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契約書の割印とは?押し方や位置・印鑑・契印との違いから法的意味まで

最終更新日:(記事の情報は現在から114日前のものです)
企業間取引の契約書で押される割印ですが、押し方や位置、使う印鑑についてご存じでしょうか。契約書の割印の法的意味や契印との違いについてわかりやすく解説します。 テレワークやDXを推進できる電子契約システムの導入も検討してみてください。

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契約書の割印とは

契約書の割印とは、同じ契約書が2部以上存在する場合に、それぞれの契約書に契約者全員の印影がまたがるように押印することです。

割印は、複数人で契約を締結して契約書を保管する場合に、契約書の同一性改ざんがされていないことを証明するために使用されます。割印を押した契約書の印影を照らし合わせると、契約書が同一のものであることがわかる仕組みです。

契約書が複数ページの場合は、ページをめくって紙1枚にしてから重ね合わせ、押印します。

割印のメリットとデメリット

割印にはいくつかのメリットがあります。第一に、すべての関係者が同一の文書に署名していることを証明できるため、契約の信頼性が高まることです。第二に、文書の改ざんを防ぐための物理的な証拠が提供されます。また、割印は契約の正式な締結を公に示す象徴的な行為ともなりうるでしょう。

しかし、割印にはデメリットも存在します。割印をするプロセスに多くの関係者が関与する場合、時間を要することがあるでしょう。また、印鑑が不鮮明または誤って配置された場合、文書の正当性に疑問を投げかけることがあります。電子署名の普及により割印の必要性は徐々に低下しており、デジタル化されたプロセスに置き換えられつつあるのが現状です。

割印の実用例

実際のビジネスシーンでの割印の使用例をいくつか紹介します。

不動産取引では、売買契約書において買い手と売り手の双方が割印を行うことが一般的です。これにより、双方が同意した契約内容に変更がなされていないことを保証します。

また、国際的な商取引では、異なる法域間での契約書の認証を強化する目的で割印を用いることがあります。たとえば、輸出入取引での商品の出荷や受領を伴う契約では、関係各社が契約書に割印をすることで、契約内容に全員が同意していることの証明となるでしょう。

英語・英文の契約書は割印を使う?

英語・英文で書かれた契約書は、基本的に割印を使いません。なぜならそもそも海外では印鑑を使う文化がなく、契約書に捺印することもないからです。

英語・英文の契約書が2部以上ある場合は、契約書のすべてのページにサインを行うことで、改ざんの防止を行っています。このときはフルネームよりも「SH」「YK」など名前と性の頭文字を書くことがほとんどです。

割印とほかの押印の違い

割印に類似するものとして、契印や消印、捨印なども存在します。そこで次にそれぞれの特徴や割印との違いについて紹介します。

契印

契印(けいいん)とは、不動産の賃貸契約書でおなじみの、各ページが綴じられているすべての部分に押される印鑑です。契印は割印と同様に印影が書類で分割されるため、一般では割印と呼ばれることもありますが、厳密には割印と区別されています。

契印は、1通の契約書が複数ページにわたる場合に、後からページの追加・削除・差し替えなどが行われるのを防ぐために押印されるものです。契約書のすべてのページを見開きにして、左右のページにかかるよう綴じ目の部分に押します。

製本(袋とじ)された契約書の契印

画像:ボクシル編集部にて作成

企業の契約書では、すべてのページに契印を押印する手間が減るように、製本(袋とじ)された契約書に契印されることがよくあります。紙や製本テープを使って契約書を製本することで、ページが後から差し替えられないようにします。

製本された契約書の表紙か裏表紙のどちらか一方に、袋とじ部分や製本テープにかかるように契印を押印するだけでかまいません。

消印

消印(けしいん)とは、収入印紙を添付する場合に、印紙と契約書にまたがるように押印される印鑑のことです。契約書に使われているほか、郵便物の切手と用紙にまたがって押印される日付印も消印の1つです。

それぞれ収入印紙や切手などが使用済みであることを示す目的で押され、再利用を防いでいます。一方で割印は同一性を示すためのものであるため、そもそもの目的が大きな違いです。

