保険業界の働き方改革に「RPA」がベストマッチな理由

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記事の情報は2018-03-13時点のものです。

10年以上も前から概念としてあったRPAが、働き方改革の機運を背景に注目が集まっている。特に保険業界では、保険にITを融合したインステックの取り組みの一環としてRPAに取り組むことが増えている。RPAは保険業界をどのように変えていくのだろうか。

RPAはどんな業務に適用できる?

各部署の事務処理が密接に関連する保険業界において、三井住友海上のように業務効率化の部分最適が進んでいた場合には、全体業務の効率化に着手できる。

一方RPAを導入する多くの企業は、一部分の業務に適用して効果を測定し、それを他の業務に展開することが多い。適用する対象は横河電機のように経費精算業務も適用しやすい分野といえるだろう。

横河電機の場合は、経費を申請する場合に、支払先がデータベースに登録されていない場合の申請フローでRPAを適用した。(1)経費支払先申請書を受領する(2)申請内容を確認する(3)仕入先を登録する(4)仕入先登録完了メール送信という一連の流れを自動化し、月30時間かかっていた処理を月4時間まで短縮することができた。

こうした完全に定型化した業務で、かつミスが許されないなどプレッシャーのかかる業務にRPAは適用しやすく、効果も表れやすい。

現段階では、人間が行うPCの操作を覚えさせるだけのケースが多い。この場合、比較的簡単に低コストで開発できるのも魅力だ。

RPA導入の弊害と今後のユースケース

しかし全自動化するためには、まず情報を電子化したうえで、「厳密なルール化」「例外処理の排除」が必要となる。この「厳密なルール化」「例外処理の排除」というのがとても難しい。単純な事務処理でも人間が行う場合は、経験や周辺の情報から推測して作業を進めていることが意外と多いためだ。

ソフトウェアで判断できるように細かく厳密に設定しようとすると、かえって人間の作業負荷が膨大になる可能性もあり、適用できる範囲がかなり限られてしまう場合もある。

そこでRPAの次の段階で期待されているのは、AI技術やビッグデータの活用だ。大量のデータを取得し機械に学習させることで、属人化されている判断や例外処理をも行えるようになるだろう。

さらにAI技術が進化すれば、経営に関わる高度な意思決定もできるようになるかもしれない。ソフトウェアロボットが人間と肩を並べて仕事をする日はもうすぐそこまで来ている。