ROMIとは?マーケティング用語・KPI設定・の効果測定・計測プロセス
ROMI(Return On Marketing Investment) とは
ROMI(Return On Marketing Investment) とは、企業のマーケティングにおける投資回収率のことをいいます。
企業がマーケティング関連に投資したコストの費用対効果を計測するための指標であり、これまで必ずしも投資対効果が明らかなわけではなかったマーケティング分野において厳密に効果の是非を確かめるための方法として、主にアメリカを中心に主流の指標となっています。
日本でも徐々に使われはじめてきたROMIについて、基本的な説明から計測方法まで解説していきます。
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- ROMI(Return On Marketing Investment) とは
- ROIとROMIの違い
- 米国でROMIを採用する企業が増えている理由
- ROMIとリード
- リードとは?
- リードジェネレーションとリードナーチャリング
- ROMIの最大化
- ROMIの測定方法とプロセス
- (1)マーケティングの活動をつなげる
- (2)マーケティングプロセスを整理する
- (3)KPIを設定し、定量的に観測する
- (4)顧客あたりの受注にかかるコストを見極める
- (5)費用対効果を確認し、フィードバックする
- ROMIを効果的に導入するためのポイント
- 社内に周知を徹底する
- 責任の所在を明確にしておく
- ROMIを正確に測定し、費用対効果の高いマーケティング施策を実践しよう
- BOXILとは
ROIとROMIの違い
ROMIよりも多くの分野で頻繁に使われている基本的な指標としてROIがあります。まずは両者の違いを明らかにしておきましょう。
ROI
「ROI」は「Return On Investment」の略であり、投資した金額に対して、どれだけ利益を生み出したかを示す比率のことです。
企業の資本が効率的に運用されたかどうかを示すものであり、特にダイレクト・マーケティングにおけるさまざまな施策の妥当性を確かめるためにROIの指標を用いることが多いようですが、マーケティングに関しては海外を中心にROMIを用いるケースも増えています。
ROIに関しては、以下の記事で詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてください。
ROMI
企業のもつ資本全般に関して投資対効果を測るROIに対して、ROMIは特に企業のマーケティング施策の成否にフォーカスしたものです。
たとえば、企業の抱える一定数の見込み顧客(リード)から、最終的に顧客にコンバージョンできたのは何件か、あるいは成約数はどれぐらいかなどを数値化して評価します。マーケティング関連施策に投資した費用のリターンを計測するKPIといえるため、冒頭でも述べたようにアメリカでは数年前からすでに各分野で浸透している指標です。
KPIとは
ちなみにKPIとは「Key Performance Indicator」 の略語であり、企業が自ら掲げた目標の達成度を評価するための指標(重要業績評価指標)のことをいいます。企業が目標を達成するための一つひとつのプロセスに注目し、それぞれの項目ごとに、個人や部門の業績評価を定量的に評価していく手法として知られています。
KPIに関しては、以下の記事で詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてください。ROMIに対する知識も深まると思います。
米国でROMIを採用する企業が増えている理由
上述のように、現在はアメリカを中心にROIをマーケティングに特化したROMIを事業の投資対効果を測る指標として採用する企業が増えています。
その理由としては、企業におけるマーケティングの重要性が世界的に認知されていることや、数値を用いて厳密に一つひとつの施策を検証することで、システマチックに事業運営することが求められるようになってきたことが挙げられるでしょう。
事実、ROMIを最大化するためには、一貫したマーケティング施策を展開し、長期的な視点から全体的な経営の効率化が必要となります。そのためROMIが注目されるにつれて、アメリカのマーケティング管理者(CMO)の勤続年数が短くなってしまったというデータがあります。それだけマーケティング施策が厳しく評価されるようになってきたということです。
ROMIとリード
ROMIはリードの質と密接な関係があるといわれています。そこで、まずは、マーケティングにおける「リード」について理解しておく必要があるでしょう。
リードとは?