訂正印

訂正印(ていせいいん)は、文書上の誤りを正式に訂正する際に使用される特別な印鑑です。文書や契約書に記載された情報に誤りがある場合、訂正するために訂正印が必要となります。訂正印は、修正された部分が正当であることを証明し、文書の信頼性を保証する重要な役割を果たします。

誤った情報を修正する際、一般的には誤りを線で消し、正しい情報を上書きしましょう。そして、訂正箇所の隣または上に訂正印を押します。これにより、訂正が公式に認められ、文書の信頼性が維持されます。

訂正印は、公的文書や法的文書での誤りを正す際にとても重要です。この印鑑によって、文書の正確性が保証され、第三者による不正な変更から文書を保護します。

捨印

捨印(すていん)は、文書や書類が無効であることを示すために使用される印鑑です。この印鑑は、書類が正式ではない、あるいは使用する価値がないことを示す際に押されます。たとえば、下書きや仮の文書、または誤って印刷された文書などに捨印を使うことが多いです。捨印が押された文書は、公的または法的な効力がなくなることを明示しています。

捨印には間違った情報や無効な書類が流通するのを防ぐ目的もあります。これにより、文書が正式なものではないことを一目で識別でき、不要な混乱や誤解を避けられるでしょう。

割印の位置・押し方

契約書の割印は、日本の商取引上の慣習であり、甲乙丙の順番や書類の上下の位置などが法令で規定されているわけではありません。ただし割印の位置や押し方は、ビジネス上のマナーや信頼といった観点からはないがしろにできません。

画像引用:ボクシル編集部にて作成

契約書の割印は、それぞれの契約書の上部に、書類を重ねた状態で縦と横に少しずらして、印影が重ねた部分にまたがるように押します。2名以上の場合は全員分の押印が必要です。

2部ある契約書では、片方には印影の半分、もう片方には残りの半分が押してある状態になります。3部ある契約書の場合は、各契約書を少しずつずらして重ねて、すべての書類に印影がまたがるように押印します。

画像引用:ボクシル編集部にて作成

部数が多く印鑑の長さが足りない場合は、1枚目と2枚目、2枚目と3枚目、と2か所に割印を押すことも可能です。契約書の順番は1番上に原本を置き、下に写しを並べていきましょう。

領収書の割印の位置・押し方

領収書に割印を押す場合は、領収書と控えの間にある切り取り線をまたがる形で押します。これにより、双方で金額の記録が残せ、後日手違いが発覚した場合でも、切り離された割印を照らし合わせることで改ざんが防げます。

割印をきれいに押すためのコツ

正式な書類に押印する割印は、きれいに見せるためにいくつかの重要なポイントを心がける必要があります。割印を正確に、そして美しく押すためのコツを紹介します。

印鑑マットを使う

印鑑マットや専用の下敷きを使用することで、印鑑の接触面が均一になり、はっきりとした印影を得られます。とくに、複数の紙を重ねた場合や不均一な面に押す場合に有効です。

捺印面の高さを揃える

書類を重ねて押印する場合、すべてのページの端が揃っていることを確認してください。これにより、印影が各ページに均等に現れ、割印が正しく行われます。

均一に朱肉をつける

印鑑に朱肉をつける際は、均等に行いましょう。朱肉が多すぎるとぼやけた印影に、少なすぎるとはっきりとした印影が得られません。一定の量を守ることが重要です。

文書をしっかりと押さえる

割印を押す際には、文書がずれないようにしっかりと押さえ、印鑑を垂直に保ちながら力を均等に加えてください。そして、印鑑を持ち上げるときは、紙面に対して垂直かつ直線的に動かすことで、ずれを防ぎます。

印鑑を適切に保管する

使用後の印鑑は、布で優しく拭き取り、埃や湿気のない場所に保管してください。これにより、印鑑が清潔に保たれ、次回もきれいな印影を得られます。

割印がうまくできなかった場合の訂正方法

契約書をまたげなかった、といった失敗時は、二重線は引かず別の場所に押し直してください。かすれできれいに押印できなかった場合、同じ部分に重ねて押印すると陰影がずれ、割印を行う意味がなくなってしまうため注意しましょう。

また、かすれが出たとしても、契約書にきちんとまたがっていれば割印の効果に影響はないため、この場合訂正する必要はないでしょう。

収入印紙の割印はどちらが押すべき?

