローチ
・顧客満足度の向上によるリピート率の増加と新規顧客の獲得
導入コスト
システム導入費用として初期費用xx万円、月額利用料としてxx万円が見込まれます。導入後3年でのコスト回収を目指します。
導入のリスクと対策
導入初期における業務の混乱:従業員向けの事前研修を実施し、スムーズな定着を図る。
システムの不具合:システム提供会社との間で十分なサポート契約を結び、迅速な対応を確保する。
利用率の低さによる投資回収の遅れ:定期的な使用状況のレビューと、必要に応じたユーザー研修を実施。
期待される効果
CRMシステムの導入により、顧客管理の効率化と営業プロセスの最適化が期待されます。これにより、売上の増加と顧客満足度の向上が見込まれ、中長期的な企業成長に貢献すると予想されます。
以上、CRMシステムの導入について、承認をたまわりたくお願い申し上げます。
契約締結に関する稟議書の書き方と例文
新規事業者と契約締結する際に必要となる稟議書です。
稟議書の件名には、「〇〇社との新規取引承認について」と記載します。文例としては、なぜこの取引先が適切であると判断したのか、信用できる取引先なのか、契約するメリットを記すとよいでしょう。
新規事業者との契約は、業績につながる重要な事項です。承認者はより慎重に判断するので、取引先の信用情報や契約するメリットはしっかり記しておきましょう。
例文は下記のとおりです。
提案の背景
現在、当社の事業は市場の変動に対応するため、新たな取引先の開拓が急務となっています。この状況下、〇〇社との新規取引により、製品ラインナップの拡張および市場競争力の強化が見込まれます。
〇〇社について
〇〇社は、〇〇分野において〇年の実績をもつ企業で、高い技術力と安定した経営基盤を有しています。また、過去〇年間の財務諸表分析結果からも、その財務状況は非常に健全であることが確認可能です。〇〇業界における信頼度も高く、多くの企業から高い評価を受けています。
契約のメリット
・製品ラインナップの拡張による市場ニーズへの対応力向上
・〇〇社の技術力を活用した新製品の開発機会
・〇〇社との取引によるブランドイメージの向上
・長期的な業務提携による安定した供給網の構築
懸念事項と対策
取引開始初期におけるコミュニケーションの課題:取引開始前のミーティングを通じて、業務フローの確認と相互理解を深める。
市場の変動によるリスク:市場動向を定期的に分析し、柔軟な契約条項の設定を通じてリスクを最小限に抑える。
以上の点から、〇〇社との新規取引は、当社の製品力と市場競争力の強化に寄与するとともに、安定した経営基盤の構築にも貢献すると考えられます。したがって、〇〇社との取引開始について、承認をお願い申し上げます。
稟議書の文例集
具体的な申請事項を例にあげ、稟議書の内容とひな形となる文例を紹介しましょう。
独自の稟議書のテンプレートがある会社もあり、また言い回しも慣習で決まっている場合があるので、具体的な表現は過去の事例を参考にしてください。最低限記載すべき内容に焦点をあてて紹介します。
他社との契約
A社との人材派遣契約について
契約者:xx社(詳細会社情報添付)
契約内容: 契約期間、派遣労働者数、派遣労働者の仕事内容、契約金額、サービス内容に含まれるものなど。
契約理由:経理部社員Dの決算時期と重なる産休に伴い、経理の補佐業務を行うスタッフが必要です。契約するxx社は過去にも派遣の実績があり当社の事情を熟知しているため、新規のサービス会社を起用することによる新たな手続きや説明業務が省けることで、xx社との契約を申請します。
備品の購入
情報セキュリティマネジメントシステムの購入について
対象製品:xxx
販売者:xxx社
価格:xxx円
価格に含まれるもの:xxx
見積書比較:(複数社の見積もり比較を添付)
購入理由:今年に入って取引先が昨年比2倍となり、電子メールの交信が昨年の月平均xx通から先月はxxに増加しています。仕様書を添付したメールや、取引先の情報を含むメールが多く発信されている中、誤送信による会社の情報漏えい対策はとられていません。
このため、情報セキュリティマネジメントシステムの購入を数社から見積もりをとり検討した結果、xx社のものがコストパフォーマンスの面で優れていると判断し、購入を申請します。
接待や忘年会の用意
B社接待のための会食について
招待客:B社
招待者:xx部長xx様、xx課長xx様 合計2名
日時:xx月xx日
接待場所:レストランxx 夕食ご招待
接待者:xx部xx
予算:合計xx円以内
目的:3年前から取引を継続しているB社において、先月担当部長が、競合C社との関係が強いxx氏に交代となりました。xx氏との関係を築いてスムーズなコミュニケーションが図れるよう、顔合わせとして夕食会の設定が必要と考えます。
稟議書の英語での書き方
国際的なビジネスシーンでのコミュニケーションや、外資系企業での稟議書の提出など、英語で作成した稟議書(request for managerial decision)を必要とする状況が出てきます。英語で稟議書を書く際の基本ルールとポイントについて解説します。
英語での稟議書のフォーマット
稟議書の英語版では、日本語での稟議書と同様の情報を含める必要があるほか、表現方法に文化的な違いがあります。基本的なフォーマットと必要な情報、そして文化的なニュアンスを適切に表現するためのポイントを紹介します。
- Title(件名)
- Summary of the Proposal(提案の概要)
