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割印とは?契印との違いや位置と押し方・使える印鑑・契約書としての法的効力【Q&A集】

最終更新日:(記事の情報は現在から210日前のものです)
契約書に押す「割印(割り印)」の意味、間違えやすい「契印」との違いや位置(場所)と押し方、目的、契約上の正しいマナーを解説していきます。また、よくある質問やQ&A集を通じて、契約書の法的効力に割印・契印が関係するのかも紹介します。

契約書に押す「割印(わりいん)」の意味、目的、契約上正しいマナーや、間違われやすい「契印(けいいん)」との違いなどをわかりやすく解説します。これを読んで自信を持って契約書を作成しましょう!

大切な契約書の作成業務、正しい知識をつけて作成してください。

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割印とは

割印(わりいん)とは、複数ある書類にまたがった位置(場所)に押印することで、1つの印影がそれぞれの文書に割られて押されている押印方法のことです。書類が2部以上になる場合に、同一のものまたは関連する書類であることを証明するために使用します。

たとえば、業務委託契約書を作成し、委託者と受託者で1部ずつ契約書を持つ場合、2部にまたがって割印をします。

画像:ボクシル編集部にて作成

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割印で回避できる契約書のトラブル

民法では、契約は当事者の意思表示の合致によって成立すると規定されています。つまり、書面を作成しなくても口約束だけで契約は成立します。しかし、口頭の契約では後々に「言った言わない」のトラブルになる可能性があるため、その内容を紙に記載して記録し証明をする意味合いで「契約書」を作成する必要があるわけです。

割印は、契約を結んだ後にどちらかが、あるいは両方が都合のよいように内容を改ざんしてしまうリスクを回避してくれます。

つまり割印は、双方の持っている契約書が互いに合意した段階で作成した内容から変わっていないこと、互いに持っている契約書が同一のものであることを証明するためのものです。

割印の法的効力は?

「契約に割印を押さなければならない」とは法律では定められていません。したがって、割印がなくても契約の効力は発生します。

ただし、割印された文書が裁判で証拠として提出された場合、その真正性を示す一つの手段としては有効であるといえるでしょう。

しかしながら、繰り返しになりますが、割印がないからといって契約の無効を訴えることは認められません。

次の記事では、契約書に割印がなかったらどうなるのかについて解説しています。

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割印を押す正しい位置

割印の押し方と位置には、法律で定められたものはありません。とはいえ、通常のビジネスマナーとして正しい押し方を覚えておきましょう。

2部の場合
2部ある契約書を、縦または横に少しずらした形で重ね、重ね合わせた部分をまたぐように、両方に押すことが通常です。つまり、片方には印影の半分、もう片方には残りの半分が押してある状態です。

3部の場合
3者で結ぶ契約書の場合は、3通の契約書を少しずつずらして重ね、3通すべてに印影がまたがる位置に押すことが必要です。

画像引用:ボクシル編集部にて作成

割印と契印(けいいん)の違い

契印とは契約書の差し替えや抜き取りを防ぐもの

割印も契印も契約書に改ざんがないことを証明する印鑑ですが、用途が違います。

契約書が1枚なら問題はありませんが、2枚以上の場合に途中のページを差し替えや抜き取りして、当初の契約内容とは違ったものにされてしまう可能性があります。しかし最終ページには押印があるので、どちらが正しいのかはわかりません。

そういうことを避けるために、契約書が複数ページになった場合に、ページの継ぎ目ごとに押印していくものを契印といいます。

契印と割印の違いは「証明する内容」の違い

つまり、割印は複数の契約書が同一であることを証明するための押印で、契印は1つの契約書の内容が改ざんされていないことを証明するための押印です。

契印が1か所だけでいい場合

画像:ボクシル編集部にて作成

しかし、何十ページにも及ぶ契約書になった場合に、すべてのページの継ぎ目に契印を押していくのは非常に手間です。

それを避けるためには、ホチキスで綴じた契約書の継ぎ目の上から製本テープを貼り、容易にページが抜けないように袋とじ製本し、裏表紙と製本テープをまたいだ位置の1か所にだけ契印を押す方法があります。これでも、契約書の差し替えがないことを証明できるので、契印として成立します。

