電子契約で印紙税がいらない理由は?不要とする政府の見解
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- 印紙税が不要になる電子契約とは
- 既存の紙を電子化した契約書の取り扱い
- 電子契約で収入印紙が不要となる理由
- 電子契約と印紙税に関する政府の見解
- 電子領収書も収入印紙は不要
- 電子契約導入による印紙税以外のメリット
- コスト削減効果がある
- スピーディーな契約締結と業務効率化が実現する
- セキュリティとコンプライアンスの向上
- 電子契約を導入するうえでの課題
- 電子契約が扱えないケースもある
- 取引先の理解が必要
- 従業員の教育と変化への抵抗
- システム連携と互換性の問題
- ボクシルおすすめ電子契約システム 【Sponsored】
- 印紙税を不要にできる電子契約サービス比較6選
- ドキュサインの電子署名
- Adobe Acrobat Sign
- クラウドサイン
- 電子印鑑GMOサイン
- freeeサイン
- LAWGUE
- 【番外編】電子契約導入代行サービス
- DD-CONNECT
- 電子契約サービスで印紙税を節約し、業務を合理化しよう
- BOXILとは
印紙税が不要になる電子契約とは
従来の商取引では当たり前であった紙の文書による契約書に対し、近年ではPDFの電子文書で締結する「電子契約」のシェアが拡大しています。電子契約であれば、印紙税や保管スペースが不要になり、契約書の郵送費や印刷代もかかりません。テレワーク推進の流れもあり、導入する企業はどんどん増えてきています。
電子契約は、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が普及を進めていることもあり、すでに国内の多くの企業が採用しています。
2023年5月に発行された「JIPDEC IT-Report 2023 Spring」の調査結果によれば、電子契約の国内企業普及率は73.9%になっており、将来的に電子契約サービスの導入を考えている企業もあわせると、87.1%に達することがわかりました。
出典:JIPDEC「IT-Report 2023 Spring」(2024年8月21日閲覧)
既存の紙を電子化した契約書の取り扱い
既存の紙の契約書を電子化する場合、単にスキャンして保存するだけでは法的効力を維持できない可能性があります。そのため、電子帳簿保存法にもとづいた適切な方法で電子化する必要があります。
具体的には、適切なスキャナを使用したり、原本との同一性を確認したうえでタイムスタンプを付与したり、検索機能を確保したりと、さまざまな要件を満たすことが必要です。
また、すでに印紙税を納付した紙の契約書を電子化する場合、納税済みの印紙税は還付されません。
電子化による業務効率の向上は大きいですが、法的リスクを避けるためにも、専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めることが重要です。
電子契約で収入印紙が不要となる理由
電子契約書は印紙税の対象となる課税文書ではないため、収入印紙を貼る必要がありません。これは、印紙税法が「文書」の作成に対して課税するものであり、電子データは「文書」に該当しないためです。
この根拠として、国税庁のホームページにおいても、電子文書である電子契約書は対象にならないことが挙げられています。電子メールに添付したPDFファイルやFAXで送付した場合は、収入印紙が必要ありません。
従来の紙の契約書と電子契約書の主な違いや、電子契約と印紙税の関係性は次のとおりです。
従来の契約書 | 電子契約書 | |
---|---|---|
媒体 | 印刷された紙 | PDFの電子データ |
署名 | 署名、押印 | 電子署名・タイムスタンプ |
収入印紙 | 必要 | 不要 |
受け渡し | 原本の郵送、持参 | インターネットを介した電子データ受け渡し |
保管方法 | 倉庫、書庫などで物理的に原本を保管 | 自社サーバー、外部データセンターでの保管・管理 |
ただし、電子契約書を印刷して使用する場合は、「文書」となり印紙税が課される場合もあるため注意しましょう。
電子契約と印紙税に関する政府の見解
電子契約と印紙税に関する政府の見解は、平成17年3月15日に行われた第162回国会の答弁書でも明確に示されていました。この答弁書では、電子商取引の進展に伴うペーパーレス化と印紙税の関係について、次のような見解が示されています。