法律上ではどちらか片方の割印が押されていれば問題ないとされています。これはこの場合の割印が、再利用の防止を目的としているからです。しかし契約者双方の押印が慣例であることも多いため、相手や場合に応じて臨機応変に行いましょう。

契約書の割印の印鑑

契約書の割印の印鑑についても、法律上の規定はありません。割印の印鑑は、実印でも角印でも認印でもかまいません。契約書の署名・押印に使ったものとは違う印鑑でも使用可能です。

法人向けの割印専用でつくられた縦長サイズ印鑑も市販されており、とくに3部以上の契約書に割印しやすくなり便利です。

割印に適した印鑑とは

割印専用に縦長サイズの印鑑を購入する場合は、法人名もしくは社名を入れるのが一般的です。末尾に「~之割印」「~契約書之割印」などの文言を入れて通常の印鑑と区別する場合もあります。サイズは主に次の3つのタイプにわかれます。

  • 12×30mm
  • 13.5×33mm
  • 15×36mm

サイズの選び方は、刻印する文字数で考えるのがおすすめです。文字数が少ない場合は小さいものを、文字数が多い場合は大きなものを選びましょう。

書体は「篆書体(てんしょたい)」と「古印体(こいんたい)」の2種類があります。篆書体は象形文字がもとに作られたため文字が読みにくく、古印体は通常の文字とほぼ変わりがないため、読みやすいのが特徴です。

ただし、割印に読みやすさはあまり関係がなく、篆書体は重厚かつ風格のある陰影になるため、割印にするならば篆書体がおすすめです。

契約書の契印の印鑑

契約書の契印の印鑑は、一般的に署名・押印と同一の印鑑を使用します。

契印の印鑑は、実印や角印、認印などどれでもかまいません。ただ、法人の契約書の場合は実印である代表印で押印されることが多いでしょう。

経済産業省・内閣府・法務省の「押印に関するQ&A」でも、「印影と作成名義人の印章が一致することの立証は、実印である場合には印鑑証明書を得ることにより一定程度容易である」と記載されています。

契約書の割印における法的意味と必要性

契約書の押印自体が、特段の定めがある場合を除き、契約上必要な要件とはされていません。よって、契約書に割印や押印をしなくても、契約の効力に影響は生じません。

契約書の押印の法的効力については、テレワークを推進している経済産業省が、内閣府・法務省と連名で公開している「押印に関するQ&A」が役に立ちます。

この「押印に関するQ&A」では、契約書に本人の押印があれば、文書の真正が裁判上争いとなった場合に、推定効として証明の負担が軽減されると記されています。一方で、民訴法では実質的証拠力についての規定はないとも記されているのです。

電子契約書の割印・契印

電子契約では、電子化した契約書を作成、書き換えができないファイル形式で出力し、メールやクラウドサービスを利用して相手と契約を結びます。

このように、電子化した文書のみでやり取りをして契約を行う電子契約では、書類の真正と契約者の本人性が電子的に担保されるため、割印や契印は不要です。また電子契約は、電子署名や電子印鑑がなくても成立するとみなされています。

電子契約システムを導入すれば、複数の契約書に収入印紙を貼る必要がなくなり、印紙税が節約できます。収入印紙にまたがって押印する消印の手間も不要になり、企業にとっては大きなメリットです。

電子署名や電子印鑑について詳しく知りたい方は、ぜひ次の記事を参考にしてください。

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電子契約を活用してDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しよう

契約書の押印は、契約の法的有効性とは関係ありません。企業や官公庁はハンコ文化の慣習からの解放が求められています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進したい経済産業省やデジタル庁では、民間企業のクラウド型電子署名システムや電子契約システムの導入を推奨しています。

企業は、柔軟な働き方、ペーパーレスやDX推進のために、押印不要の電子契約を検討してみましょう。


契約書の正しい書き方についてはこちらをご覧ください。

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