契約書を袋とじ製本する方法については、次の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

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契印に使えるのはどの印鑑か

契印には、契約書を取り交わした際に使用する契約印を利用します。契約者双方の押印が必要となります。

割印・契印以外の押印

割印、契印以外のビジネスで使われる押印について解説します。

契約印

契約印とは、契約者が文書の内容に同意し確認したことを示すために契約書に押される押印です。契約印は契約書の公式な承認の印として機能し、契約の正当性を強化させる役割を果たします。

契約印は、契約書の署名の後ろ、もしくは署名にかかるように押されることが一般的です。

消印

収入印紙の貼付が必要な書類を作成する際に、書類と収入印紙にまたがって割印することを印紙税法で消印と呼びます。消印を押すことによって印紙の再使用を防ぎます。

収入印紙は貼り付けただけでは納税したことにならず、消印を押すことが印紙税法で定められています。消印を忘れると、収入印紙と同額の過怠税が課せられるケースもあるので注意してください。

訂正印

訂正印とは、書類の一部を訂正する際に押印することです。訂正箇所に印鑑を押すことによって、本人が文書の訂正を行って他者が改ざんしたものでないことを証明します。

訂正箇所を二重線で消してその上に正しい文字を記入し、訂正箇所と訂正内容の近くに訂正印を押印します。訂正印の横に日付を記入すると、改ざん防止に役立つでしょう。

訂正印を押す際は、契約書に押印した契約印を用いるのが一般的です。

捨印(すていん)

捨印とは文書内容に訂正があった場合に備えて、前もって訂正印にする印鑑を書類の欄外に押印することを指します。捨印の隣に文書内の訂正内容を記述することで、訂正印に変わるため、後日訂正が必要になった場合でも、相手方に押印してもらう必要がなくなるので手間が省けます。

しかし捨印を押すことは、知らない間に契約書を書き換えられてしまうリスクがあるので注意が必要です。このため捨印の使用は、誤字脱字のような軽微な訂正のみに有効で、契約内容の重要な事項の訂正には使用できないと一般的に理解されています。

捨印は取引相手との信頼関係が築けていない場合は、使用を控えたほうが賢明です。契約書に訂正があったときには都度、訂正印を押印することをおすすめします。

止印(とめいん)

止印とは、契約書の余白部分に後日、内容が書き足されないように文書の末尾に押印することを指します。契約書であっても両当事者の印鑑は必要なく、書類作成者が代表して押印すれば問題ありません。印鑑にかえて、文末に「以下余白」と書いて止印と同様の効力を発生させる場合もあります。

割印と印鑑に決まりはあるか

画像引用:ボクシル編集部にて作成

まずこの説明の前に、実印、認印、三文判といった印鑑の種類について定義を説明しておきます。

実印とは

法人の場合は本店所在地を管轄する法務局で、個人の場合は住民登録をしている市区町村の役所で、印影を登録した印鑑のことです。

なんらかの書類を作成し印鑑を押した場合、その印鑑に対する印鑑証明書を発行して、本人が確認して押したものであると法的に証明できる印鑑ともいえます。

実印の印鑑には、法律による明確な規定はありません。しかし、実印は重要な契約や公的な手続きに使用されるため、耐久性があり偽造を難しくする印章や高品質な材質が選ばれます。一般的には黒水牛、象牙、チタンなどが用いられることが多いです。

法人の実印である代表者印には、1cm以上3cm以内の正方形に収まるサイズという規定があります。実印は、ビジネスマナーや相手に与える信頼感を考慮して選んだほうがよいでしょう。

認印とは

認印とは印鑑登録をしていない普段使いの印鑑です。印鑑証明書が発行されないので、本当に本人が押したのかどうかは証明できません。しかし契約書に押した場合は証明ができないだけで、契約書の法的な効力は発生します。

三文判とは

三文判とは、100円ショップや文房具店で手に入る、大量生産されている既製品の印鑑のことです。認印としても実印や銀行印としても使用できます。

割印に使えるのはどの印鑑か

割印は契約書に押した契約印と同じ印鑑を使用することが一般的です。また、割印は実印である必要はなく、認印でも契約の効力には影響はありません。

【Q&A】割印に関するよくある質問

割印に関する「よくある質問」について回答します。

Q1. 割印は実印ではなく認印でも大丈夫か

割印は、実印でも認印であろうと問題ありません。また、契約書の署名に使用した契約印と同じでなくても問題ありません。

Q2. 契約書に割印を忘れたら

契約書に割印をするのを忘れても、契約印や署名があれば契約書の法的効力に影響はありません。割印は単純に「双方が持っている契約書が同一のものである」ことを証明するだけの効力のため、契約そのものの法的な効力には影響しません。

