評価額2兆円超のWeWorkのビジネスモデルとは
WeWork(ウィーワーク)は世界15か国でシェアオフィス事業を展開し、アメリカをはじめ中国、フランス、ドイツなどの主要都市でコワーキングスペースを提供している。2017年現在、のべ会員数は約17万9000人とされる。
評価額は200億ドル(2兆2,000億円相当)に上るとされ、いわゆるユニコーン企業として世界的に注目を集めている。
シェアオフィス/コワーキングスペースとの違いは?
今後もさらなる国際展開が期待されるWeWorkだが、他社のシェアオフィスやコワーキングスペースと比べてビジネスモデルがどのように違うのかわかりにくい。
そのため「ただのシェアオフィスが、なぜそんなに評価されるの?」という疑問の声も上がっている。事実、中国版WeWorkとも言われるUR Workが10億ドルの評価にとどまるなど、不動産テックベンチャーのなかでもWeWorkの評価は破格値である。
のちに詳しく解説するが、WeWork高評価の要因はこのビジネスモデルにあると言っても過言ではない。シェアオフィス事業を介して、各都市に「経済圏」を作り上げるというWeWorkの手法を詳しく見ていこう。
WeWorkのビジネスモデルが持つ「3つの強み」
WeWork(ウィーワーク)の強みの一つは「クールなオフィス」である。いわゆる「インスタ映え」するような格好の良い空間が若い世代を惹きつける。仕事をするときには集中し、休憩するときにはリラックスできる、従来の職場環境には無かった魅力がそこにはある。
もう一つの強みとして注目したいのが、新たな拠点を設ける際に最適なオフィス環境を容易に複製できる「技術力」だ。
建築デザイン企業Case社を買収したWeWorkは、「ビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)」と呼ばれる設計・施工手法を取り入れた。設計図を用いずにオフィス設計ができるため、まるでアプリ開発のように簡単にオフィスが立ち上げられるという。
WeWorkの取り組みは、ソフト面でもユニークだ。コミュニティマネージャーを各拠点に設置し、メンバー同士の交流がさかんになるよう支援する役割を担う。シェアオフィスの主要な利用者でもあるフリーランスが孤独にならず、加えて、福利厚生を享受できる仕組みが人気を集めている。
クールなシェアオフィスで働きたがる世代がいるのは、フリーランスだけではなく、企業勤めのビジネスパーソンも同じだ。ベンチャー企業や中小企業がWeWorkでオフィスを借り、要員の数に合わせて柔軟に拠点を増やせるようになった。
さらに、IBMやマイクロソフトといった大企業もWeWorkの顧客となった。最近は、WeWorkの売り上げのうち、約30%は法人から来ているとの調査結果もある。