- Reason for Proposal(提案の理由)
- Expected Benefits(予想される利益)
- Costs and Risks(コストとリスク)
- Attachments(添付資料)
英語でのビジネスライティングのポイント
英語におけるビジネスコミュニケーションでは、明確かつ簡潔な表現が好まれます。稟議書も例外ではなく、ポイントを絞り、要領を得た内容で説得力をもたせる必要があります。次の点をとくに意識しましょう。
- Clarity(明確性)
- Conciseness(簡潔性)
- Formality(公式さ)
- Politeness(丁寧さ)
サンプルとテンプレートの活用
英語での稟議書作成には、サンプルやテンプレートを参考にすることが有効です。とくに初めて英語で稟議書を書く場合、標準的なフォーマットに従うことで、適切なビジネス文書を作成できます。基本的な英語の稟議書のサンプルとテンプレートを紹介します。
英語での稟議書
Global Marketing Campaign Funding Request
Objective: To drive brand awareness and increase market share in key international markets through strategic marketing campaigns.
Required Funding: USD 1,000,000
Detailed Proposal:
- Expansion of digital marketing efforts, including targeted social media advertising in key markets such as Europe, Asia, and North America.
- Collaboration with internationally recognized influencers and brands to leverage their audience base.
- Development and promotion of multilingual content to cater to diverse demographics.
- Market research for understanding regional consumer preferences and effective message framing.
Expected Outcomes:
- Enhanced brand visibility and reputation across targeted international markets.
- Increased traffic to online platforms and growth in sales metrics.
- Strengthened relationships with global partners and stakeholders.
Rationale:
Considering the competitive global business landscape, it is imperative to adopt proactive marketing strategies. The proposed campaign is expected to bolster our international standing, providing a sustainable edge in the global market.
Your approval and support for this initiative are sought to commence the detailed planning and execution at the earliest.
日本語訳
グローバルマーケティングにおけるキャンペーン予算の申請
目的:戦略的マーケティングキャンペーンを通じて、主要な国際市場でのブランド認知度を高め、市場シェアを増加させる。
必要資金:1,000,000米ドル
詳細な提案:
ヨーロッパ、アジア、北アメリカなどの主要市場でのターゲットを絞ったソーシャルメディア広告含むデジタルマーケティング範囲の拡大。
国際的に認識されているインフルエンサーやブランドとのコラボレーションを通じて、彼らがもつファン層を活用します。
多様なデモグラフィックに対応する多言語コンテンツの開発およびプロモーション。
地域の消費者の好みや効果的なメッセージのフレーミングを理解するための市場調査。
予想される成果:
ターゲットとする国際市場におけるブランドの可視性と評判の向上。
オンラインプラットフォームへのトラフィック増加および販売指標の成長。
グローバルパートナーおよびステークホルダーとの関係強化。
根拠:
競争の激しいグローバルビジネスの環境を考慮に入れると、前向きなマーケティング戦略を採用することが不可欠です。提案されたキャンペーンは、国際的な立場を強化し、グローバルマーケットでの持続可能な優位性を提供すると予想されます。
このイニシアチブの詳細な計画および実行を早急に開始するために、さらなる予算とサポートを申請します。
稟議書を提出する流れ
稟議書の書き方を把握したところで、作成から提出するまでの流れについても把握しておきましょう。
