増加する「退職金なし」企業 老後を見据えた対処法も解説

「退職金なし」企業が増加しています。退職金制度の概要から、退職金制度の減少している背景などを解説します。また、退職金のない老後を見据えて、準備を進めなければなりません。その一例として、「個人年金」や「確定拠出年金」などの資産運用を紹介します。

増加する「退職金なし」企業 老後を見据えた対処法も解説

増加する「退職金なし」企業

厚生労働省が実施した平成25年就労条件総合条件総合調査では、24.5%の会社に退職金制度がありませんでした。言い換えると、日本の1/4の会社には退職金制度がありません。しかも、この数は年々増えています。

調査は、従業員30人以上の会社が対象です。30人以下の小規模会社の方が、退職金規定のない傾向にあるので、「退職金なし」企業の実際の割合は24.5%より多いでしょう。

退職金のない企業が増えた理由のひとつに、終身雇用、年功序列が薄れたことが挙げられます。成果主義に移行し、人材が流動化する中で、退職金制度が雇用確保の目的を果たさなくなったことが大きな要因です。

一方で、退職金制度を導入していない会社は、退職金に相当する金額を月々の給料や賞与に上乗せしている場合もあります。退職金は、病気や転職で会社をやめると、得られません。退職まで勤める必要がない点では、給与や賞与に上乗せされる方が、安定してお金を入手できます。一概に退職金制度のない会社が悪いわけでないのです。

退職金制度とは

まずは、退職金制度そのものについて解説します。退職金制度は、退職した従業員が一定の金銭を受け取れる制度です。会社は雇用確保、従業員はリタイア後の生活保障を享受できるので、双方にメリットがありました。

退職金制度の概要

退職金は、退職時の基本給・役職・功績・勤続年数・退職理由(会社都合/自己都合)などに基づいて算出されます。

退職金制度は法律で定められているわけではありません。退職金制度を導入するかどうかは会社の自主努力に過ぎず、制度がなくても違法ではありません。

退職金の支払い方は大きく2種類に分けられますが、多くの企業が次の2つを併用しています。

  • 退職一時金制度
    会社が決めた算出方法を基に、退職時に一定の金額を一括で受け取ります。

  • 退職年金(企業年金)制度
    退職後の生活を支える私的年金です。会社が外部に資金を預けて、管理・運用を委託し、従業員は退職後に分割して受け取ります。

確定拠出年金との違い

従業員の自助努力による資産形成の手段として、「確定拠出年金」を取り入れる企業も増えています。

退職金も確定拠出年金も老後の生活を支える重要な資金のひとつですが、確定拠出年金は、企業が積立金のすべてもしくは一部を出して従業員が運用を行います。従業員の運用という点が、退職金制度との大きな違いです。

従業員が積立金を出した場合、積立金は全額所得控除されます。利息や配当、運用益は非課税になり、年金を受け取るときも「公的年金等控除」「退職所得控除」の対象となります。しかし運用成果が悪ければ、受給額が減少します。この点は注意が必要です。

会社は運用リスクを回避できるうえ、積立金を損金計上できるので、会社・従業員の双方にメリットのある制度です。

確定拠出年金とは?個人型・企業型・退職金との違い、メリット・デメリット解説 | ボクシルマガジン
日本版401kと呼ばれる確定拠出年金は、個人型と企業型の2種類があります。また、職種によって掛け金の上限が異なり、...

退職金がない場合の老後資金対策

平均寿命も延び続け、長い老後生活を公的年金だけではカバーしきれなくなっています。今のうちから計画的に資産を増やす必要があります。

貯蓄

銀行に貯金する最も手堅い方法です。投資と違ってお金が減るリスクを避けられますし、仮に銀行が破綻しても1,000万円までは保証されます。

しかし低金利の今、貯金してもなかなか利息はつきません。また、気軽に口座から引き出せてしまうので、意思が強くなければ貯めることは難しいかもしれません。老後資金専用口座として、引き出しに制限のある定期預金を活用すれば、安心して貯蓄できます。

個人年金

個人年金は、銀行に貯金するより資金の増える確率が高いとされています。

確定申告をすることで、年金保険料が所得控除となるメリットがあります。しかし、保険会社が経営破綻した場合、年金額が減る可能性や、途中解約により元本割れする可能性があります。

iDeCo(イデコ)

企業型の確定拠出年金とは別に、個人で加入できる個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)があります。

毎月一定の金額を積み立てながら資金を金融機関に運用してもらい、60歳から受け取れるというもの。毎月自動的に口座から引き落とされますが、休止したり再開したりできる金融機関も多く、続けやすいのが特徴です。

確定申告をすれば、積立金は全額所得控除の対象となり、企業型確定拠出年金と同様、節税面で大きなメリットがあります。

しかし、お金が必要となっても60歳までは受け取れない点や、運用に失敗すると元本割れするリスクがある点、管理手数料のかかる点などが、デメリットとして挙げられます。

株や投資

株は、NISAを利用すれば、年間120万円までで購入した株の売買益や配当金は、最大5年間非課税となります。

もちろんうまくいけば大きく資産を増やせますが、経済に左右されやすく、成果によっては元本割れします。比較的リスクは高いものの、大きく増やせる可能性もあります。

ソーシャルレンディングとは?高利回りゆえのリスク、投資信託との違い | ボクシルマガジン
2008年に登場したソーシャルレンディングは、利回りが高い投資先として注目されています。年々その市場規模を拡大して...