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駐車場賃貸借契約書とは?ひな形付きで記載事項を解説

最終更新日:(記事の情報は現在から112日前のものです)
駐車場賃貸借契約書とは、駐車場を借りたい人が有償で賃貸借契約を締結する際に使う契約書です。 賃貸借契約とは、賃貸人が賃借人に対象物を使用させ、その対価として賃料を受け取る契約です。ただし、車を駐車する場所を借りる契約がすべて駐車場賃貸借契約書というわけではなく、契約状況や目的に応じていくつかの契約形態が存在します。駐車場の契約形態と、一般的な駐車場賃貸借契約書にある契約条項のそれぞれの意味や締結時の注意点について解説します。標準的な駐車場賃貸借契約書テンプレートもダウンロード可能です

駐車場賃貸借契約書とは

駐車場賃貸借契約書とは、駐車場の金銭的な契約条件や駐車場使用のルール、禁止事項や解約の方法などが書かれた書面に、賃貸人と賃借人双方が署名捺印して契約の合意を証明する書類です。もちろん、電子署名での締結もできます。

駐車場賃貸借契約書の種類

車を駐車する契約のなかでも、シチュエーションごとに必要な駐車場賃貸借契約書の種類は異なります。次の4つの契約形態を解説します。

  • 土地を借りて駐車場として使う場合
  • 支柱や壁などで区画を隔てた車庫を借りる場合
  • 車の保管サービスを使う場合
  • 駐車場を借りる場合

土地の賃貸借

駐車場になっている敷地の一部区画を借りるのではなく、駐車場にできそうな土地そのものを賃借する場合には「土地賃貸借契約」を締結します。この場合、使用目的として「駐車場」と契約書に記載します。

駐車場にするために次のような工事・改修を行う場合は、賃貸人の承諾を要する旨および解約時の原状回復についても合意して契約書に記載しておきましょう。

  • 土地表面の舗装
  • 砂利敷き
  • 駐車区画のライン引き
  • 外周のフェンスや車止めブロックの設置

これから駐車場を経営する場合や自由な場所に複数台の駐車をさせるような場合には、更地の状態で貸して賃借人が後から駐車場設備を設置するケースになり、土地賃貸借契約が適しています。

車庫の賃貸借

車庫は、見た目が建物の体裁でも車両を保管する駐車区画の賃貸借と見なすため、駐車場賃貸借契約と同じ扱いになります。

車庫の定義は、車両を停めて保管するための場所に車を取り囲むような屋根や壁やシャッターなどの設備が備わった施設です。

車の保管(寄託)

駐車場として土地や駐車区画を賃貸借するのではなく、たんに車両を預かる場合には民法上の規定にある「寄託契約」を締結する場合があります。寄託契約は、原則として無償で受寄者(預かる側)が寄託者(相手方)のために物を保管する関係ですが、特約で報酬の授受を定めることも可能です。

車の寄託は一時預かり扱いではあるものの、コインパーキングとは異なります。コインパーキングは利用者の駐車スペースを一時的に提供するのみですが、寄託の受寄者は車の保管・管理・返還に関して法的責任を負います。

なお寄託契約は、「車の預かり専門サービス」や「修理工場で作業が終わるまで預ける」という状況で利用される契約形態です。

駐車場使用

駐車場施設の特定の場所に駐車する契約では、賃貸借契約を締結します。個別の駐車場利用ではこの契約形態が最も広く利用されており、1か月単位の「月極駐車場」がこの契約に該当します。

駐車場賃貸借契約書の主な記載事項

駐車場の賃貸借契約では、賃貸条件および駐車場の使用で守るべきルールについて当事者が合意するうえで、欠かせない事項が複数あります。

駐車場賃貸借契約書の8つの主な記載事項について解説します。

  • 専有部分
  • 賃料
  • 敷金
  • 賃貸借期間
  • 禁止事項
  • 賠償責務
  • 免責事項
  • 解約・契約解除

専有部分

専有部分とは賃借人が専用使用できる区画のことで。緊急の場合のようなやむを得ない場合を除き、原則として下記のように指定された区画にのみ駐車が許可されます。

所在地 〇〇県〇〇市〇〇町〇〇番地
名称 〇〇パーキング
区画番号 〇〇番

駐車場賃貸契約の多くは、原則として申告があった特定の1台のみ駐車を許可します。その理由は、接触や放置物などのトラブルにおける責任の所在と連絡先を明らかにでき、転貸(又貸し)や車検切れ違反車の乗り入れも予防できるからです。

そして、契約期間中の賃借人の通知義務として、下記の事項に変更があれば直ちに賃貸人へ通知すべきです。

変更があった際に直ちに賃貸人へ通知すべき項目
住所・勤務先・電話番号車種・車名・車両登録番号

上記の申告に加えて、車検証のコピーや任意損害保険証券のコピー、場合によっては身分証のコピーや収入証明の提出してもらいましょう。

たとえば、契約審査がある賃貸人の場合には免許証のコピーや名刺が必要です。都市部の中心地にあるような高額の駐車場の場合には、支払い能力を判断するために収入証明の提出を義務付けておくとよいでしょう。

賃料

駐車場の賃料は、毎月末までに翌月分を銀行振込や振替で支払うことが多く、振込手数料は原則として賃借人負担になることがほとんどです。その際の振込先は、賃貸人もしくは管理会社名義の銀行口座が指定されます。