一般的な稟議の流れは、次のとおりです。
- 申請者が稟議書を作成する(内容や目的などを簡潔かつわかりやすく明記します)
- 稟議書の番号を取得する(稟議書に番号を振って管理している企業では、番号を取得する必要があります)
- 承認者へ稟議書を提出する(権限の低い人から順番に回覧してもらい、承認を得ます)
稟議書の提出は、企業によって異なる場合があり、稟議書のフォーマットも企業によってまちまちです。また、中小企業やベンチャーでは小規模な投資であれば稟議書を作成せずとも検討が開始されることもあります。よって、一般論にこだわるのではなく、企業に合わせたやり方で提出すると、スムーズに回覧してもらえるでしょう。
「稟議の承認・決裁フローを簡潔にしたい」
「承認者への回覧に時間を要し意思決定が遅くなりがち」
上記のような課題がある場合は、ワークフローシステムの導入がおすすめです。
外出先からの承認作業も行えることで責任者が外出でつかまらないといった問題が解消され、さらにシステム上で完結するため意思決定の迅速化が期待できます。
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稟議書を提出するメリット
稟議書を提出するメリットは、次の3つです。
- 承認に会議が不要
- 現場の声を反映させやすい
- 意思決定の方法が明確になる
メリットを把握することで、稟議書の必要性も見えてくるでしょう。作成する前にぜひチェックしてください。
承認に会議が不要
稟議書を提出することで、上長の承認を得なければいけない案件が紙1枚で完結できます。わざわざ会議を開かずに済むので、時間や人員コストを抑えられるでしょう。
とくに承認者が多く、複数の部署にまたがる場合、全員のスケジュールを押さえる必要があります。承認を得るまでに時間もかかるので、緊急性の高い案件ほど、稟議が適しているといえるでしょう。
現場の声を反映させやすい
稟議書を作成する起案者は、現場で働く社員がほとんどです。そのため、稟議に上がる案件は、現場で起きているトラブルや問題を解決するためのものばかり。現場の声が強く反映されているので、ポジションの高い人たちに直接訴えかけられます。
案件の内容によっては社長にまで、現場の声を届けられます。
意思決定の方法が明確になる
稟議の仕組みが整っていない企業の場合、現場の意見があったとしても、だれが改善する権限をもっているのか、どのように伝えればよいのかわからずに意思決定もできません。稟議制度を整えればこのような問題を解消でき、意思決定の方法が明確になり、現場は声を届けやすく、後から施策の功績・責任を分析しやすくなります。
稟議を通すために少なからず根回しは必要ですが、意思決定のルートが明確でない場合、根回しのために無駄に時間を取られる、だれに何をお願いしてよいのかわからないといった非効率な体制になります。
よって、稟議制度で意思決定の方法は明確にすべきです。
稟議書を提出するデメリット
稟議書を提出するデメリットは次の2つです。
- 作成する手間と時間
- 承認者の責任感が薄れる可能性
メリットだけでなくデメリットもあることをしっかり理解し、稟議を上げるようにしましょう。
作成する手間と時間
稟議を上げるために欠かせない稟議書は、作成するのに手間と時間がかかりやすい書類です。とくに、初めて稟議書を作成する人や慣れていない人にとっては、大きな負担となるでしょう。また、時間を取られることは生産性を低下させるだけではなく、ビジネススピードを失速させて、ビジネスチャンスを逃すことにもつながりかねません。
よって、稟議書を作成する際は、ポイントを押さえること、テンプレートを活用することで、手間と時間を軽減できます。
稟議書作成に苦手意識をもつと、稟議を上げること自体に抵抗を感じるものです。なるべく負担を軽減できるよう工夫してみてください。
承認者の責任感が薄れる可能性
稟議の承認は複数人で行うため、万が一トラブルが起きたとき、責任の所在が不明確になる可能性があります。1人から承認をもらう「決裁」とは違い、稟議は承認者の責任意識が甘くなりやすいデメリットをもちます。
問題が生じた場合の対処法や責任のおき方など、事前に決めておくとよいでしょう。
稟議書を書くポイント
稟議書は承認する側が簡単に内容を把握でき、かつ承認者以外も内容が確認できるようになっていなければなりません。そこで、次のポイントに注意して書きましょう。
- 内容を具体的に
- どの問題を解決するためか
- 根回しを事前に
- 予算編成済みの場合は伝える
内容を具体的に
申請内容は数値を用いて具体的に記載します。上長は予算や費用対効果にもとづいて、稟議の承認を決めることが大半です。そのため定量的にメリットを示すことでスピーディーかつ確実に承認してもらえるでしょう。たとえば次のような項目を数値化します。
- 数量
- 費用
- 管理コスト
- 期待される売上や利益
また、「具体的」には客観的であることも含まれています。稟議書の中で説明している効果や数値はどのような根拠にもとづいているかも明確にして、一人よがりの分析と結論ではないことを証明してください。
どの問題を解決するためか
承認者を説得するためには、課題を申請事項によって解決できると示すことが必要です。どのような課題を抱えておりどれくらいの損失を出しているのか算出するのがポイントとなります。
