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ロイヤルカスタマーとは?優良顧客との違い - 育成は指標「NPS」にて

最終更新日時:
記事の情報は2020-12-07時点のものです。
ロイヤルカスタマーとは、ある商品に忠誠心を持ち、継続購入で企業に利益をもたらしつつ競合に流れない顧客を指します。単なる優良顧客との違いや創出・育成の方法を解説します。注目の指標「NPS」にも言及。

ロイヤルカスタマーとは

ロイヤルカスタマーとは、ある企業ブランドや製品・サービスに対して高い忠誠心を持つ顧客のことを指します。少子高齢化による人口減少傾向も相まって、顧客の離脱率や解約率を抑え満足感を高める手法、つまりロイヤルカスタマーを増やすことが主流となりつつあります。

ロイヤルカスタマーは定期購入や継続購入によって、企業の利益に貢献しているでしょう。ロイヤルカスタマーを維持するのにかかるコストは、新規顧客を獲得するのにかかるコストの20%ほどであるとの見解もあります。いわゆるパレートの法則がそれにあたります。

また、ロイヤリティが高まり、ブランドや製品のファンになった顧客の声は、多くのキャッチコピーよりも説得力があります。ロイヤルカスタマーの維持というわずかなコストで、効果の高いマーケティングを行っているのと同じだといえるはずです。

ロイヤルカスタマーと優良顧客は異なる

多大な利益をもたらすロイヤルカスタマーの存在は、多くの企業から重要視され、その維持や育成に多くの工夫と努力が注がれるようになりました。代表的な手法が、CRMなどを活用した顧客の管理と、生涯顧客価値であるLTV(Life Time Value)を重視した、One to Oneマーケティングによるエンゲージメントの向上です。

それらの手法を用いる際に「ロイヤルカスタマー」として定義されやすいのは次の3点をもった顧客です。

  • 繰り返し製品・サービスを購入してくれる
  • 競合他社に流れない
  • 第三者に製品やサービスをすすめてくれる

しかし、LTVを重視したこの育成・維持方法は、本当に真のロイヤルカスタマーを生み出しているといえるのでしょうか。「LTVが高い顧客 = 優良顧客」は、必ずしもロイヤルカスタマーだとは断言できません。

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単なる「優良顧客」は離脱しやすい

ではLTVの高い顧客とは、なにを意味するのでしょうか。あるブランド・製品を使い始めて以来、繰り返し継続してそれを購入し、大きな利益を企業にもたらす「優良顧客」のことです。

LTVの高い顧客はロイヤリティが高い、というのが定説とされているものの、もしかしたらその優良顧客は、次のような理由で製品を使い続けているだけかもしれません。

  • 長期契約などで縛られており、辞めるタイミングを逃している
  • 解約が困難な仕組みになっており、惰性で使い続けている
  • ほかに代替になる商品やサービスが見当たらず、仕方なく使っている

たとえば、携帯電話の契約などはこれらのほとんどに当てはまるといえ、満足して利用している顧客はそれほど多くないかもしれません。

こうした顧客は優良顧客ではあるものの、ほかに魅力的な製品・サービスが登場する、競合他社が魅力的なキャンペーンを打ち出すなどすれば、簡単に離脱してしまいます。

「ロイヤルカスタマー」はLTVと忠誠心が高い

こうした離脱の危険性が高い優良顧客がもたらす利益は、どんなにそれが大きくとも悪い売上ともいえるものです。このような顧客が優良顧客の大部分を占めていれば、離脱された際のインパクトは大きく、企業に与える損失は計り知れないでしょう。

では、真のロイヤルカスタマーとは、どのような顧客のことを指すのでしょうか。

それは、高いLTVを持つ優良顧客として企業に大きな利益をもたらしつつ、ブランドや製品・サービスに「深い愛情と忠誠心」を持つ顧客層であり、そのどちらが欠けてもロイヤルカスタマーとはいえないのです。

ロイヤルカスタマーの判断指標「NPS」

真のロイヤルカスタマーであるかを判断する基準として、優良顧客であるかどうかは、LTVによるセグメント分類で判断できるかもしれません。しかし、企業に対する「深い愛情と忠誠心」はどのように判断したらいいでしょうか。

これを判断する指標として注目されているのが「NPS」です。

NPS(Net Promoter Score)とは

NPSは、Net Promoter Scoreの略称であり、日本語では推奨者の正味比率などと訳されます。このNPSは顧客が企業に対してどの程度の信頼や愛着を感じているかを判断するのに最適な指標であり、多くの企業で採用が進んでいます。

具体的には、ある企業のブランド・製品・サービスを「友人や同僚に勧める可能性を0〜10点で評価してください」という質問に答えてもらうだけです。その結果に対し、9〜10点の顧客を「推奨者」7〜8点の顧客を「中立者」6点以下の顧客を「批判者」として分類して判断するのです。

