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カスタマーサクセスの10の原則 - おすすめ書籍から見る成功のポイント

最終更新日:(記事の情報は現在から1230日前のものです)
日本でも先進的な企業は積極的に採り入れはじめたカスタマーサクセスについて、その代表的な書籍の紹介を通じて説明していきます。業種を問わずさまざまな分野のビジネスがサブスクリプション化しはじめた昨今、特に必要な考え方なので、この機会にぜひ基本的なところを知っておきましょう。

カスタマーサクセスとは?

カスタマーサクセスとは、自社の利益や成長のために顧客を支援するという考え方ではなく、顧客の成功を第一目的とする考え方をいいます。

これまでは「カスタマーサポート」という形で顧客の声を聞き入れ、利益につなげる考え方が一般的でした。

海外ではさらにカスタマーサクセスに発展し、受動的に顧客支援をするのではなく、自社から積極的に顧客の成功を考え、然るべきアクションを起こすべきという考え方に変わってきています。

本記事では、このカスタマーサクセスについてより詳しく説明するとともに、この概念を体系的に説明した同名の代表的書籍である「カスタマーサクセス~サブスクリプションの時代に求められる『顧客の成功』10の原則~について解説していきます。

また、下記の資料ではSaaS・サブスクリプションモデルで注目されている背景、立ち上げと運用のステップについて解説をしています。

カスタマーサクセスの目的と役割

カスタマーサクセスの目的は、文字どおり顧客の成功にほかなりません。

ただ、口で言うほど簡単な話ではなく、多くの企業が顧客第一主義や顧客満足度(CS)の向上を謳ってきましたが、これらはカスタマーサクセスと必ずしも同じ意味で用いられたわけではありませんでした。

その背景には自社の成功という目的があり、そのための手段として顧客を支援するというスタンスでサービスを提供する企業が多かったのです。

しかし、今海外を中心に移行が進んでいるカスタマーサクセスは、顧客第一主義を極限まで突き詰めたものです。

顧客の話を聞き、クラウドやモバイル、SNSなどの自社が使えるリソースを徹底活用して、顧客の立場で成功を目指すスタイルを貫く企業が続々登場しています。

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カスタマーサクセスが注目される背景

カスタマーサクセスを標榜する企業が目指すべきは単なる顧客の満足ではなく、顧客の業績向上です。

顧客の成功とは、すなわち長期的な業績の向上にほかならず、ここを営業から製造、バックオフィスに至るまで自社のすべてのスタッフの目的とします。

なぜ、こうした考え方が注目を集めているかといえば、業種を問わず、非常に多くのビジネスが買い切り型ではなく、定額制を前提としたサブスクリプション化しているためです。

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カスタマーサクセスとサブスクリプション

サブスクリプションとは、製品やサービスなどを一定期間利用して代金を支払う方式で、主にソフトウェアの利用形態として広まってきたものです。

これがさらに企業の提供する商品・サービスに関しても適用されつつあり、一度売って終わりというのではなく、継続的に売り上げを上げ続けるというスタンスで顧客との関係を構築する企業が増えているのです。

この考え方に整合する概念としてカスタマーサクセスが海外企業で採用されはじめ、日本でも企業向けのSaaSを展開する企業を中心に広まりつつあります。

継続課金型のビジネスでは、顧客の途中離脱の防止が極めて重要ですから、自社の提供する商品・サービスによって顧客自身の業績を向上させ、顧客の離脱を防ぎ、双方の長期的な繁栄を目指そうというわけです。

カスタマーサクセスについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

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カスタマーサクセスの代表的書籍

それでは、カスタマーサクセスの概念を広めるきっかけとなった同名の代表的書籍「カスタマーサクセス~サブスクリプションの時代に求められる『顧客の成功』10の原則~」を紹介します。

カスタマーサクセス―サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

この本はカスタマーサクセスを扱った書籍のなかで人気のある本で、基本的なカスタマーサクセスの考え方から、実践のポイントを「10の原則」としてガイドブック化したものです。