まず、政府は電磁的記録(電子データ)により作成されたものについては、印紙税が課税されないことを認めています。これは、印紙税が文書課税であるといった性質上、電子データは課税対象外となるためです。
しかし、政府は電子データを一律に文書と同等に扱うことには慎重な姿勢を示しています。理由として、電子データは一般に改ざんが容易で、改ざんの痕跡も消去しやすいといった特性を挙げています。そのため、現時点では電子データが文書と同等に法律関係の安定化に寄与しているとは考えていないとしている模様です。
一方で、政府はペーパーレス化の進展を認識しており、今後の対応についても言及しています。具体的には、ペーパーレス化の普及状況や技術の進展を注視し、課税の適正化および公平化の観点から、必要に応じて対応を検討するとしています。
この答弁書は2005年のものであり、現在では電子契約の法的有効性が広く認められるようになってきました。しかし、印紙税に関する基本的な考え方は現在も継続されており、電子契約には印紙税が課税されないといった解釈が維持されているといえます。
電子領収書も収入印紙は不要
前述の印紙税額第17号に含まれる領収書ですが、電子取引で発行された電子領収書も「紙の課税文書」ではないため、印紙税はかからず、収入印紙の貼付は不要です。
電子契約導入による印紙税以外のメリット
電子契約の導入は、印紙税の削減以外にも多くのメリットをもたらします。主なメリットは次のとおりです。
コスト削減効果がある
電子契約の導入は、印紙税の削減以外にも大きなコスト削減効果をもたらします。まず、紙や印刷にかかる費用を大幅に削減可能です。大量の契約を扱う企業では、この削減効果は年間で数百万円に及ぶこともあります。
また、契約書の保管にかかるコストも削減可能です。物理的な保管スペースが不要になり、文書管理のための人件費も抑えられます。
さらに、郵送費や宅配便の費用も削減できます。とくに海外との契約では、この削減効果は顕著です。
スピーディーな契約締結と業務効率化が実現する
用紙ベースの従来の契約書では、契約内容・条件が決定した後の書類のやり取りは郵送で行われることが多く、押印の手間も含め、最終的な契約締結までに時間と手間がかかっていました。
電子契約では、契約交渉以外の事務的要素を電子化によって簡略化でき、結果的に契約締結のスピードアップが期待できます。
また、契約書の作成から署名、保管までの一連のプロセスが自動化されることで、人為的ミスも減少し、業務効率が大幅に向上します。
セキュリティとコンプライアンスの向上
電子契約システムは、高度なセキュリティ機能を備えているのが一般的です。暗号化技術やアクセス制御により、機密情報の漏えいリスクを最小限に抑えられます。
また、すべての操作履歴が記録されるため、不正な変更や閲覧も防げます。これは、紙の契約書が紛失や盗難のリスクにさらされるのとは対照的なメリットです。
さらに、電子契約システムは法令遵守の面でも優れています。署名の真正性や契約締結日時を正確に記録できるため、法的争議が生じた際の証拠として活用可能です。
電子契約を導入するうえでの課題
一方、良いことばかりのように思える電子契約にも、課題がまったくないとはいえません。
電子契約が扱えないケースもある
任意後見契約、事業用定期借地権設定契約、建設工事請負契約など、法的に書面での締結が義務付けられている契約も存在します。当然ながら、こうしたケースでは電子契約を利用できません。
現在では、基本契約や秘密保持契約をはじめ、ほとんどの契約で電子契約が認められています。しかし電子的に置き換えたい契約の種類によっては、導入の際に注意が必要です。
取引先の理解が必要
社内で運用する契約関連はともかく、売買契約の相手となる取引先に電子契約の強制はできません。
電子契約を提供するサービスによっては、サービス利用者同士のみが契約できるものもあるため、電子契約を強制することは相手方へのサービス加入を強制することにつながります。
電子契約のメリットを取引先と共有し、活用を理解してもらう努力が必要です。
従業員の教育と変化への抵抗
電子契約システムの導入には、従業員の教育と意識改革が欠かせません。長年にわたり紙の契約に慣れた従業員、とくにベテラン従業員のなかには、新しいシステムへの抵抗感をもつ人もいます。
また、電子署名の法的有効性や、電子契約のプロセスに対する不安を感じる従業員もいるかもしれません。
そのため、包括的な教育プログラムの実施や、段階的な導入プロセスの設計が必要です。さらに、電子契約システムの操作ミスによるリスクを最小限に抑えるため、継続的なトレーニングと支援体制の構築も欠かせません。