また、課題は現在進行形で起きているものだけでなく、将来発生する恐れがあることに言及してもかまいません。セキュリティシステムの導入申請は、導入しないことで情報漏えいが発生するリスクをもつ将来的な課題です。
また、課題解決のもたらすメリットだけではなく、デメリットがある場合はデメリットについてもきちんと稟議書で説明をすべきです。
根回しを事前に
承認者へ事前に根回しをしておくと稟議書がスムーズに承認されるでしょう。根回しといってもゴマをすったりこびへつらったりする必要はありません。承認者へ「〇〇についての稟議を上げておきます」のように伝えておくだけでもよいでしょう。
たとえ決裁の見込みの厳しい稟議であったとしても、あらかじめ根回しすれば承認者が課題に感じている点や気にしている点を確認でき、稟議書の作成に活かせます。
予算編成済みの場合は伝える
すでに予算が組んである場合は、そのことを明言すると稟議は通しやすいでしょう。当初計画されていた予算であれば、すでにある程度吟味されているはずなので、上長も悩まずに承認できます。
必要に応じて添付資料もつける
稟議書だけでは、提案の全貌がよくわからないといったケースはよくあります。必要に応じて稟議書に加えて、見積書やカタログ、図面などを添付してください。稟議書自体は社内で起案しないといけないかもしれませんが、添付資料の場合は取引先でも用意してもらえます。
稟議書における企業側の注意点
稟議書提出のハードルが高いと、現場から意見があがらず事業スピードは低下するかもしれません。よって稟議書については従業員が書き方を勉強するだけではなく、稟議書を提出しやすい環境になるよう企業側が整備できるとよいでしょう。稟議をスムーズにするポイントとしては次の点があげられます。
- テンプレートを用意しておく
- 稟議書を溜め込まない
- 明確なガイドラインの設定
- フィードバックの仕組みを整える
- 承認フローの透明性を確保する
- 稟議書の電子化を検討する
テンプレートを用意しておく
企業側は現場の担当者が稟議書を提出しやすいように、稟議書のテンプレートを充実させておきましょう。パターン別の稟議書テンプレートを用意することで、申請者は効率よく稟議を上げられ、承認担当者も同じフォーマットで内容を審査できるので意思決定のブレが少なくなります。
稟議書を溜め込まない
稟議書の数が多くなったり、プレイングマネージャーが承認の可否判断をしたりしていると、つい稟議書のチェックは後回しにされ判断が遅れるといった事態が発生しがちです。こういった事態を防ぐためには、日ごろから稟議書を素早くチェックするように管理職クラスへの教育が必要になります。
ただし早くても検討が甘いと、本来承認すべきでなかった稟議まで通してしまうかもしれないので、あくまでも意思決定の精度は求められます。
明確なガイドラインの設定
稟議書の提出に関する明確なガイドラインを設定することが重要です。稟議書のフォーマットだけでなく、プロセス全体に関する次のような指針をあらかじめ決めておきましょう。
- どのような情報を含めるべきか
- どの部署が関与すべきか
- どのような状況で追加情報が求められるか
明確なガイドラインがあれば、従業員は稟議書の作成時と提出時に迷いが少なくなり、ワークフローの効率が向上するでしょう。
フィードバックの仕組みを整える
稟議書が却下された場合、提出者は何が問題だったのかを理解する必要があります。そのために、承認者が具体的なフィードバックを提供する体制が整っているとよいでしょう。この仕組みにより、従業員は再提出で改善点を反映でき、企業全体における意思決定プロセスの質が向上します。
承認フローの透明性を確保する
稟議書の承認フローに透明性をもたせ、どの段階にどの稟議書があるのかを追跡できるようにしておけるとよいでしょう。全従業員が承認フローを確認できれば、もし承認に遅延が発生していたとしても、承認者本人に直接状況を確認して効率的に業務を進められるようになります。
稟議書の電子化を検討する
紙ベースで稟議書を承認権者が回覧する場合もありますが、近年は電子申請にしている企業も増えてきました。いわゆる「ワークフローシステム」を活用すれば電子的に稟議書を作成、決裁できます。
紙の稟議書と同様に、フォーマットは自由に作成でき、テンプレートとして保存も可能です。また、紙の稟議書とは異なり、物理的に稟議書を移動させる必要はないため、承認の可否判断をスムーズに実施でき、自動的に稟議書を保存できます。
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稟議書で提案をスムーズに通すために
稟議書の書き方次第で、提案の承認の可否が決まってしまうこともあります。承認者が納得しやすく、承認したことを第三者にも正当化できるような内容にすることがポイントです。説得力のある稟議書の提示は上司の評価にもつながるので、ポイントを押さえた稟議書で実務能力をアピールしましょう。
稟議書を作成するときに気をつけるべきポイントをこれまで解説してきました。いずれにも共通するのは確実に承認されることと素早く承認されることです。とくに後者のスピードに関しては、稟議書のシステム構造からして外国の企業より後れを取りがちです。
極力わかりやすい稟議書を心がけて、どうすれば迅速に承認されるか考えながら書くとよいでしょう。次の記事で紹介するワークフローシステムも、稟議書を高速で承認してもらうための対策となるはずです。
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