「リード」とは見込み顧客やその顧客情報のことを指します。細かい定義については企業やマーケティング部署ごとに違っていたりしますが、単純に自社の商品やサービスを購入してくれる可能性の高い顧客(層)のことを指す場合と、そういった人々の氏名や社名、所属部署、連絡先のメールアドレスや電話番号とった情報を指すケースがあります。
企業にとってリードは外部に自社の商品・サービスを売り込むための接点であり、多くのリードを抱えることによって、最終的に多くの売上につなげることができます。
「リード」に関しては、以下の記事を参考にすると、より理解が深まります。
リードジェネレーションとリードナーチャリング
リード(見込み顧客)を獲得することをリードジェネレーションといいます。リード獲得は、マーケティングにおける重要課題のひとつです。いかなる企業であっても、積極的にリードジェネレーションをしなければ、いずれビジネスは破綻してしまいます。
特に質のよいリードを多く獲得し、そこから多くの案件を生み出すプロセスはBtoBマーケティングでは基本ですから、そのため多くの企業はリードジェネレーションのために広告を出したり、企業セミナーや展示会に出展したりしています。
また、リードを最終的に優良顧客へと育てていくことを「リードナーチャリング」といい、集めたリードに対してメールやセミナーなどで継続的なコミュニケーションをとることによって商談へとつなげる手法です。
リードジェネレーションやリードナーチャリングに関しては、以下の記事を参考にしてください。
ROMIの最大化
質のよいリードをたくさん獲得し適切に育成(ナーチャリング)していくことで、自社の長期的な利益に貢献してくれる優良顧客を増やすことができます。そのための重要な指標がROMIとなります。
アメリカ企業のCMOとROMI
アメリカでは、セミナーやDM、テレマーケティングなどによるリードジェネレーションと、メルマガやウェビナーなどによるリードナーチャリングはすでに当たり前の活動になっています。
さらに、(1)獲得し、(2)育成したリードを(3)評価する「リードクオリフィケーション」までの3つのプロセスとその担当組織を統合し、CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)のもとで統括的に運用するのが一般的です。そしてそのパフォーマンスをROMIで評価するようにしているわけです。
ROMIによる評価
ROMIでは、それぞれのマーケティング施策の目標と成果にフォーカスし、一つひとつ数値的に検証していくことになります。
たとえば、一定数のリードから最終的に何件の商談案件につなげることができたか、そこから何件の成約に結びつけることができたのかを厳密に数値化して評価します。
ROMIを最大化するためには、単純にリードを多く獲得しているだけでは不十分です。重要なのはリードの量というよりはむしろ質です。
優れたリードジェネレーションによって質のよいリードだけを獲得することにより、商談や成約につながる確率を高めることが重要です。加えて、短期的な視点ではなく中長期的な視野から一貫したマーケティング施策を実践する必要があります。
ROMIの測定方法とプロセス
それでは、ROMIの測定方法の概要と具体的なプロセスについて解説していきましょう。
(1)マーケティングの活動をつなげる
厳密にROMIを測定するにあたっては、まず、それまで部署ごとに行っていたマーケティング活動をリード単位でつなげることで、整合性をもたせることが重要となります。それぞれのマーケティング施策を顧客単位でつなげることにより、全体的な視点から判断がしやすくなるわけです。
(2)マーケティングプロセスを整理する
次に、リードを獲得してから商談にいたるまでのプロセスを整理しなおします。部署や営業所ごとにプロセスが違っている場合、どのプロセスのどの施策がROMIを高めるために効果的なのかが、正確に判断できなくなってしまいます。
企業によっては営業担当者が独自の判断でリードナーチャリングを行っているケースもありますが、できるだけマーケティング担当者が担うようにして、見込み客の購買意欲を育てるためのプロセスとして評価していく必要があるでしょう。
(3)KPIを設定し、定量的に観測する
KPIを要所に設定し、各プロセスにおける一つひとつの施策を定量的に観測していきます。それによって有効な施策とそうではないものを判断し、後者はやめてしまうか、より効果的なリターンを得るために改善します。
当然、改善後はその評価を厳密に数値で判断していきます。長期にわたって定点観測しながら、見込み顧客の状況ごとに管理していくとよいでしょう。
(4)顧客あたりの受注にかかるコストを見極める
各マーケティング施策ごとに、実際に受注を獲得をするために必要となる単価を見極めます。マーケティングの各プロセスにおける一つひとつの施策について、客観的な数値をもとに判断していきます。
たとえばWebを使ったマーケティングでは、コーポレートサイトやプロモーション用の特設サイトによる受注獲得単価をそれぞれ算出し、最終的にどのアプローチがもっとも費用対効果がよかったのかを見極めます。
(5)費用対効果を確認し、フィードバックする
各々のマーケティング施策の費用対効果を確認し、その効果をフィードバックします。それによって、マーケティングプロセスのどの部分がボトルネックになっているのか、改善点は何か、より少ない顧客獲得単価を実現するにはどうすればよいのかを考え、それを実行に移していきます。
そうやって実践と検証を繰り返していくことにより、徐々にマーケティングの効果が上がり、優良顧客を効率的に集められるようになっていくわけです。
ROMIを効果的に導入するためのポイント
最後に、ROMIをマーケティング施策の評価軸として導入するためのポイントについて、簡単に解説しておきます。
社内に周知を徹底する
これまでROMIの概念を導入していなかった企業にとっては、マーケティングプロセスを客観的な指標によって厳密に評価されることに抵抗感を覚えるスタッフもいるかもしれません。そのため、マーケティング担当部署はもちろん、できるだけ社内全体に新しいマーケティング施策の評価法について周知してもらうことが重要でしょう。
特に部署ごとに違ったプロセスでマーケティングの評価をしている場合は、それらを統一する必要があります。関係部署への根回しは必須ですし、混乱を招かない導入の方法を考える必要があります。
責任の所在を明確にしておく
マーケティングに関わるそれぞれの役割分担を明確にし、責任の所在を明らかにしておくことも重要となります。
ROMIでは、効果のあった施策と、そうではないものが定量的に明らかになるので、それぞれの担当者や責任者が不明瞭なままだと、責任の押し付け合いなどのトラブルにつながることがあります。そうならないためにも、基本的な指揮命令系統と、それぞれの施策の担当チームや責任者は事前に明らかにしておきましょう。それによってROMIの導入もスムーズになります。
ROMIを正確に測定し、費用対効果の高いマーケティング施策を実践しよう
近年、アメリカを中心に導入されはじめているROMI(Return On Marketing Investment)という指標について、基本的な考え方からROIとの違い、そしてROMIの測定方法の概要を説明してきました。
厳密には、ROMIの測定方法は企業によって違いますし、マーケティングプロセスのどの部分を重視するかも変わってきます。しかしどんな企業であっても、質のよいリードを獲得して優良顧客へと育てることが事業を運営していくうえでは必要不可欠でしょう。
マーケティング担当者は、ぜひROMIを意識しながら効率的で費用対効果の高いマーケティング施策を実践してください。
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