システム連携と互換性の問題
電子契約システムをCRMやERP、文書管理システムといった既存の社内システムと連携させることは、効率的な業務フローを実現するうえで重要です。
しかし、異なるベンダーのシステム間での互換性の問題や、データ形式の違いによる統合の困難さが課題となることもあります。
また、電子契約サービスのベンダーが将来的にサービスを終了した場合や、別のサービスに移行する際のマイグレーション要件も考慮する必要があります。
これらの課題に対処するためには、慎重なシステム選定とIT戦略の策定が必要です。
ボクシルおすすめ電子契約システム 【Sponsored】
電子印鑑GMOサイン |
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※GMOグローバルサイン・ホールディングス「電子印鑑GMOサイン」(2024年9月19日閲覧)
印紙税を不要にできる電子契約サービス比較6選
印紙税を不要にしてコスト削減と業務効率化を実現する、電子契約サービスのおすすめを厳選して比較紹介します。
ドキュサインの電子署名 - ドキュサイン・ジャパン株式会社
- 契約や合意にかかわる時間やコストを削減
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ドキュサインの電子署名は、世界180か国以上・100万社以上※で利用されている電子署名サービスです。申請や署名捺印を電子化し、契約や合意にかかる時間やコストを削減します。世界基準の厳しいセキュリティ基準を満たし、44言語の電子署名を利用できる点も強みです。
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※出典:ドキュサイン「Docusign | 世界No.1の電子署名&インテリジェント契約管理システム(IAM)」(2024年8月21日閲覧)
Adobe Acrobat Sign - アドビ株式会社
- Microsoft推奨の電⼦サインソリューション
- 契約締結までの時間とコストを大幅削減
- さまざまなソリューションと連携可能
Adobe Acrobat Signは、世界中の企業に幅広く利用されている電子契約システムです。契約書PDFの送信や署名の取得、トラック、ファイリングをデジタル化します。パソコンやモバイルデバイスがあれば、時間や場所を問わずに契約や承認作業が可能です。
Adobe Acrobat Signの電子サインは、電子署名法における「本人性の確認」と「非改ざん性の確保」の法的要件を満たしています。本人認証についてはメールアドレスの認証に加え、ワンタイムパスコードによる2段階認証にも対応しているので、安心して利用可能です。
また、Microsoft 365やSalesforce、kintoneをはじめとする、さまざまなシステムとの連携機能を標準搭載しています。
- 導入社数250万社以上※
- 契約締結をスピードアップ
- 契約書を含めた文書がクラウドで一元管理
クラウドサインは、紙で進めてきた契約作業を、わずか数分間で完結させるクラウドベースの電子契約サービスです。
締結頻度の高いNDA(秘密保持契約書)のような契約書や、毎月発生する取引先との受発注手続きを簡略化し、相手側がサービスに加入しなくとも契約締結ができます。雇用契約書や身元保証書といった入社書類も社内文書として電子化でき、管理を容易なものにします。
また、月間3件までの送信は無料で利用できるフリープランも用意されており、気軽に導入が可能です。クラウドサインの導入により、契約書の郵送にかかっていた事務手続きやコストの低減が期待できます。
※出典:弁護士ドットコム「クラウドサイン | 国内シェアNo.1の電子契約サービス」(2024年8月21日閲覧)
クラウドサインの導入事例
クラウドサインの導入事例をまとめました。気になる会社の導入事例を無料でダウンロードしていただけます。
パーソルキャリア株式会社 | 株式会社メルカリ | ラクスル株式会社 |
---|---|---|
契約締結のリードタイムを圧縮することで 機会損失を防いでいます。 | 紙だとできない「一括処理」がクラウド化により実現。 70 倍速の効率化です! | クラウドサインで 「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」 |