賃料の金額は近隣相場に従って決定しますが、金額は募集時期または契約中にもまれに変動することがあります。

敷金

敷金は、賃借人が賃料の支払いができなくなった場合や、賃借人から賃貸人へなんらかの支払いが発生した場合の補填原資として、契約時から賃貸人が無利息で預かります。

敷金には法定された請求根拠がなく、駐車場がある地域の商慣習に従って設定することがほとんどです。なお、駐車場賃貸借契約の解約時点で、賃貸人への金銭支払い義務が残っていれば敷金で精算して残りを返金します。

賃貸借期間

駐車場の賃貸借期間は、締結の時点で数十年の長期に渡って設定されることはありません。民法では、山林以外の土地の賃貸借は5年を超えない(短期賃貸借)とありますが、通常、駐車場の貸借期間は1〜2年に設定されることがほとんどです。

ただし、それより短期間でも解約は可能であり、逆に契約期間を更新して使用を継続できます。

なお、契約期間内に解約を申し出る場合には、1か月〜数か月程度に設定されている解約予告期間をあらかじめ確認しましょう。駐車区画から車両を撤去して使用を即時停止しても、予告期間中の賃料を支払わなければならない場合があります。

禁止事項

駐車場の利用時に、主に賃借人の行動を制限する下記のような内容が禁止事項として記載しましょう。万が一の訴訟に備えて、話し合いの舞台となる管轄裁判所も別の条項で決める必要があります。

  • 契約している専用区画ではない場所に駐車する
  • 車両の駐車以外の目的で使用する
  • 区画を第三者に使用させる・転貸・使用権を譲渡(賃借人の地位を誰かに交代)する
  • 駐車場内に建物その他の工作物を設置または現状に手を加えて変更する
  • 駐車場内での有害行為をする(危険・臭気・騒音・汚損など近隣への迷惑行為)

賠償責務

賃借人および関係者(同乗者や代理人など)が、駐車場や駐車場施設および他の駐車車両などに損害を与えた場合には、自己負担で損害を賠償しなければなりません。

なお、損害を与えた時点において、賃借人の故意か過失かは関係なく、損害を与えたなら賠償すべきとされています。

免責事項

免責事項は、賃貸人や管理会社の責任ではない理由で賃借人の車が破損した、もしくは盗難に遭った場合の対処を決める事項です。免責事項に該当するのは、自然災害による飛来物や盗難、他の車両から受けた接触事故などが該当します。

こういった場合、駐車場の敷地内で起こった事象であっても、賃貸人や管理会社は責任を負わないという規定です。

解約・契約解除

解約や解除については、賃貸人と賃借人の間で揉め事が起きやすいので、必ず規定しておきましょう。揉め事が起こったあとも関係する重要な内容です。

解約

契約当事者は、契約期間中であっても双方から自由に解約を申し入れできます。ただし、解約する場合は解約希望日の1か月〜数か月前(契約ごとに設定された解約予告期間)までに、相手へ書面での通知が必要です。

もしくは、解約予告期間分の賃料を賃貸人へ支払えば、即時解約ができます。

解除

賃借人が、重度の滞納・契約違反行為・反社会的勢力との関与・駐車場施設や他の車両へ損害を与えて補償しないなどがあれば、賃貸人は賃借人へ何の通知もなく即時で駐車場賃貸借契約を解除できます。

明け渡し

期間満了もしくは禁止行為の解除で契約が終了したときは、賃借人はすぐに駐車場を元の状態に戻して車両を搬出し、賃貸人へ契約区画を明け渡さなければなりません。

駐車場賃貸借契約書のひな形(テンプレート)

駐車場賃貸借契約書のひな形としてこちらにテンプレートを用意していますので、駐車場賃貸借契約書を作成する際にはぜひご利用ください。

駐車場賃貸借契約書のテンプレート 業務委託契約書のテンプレート

駐車場賃貸借契約書作成時の注意点

駐車場賃貸借契約書は公的に決められた様式はないため、前述の重要な要素を満たしつつ当事者間で設定すれば問題はありません。

ただし、駐車場賃貸借契約では次の点にも注意しましょう。

賃貸住宅とは異なる貸主側からの解約申し入れ

土地の賃借人の権利を保護し、安定した土地の利用を促す法律として「借地借家法」があります。ただし借地借家法は、借地上に建物を賃借すること、もしくは建物を所有することが目的の土地利用に限られるため、駐車場賃貸借契約には適用されません。

借地借家法下では、貸主側からの解約はかなりの正当な理由がなければ認められず、期間を定めていない契約は法定更新(自動で更新)する場合があるなど、借地人(土地の賃借人)の権利が保護されているのです。

一方で、駐車場賃貸借契約においては貸主側からの自由な解約が認められています。しかし、契約書中に更新条項があるためにいつまでも借り続けられると思っている借主にとって、貸主からの解約申し入れがトラブルになるケースは少なくありません。そのため、双方からの解約予告が認められていることを明記して、契約時には充分に借主へ説明する必要があります。

仲介手数料に宅建業法による上限設定がない

駐車場の賃貸借契約を斡旋した不動産会社には仲介手数料を支払います。

居住用物件の賃貸借契約なら仲介手数料の上限は、宅建業法で双方の契約者からそれぞれ賃料の半月分、もしくは一方から1か月分と決められています。しかし、駐車場賃貸借契約は宅建業法適用外であり、上限がなく自由設定であるため注意が必要です。

駐車場賃貸借契約書に印紙は必要?

駐車場に関する賃貸借契約書および寄託契約書には印紙税がかかりません。ただし、駐車場を使用目的として承諾した土地賃貸借契約書は印紙税の課税対象とされており、紙の契約書を使用する場合には、収入印紙の貼付が必要です。

なお、電子契約の場合は印紙の貼付が不要になるため、Web上で契約書を作成して電子署名や電子捺印およびPDF保管を行う方法もあります。

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