著者の一人であるニック・メータは、カスタマーサクセスのためのソフトウェアを提供する企業向けSaaS提供会社のCEOで、自社が顧客成功のために実践してきた内容を原則としてまとめました。

これがカスタマーサクセスの基本書としてアメリカで高い評価を得て、世界的潮流の原点となりました。以下の章立てで、カスタマーサクセスの理論と実践について体系的に学べます。

サブスクリプションの津波

カスタマーサクセスの緊急性が高まった理由としてサブスクリプションモデルの興隆を挙げ、カスタマーサクセスの重要性を理解するために心理ロイヤルティと行動ロイヤルティについて説明しています。

カスタマーサクセス戦略

カスタマーサクセスの戦略とはどういうものか説明し、従来のビジネスモデルとの比較を行っています。また、カスタマーサクセスはカスタマーサポートとイコールではないとも説明しています。

最高顧客責任者(CCO)の登場

カスタマーサクセス戦略を実践するうえ注目を集めている最高顧客責任者(CCO)について紹介し、その主な役割と責任、未来のCCOを中心とした組織予想図を展開しています。そして顧客の健全性や幸福度を担当するCCOがベンダーにとって欠かせない存在になることを、さまざまな角度から説明しています。

このほかにも、カスタマーサクセスに必要なテクノロジーや未来予想などが述べられており、これからカスタマーサクセスの導入を考えている企業にとって、よい指南書となる内容になっています。

ただ、この本でもっとも重要なのは、以下で紹介するカスタマーサクセスの実践に必要な「10の原則」でしょう。

カスタマーサクセス10の原則とは

「カスタマーサクセス10の原則」は、カスタマーサクセス自体の進め方のみならず、もう少し高い視点からサブスクリプションモデルに取り組む企業が実行すべき原則として紹介されています。それぞれの原則について概要を簡単に説明します。

原則1. 正しい顧客に販売する

自社にとって正しい顧客に製品を販売すべきであると説いています。

理想的な顧客やその特徴を定めたら、そこに顧客獲得プロセスを集中させるべきであり、一時的なコストを払っても、自社の時間とエネルギーを将来的に成長と繁栄が見込める顧客を選ぶべきだということです。

原則2. 顧客とベンダーは何もしなければ離れる

企業の長期的な反省は顧客をつなぎ止めておく力に直結しており、自社の顧客が競合の方を向くのを止めたいのならば、顧客が確実に自社の製品・サービスを利用して成功するようにしなければならないということです。

原則3. 顧客が期待しているのは大成功

顧客を成功に導くには、提供する製品やサービスが優れているだけでは不十分で、顧客に利益を与えられるモノやサービスを販売し、自社のソリューションから大きな見返りが得られるという期待値の設定が重要だということです。

そして

顧客が大成功するのを支援するには、まず何が顧客にとって成功なのかを理解しなければならない

と述べています。

原則4. 絶えずカスタマーヘルスを把握・管理する

カスタマーサクセスの核心はカスタマーヘルスであり、その現状把握と管理こそが必ず取り組まなければならないと述べています。カスタマーヘルスは顧客の経営状態の健全性のことで、製品定着率やマーケティングの参加度、契約金額の増減などで判断するとしています。

原則5. ロイヤルティの構築に、もう個人間の関係はいらない

顧客がロイヤルカスタマーかどうかを決めるのは、顧客との個人的関係から得ている価値ではなく、製品やサービス自体から得られる価値である。

そのため自社の事業に合った指標で顧客をセグメント化し、そのセグメントごとにカバレッジモデル(顧客を支援する頻度やその質)を決めるべきだと述べています。

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原則6. 本当に拡張可能な差別化要因は製品だけ

顧客との関係を維持していくためのマーケティング活動(リテンション)や顧客満足、顧客サポートの調整において重要なのは、よく練られた製品と顧客経験価値(顧客体験)との組み合わせであるとしています。この文脈でカスタマーエクスペリエンス部門が必要だとも述べています。