電子印鑑GMOサイン - GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
- 350万社以上※1の導入実績
- 電子署名と電子サインを併用した契約締結
- 電子帳簿保存法に標準対応
電子印鑑GMOサインは、350万社以上の導入実績を誇る、電子署名と電子サインを併用した契約締結ができる電子契約システムです。累計2,000万件以上※2の送信数を誇り、政府機関や大手企業でも利用されている認証局のGlobalSignと直接連携しています。
電子署名と電子サインを併用した契約締結もできるので、自社は電子署名で法適合性や署名権限を限定しつつ、相手方は電子サインで簡単に利用可能です。
税法上で要求される検索機能を標準で実装しており、締結済みの電子契約を紙に印刷することなく直接保存できます。月間5件まで無料で送信できるお試しフリープランも提供しており、導入のハードルが低いのも特徴です。
※1,2 出典:GMOグローバルサイン・ホールディングス「電子契約なら電子印鑑GMOサイン|導入企業数No.1の電子契約サービス」(2024年8月21日閲覧)
- アカウント課金型、定額で使いやすい
- 法務のやり取りもワークフロー機能で可視化
- タイムスタンプで安心のセキュリティ体制
freeeサインは、契約書の作成からレビュー、締結、管理までクラウド上で行える弁護士監修の電子契約サービスです。締結した契約書はクラウド上に保管されます。
レビューを含め、複雑な法務とのやり取りも可視化し一元管理が可能です。申し込み書をはじめ相手方の記入が必要な書面にも対応、タイムスタンプ機能で改ざんも防げます。
料金は月額固定で、契約締結数や送信数に制限はありません。また導入後も、ヘルプデスクやユーザーコミュニティといったサポートを受けられます。
- 法務文書の作成を効率化するエディター
- LAWGUE上で直接コメントや編集が可能
- クラウドサインとの連携で契約締結までを完結
LAWGUEは、法務・コンプライアンス分野の文書作成やレビューをスムーズに進められるクラウドサービスです。編集作業やコメントはLAWGUE上にて行え、Wordやメールでのやりとりによる工数を削減します。
クラウドサインとの連携をすれば、契約書の作成から契約締結まで、1つのツールで完結できます。
【番外編】電子契約導入代行サービス
- 電子帳簿保存法や電子署名法の法改正対応をアドバイス
- 丁寧なヒアリングですぐに運用できる環境を設定
- 専任のコンサルタントが導入・運用をサポート
DD-CONNECTは、電子契約サービスの導入から運用までをサポートする、電子契約の導入代行サービスです。導入後の運用について説明し、電子契約サービス導入時の不安を解消します。
準備や設定など運営維持のために必要な煩わしい業務を代行してくれるため、自社にあった環境で電子契約サービスの運用を開始可能です。契約業務をすべてクラウド上で行うため、契約業務をペーパーレス化し、コスト削減も実現できます。
電子契約サービスで印紙税を節約し、業務を合理化しよう
紙の契約書を利用していた従来の契約締結は、取引金額が高額になるほど高額な印紙税の支払いが必要になります。郵送にかかるコストや契約書作成に必要な人的リソースも無視できないものでした。
電子契約サービスを導入すれば、印紙税や輸送費、保管スペースの削減により、コストの大幅なカットが期待できます。電子契約は、人的・金銭的コストを削減し、契約締結までを迅速に行える画期的なシステムといえます。
大幅なコスト削減と業務効率化を実現し、商取引開始までのリードタイムも最小化する電子契約は、変化の激しい現在の市場経済にマッチした仕組みです。ビジネスの形態によっては電子契約の導入は難しい場合もありますが、契約書の電子化メリットは非常に大きいので、導入を検討してみましょう。
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電子契約システムに関してはこちらの記事で比較して紹介しているので、あわせて参考にしてください。
BOXILとは
BOXIL(ボクシル)は企業のDXを支援する法人向けプラットフォームです。SaaS比較サイト「BOXIL SaaS」、ビジネスメディア「BOXIL Magazine」、YouTubeチャンネル「BOXIL CHANNEL」、Q&Aサイト「BOXIL SaaS質問箱」を通じて、ビジネスに役立つ情報を発信しています。
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