あとで割印を押すのも可能ですが、契約書に変更がないか再度確認を行ったうえで割印を行いましょう。

Q3. 覚書に割印は必要か

覚書とは、当事者同士が約束や合意した内容を忘れないようにまとめた書面です。契約書を補完する役割を持つ文書として用いられることが多いでしょう。

契約書と同様に、割印それ自体に法的効力はないため、覚書にも割印は必須ではありません。

覚書に割印を押すかどうかは、当事者の合意によって決まります。改ざんや紛失のリスクが低い場合は、押印は不要です。重要な内容を記載する場合や、証拠としての効力を高めたい場合は、割印をすることをおすすめします。

Q4. 領収書に割印は必要か

領収書とその控えの切り取りされる位置に割印をしますが、これは必須ではありません。

領収書に収入印紙を貼る場合には、収入印紙に重ねて割印(消印)を押す必要があります。収入印紙に消印を忘れた場合、印紙税法により収入印紙と同額の過怠税が課せられるので、気をつけましょう。

Q5. 訂正印と捨印の違いは?押し方も教えてほしい

訂正印とは、その名のとおり契約書の書面を訂正する場合に押す印鑑です。押し方は、訂正あるいは削除の部分を二重線で消し、その上部に正しい文言を記入します。そしてページ上段に「○行目、□字削除、▽字加入」というように記載し、その横または下に契約印と同じ印鑑を押します。

これに対して、捨印とは契約書内に訂正が生じることを前提に、文書の欄外にあらかじめ押しておく印鑑のことです。つまり事前に押す訂正印です。

捨印が押してあると、あとから契約内容を訂正できます。それでも問題がない内容、問題がない契約相手以外には、捨印は押さないほうがよいでしょう。

Q6. 契約書の割印を失敗してしまったらどうしたらいいか

たとえば、割印を押したときに、片方の契約書の印影が印鑑の端しか写らなかった場合でも、割印としては問題ありません。

しかし後日、裁判になった際に、割印の正しさの証明をしなければいけない可能性はあります。ただし、それを避けるために、失敗した割印を二重線で消して訂正印を押すのはやめましょう。

失敗した割印はそのままにして、その隣に再度、正しく割印をすれば問題ありません。

Q7. きれいな割印の押し方を教えてほしい

どの押印でもそうですが、印鑑マットを活用することにより、きれいな押印が可能です。とくに割印の場合は、マットがやわらかいため割印の際の紙の厚みによる段差を和らげる効果が期待できるので、下になった紙にもきれいな印影がつけられます。

また、分厚い契約書の場合は、紙の段差のため、割印の難易度が高くなります。この場合は契約書を無理に重ねずに契約書の1ページ目だけを開いて、重ね合わせて押印することによってきれいな印影がつけられるでしょう。

Q8. 割印を押す順番や位置は

契約書には、甲乙丙といった契約当事者が記載されていますが、割印に関して甲乙丙を順番に押印しなければならないといった規定は存在しません。順不同で割印を押しても割印として有効です。

また、通常は契約書の上部に押印するのが一般的ですが、左右の位置に割印しても有効です。

ただし、契約書の上部に文章や装飾があって押印が見えにくくなるといった、特殊な事情がない限り上部に割印したほうが無難かもしれません。また押印の順番についても甲乙丙の順番で押印したほうが無難ですし、契約相手によっては順番を決めているケースもあるので、気になる場合は取引先企業に問い合わせましょう。

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電子契約を活用するメリット

契約書の真正性を証明するために割印は有効ですが、印鑑自体を偽造されるリスクがあるかもしれませんし、契約書類の訂正にも手間がかかります。

こういった理由から近年は紙の契約書ではなく、電子契約書を活用して契約を締結しているケースが増えています。電子契約を活用することにより、従来の紙の契約と比較すると契約の真実性を証明しやすくなるのはもちろんスピードアップ、コスト削減といった効果も期待できるでしょう。

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