顧客のロイヤリティを判断するだけであれば、質問に答えてもらうだけで十分です。しかし、通常は「なぜその点数をつけたのか」を同時に答えてもらうようにし、改善に役立てていきます。

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NPSと満足度調査の違い

NPSという指標が注目されるようになった理由に、顧客のロイヤリティを判断する指標として、従来利用されてきた「顧客満足度調査」と違った、より実態に即したロイヤリティの判断が可能だという点が挙げられます。
それは、NPSの質問内容が、顧客に対して「友人や同僚」への責任を感じさせる、重い内容になっているからだと考えられています。

たとえば、満足度調査の場合、満足してはいないが不満がなければ「満足している」ことになるかもしれません。
しかし、満足していると答えた顧客でも、友人や同僚に勧められるかという問いには、よりシビアな評価を下す傾向があり、本来の意味での満足度やロイヤリティを正確に判断できるのです。

このNPSはフレッド・ライクヘルド氏が考案し、アメリカのフォーチュン500の4割近い企業が、なんらかの形で取り入れている指標だといわれています。

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NPSと顧客収益性をもとにセグメント分類

NPSの結果により、顧客の「深い愛情と忠誠心」が計測できたら、これを顧客の収益性 = LTVと組み合わせ、マトリクスを作成してセグメント分類することで、真のロイヤルカスタマーを探し出せます。

下に示したマトリクス図は、横軸をNPSに、縦軸を収益性 = LTVとして作成したものです。

真のロイヤルカスタマーは、このマトリクス図での右上の層であることがわかります。
このように、顧客の特性ごとにセグメント分類することで、それぞれの層に対してどのような施策を行えばいいのか、具体的な方法が浮かび上がってくるのです。

ロイヤルカスタマーの創出・育成方法

このなかでも最重点課題といえるのは、収益性が高いにもかかわらず、愛情と忠誠心に欠ける「離脱候補者層」「ロイヤルカスタマー候補者層」への対策でしょう。

一般的な具体策として、いくつかの方法が考えられます。しかし、上述したようにNPSで「なぜその点数をつけたのか」をもとに、それぞれの層に適切な施策を実行することが重要です。

組織を横断した取り組み

セグメント分類で左上、真ん中上に位置する層には、NPSで判断されるロイヤリティが不足していると考えられます。しかし、NPSが高まらないのはマーケティングや営業だけの責任とはいえません。

たとえば、NPSが低い理由にカスタマーサポートの対応があるかもしれませんし、製品やサービスそのものに理由があるかもしれません。

なぜNPSが低いのか、その理由を分析し、組織を横断して改善に取り組めるような体制づくりを行います。

顧客との接触機会増加とフィードバック

NPSが低い理由は、もしかしたら、カスタマーサポートをはじめとした顧客との接点機会自体が少ないためかもしれません。

顧客の情報収集手段が多様化し、リアルタイム性が重視される現代では、旧来の電話サポートだけでは顧客エンゲージメントが高まらず、フィードバックも得られないでしょう。

多彩なチャネルを活用し、顧客との接点機会を増やすことが重要であり、現代では必須の対応であるといえるでしょう。

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アンバサダーへの取り組み

ロイヤルカスタマーの絶対条件に、第三者へ製品・サービスをおすすめする「エバンジェリスト」としての役割があります。

これを一歩進め、顧客自身が積極的に製品・サービスをアピールできる体制づくり、アンバサダーへ取り組むのも有効です。

アンバサダーは「大使」という意味を持ち、さまざまな企画に参加してもらい、口コミで製品やサービスの良さを広めていく役割を担います。意味合いは違いますが、地方都市のPR大使をタレントが担当するようなものでしょうか。

製品やサービスの内容に応じて、顧客自身が「参加している」という意識を持てるような企画が実行できれば、ロイヤリティ向上に大きく役立つだけでなく、広報活動もスムーズに進むでしょう。

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ロイヤルカスタマー育成には企業全体で取り組む

カスタマーサポートに問い合わせたものの、まったくコンタクトが取れず、つながっても適切な対応が受けられずにガッカリしてしまった、などという経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。同様に、どんなにサポートが洗練されていても、サービス内容や製品自体が満足できないものであれば、ロイヤリティが高まるはずもありません。

多様化が進み、瞬時に情報が手に入る現代では「いいものを作ってさえいれば売れる」は間違いであり、時代に取り残された考えとなりつつあります。「いいものを作る・提供する」は、もはや最低条件であり、それを長く深く愛用してもらうため、顧客とのエンゲージメントを築き、ロイヤリティを高めていかなければならないのです。

これの実現のためには、企業全体が一体となり、顧客ロイヤリティを高めていくよう取り組んでいく必要があるのです。

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