原則7. タイムトゥバリューの向上にとことん取り組む

SaaSやサブスクリプション型の企業の顧客にとって、提供される製品やサービスに価値を期待する期間はサブスクリプションの長さだと述べています。

契約更新の交渉が開始されるまでに、顧客が提供された製品・サービスにまったく価値を感じていなければ更新の可能性はきわめて低くなってしまいます。

そのため、提供企業はタイムトゥバリューの向上に徹底的に取り組む必要があります。

原則8. 顧客の指標を深く理解する

サブスクリプション型の企業が成功するためには、自社の成長を維持・加速できるかどうかはチャーン(顧客が条件のよいほかの製品に次々と乗り換えること)やリテンションの内容次第であるとしっかりと理解する必要があると述べています。それによって優先的課題に集中でき、自社の成長率も上がります。

原則9. ハードデータの指標でカスタマーサクセスを進める

企業のカスタマーサクセス部門は、実際に成功している企業のあらゆる部門と同様、反復でき、プロセスが定義されており、必要な指標を計測していて、最適化されているのが重要だと説明されています。

事業の成果をもたらす指標をしっかりと定め、計測による継続的な改善が必要です。

原則10. トップダウンかつ全社レベルで取り組む

カスタマーサクセスは単なる一部署や限られた組織内で掲げるものではなく、企業全体に広げなければならない理念だということです。

多くの企業は将来的にカスタマーサクセスがなければ立ち行かなくなる可能性がありますが、取り組みを始めること自体は難しくありません。そのため、まず企業の最上部からトップダウンで取り組む必要があると述べています。

今後、SaaS以外の分野でもカスタマーサクセスの重要度が上がるのは間違いないため、業種にかかわらずほとんどの企業がカスタマーサクセスの実践に力を入れる必要があります。

カスタマーサクセスのポイント

続いて、同著の内容を踏まえ、カスタマーサクセスの成功のポイントについて簡単に解説しておきます。

ROIを徹底的に追求する

ROIはカスタマーサクセスの実践において、顧客が自社の製品を利用して期待効果をどれだけ得たかの測定の重要となります。

そしてこれをしっかりとモニターし、上述の原則4で説明したカスタマーヘルスのひとつの尺度として管理する必要があります。

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顧客が感じる価値を「前倒し」で提供する

原則7で説明したように、顧客が感じる価値を素早く提供し、相手のモチベーションを担保することが重要です。

サブスクリプション製品のLTVは導入中の価値の提供に左右されるため、契約の更新までに確実に顧客が価値を感じるような工夫をしなければなりません。

顧客が感じる価値をなるべく早めに提供し、その後の製品の導入モチベーションを維持するのが重要です。

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適切な支援ツールを活用する

原則9で説明したように、カスタマーサクセスを実行するうえでは、しっかりと部門のプロセスを定義し、必要な指標を計測し、管理する必要があります。

そこで、そのための適切な支援ツールの活用も検討しましょう。以下でカスタマーサクセスの実践に役立つおすすめのサービスを紹介します。

カスタマーサクセスに本格的に取り組もう

書籍「カスタマーサクセス~サブスクリプションの時代に求められる『顧客の成功』10の原則~」の概要について説明するとともに、同著で最も重要な「10の原則」について簡単に解説しました。

カスタマーサクセスの考え方は、主にSaaSの分野で広まってきたものですが、今後はさまざまなビジネス分野で導入・応用がされるのは間違いないでしょう。

同著でも述べられていますが、それに伴って内容が高度化し、最高顧客責任者(CCO)という役職も注目されるようになるはずです。

日本の先進企業の間でも続々と導入が進んでいますから、ぜひこの機会にカスタマーサクセスの基本的な考え方を押さえておきましょう。

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